梅雨入り3。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

梅雨入り3。

梅雨の季節に楽しみたい器をひとつふたつと紹介したら、どんどん紹介したいものがでてきました。我ながら、やっぱり文様の話が好きなんですね。

というわけで3つ目は、これまた蕎麦猪口です。

染付驟雨文蕎麦猪口 藤吉憲典
染付驟雨文蕎麦猪口 藤吉憲典

染付驟雨文蕎麦猪口

里芋の葉っぱと思しき大きな葉を傘代わりにした後ろ姿。驟雨(しゅうう)は、いわばにわか雨です。季節的には梅雨の後期の景色ですね。先日のブログ「梅雨入り。」でご紹介した「傘文」に描かれた雨の雰囲気に比べると、筆致の違いが面白いですね。驟雨では強い勢いを感じます。

梅雨入り。

驟雨文様も江戸時代から描き継がれてきている文様。実はこの文様に出会うまで「驟雨」という言葉を知りませんでした。季節を表す日本語は多種多様。文様を通じて学ぶことがとても多いのです。

平成30年度学芸員技術研修会

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

平成30年度学芸員技術研修会

今年度も開催決定!のご案内をいただきました。写真は、この研修会がきっかけで昨年「教育普及プログラム」の在り方を学びに押しかけ訪問した宮城県美術館。

「学芸員技術研修会」は、文化庁事業「大学における文化芸術推進支援事業」の採択を受けて、九州・沖縄8県で開催される研修会です。

わたしが初めて参加したのは、2年前。この研修会の存在を偶然ネットで見つけ、ダメでもともとと事務局の先生に参加希望のメールを書いたところ、わたしの仕事・立ち位置を理解し、快く受け入れてくださったのでした。

学芸員研修に行ってきました。

「美術館・博物館の学芸員」の肩書の無いわたしにも道を開いてくださったのは、事務局を務める、九州産業大学美術館の緒方泉先生。この学芸員技術研修会のすごいところは、各研修を担当するプロフェショナルな先生方を全国各地から招聘していることと、そこを目指して意欲的な学芸員の方々が九州内外から集まって来られることだと思います。が、それが継続的に実現しているのも、ひとえに事務局の先生の熱意やお人柄によると、つくづく感じます。

平成30年度も魅力的な研修テーマがずらり。「展示グラフィック」「資料保存」「展示制作」「照明技術」「梱包技術」「博物館教育」「ユニバーサル・ミュージアム」「著作権」など…

もしこれを読んでおられる学芸員さんがいらっしゃったら、ぜひご参加をお勧めいたします!開催場所は九州ですが、例年、九州外からの学芸員さんも参加なさっています(^^)

 

福岡acad. はじめます。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

福岡acad. はじめます。

福岡acad.は、福岡を拠点にArts, Crafts, Architect and Design.に効く勉強会をシリーズ展開していくプロジェクトです。

記念すべき第1回目の勉強会は来たる6月30日(日)。

建築の勉強会シリーズ 第1回建築の歴史

建築の歴史を学びながら、知識・知見を広げ、仕事の基盤となる美意識を鍛えます。詳しくは、フェイスブックのイベントページで。参加者募集中です(^^)

さて、福岡acad. 名前の由来。

arts

crafts

architecture

design

の頭をとっていろいろと並べかえていたら、

acad

となったもので、面白いかな、と決定。

思わず「アカデミーかぁ…」と笑ってしまいました。というのも、立ち上げメンバーは、アートの世界で一般的に使われるところの「アカデミー」あるいは「アカデミック」的なものとは対極にある立ち位置で仕事をしてきている面々なので。

ただ、academyの意味や語源をいろいろと読んでみても、「学ぶ場である」という位置づけは揺らがないようなので、わたしたちが使っても良いでしょう(笑)

この会の一番の特長は、生業としている人たちが、現場で培ったもの、生業としているからこそ見える大切なことをともに学び伝えていくことにあります。いわば「学校では教えてくれない(教えることのできない)」内容。

継続的に勉強会を展開していきます。

 

読書『新・怖い絵』(KADOKAWA)

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『新・怖い絵』(KADOKAWA)

つい先日、中野京子さんの本をやっと手にしたという話を書いたばかりでしたが‥。

読書『名画の謎』(文藝春秋)シリーズ。

面白いと、連続的に手に取ってしまう性質でして、『怖い絵』シリーズの最新ものを発見。中野京子さんの解説には知的な毒がちりばめられていて、それが麻薬的な面白さになっているように感じます。「名画」の解説として普通は「ちょっと書きにくい」ことを、ウィットに富んだ言い回しで、わたしたちにずばり届けてくださる。作品の背景にある歴史・西洋史の流れを熟知しておられるからこそ、ですね。

そんな『新・怖い絵』から、思わずうならされた文章5つ。


  • 結局、イデオロギーがあろうとなかろうと、いいものは残る。
  • 「時間」は過去から現在を通って未来へ一方通行に流れているとは限らない。
  • 現実が芸術に影響を及ぼすように、芸術もまた時に現実に影響を及ぼす。
  • 論理より美意識のほうがはるかに陶酔を誘う。陶酔は愚かさに似ているが、美意識に殉じる道はやはり煌めいている。
  • 仮装や仮面は何のためか。自己を開放するためのものだ。価値を転換するためのものだ。社会の序列も礼儀作法も性も個も捨てて、変容するためのものだ。

『新・怖い絵』(KADOKAWA)中野京子(著)より


この勢いで、『怖い絵』シリーズにさかのぼって読んでいくことになりそうです。

 

美術と芸術。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

美術と芸術。

写真は、ちょうど手元にあった、中学生時代(ん十年前)から持っている「エッセンシャル英和辞典(中型新版第12刷)」(旺文社)の「art」の部分。

英語にすると「Art」なのですが、日本語だと「美術」「芸術」とふたつの言い方になり。普段話したり書いたりする場面では、その時のニュアンス(あるいは気分)で使い分けたり、たとえば自分以外の第三者の方との会話や文章との関連で使う場合は、もともと使われていた言葉を踏襲して使おうというくらいの使い分けの意識でした。

先日、あるアートに関するできごとについて、ダンナと侃々諤々意見交換した結果、これから自分がこれらの言葉を使うときは、自分で定義した意味に基づいて意識して使い分けていこうと思いたち、なんだかスッキリ。


ふじゆり的「美術」と「芸術」の使い分けの考え方

  • 美術…びじゅつの「び」は「美」や「ビューティフル」の「び」。
  • 芸術…げいじゅつの「げ」は「ゲッ!」という驚嘆の「げ」。

音的に美しくない表現が含まれていてスミマセン。が、今のところ=2018年5月10日現在、この解釈で行こうと思います。‥もっと勉強したら、また解釈が変わるかもしれませんが(笑)。

わたしが勝手に師と仰ぎ尊敬する、『大きな羊のみつけ方』著者であり、日本の博物館教育普及の最先端を走ってこられた齋正弘先生は、「美術の『び』は、びっくりの『び』」とおっしゃっています。その発想を真似た次第です。(齋先生、考え方拝借いたします<(_ _)>

齋先生がびっくりの「び」であるというのと、わたしの「げ」の考え方は、近しい感じだと思います。たとえば(わたしの場合、特に現代アートの作品に向き合ったときにおこりがちな)どうみても「美しさ」が感じられないものに対峙した時に、その作品を好きになれなくとも、それもまた「げいじゅつ」なのだという解釈によって、個人的な好き嫌いに関係なく「アート」として受け入れる土壌ができると思うのです。自由にいろんな表現があっていい、そのことが(それができる社会であることが)、近代以降の市民社会なのであり、いちばん大切なのだということを、わたしは齋先生に教わりました。

ちなみに「art」は「エッセンシャル英和辞典(中型新版第12刷)」(旺文社)では、「1.芸術,美術(中略)2.文芸;学芸(中略)3.技術,技巧,わざ;(特殊の)術;熟練(以下略)」となっています。

 

続・「英語でアート! in 福岡」

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

続・「英語でアート! in 福岡」

どうも、セミナー・勉強会のあとや読書のあとレポートブログをあげても、しばらくたってからまた書き足したくなることがしばしば発生。すぐには消化できなかったものを、無意識に時間をかけて整理整頓・吸収しているのかもしれません(笑)今回もそのパターン。

ということで、先日参加してきた「英語でアート」

「英語でアート!in 福岡」に参加してきました。

本日は、内容について備忘メモ。


  • アート市場の世界シェアは、2016年の時点で大まかに米国60%、英国20%、中国20%。
  • 米国における「アートを買う習慣」の定着度合は
    ・ふつうの人→10万円くらいまでの作品
    ・裕福なアート好き→50万円くらいまでの作品
    ・コレクターと呼ばれる人たち→100万円単位の作品
  • 米国においてアートは重要かつ当然のエデュケーションツールであり、各大学が(美術館だけでなく)ギャラリーを持っている。
  • 所得格差が大きい国ほど富裕層も多く、アートコレクターも多い。
  • 米国においてもギャラリーの生き残りは厳しく、「超大手」と「新興」に二極化。
  • ニューヨークだけじゃない。コンセプトに合ったギャラリーがある国・地域を見極め、自作品との「共通点」から作品の観方を導くことも必要。
  • 自分の言葉で、自分のこと、自分の作品のこと(コンセプト・プロセス)を語ることができることは、現代アート市場においてアーティストに必須。一般の人たちに対して専門用語無しで(日本語・英語で)わかりやすくお話しできるか?
  • 米国においては、ギャラリストは「MBA(経営学修士)+MFA(美術学修士)」を持っている人が多い。

以上、「英語でアート! in 福岡」宮本由紀さんのお話より、まとめ。


しみじみ、いい時間でした(^^)

 

 

 

読書『名画の謎』(文藝春秋)シリーズ。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『名画の謎』(文藝春秋)シリーズ。

花祭窯、大型連休もほぼ平常通りの営業で仕事をしております。そういえば、ここ数年は5月といえばロンドンでの展示が続き、ゴールデンウィークはその準備や出張でテンション高く過ごしていたのでした。

ひさしぶりにゆっくりの「黄金週間」なので、平常運転で仕事をする傍ら、まとめて本を読むことに。ずっと気になりながら読んでいなかった中野京子さんの本を手に取りました。中野京子さんといえば『怖い絵』シリーズが有名ですが、今回わたしが手に取ったのは『名画の謎』シリーズ「ギリシャ神話篇」「旧約・新約聖書篇」「陰謀の歴史篇」の3冊。

面白かったです!まったく予備知識無しで読みだしたのですが、ちょっとシニカルな目線に、独特のユーモアあふれた語り口がツボにはまり、一気に読みました。西洋文化史の専門家でいらっしゃるのですね、さりげなく文章に入っている背景の解説がとても分かりやすかったです。

絵画や美術を読み解く本はいろいろと出ていますが、個人的には、美術の専門家ではない方が書いたものの方が面白いことが多いと感じています。あくまでもこれまでの読書経験からの感想ですが、美術をアカデミックに学んできた方の解説は、その専門性ゆえにでしょうか、見る人の想像力の広がりを許容しないようなところがあるかな、と。

ともあれ、中野京子さんの『名画の謎』面白いです。『怖い絵』シリーズも読まねば(^^)

Meet Me at Art スタート。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

Meet Me at Art スタート。

Meet Me at Art。「アート(美術)を通じて自分と出会う」をテーマに、さまざまなサポートを展開します。


美術や美術的な空間を使って

  • 自分の内側(ルーツ)をのぞき込み、自分の価値観をつくっている人生観・世界観・美意識を点検し再構築していく個別ワーク。
  • 個人の価値観・世界観を確認することからはじめ、「一人一人が違うことを受け入れる土台をつくる」ためのグループワーク。
  • 不確定要素の多いなかで質の高い意思決定を後押しする価値観(美意識)を鍛えるための、観察と言語化のトレーニング。

美意識とか感性とかいうぼんやりしたものを自覚するところからスタートします。

関連したセミナー・勉強会・ワークショップも、その道の熟練したプロフェショナルに力をお借りして、「プロ・プロ候補向け」「一般向け」など計画していきます。

より詳しくは、Meet Me at Art 現在ページ制作中です。
花祭窯のフェイスブックページ(https://www.facebook.com/Hanamatsurigama/)から「メッセージを送信」でお気軽にお問い合わせください。

 

 

読書『なぜ、これがアートなの』(淡交社)

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『なぜ、これがアートなの』(淡交社)

1998年初版です。美術館で鑑賞教育を語るときや、教育普及の学びの場面で、バイブル的に登場するというこの本。わたしがこの本の存在を知ったのは、つい数年前。美術館・博物館の学芸員技術研修会で教育普及の講座に参加したときでした。

著者のアメリア・アレナスさんは、1984年から1996年までニューヨーク近代美術館(MoMA)で美術館教育プログラムの専門家として活動なさった方で、対話型鑑賞法の第一人者とされています。

「はじめに」で「これはモダン・アートの概論でも、あるいは過去百年間にアートの世界でなにが起こったかという美術史の解説でもありません。」(『なぜ、これがアートなの』より)と書かれているとおり、美術に関する知識を扱った専門書ではありません。美術鑑賞の方法について書かれた本なのですが、かといって美術鑑賞の方法論を説いたものでもなく。おおよそ70点の作品について、「作品を鑑賞していくための、いくつかの例」が紹介されています。

美術の業界の人や専門家に向けて書いたのではないと言われるこの本ですが、少々難しく感じるところも。ただ、この本を読み終わった時に、モダン(近代)・アートもコンテンポラリー(現代)・アートも、近代以前のアートも、もっと自由に絵やアートを見て楽しんでいいのだと思える人が一人でも増えてくれたら嬉しいな、と。

安朗さんの酒器と茶碗。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

安朗さんの酒器と茶碗。

昨日、備前の徳利の話をブログに書いたところで、「そういえば、その前の京都土産は安朗さんのうつわだった!」と思い出しました。

安朗さん=山本安朗さん。花祭窯創業間もないころからのお友だち(先輩)でもある、土ものの作家さんです。某ギャラリーで初めてお会いしてから、酒の器・茶の器・花の器の素晴らしさと、飾り気のないお人柄に、すっかり魅了されています。

我が家にはことあるごとに集めた安朗さんの器(酒器と茶碗)があるのですが、存在感と使い勝手の楽しさが抜群です。そう、日本語が少しおかしいかもしれませんが、「使い勝手が良い」を飛び越えて「使い勝手が楽しい」のです。

山本安朗さんの酒器

そろそろ、日本酒呑み会を計画せねば。