こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
読書&ワーク『ウィリアム・モリスのぬり絵』株式会社エクスナレッジ
読書記録という位置づけは少々微妙ではありますが、ぬり絵本。心身の健康を回復するのに、アートと美のツールキットが大いに頼りになることを再認識させてくれた本を読んだのは、この夏のことでした。
読後、この中で登場した「アート的活動」のなかでも、最も手軽に誰でもが取り組めるであろう「ぬり絵」に興味が湧いてきました。同様のツールとしてわたしがずっと使ってきているのは「コラージュ」手法ですが、ぬり絵もまたそれに匹敵する手法になり得ると確信。まずは自らその効果を体感してみないことには、皆さんにお伝えすることも出来ませんので、さっそくぬり絵にチャレンジしてみることにしたのでした。
日本で「大人のぬり絵」のブームに火がついたのは、おおよそ10年前。主には中高年層向けの「脳トレ」のひとつとして流行り、あっという間にたくさんの「大人向けぬり絵本」が出回りました。わたしも自分で試して見るにあたり、まずネットで調べてみたところ、大量にヒット。こんなにたくさんあるならば、実際に見て選んだほうが良いと思い、大型書店に出向いたところ、そこにも結構なスペースを割いて大人向けぬり絵本コーナーがありました。
本書は、そのなかから購入してきた数冊のうちの一つです。様々なタイプのぬり絵本があるなかで、毛色の異なるものを数冊手に入れましたが、自分がほんとうに気に入ったものでないと、積極的に「ぬり絵をしよう!」という気にならないものですね。そういうことも含めて、今後アートエデュケーションのプログラムに採用するための肝を探求しつつのぬり絵チャレンジでした。
ぬり絵、幼少期以来です。大人のぬりえブームは知っていましたが、これまで手に取ることがありませんでしたので、とても新鮮です。色鉛筆を握り、塗り始めると、楽しいとか面白いとかいう感情を自覚するよりも先にのめり込み、ぬり絵作業に没頭する自分を発見することが出来ました。この「没頭」がまた、とても良いようです。色の選択も、わたしは全体のバランスなどほとんど考えずに、直感的に色鉛筆を取ることを意識したため、「どんな風に出来上がるやら」と思いながらでしたが、出来上がってみたらそれほど変な色彩にはなっていませんでした。これはウィリアム・モリスのデザインならではの結果かもしれませんが、良い発見でした。
体験してみた結果を一言で言ってしまえば、ぬり絵、面白いです。近々、ぬり絵を核にしたアートエデュケーションのプログラムも完成できそうですが、そのような鯱張った言い方をせずとも、興味を持った皆さんには本屋さんで自分の気に入るものを探して、日常的に側に置き、気が向いたら塗ってみる、という風に楽しんでいただけるのが良いところ。わたしにとっては、ウィリアム・モリスの美しくパターン化された図案は、とってもフィットしました。