久しぶりの額縁やさん。額縁は最初からついていた方がいい?

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

久しぶりの額縁やさん。額縁は最初からついていた方がいい?

ずっと気になりながら進めるていなかった仕事のひとつに「額縁」の検討がありました。藤吉憲典のアート作品に陶板(レリーフ)シリーズが登場してから、ずっと頭のなかにはありつつも、具体化のイメージが湧かずにいたもののひとつです。

海外のアートコレクターの方々は、例えば絵画を購入する際も「額縁は自分で用意する」という方がほとんど。というのも、それぞれにご自宅や仕事場など飾りたい場所の内装・インテリアに合わせたものを用意したいから、それが当たり前なのですね。自分が気に入ったアート作品に対して、自分の感性で枠を加える喜びもあると思います。

一方、日本国内でのお客さまの反応を拝見していると、ある程度「持って帰ったらすぐに飾れる」状態であることを望んでいる方が多い=額縁がついていた方が購入しやすいとお考えの方が多いように思います。ここ2年近く海外に行くことができませんでしたので、国内でのアートの動き全般を観察するいい機会となりました。たしかに平面作品は「額縁」がついた状態で見た方が、飾ったときのイメージがしやすいです。実際に作品を購入なさるときには「額縁有りor無し」を選べるにしても、見せ方として、額縁に収まった状態でご覧いただけると、選びやすさにもつながると分かってきました。

世のなかがようやく出歩きやすくなったので、このタイミングで額縁屋さんに相談することに。額縁やさんに相談するのもほんとうに久しぶりでしたので、今回はゼロから=お店探しからいたしました。リストアップしたのは、福岡市内の博多にある額縁やさん、天神にある額縁やさん、西新にある額縁屋さんの三軒。いずれも老舗と呼ぶにふさわしい、長く営んでおられるお店です。

実際に足を運ぶと、そのお店の品ぞろえ、額縁の見せ方などから、自分の感性と合うかどうかがすぐにわかることに気づきました。対応してくださるお店のスタッフさんが、こちらの意図をどれだけ汲んでくださるかも重要ですね。今回お願いすることになった額縁屋さんでは、こちらが二つ三つイメージを伝えただけで、若い女性スタッフさんがピンポイントでいい感じのサンプルをいくつか出して下さり、驚くやら嬉しいやら。

縞馬陶板 藤吉憲典

色も材質も幅もデザインも多種多様な大量のサンプルのなかから「これ」というものを選び出すのは、額縁素人にはとてつもなく難しい仕事です。おかげさまで、無駄に試したり目移りすることなく、納得するものを選ぶことができました。

縞馬陶板 藤吉憲典

あとは、出来上がりを待つばかりです。額縁第一弾は、果たしてどのように仕上がっているか。とっても楽しみです。

Sladmore Galleryの企画展 Into the Wildに藤吉憲典が参加しています。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

Sladmore Galleryの企画展 Into the Wildに藤吉憲典が参加しています。

藤吉憲典の2021年の展覧会を締めくくるのは、ロンドンのSladmore ContemporaryとSladmore Galleryの2か所で開催されている、クリスマス・ショウです。

Sladmore Gallery では「Into the Wild」のテーマで、近代彫刻の名作の数々とともに、コンテンポラリーの作家作品が並んでいます。時間軸を超えて同じ空間で作品をお客さまに紹介できるのは、Sladmore Galleryだからこそできること。同じ場所で真価を問われるのは、作家にとってチャレンジングで嬉しいことです。

現地に一緒に立つことができないのはほんとうに残念ですが、ロンドンもまたコロナ禍の厳しい状況のなか、いくつもの展覧会参加機会をいただき、作品だけでも送り出すことができたことに、心より感謝しています。2022年冬は、2019年以来の藤吉憲典ソロエキシビジョン(個展)をSladmore Contemporaryで予定しています。来年の今頃は、ロンドンの会場に立っていることをイメージしつつ。

福津市歴史資料館企画展『埴輪から見た津屋崎古墳群』見て参りました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

福津市歴史資料館企画展『埴輪から見た津屋崎古墳群』見て参りました。

福津理歴史資料館、正式名称は「福津市複合文化センター歴史資料館」で、歴史資料館・図書館・ホールの複合施設のひとつです。カメリアステージ図書館の1階が歴史資料館で、2階が図書館なので、ふと歴史資料が見たいと思ったときに「ついでに見る」が可能な、素晴らしい立地。企画展は歴史資料館エリアの一角で展示されます。決して広いスペースではありませんが、だからこそ、ピンポイントで学ぶことができます。

令和3年度の企画展テーマが『埴輪から見た津屋崎古墳群』だと聞いて、まず思ったのは「あれ。新原奴山の古墳群からは、埴輪はあんまり出てなかったと思うんだけどな」でした。とはいえ、発掘調査がずっと続いているのも知っていましたので「もしや、新しい発見があったとか!?」と、ワクワク。

展示ケースに寄ってみると、並んでいるのは「円筒埴輪片」ばかり。うん、やっぱりそうよね、と思いつつ、キャプションパネルの解説を拝読。結論としてはやはり、古墳全体として埴輪の出土はとても少なく、出土しているものも小型の円筒片がほとんど。「いかにも埴輪!」という感じのものは見当たりません。これまでにすでに出土しているなかに「馬形」や「人物形」があり、これらは常設展示してありますが、あらたに大きな発見は無いようでした。

それでも、企画展示コーナーの埴輪のひとつに「形象埴輪」と呼ばれる、竹菅の組み合わせによる刺突文様のついたものがあり、思わず「おお!」とテンションが上がりました。文様、絵画的なものが残っている遺物を見ると、ワクワクします。解説に寄れば、熊本県南部にある大型前方後円墳からの出土例にある形象埴輪に、まったく同じ文様があることから、当時の地域間交流が伺えるということでした。

さて『埴輪から見た津屋崎古墳群』企画展資料の解説の結論としては、「宗像地域では埴輪祭祀が流行しなかった!」というものでした。やっぱりそうかぁ…と思いつつ、その結論がわかっていながら、あえてタイトルに『埴輪から見た』と入れるあたり、学芸員さんの「攻める姿勢」が見えて、思わずニンマリ。

15分ほどの短い鑑賞時間でしたが、なんとも充実した時間でした。身近にある世界遺産である古墳について、ゆっくりじっくり思いを馳せることができる、身近な歴史資料館。このコンパクトさが、とっても良いのです。

2021年度学芸員研修「博物館リンクワーカー人材養成講座」第4回。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2021年度学芸員研修「博物館リンクワーカー人材養成講座」第4回。

2021年度学芸員研修の連続講座4回目。「博物館リンクワーカー人材養成講座」第1~3回の報告は↓こちら↓。

2021年度学芸員研修「博物館リンクワーカー人材養成講座」第1~3回。

第4回目は「認知症高齢者と社会教育施設をつなぐ」のタイトルで、福岡県大牟田市の取り組みを、大牟田市中央地区地域包括支援センターの竹下一樹さんから学びました。地域での連携を考えるうえで、とても心強い取り組み事例。

毎回、各館での取り組みのボトルネックとして出てくる課題に、「横展開」をいかに広げていくかというものがあります。社会教育施設と福祉。それぞれの強みを組み合わせ、連携していく関係性を築いていくには、とにかくコツコツと粘り強く働きかけていくこと。そして人と人とのつながりこそが、キーポイントとなることを確認する時間となりました。

以下、備忘。


  • ○○のために、ではなく、○○とともに。
  • 当事者ミーティング。
  • 本人は、どうしたいのか?どう感じているのか?
  • 横展開。
  • 一人では足を運び難くても、仲間がいることで足を運ぶことができる。
  • 誰かの役に立ちたい、地域のために役立ちたい。
  • 民間との連携=企業戦略としての「高齢者にやさしい街」。
  • 福祉施設側や行政の福祉担当から、受け入れ施設(社会教育施設)に、必要最低限のマニュアル(認知症に対する基礎知識など)を共有する。あるいは研修を受ける。
  • 横のつながり、情報共有。
  • すでにあるそれぞれの活動を、つなげていく。
  • 予防的活用。
  • 誰もがいつかは通る道=当事者。
  • まずは受け入れる。

この連続講座では、毎回講座後半に設けられる「語り場」での意見交換が、とても効いています。昨年の春からZoomを使い始めて、会議や研修など様々な場面で利用してきていますが、この講座でもあらためてその便利さと恩恵を感じています^^

磁器作家 藤吉憲典の挑戦@福岡アジア美術館、まとめ5

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

磁器作家 藤吉憲典の挑戦@福岡アジア美術館、まとめ5

「まとめ4」までで、おおむね完了したつもりでおりましたが、展覧会経費としてなにが必要だったのか、書き留めることを失念していました。今回は「開催する」ありきでしたので、必要経費についてあらかじめ細かい予算を考えるではなく、その都度の対応でしたが、本来は開催検討のスタート時点で把握しておくことが大切な要素のひとつですね。

「磁器作家 藤吉憲典の挑戦@福岡アジア美術館、まとめ1」では、アンケート回収結果などから数字的なまとめ、「まとめ2」ではご来場者様の声を抜粋し、「まとめ3」ではいただいたご来場者様の声からの考察をまとめました。「まとめ4」では、起案から会期終了までの全体の流れと、実務的な反省点。そして、この「まとめ5」では 「何に・幾ら」 を出します。

公の美術館の貸し館を利用して展覧会をする場合に、どのような費用が必要になってくるのか。ざっくりとですが、今後開催を検討している方々にも参考になるかもしれません。もっとも「会場費」は開催する地方・場所により大きく異なりますね。他所でやったことがありませんので比較はできませんが、福岡アジア美術館の貸し館の価格設定は、その場所・空間の価値に対して、良心的だと思います。


  • 会場費(福岡アジア美術館8F交流ギャラリー6日間) 74200円
  • フライヤー1印刷 カラー×モノクロ200枚 4092円
  • フライヤー2印刷 カラー×モノクロ200枚 4092円
  • ポスター印刷 A3 3枚、B2 1枚 10054円
  • パンフレット印刷 全ページカラー A4 24頁 60部34045円
  • 受付事務外注(3時間×2日)4000円×2日=8000円
  • コピー代 
  • 事務用品 アンケート用クリップペンシル
  • コロナ対策費 手指消毒液、物品用消毒液、除菌シート、不織布マスク
  • 交通費 駐車場代、高速代、電車&バス代、
  • お礼状(ハガキ、切手)

今回は使わなかったけれど、発生可能性のある費用としては

  • 印刷物のデザイン:見積段階では、チラシ・ポスター・パンフレットすべて込みで8~10万円。
  • キャプションボード等製作:
  • 搬入運搬:

こんな感じでしょうか。上記以外に、通常業務上の経費と切り離し難いものもありますので、厳密なものではありませんが。大きかったのは、会場費と印刷費。いずれも必須のものです。こうして項目を羅列してみると、準備物のチェックリストや、To Doリストとしても使えそうです^^

読書『人間の絆』(新潮文庫)サマセット・モーム

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『人間の絆』(新潮文庫)サマセット・モーム

カメリアステージ図書館の新刊棚に文庫を発見。令和3年11月1日発行となっていました。今更ながらではありますが、名作は何度も文庫で新刊として蘇るのですね。写真は、小説の舞台のひとつであるロンドン、テムズ川。

サマセット・モームの本は『月と6ペンス』を読んで以来です。『月と6ペンス』は、画家ゴーギャンがモデルとされるストーリー。個人的な読後感としては、たしかに衝撃は大きかったものの、「ゴーギャンだから」という前提(わたし自身の思い込み)が、プラスにもマイナスにも働いてしまった感じがしていました。

『人間の絆』は1915年に発表された長編で、自伝的小説とされています。『月と6ペンス』より後に出たのかと思っていましたが、『人間の絆』の方が先でした。分厚い上下巻に引き込まれて、どんどん読みました。ただ、ワクワクしてページをめくるのが楽しいという感じではありません。主人公の劣等感や、それと表裏一体となった自意識過剰、プライドの高さが生む滑稽さ無様さが自分自身と重なり、目を逸らしたいのにできない、という感じ。

モーム=月と6ペンス、という印象でしたが(というか、それしか読んでいませんでしたが)、どうやらモームの代表作と言えば、本書『人間の絆』なのだろうな、と思った読書でした。

読書『ロンドン・ナショナル・ギャラリー・アートコレクション』(COSMIC MOOK)冨田章監修

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

『ロンドン・ナショナル・ギャラリー・アートコレクション』(COSMIC MOOK)冨田章監修

2021年カメリアステージ図書館選書ツアーの選書本から、第一読者としての一冊目は、大好きなロンドンナショナルギャラリーコレクションを紹介・解説したMOOK本。展覧会図録ではありませんが、出版のタイミング的には、2020年から2021年にかけて日本国内で開催された「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」の関連かと。

「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」 は、コロナ禍でなんとも難しいなかでの開催でした。行こうと思っていたけれど行けなかった、自粛した、という方々も少なくなかったのではないかと思います。この本を通して、次回の国内展覧会(あるかはわかりませんが)や、現地への訪問に思いを馳せる時間を楽しむのもおすすめです。そういえば、わたしが前回ロンドン・ナショナル・ギャラリーに行ったのは、2年前の今頃でした。美術館前の広場で高所作業車がクリスマスツリーを設置していたのを思い出します。

さて本書。巻頭で「必見」マークを付けた名作を紹介し、そのあと年代別に5章に分けて、各年代ごとの必見コレクションを並べています。絵画の写真に添えられたそれぞれの作品解説が、長すぎず短すぎず、読みやすいです。一枚の絵のなかでも特に注目すべきポイントは、「クローズアップ」としてアップ写真で解説しています。巻末には掲載されている絵画タイトルのインデックスが載っているので、見たいものから逆引きで見ることもできます。

わたしはふだん美術館で絵を見るときは、キャプションをほとんど読みませんので、この本であらかじめ予習していると、また見え方が異なってきそうです。来年あたりはロンドンに行きたいなぁ、と思いつつ。

本書の監修の冨田章さんは、東京ステーションギャラリーの館長さん。そういえば、東京ステーションギャラリーにはまだ一度も足を運んでおりません。東京駅といえば辰野金吾。次回状況の際には必ず訪問したいと思いました。

選書ツアー本がやってきた!

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

選書ツアー本がやってきた!

今年10月に参加したカメリアステージ図書館の選書ツアー。「選書が届きました!」とのお電話で、ワクワクと図書館に向かいました。選書ツアー参加のなにが嬉しいかといえば、選んだ本のなかから図書館の蔵書が生まれること。そして選んだ本の「第一読者」になれること。第一読者には、その本をおすすめする「ポップ」を書く使命も課せられますが、そこは「喜んで!」。

例年ですと、一人の選者から2冊か多くても3冊の本が図書館に入るのですが、今年度はなんと6冊も入れていただくことができました。書籍購入予算の都合などがあるのでしょう、詳しいことはわかりませんが、なんともありがたく嬉しいことです。貸出カウンターで選書の受け取りをする際、6冊もの新刊を前に思わず興奮状態(笑)で、司書さんにお礼を言いました。

選書ツアーからふた月も経っていませんが、自分がどんな本を選んだのかは、すっかり忘れていました。どういうわけか分厚い本ばかり選んでいたわたし。あらためて顔ぶれを見ると…すべて心あたりあり、読みたい本ばかり。本を入れようと持って行っていたエコバッグをパンパンにして帰路につきました。第一読者のあとには、新書を待ちわびている図書館利用者の皆さんがいらっしゃるので、サクサクと読まねばなりません。果たして貸出期限の2週間内で全部読めるのか!?

その顔触れは、上の写真の通りです^^…『世界の戦略図鑑』(宝島社)、『一度読んだら絶対に忘れない日本史の教科書』(SBクリエイティブ)、『ロンドン・ナショナル・ギャラリー・アートコレクション』(COSMIC MOOK)、『取材・執筆・推敲 書く人の教科書』(ダイヤモンド社)、『読書大全』(日経BP社)、『日本の美意識で世界初に挑む』(ダイヤモンド社)

教科書が2冊(笑)。ダイヤモンド社から2冊。小説がひとつもありませんね。実は今回一緒に選書ツアーに参加した息子が選んだのが、すべて小説でした。親子合わせてちょうどよいバランスです。ともあれ、これから2週間は読書三昧。また読後ブログを上げてまいります^^

磁器作家 藤吉憲典の挑戦@福岡アジア美術館、まとめ4

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

磁器作家 藤吉憲典の挑戦@福岡アジア美術館、まとめ4

「磁器作家 藤吉憲典の挑戦@福岡アジア美術館、まとめ1」では、アンケート回収結果などから数字的なまとめ、「まとめ2」ではご来場者様の声を抜粋し、「まとめ3」ではいただいたご来場者様の声からの考察をまとめました。最終となる「まとめ4」では、起案から会期終了までの全体の流れと、実務的な反省点など。


  • 展覧会計画にあたっての参考書:『THE CURATOR’S HANDBOOK』(フィルムアート社)、『美術館っておもしろい!』(河出書房新社)。この2冊で、必要なことはほぼ網羅出来ていた。
  • スケジュール:
    2020年初夏思い付き
    →10月初旬プランニング本格始動
    →2021年1月アジ美会場申込
    →2月会期・会場等決定
    →8月展覧会タイトル・具体的プラン等決定
    →9月告知・後援・協力依頼、チラシ第1弾制作
    →9月末アジ美事前打ち合わせ(=最終打合せ)
    →10月チラシ第2弾制作、ポスター制作、パンフレット制作
    →11月最終調整。
  • スケジュール的には9月~11月の会期直前までの約2か月で、いろいろなことが進んだ。間に合いはしたものの、もう少し早めだと尚良い。
  • 写真:今回、短期間で制作したものの、写真撮影と印刷物制作(チラシ第1弾→チラシ第2弾→ポスター→パンフレット)がかなりうまくいった。写真さえきちんと揃えておけば、ある程度うまく行く。急なお願いに応えてくださったカメラマンさんのおかげなので、次回以降はもっと早めに準備。
  • 印刷:いつもの印刷WAVEさん。納期スケジュールさえ把握しておけばOK。オンデマンドとオフセット、部数・納期・金額で使い分け。
  • 告知:DMはチラシを封書で送ることにし、DMハガキは作成せず。チラシとインターネットでOK。福博ツナグ文藝社さんのヘルプが大きかった。自分でプレスリリースを打つのをすっかり忘れていた。インターネットはインスタをもっと活用できたはず。
  • 資料展示:解説展示パネルは、もっとサイズを大きく、見やすいものを作るべき。業者さん調べる。
  • 3室分割のプランニング:(第1室)普段の作品展示(第2室)インスタレーション(第3室)補足資料展示・アンケート記入場所。結果として良い使い方ができた。次回以降、映像の活用(第3室)も要検討。
  • アンケート等:「アンケート」は思いがけず回収率の高い結果となり、大成功。質問項目も妥当だった。「入場の際の注意」は、配布しても読まない人がほとんど。紙がもったいないので、次回以降は掲示物に変更。
  • 資料展示:お取引先さんの協力を得られた。今回の成果をもとに、次回以降はもっと早く告知して、より充実した資料提供を求めると尚良い。
  • パンフレット:作品写真データをもっと多く掲載しても良かったかも。展示プランをもう少し早めに決めればできたこと。文章コンテンツは、現段階において最善のものをつくれた。

2021年11月29日現在。


とりあえず、現時点ではこんなところ。また思いついたら追い追い追記。

2021年度学芸員研修「博物館リンクワーカー人材養成講座」第1~3回。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2021年度学芸員研修「博物館リンクワーカー人材養成講座」第1~3回。

九州産業大学美術館、地域共創学部の緒方泉先生が中心となって開催してくださる、文化庁事業「学芸員技術研修会」。学芸員技術のブラッシュアップの場であり、最新の知見を得ることができる貴重な場です。多様な立場で活動しておられる学芸員の皆さんと、さまざまな課題を考察したり意見交換できる機会でもあります。館に属さずフリーランスで活動しているわたしにとっては、ほんとうにありがたい機会で、2016年から毎年参加しています。

美術館等での研修の現地開催が悩ましい昨年から今年は、講座への参加に地域別の条件が付いたり、講座自体が中止になったりと、運営する事務局の皆様方のご苦労はいかほどかと頭が下がります。そんななか今年度は、オンライン開催による連続講座のご案内をいただきました。

「博物館リンクワーカー人材養成講座」では、美術館博物館をはじめとした社会文化施設が、地域住民の健康・福祉にどのようにかかわっていくことができるか、がメインテーマ。「博物館浴」の実現性と、そのための人材養成を探っていきます。思えば、2018年に受講した連続講座「2025年問題に向けた高齢者の健康と博物館の役割」から、「博物館浴」への動きはスタートしていました。

連続6回で構成される講座の3回目までが終了し、折り返し地点です。前半第1回から第3回までの、備忘的メモ。


第1回「博物館浴研究の最前線」

緒方先生のお話「博物館浴研究の最前線」。自分が漠然と考えていたよりも、ここ数年でエビデンス(医学的根拠)を積み上げていく取り組みが、世界各地でかなり進んでいるということがわかり、嬉しい驚き。英国、カナダなどが先進的なほか、3回目で報告のある台湾の取り組みも要注目。

グループワーク「オンライン語り場」では、全国各地からの参加者の皆さんのこのテーマに対する関心の高さが伝わってくる。どの地域でも同様の課題があることがわかる。またコロナ禍下で、課題の緊急度が高まっていることも伝わってくる。

個人的には「美術(美術館)はもっと使える」を実現する方法のひとつとして、具体的なアプローチが見えてくる予感大。「博物館健康ステーションのリンクワーカーとして働く」ことが、職業選択の際に現実的な選択肢として生まれる場になりそう。

第2回「オンライン博物館浴プログラムの実際」

身体を動かすことの意味・効果を、ふだんとは違った角度から眺める。2018年に参加した音楽療法講座での体験が、そのさらに先の展開につながっていることを理解できた。拝見した高齢者施設での事例はまだまだ発展途上の感があったものの、だからこそ今後どのように展開・進化していくか、期待が膨らむ。

実際にプログラムに合わせて体を動かしてみて、フィジカルなアプローチでの美術鑑賞法の可能性が広がることを実感。これまでは主に子ども向けのプログラムとして考えがちであった、美術と身体的エクササイズの組み合わせは、子どもに限らず楽しめるものであり、かつ心身のリフレッシュに有効であることが体感できた。例えば、エクササイズ×絵画、エクササイズ×仏像、エクササイズ×彫刻、エクササイズ×埴輪…など、組み合わせは資料により無限大。

第3回「台湾の博物館処方箋プログラムの動向」

台湾では既に手引書ができ平準化されつつあることに、嬉しい驚き。「処方箋に博物館と書く」動きがどんどん進んでいる。昨年来読んできた、台湾IT相オードリー・タン氏関連の著書にあったとおり、社会課題に対して国(政治)が真摯に市民の声を聞く仕組みができており、そのうえで官民共同があるからこそ(例えばコロナ対応しかり)、必要な施策をスピード感をもって実行できる。博物館浴への先進的な取り組みもまた、そうした成果のひとつであろうと思えた。

医療(医者)との連携、福祉(施設)との連携、行政の各分野(縦割り)との連携。どこを窓口として、いかに横のつながりを構築していくかが、実務を考えていくうえでの現実的な課題になるであろうとの共通認識。


後半のプログラムは12月。今からとっても楽しみです。