学芸員研修会「触文化とユニバーサル・ミュージアム」に参加してまいりました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

学芸員研修会「触文化とユニバーサル・ミュージアム」に参加してまいりました。

2022年度文化庁「大学における文化芸術推進事業」学芸員研修会「触文化とユニバーサル・ミュージアム」に参加してまいりました。担当は、国立民族学博物館准教授の広瀬浩二郎先生です。今回の会場は、九州国立博物館

この研修、2年前に座学部分を受講したのみとなっておりました。

今回の主目的は「触る鑑賞」のワークショップ。福岡県内では「福岡コロナ特別警報」が発表されたところであり、決行できるのか否か心配しておりましたが、事務局の九州産業大学教授緒方泉先生と、会場である九州国立博物館の学芸員の方々が手を尽くしてくださいました。おかげさまで、しっかりと学ぶことができました。

以下、備忘。


  • 地域団体・施設と博物館・美術館をつなぐ。
  • 健常者/触常者
  • 「触る」と「見る」をどう共存させるか。
  • 触るデザインとしての点字。
  • 点字とユニボイスの連携。
  • 触る+音声ガイド。
  • 情報のスピード・量→視覚優位/情報の質→触覚優位。
  • 「かわいそうな人たちの疑似体験」としての障害教育ではない。
  • 「新しい知覚」を手に入れる。
  • 探索型の触り方と確認型の触り方。
  • 人間が手で作り、使い、伝えてきたものを、手で触って体感・追体験する。
  • 手と手のつながり。
  • 優しく丁寧に触れる=「触るマナー」が身に付く。
  • 「もの」の背後にある、作った人の存在を意識できる→そのものを作り、使い、伝えてきた人たちへの想い。
  • 触覚の復権。
  • 「さわる文明」への展開:見る→触る:前提をずらす。
  • 見えることで、見えなくなっている、たくさんの情報の存在。
  • 見えた気になっている。
  • 触ったからこそ気付くこと→視覚情報に転換して伝えると、もっとよく見えてくる。
  • もっと触りたい=もっと知りたい→観察力が増す。
  • どの知覚に頼るか?

以上、学芸員研修会「触文化とユニバーサル・ミュージアム」国立民族学博物館准教授・広瀬浩二郎先生 より


今年度の学芸員研修会はこれがスタート。秋には昨年に引き続き、オンラインでの研修も予定されています。今年度もできる限り機会を生かし、しっかり学んでまいります。

個展会場にて、お客さまからの宿題。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

個展会場にて、お客さまからの宿題。

先日アップした東京出張報告

その続編です。

個展で在廊するときにいつも意識しているのは、お客さまはやはり作家に会って話を聞いてみたいと思っておられるということ。わたしは作家本人ではありませんので、できることは限られています。それを自覚して個展会場にいることが大切なのではないかと、漠然とですが、強く思っています。

お客さまが作品についての説明を求めておられるとき、特に、作家が作るところを見ているわたしだからこそコメントすべきときには、できる限り丁寧に過不足なくお話するようにと心がけています。これが、心がけてはいるものの、言うは易く行うは難し、で、何年経っても反省しきりだったりするのですが。

さて、タイトル。銀座黒田陶苑さんでの藤吉憲典展、書画をお買い上げのお客さまが、「これ、とっても気に入ったんだけど、この部分が何なのか、よくわからないんだよね」と、画のある部分を差しておっしゃいました。さっそくその部分についての説明を差し上げたところ、とても喜んでくださり、「今の説明を作品と一緒につけてくれる?急がないから」と。

出張から戻ってさっそく紙一枚にまとめ、黒田陶苑さんにお送りしました。そういえば、書画だけでなく器にしても「キャプション」とでもいうべき説明書きを、しようと思えばできるのです。お買い上げのお客さまに、ひとつひとつお付けしたら喜ばれるだろうな、とわかっていながら、これまできちんとしてこなかった部分。もちろん今回のように、ご要望があれば対応してまいりましたが、心のなかで「そういうのがあったらいいな」と思っておられるお客さまはたくさんいらっしゃったはず…。

今回のお客さまからの宿題は、そのお客さまへの対応に限ったことでは無く、今後全般にどのようにしていくべきか、わたしにとって大きな宿題となりました。すべきことははっきりしていますので、それを、どのように始めるか。「当たり前のサービス」として継続できるように、方法を考えて参ります。

ワタリウム美術館で、鈴木大拙展 Life=Zen=Art。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ワタリウム美術館で、鈴木大拙展 Life=Zen=Art。

東京南青山(あるいは神宮前)にあるワタリウム美術館。その前を通ったことは何度もあり、ずっと気になりつつも、館内に足を踏み入れたことがありませんでした。今回の東京出張では、ちょうどアポイントの隙間のタイミングで訪問が実現。ラッキー♪

わたしのなかでは、ワタリウム美術館=現代アート。「鈴木大拙展」と聞いて、その組み合わせに意外性を感じました。でもワタリウム美術館のサイトを拝見すると「南方熊楠、岡倉天心といった日本の文化を支えた人物についても調査し、独自の視点で発表しています。」という表記がありました。もともと取り組んでいらした分野なのですね。

鈴木大拙といえば、「禅」の導師。わたしは禅寺で茶道に入門しておりますので、その方向から馴染んでいるお名前です。そのお名前がアート方面からのアプローチで登場したので驚きつつも、直感的に「面白そう!」と思い、観に行くことに。

面白かったです。作品を点数で見せる展覧会ではなく、「いかに編集するか」にぎゅーっと工夫が凝らされたことを感じる展示でした。パンフレットには、鈴木大拙はじめ、この展覧会に作品展示のある人物紹介がなされています。人によっては関連する作品が1点のみだったりもするのですが、鑑賞者がその文脈をいかに解釈するか、キュレーターさんからの投げかけを感じました。

それにしても、ワタリウム美術館の建物の内側が面白かったです。バリアフリーからは程遠いつくりではありますが、創設者の想いが感じられるような気がしました。この空間を展示会として組み立てるには、相当にクリエイティブな力が要求されるに違いありません。展示会によって、雰囲気がずいぶん変わるのだろうな、とイメージできました。

鈴木大拙展、チケット代は大人1500円で、本人確認さえできれば、会期中はなんどでも入ることが出来るようになっています。これは嬉しいですね。出張から家に帰ってきて、あらためてパンフレットを眺めて気がついたことがありました。それは、今回のサブタイトル「Life=Zen=Art」は、わたしなりの視点で追及していくことのできるテーマかも知れない!ということ。ほんの1時間の鑑賞でしたが、これからの動き方に大きな影響を与える1時間であったかもしれないという予感がしています。

久々の東京出張、藤吉憲典展@銀座黒田陶苑。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

久々の東京出張、藤吉憲典展@銀座黒田陶苑。

コロナ禍がはじまって以来、自粛を続けておりましたので、約2年半ぶりの東京でした。飛行機に乗るのも2年半ぶり。こんなに出張に間が空いたのは、妊娠・出産の一時期以来です。東京のスピードについて行けるかしら、とちょっぴり心配しつつ。

まずは銀座黒田陶苑さん。わたしがおじゃましたのは前回の個展以来でしたので、スタッフの皆さんにお会いするのも久しぶりでした。が、日頃から仕事上のやり取りをメールやLINEでしておりましたので、それほどお会いしていない感じはしませんでした。特にLINEでのコミュニケーションは、ビジネスライクになり過ぎず、適度な親しみを込めたやり取りで熱量が伝わります。顔を合わせることで、あらためてLINEの効力を実感。

黒田陶苑さんの皆さんとお会いしてお話をするたびに、そのプロフェショナルさに脱帽します。気楽におしゃべりをしているなかで、きちんとした知識や経験に基づく対応を拝見することが出来、とても勉強になります。今回は特に「書画」を作品として初めて持ち込んだため、それらの作品をどう扱い、お客さまにどうご案内するか、目の前でお手本を拝見することが出来ました。

書画の表装について疑問に思ったこと、どうすべきか決めかねていたことなどについても、ご相談したところ、すっきりと腑に落ちるご説明をいただきました。扱っておられる美術品の数々、多様なお客さまの接客…やはり積み重ねて来られたものが違うと思いました。こうしておじゃまし、いろいろなお話を聞いて学ぶことが出来るのは、役得ですね。ほんとうにありがたいです。

在廊していた日は、友人がたくさん遊びに来てくれました。藤吉憲典が磁器作家として独立する前から見ている友人も多く、その作家としての進化・変化を心から応援し、楽しんでくれます。「今回は○○だね!」と、印象を遠慮なく口にしてくれるので、客観的にどう見えているのか、一面を知ることが出来ます。そんな友人たちの存在はほんとうにありがたく、支えられていることをつくづく実感。

やはり実際に体を動かして、現場に赴くことは、大切ですね。この2年引きこもっていた分、これからしっかり動いていきたいと思った東京一日目でした。

来年こそは!の、津屋崎祇園山笠。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

来年こそは!の、津屋崎祇園山笠。

先週末のこと。藤吉憲典の銀座個展が土曜日にスタートし、

同じ日に福津市の社会教育「郷育カレッジ」の開講式があり、

とバタバタしておりました。日曜日午後に近所を通ったら、いつの間にか山笠の山車がすっかり解体され、何事もなかったかのように静かになっているのに気がつき。

そう、いつも終わるのはあっという間です。それにしても、今シーズンはようやく復活した喜びもしっかり味わうことなく終わってしまい、ちょっぴり寂しく。

と思っていましたら、花祭窯の入っている新町流の会長さんとごりょんさんが、来年に向けての挨拶にいらしてくださいました。いわく、今年は山笠復活したというものの、直会(なおらい=おつかれさま、の飲み会)を禁止にしたため、ごりょんさんには全く声がかかりませんでしたが、来年からはまたよろしくお願いします、と。

今年の山笠が終わったところに、来年の山笠へのお声掛けをいただき、とっても嬉しくなりました。ごりょんさん仕事は、正直に言えば時間も体力も使う仕事です。でも、脇役ながら流れの一員として地域の皆さんと一緒に汗を流せるのは、言葉にしがたい嬉しさと充実感があります。

一も二もなく「こちらこそ、どうぞよろしくお願いします!」と頭を下げました。こうしてご近所一軒一軒周っておられる、そのお心遣いがとても嬉しくなりました。来年はまた「ゆで卵100個つくる」などのごりょんさん仕事を楽しんでいきたいと思います。

それにしても、ワンシーズンに「山笠」タイトルで3つもブログを上げたのは、今年が初めてかもしれません。無意識ではありましたが、わたしもやはりお祭りが恋しいようです。

2022年度郷育カレッジ開講式が開催されました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2022年度郷育カレッジ開講式が開催されました。

福津市民・福津市に通学通勤する方々のための社会教育システム「郷育カレッジ」。令和4年度の郷育カレッジ講座がいよいよスタートします。

ここ数年は、開講式自体を開催できるのか、開催できるとして、どのような規模にできるのか、試行錯誤が続きましたが、2022年度の開講式を無事開催することが出来ました。時節柄、あまり派手な宣伝はできませんでしたが、郷育カレッジ開校から20周年の節目の年でしたので、無事にスタートを切ることが出来て、運営委員の一人としてホッとしています。

今年は開講式イベントも復活、市内の書道家の方に、書道パフォーマンスをお願いすることが出来ました。下はその写真。力強い文字を書いていただきました。

郷育カレッジ開講式パフォーマンス

ここ数年恒例となった、放送大学とのコラボ講座は、九州大学大学院総合理工学研究員教授・谷本潤教授による「ヒートアイランドと大江戸の街並み」。学究的で少々難しい内容ながらも、ユーモアを交えた軽妙な語り口に引き込まれました。

開講式が無事終了すると、いよいよ講座がスタートします。今年度も、一人でもたくさんの市民の皆さんの学びの場となれるよう、運営委員一堂、頑張ります!

ブルーベリーが豊作になると、近況報告の季節。

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ブルーベリーが豊作になると、近況報告の季節。

ちょうど1週間前のことになります。お友だちから「今年もブルーベリーが豊作」とのお誘いをいただいて、ブルーベリー摘みにおじゃましてまいりました。初めておじゃましてから何年になるでしょう。もちろん、ブルーベリー摘み以外でも顔を合わせる機会はありますが、毎年この季節になると、ブルーベリーをつまみつつ近況報告、というのが恒例になってまいりました。

お友だちのお庭のブルーベリーが毎年豊作になってくれるおかげで、少なくとも年に一度は近況報告ができるありがたさ。声をかけてくれる友人の気持ちがとっても嬉しく、どうでもいいおしゃべりをしつつブルーベリーを摘む時間が、すっかりこの季節の楽しみになっています。

用事が無くても遊びに行っていい、という友人関係であっても、「声をかける理由」「おじゃまする理由」が用意されていると、お互いに往来しやすくなるのは、わたしだけではないと思います。そんな理由をもっと増やしていける余裕を作りたいな、と思いつつ。

ブルーベリーの写真を撮るのをすっかり失念しておりましたので、上の写真は我が家のザクロ。そのうちたくさん実がつくようになって、「柘榴を摘みにどうぞ」とお誘いできるようになるといいな、と企んでおります。

読書『図書館の外は嵐』(文藝春秋)穂村弘著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『図書館の外は嵐』(文藝春秋)穂村弘著

いつものカメリアステージ図書館新刊棚。中身はまったく予想がつきませんでしたが、タイトルと表紙の装丁に惹かれて迷わず手に取った一冊です。小説のようなタイトルですが、書評集。いえ、書評集という言い方も正しくないような気がします。本書の表紙にあるように「穂村博の読書日記」というのが、そのまま正解です。

図書館で借りたときは気づかなかったのですが、表紙の画は、ヒグチユウコさんでした。道理でスーッと惹かれたはずです。有無を言わせない世界観。そしてこれがまた、本書にぴったりなのです。

さて、著者の穂村弘氏は、歌人・詩人。本書内での読書記録は「×月×日」というように、日記形式で進みます。そこで紹介される本は、タイトルだけでなく、引用文も紹介されているのですが、その引用に、「ことば」への鋭い感覚があふれています。感覚的に合う合わない(あるいは好き嫌い)がはっきり分かれるかもしれません。わたしは、とても興味をそそられました。

読書日記に登場するのは、小説はもちろん、詩集、歌集、漫画と多彩です。セレクトの視点も面白い。そして繰り返しになりますが、ご本人が歌人=言葉を生業にする人であるだけに、ことば・言葉の組み合わせへの鋭い反応がとても興味深いです。本書内で紹介されているものを、ひとつづつ、読んでいきたいと思います。

BCP策定について、商工会でお勉強。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

BCP策定について、商工会でお勉強。

なんでもかんでも横文字になったり略称になったりして、ついていくのに必死(あるいは、ついていけていない)な今日この頃、商工会のスタッフさんから「BCPの策定」についてご案内をいただきました。

BCP = Business Continuity Plan。訳すると「事業継続力強化計画」。

平たく言えば、「なにかあったときに、事業をできるだけ滞らせることなく継続するための、あるいは一日も早く通常業務に戻れるようにするための、事前準備の計画」と、理解しています。事業規模の大小を問わず、あった方がいいプラン、いえ、本来なければならないもの。福津市商工会では、定期的にいらっしゃる中小企業診断士の先生が、BCPに関しても個別に相談に乗ってくださるということで、まずは「イロハ」を学びに行って参りました。

実のところ、これは、事業を始めたときからずっと頭にあったことではありました。リスクマネジメントの一環として、必要性は頭にあったけれども、後回しになって手を付けていなかったもの、です。近年になって「BCP」なる単語となって広がりつつあるのは、自然災害の甚大化、コロナ禍などが、大きな要因のよう。中小機構さんにBCPの専用のサイトもオープンしており、国の力の入れようが伝わってまいります。

ともあれ、気になっていたことにきちんと目を向ける良い機会となりました。「認定制度」なるものもあります。そこで認定されたからどう、ということでは無いとは思いますが、認定制度化することによって、評価基準=計画に含めるべき項目がはっきりと示されることが、自力で計画を立てようとする場合にとても役に立ちます。

わたし自身「どこから手を付けたらいいかなぁ」という状態でしたが、なんとなく作れそうな感触を得ることが出来ました。まずは実際にプランを書き出していきたいと思います。商工会さんにお世話になりましたので、きちんと結果を示さねばなりません。こんなふうに、「やらねば」の環境を作ることが一番ですね。

文月半ばの花祭窯の庭。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

文月半ばの花祭窯の庭。

昨日~今日と、銀座黒田陶苑さんでの個展に向けて、作品の発送準備をしています。いつもはお客さまを迎える花祭窯の露地に面した和室は、この間、梱包作業部屋に変身。割れ物を扱い緊張が続くなか、ふと外に目を向ければ、すっかり緑の濃くなった露地の草木が目に留まります。

柘榴

ここ数カ月、話題の中心となっている我が家のザクロは、その姿がすっかり「柘榴の形」になってまいりました。10個以上咲いた花も、風で落ちるなどして、実になりつつあるのは、今のところ3つほど。1つでも実になれば上出来だな、と思いつつ。

タカサゴユリ

昨年他所から飛んできて、花をつけたタカサゴユリは、今年はさらに勢力を拡大中です。つぼみが目につき始めましたので、7月のうちに開花するかもしれません。ヤマユリとカノコユリは、いつものようにゆっくりペース。

花祭窯の庭

そして今年は例年より約1か月早く、サルスベリの第一弾が咲きました。毎年、ご近所のサルスベリがお終いになったころに咲く、我が家のサルスベリ。意外な早咲きに、思わずオオっと声を上げてしまいました。

サルスベリ

花祭窯の前にある駐車場の花壇スペース(に勝手にしました)では、ゴーヤ、食用ヒョウタン、ミニカボチャが順調に伸びてきています。

花祭窯の庭

緑を愛でたら気分もリフレッシュ。無事梱包作業も目途が立ち、ひと仕事完了です。