こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
読書『アパレル興亡』(岩波書店)黒木亮著
いつものカメリアステージ図書館で、新刊棚、司書さんによる特集コーナーに続いて、時々面白い発見があるのが「帰ってきた本」の棚。本が返却されて、元の棚に戻る前に、一時的に並んでいる場所です。移動式なので、棚というよりは「ブック・カート」と呼ぶべきなのかもしれませんね。ともあれそこに並んでる本に手が伸びることがあります。「誰かが読んでいた本」はすなわち、人気の本かもしれない、という単純な思考です。本書はそんな「帰ってきた本」の棚から見つけた一冊。
タイトルから連想された「アパレル業界のビジネス小説」そのものでしたが、戦前戦後の時代からユニクロやZOZOの現代までと、長い期間を俯瞰して読むことのできる内容です。バブル景気の前後から現代にかけては自分の生きてきた時代とも重ねることができ、知っていたことも知らなかったこともたくさんあって、面白く読みました。アパレルを中心に据えながら、百貨店業界の栄枯盛衰や、産業構造の変化など、日本経済を振り返ることができる本でした。
ビジネス小説も、これぐらいの長いスパンで描いてくれると、歴史小説的な雰囲気も伴ってきますね。面白いだけでなく、業界研究としてすごく勉強になるなぁと思いました。サラリーマン時代(約30年前…)に仕事で鐘紡さんを担当していたことがあり、当時は既に「化粧品」で知られるカネボウさんではあったのですが、その社風や組織の巨大さや価値観の基盤にあるものなど、あの当時にこの本を読んでいたら、もっと先方のことを理解することができただろうな、と思ったりしながらの読書でした。
