こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。
久しぶりの本紹介。
『#9 ナンバーナイン』(原田マハ)に現代アート市場を垣間見る。
『キネマの神様』『楽園のカンヴァス』からスタートした、わたしの原田マハさん追っかけ。その後も、少しづつ読んでいます。期待通り面白いものもあれば、「あれ?」というものもあり。一人の作家を追いかけて読むのはとても久しぶりなので、そんな「わたしにとってのあたりはずれ」も楽しんでいます。
今回の『#9』は、あっという間に読みました。お話の面白さに加え、少し前に読んでいた『巨大化する現代アートビジネス』(紀伊國屋書店)で解説されていた「中国におけるアート市場・現代アート」のイメージを小説のなかで味わうことができたのが、なんともタイムリーでした。
読書『巨大化する現代アートビジネス』(紀伊國屋書店)
これもまた少し前に読んだ『僕らが毎日やっている最強の読み方』(東洋経済新報社)で、良質な小説は「疑似体験」や「代理体験」を積むのに役立つ、ということが書いてありましたが、まさにそのような感覚だったのかもしれません。
読書『最強の読み方』。
ところで『#9』のなかに出てきたセリフに、なるほどと頷く一節がありました。いわく、
発信側(=アーティスト)に必要なのは、感性(センス)・技術(テクニック)・独自性(オリジナリティ)・情熱(パッション)。受信側(=鑑賞者)として美術を極めるのに必要なのは、感性(センス)・知識(ノウレッジ)・照合(リファレンス)・表現(ディスクリプション)。【『#9』(原田マハ)より】
受信側に問われる「感性」「知識」、ここまでは分かりやすいにしても、「照合」「表現」というのがどのようなことを指しているのかは、この本を読むことで明らかになりました。
鑑賞者として美術を極めるには、まだまだ道のりは遠そうです。