福岡市美術館の常設展は、やっぱり見応えがあるのです。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

福岡市美術館の常設展は、やっぱり見応えがあるのです。

9月に郷育カレッジで講師を務める「美術鑑賞講座」の打ち合わせのため、福岡市美術館へ。今年は久しぶりに郷育カレッジでバスが使えるため、現地訪問でホンモノを鑑賞する講座となります。昨年度もお世話になった教育普及担当学芸員さんと、福津市役所郷育推進課の職員さんとで、実際の展示空間の確認も含め、約1時間ほどの打ち合わせとなりました。

打合せでも常設展示室を回りましたが、せっかくここに来たのですから、じっくり見ない手はありません。打合せ終了後にあらためてチケットを購入。福岡市美術館の常設展は「コレクション展」と名付けられています。古美術をメインとした1階の展示室と、近現代作品をメインとした2階の展示室。実は特別展よりも見応えがある!ということもしばしば感じられるほどに、充実したコレクションをお持ちです。

まずは1階へ。「東光院仏教美術室」の十二神将は、常にここで勇ましい姿を見せてくれます。ちょうど8月は、来場者に十二神将カードをプレゼント!という嬉しいキャンペーンを開催していました。上の写真は、いただいたカード。2回入場しましたので、2枚ゲット!わたしの「酉(とり)」と、ダンナの「午(うま)」です。

そして毎回見ごたえのある「松永記念館室」。戦後の電力事業で財を成した松永安左エ門氏のコレクションは、定期的に展示入れ替えがなされていますが、相当数の素晴らしいコレクションなのでしょう、見るたびにうならされます。茶道具を数多くお持ちで、今回は「懐石の器-向付・鉢・酒器」でした。いやまぁみごとな顔ぶれで、ほんとうに欲しくなる器ばかり。

酒器は「預け徳利」と呼ばれるやや大きめの徳利と、組み合わせた盃をてんじしてありました。土ものも磁器もありましたが、いずれもそうそうたる存在感を放っていました。向付も形がばっちり決まったものが揃いであり、欲しくなりました。なかでも一番気に入ったのは、黄瀬戸の鉢。形、色合い、思わず手に取りたくなるような姿でした。松永記念館室の展示は、8月20日までで入れ替えとなりますので、茶懐石の器をご覧になりたい方は、ぜひ早めにお出かけくださいね。

1階を観終わった時点で、かなり満足度マックスでしたが、せっかくですから2階も回ります。こちらは年1回の展示替えで運営されている通年展示です。ちょうど2023年度の展示替えが、6月下旬に行われたばかりでした。福岡市美術館の近現代の所蔵品は、美術好きから高く評価されています。今回目についたものとしては、ポール・デルヴォーの「夜の通り」が新鮮でした。おそらく初めて見たかな、と。

特集コーナーでは「山好きな画家たち」のテーマで展示が組まれていました。この中で目に留まったのは、畦地梅太郎氏の木版画シリーズ。とてもひょうきんな人物描写とポップな色使いが可愛らしく、部屋に飾ったら楽しいだろうな、と思える作品群でした。また九州各地の山を油絵で描いた、田崎広助さんの絵も素敵でした。キャプションを読まずとも「あ、阿蘇山だ!」「あれは桜島?」とわかる姿で、親しみのわく絵画でした。

福岡は、この福岡市美術館と九州国立博物館が、特に常設展の見ごたえがあります。特別展のタイミングで足を運ぶ方の方が多いと思いますが、常設はお得な金額で素晴らしい作品を観ることが出来ますので、実はとってもおススメです。今回も大満足の福岡市美術館訪問でした。

特別展「憧れの東洋陶磁」@九州国立博物館を観て参りました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

特別展「憧れの東洋陶磁」@九州国立博物館を観て参りました。

正式な展覧会名は「憧れの東洋陶磁 大阪市立東洋陶磁美術館の至宝」です。大阪中之島にある東洋陶磁美術館は、大好きな美術館のひとつ。わたしにとっては、佐賀の九州陶磁美術館に次ぐ、やきものを学ぶための美術館です。今回は、学芸員研修で九州国立博物館に足を運んだついでに、観覧してまいりました。ちょうど金曜日で夜間開館をしていたので、研修会終了後に観ることが出来、ラッキーでした。

大阪市立東洋陶磁美術館は、現在施設改修等の工事のため長期休館中。実は今秋大阪に行く予定があり、久しぶりに足を運ぼうと思っていたところが休館中と知り、がっかりしていたのでした。この期間に収蔵品を部分的に貸し出しして、今回の九博での展覧会になったのでしょうね。九州で観ることが出来るとは思っていませんでしたので、これは嬉しいです。

さて「憧れの東洋陶磁 大阪市立東洋陶磁美術館の至宝」。88点のコレクションが並んでいます。現在東洋陶磁美術館には5,711件のコレクションがあるということですので、ほんの一部。過去に何度も大阪中之島に足を運んだことがある者としては、コレクションに対する期待は否応もなく高まります。どんな顔ぶれが並んでいるのかとワクワクしながら足を踏み入れました。

フライヤーに「選りすぐりの名品88点」とある通り、さらっとまんべんなく並んだ感じでした。染付、青磁、赤絵など、中国、韓国、日本のやきものの名品を観ることが出来ます。勝手にマニアックな編成を期待してしまっていたわたしとしては、テーマ性が感じられず、なんとなく肩透かしにあったような気もしましたが。逆に「東洋陶磁」を俯瞰して眺めるにはちょうどよい展覧会かもしれません。

個人的に一番気に入ったのは、高麗青磁。12世紀につくられたという「青磁陽刻菊花文輪花型碗」は、かたちと彫りの美しさに見とれました。展示作品のなかに「自分のお気に入り」を見つけるのが、特別展の楽しみです。8月12日には、大阪市立東洋陶磁美術館から学芸員さんがリレー講座にいらっしゃるようで、これはなかなか無い機会だと思います。わたしは残念ながら参加できませんが、興味のある方は、ぜひ。会期は9月3日まで。

「憧れの東洋陶磁 大阪市立東洋陶磁美術館の至宝」

学芸員研修会「回想法」に参加して参りました。

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学芸員研修会「回想法」に参加して参りました。

九州産業大学の緒方泉先生が中心となって開催してくださる令和5年度文化庁「大学における文化芸術推進事業」の学芸員研修会、第一弾「回想法」に参加して参りました。これまでにも「博物館リンクワーカー養成講座」などで学んできた「回想法」。今回は初めての対面での研修となりました。

今回の研修会場は、大宰府にある九州国立博物館。昨年の学芸員研修では「ユニバーサル・ミュージアム」の会場としてお世話になりました。

研修スタートは、「博物館浴」の実験から。九州産業大学・緒方先生がデータを収集している「博物館浴」の実証実験、その被験者を初体験。美術(博物)鑑賞をする前と後とで、血圧や脈拍、本人の自覚症状がどのように変化したかを測定し、有意差があるかどうかを調べるものです。これまでに全国50館以上の美術館・博物館での実験データを集め、全国的に関心を集めている実証実験です。今回は、データをとるところまでで、実験結果の考察は、また別の機会になります。

続く本日のメインイベント「回想法」講師は、北名古屋市歴史民俗資料館専門幹の市橋芳則先生。館の愛称が「昭和日常博物館」。細部にまでこだわった資料収集は1993年からスタートし、「昭和の回想」が可能な館を作り上げてこられています。筋金入りの実践者。昭和日常博物館での「回想法」の実践と積み重ね、継続の仕組みには、他の追随を許さない専門性を感じます。

以下備忘。


  • あらゆる博物館で可能になる「対話ツールとしての」回想法。
  • 「回想法」の再定義。
  • わたしの考え:すべての博物館資料は顕在的・潜在的に「人間のルーツ」に関わるものである。
  • →だからこそ、あらゆる博物館資料が、回想法の材料となり得る。
  • 対話ツールとしての回想法:来館者と展示、来館者とコミュニケーター(学芸員や支援者)、来館者と来館者…
  • それぞれの「知識・経験」をもとに解釈する=同じものを観ても、そこから受け取るものはそれぞれ。
  • =対話型鑑賞法と同じ。
  • 博物館資料・展示を、参加者の経験のなかに入れ込む。
  • 必ず「参加者は何に興味があるのか?」からスタートし、そこに立ち返ること。

学芸員研修会「回想法」北名古屋市歴史民俗資料館専門幹の市橋芳則先生 より


そして今回も、リアル会場での研修だからこその、グループワークを楽しみました。会場は大好きな九州国立博物館4階の文化交流展示室とあり、何度も来たことのある場所ですが、他者の目に見えているものを共有することで、新しい気づきがたくさんありました。各地の館の学芸員さんのお話を伺うのは、とても楽しく学びも大きく。

いつもありがとうございます!

商業個展の展覧会を作る仕事。

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商業個展の展覧会を作る仕事。

2023年7月19日(水)から開催の博多阪急さんでの藤吉憲典個展に向けて、準備のやりとりがそろそろ賑やかになってきています。

今回の博多阪急さんでの個展は、展示計画をこちらで主導する形になるのが、通常の藤吉憲典の個展と異なります。ふだんは作品を送るだけでギャラリーさんに任せっぱなしの仕事を、博多阪急の担当者さんと、設営業者さんとやりとりをしながら、一緒に進めています。

会場となる博多阪急3階にある「特別室」は、ふだん藤吉が個展でお世話になっているギャラリーさんと比べると広めになります。加えて、入口から本会場へのアプローチとなる通路も展示スペースとして活用できるので、より会場全体を楽しんでいただくために「何をどこにどう展示するか」は、頭のひねりどころです。

展示のためにどのような什器を用いるのか、どのような配置が効果的か、阪急さんでの多種多彩なイベントを手掛けておられる設営業者さんが、これまでの知見からさりげなくアドバイスをくださるので、たいへん助かっています。おかげさまで、選ぶ・決める場面でもほとんど迷うことなく、スムーズに進んでいるのが現在のところ。

今回の個展がふだんのギャラリーでの個展と大きく異なるのは、キャプションボードや動画を活用すること。作家の略歴だけでなく、肥前磁器の歴史年表、工房のある津屋崎と肥前磁器のかかわりなど、作品の背景となる文字情報を展示することで、これまで肥前磁器に馴染みの無かった方々にも、より深く展示作品を楽しんでいただける空間にしたいと思っています。まさに博物館学芸員(キュレーター)の仕事のひとつ「展示活用」。そしてその点は、2021年に福岡アジア美術館で開催した藤吉憲典個展での経験を、そのまま生かすことが出来ています。

そのうえで、商業個展は物販が主目的となるのが、美術館の展覧会とは大きな違いです。観ていただいて、「いいね」と言っていただいても、売上につながらなければ、成功とは言えません。そのシビアさがあるからこそ、たいへんだけれども面白くもあります。

イベント告知から会場設営、そして会期中の対応まで、博多阪急さんでの個展は、いわばチームで進めている感じがあります。わたし的には、これまでにあまりなかったケースなので、とても楽しく学びの多い仕事となっています。

ぜひご来場くださいませ。

藤吉憲典個展 博多阪急

藤吉憲典個展 陶芸彫刻書画

会期:7月19日(水)~7月25日(火)
時間:10時~20時(最終日のみ17時閉場)
場所:博多阪急3F特別室(フロアマップは下記URLでご覧いただくことが出来ます)
https://www.hankyu-dept.co.jp/hakata/floor/3f.html

7月は博多阪急3F特別室にて「藤吉憲典個展 陶芸彫刻書画」。

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7月は博多阪急3F特別室にて「藤吉憲典個展 陶芸彫刻書画」。

昨年に引き続き博多阪急さんで、花祭窯のある福津市の地域イベント「ふくつのね」開催が決まりました。花祭窯も参加いたします。今年は阪急さんが藤吉憲典のために「特別室」をご用意くださいました。地元福岡でまとまった数の作品をご覧いただき、お買い求めいただける初めての機会となります。ぜひお越しくださいませ。

藤吉憲典個展 陶芸彫刻書画

会期:7月19日(水)~7月25日(火)
時間:10時~20時(最終日のみ17時閉場)
場所:博多阪急3F特別室
https://www.hankyu-dept.co.jp/hakata/

藤吉憲典個展 博多阪急

博多阪急 藤吉憲典個展

やっとこさ、森美術館@六本木ヒルズに行って参りました。

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やっとこさ、森美術館@六本木ヒルズに行って参りました。

出張時の楽しみのひとつは、隙間時間に美術館に足を運ぶこと。ギャラリーのオープンは11時だったり12時だったりすることがほとんどなので、10時から開いている美術館が近くにあれば、1時間ほどを鑑賞にあてることが出来ます。

西麻布の桃居さんからの近隣には、根津美術館、国立新美術館、サントリー美術館、森美術館などがあります。根津美術館に行きたかったのですが、時間の作れた月曜は休館日。このところ足の向いていたサントリー美術館は、展示入れ替え中で休館。ということで、六本木ヒルズにある森美術館に足を運んでまいりました。

開催中の企画展タイトルは「森美術館開館20周年記念展 ワールド・クラスルーム」。六本木ヒルズが出来て20年ってこと!?と驚愕しつつ(笑)。六本木ヒルズが出来て、桃居さんでの個展のついでに足を運んでお茶を飲みに行ったことはありましたが、森美術館まで上ったことは無かったのでした。展覧会会期以外は閉館しているので、タイミングが合わなかったこともありますが、いわゆる現代アートの展覧会なので、展示内容にあまり食指が動かなかったのも事実です。

それでもやはり、日本の現代アートシーンを引っ張る美術館ですし、SNSを使った集客などマーケティング面で学ぶことは多く、日本の現代アート市場の今を知るためにも一度は観に行かねば!という気持ちはずっとありました。というわけで、20年越しの訪問。

展示内容については、思った通り、わたし個人的にはあまり興味の沸くものではありませんでした。これが現代アートの主流だというのなら、わたしたちが目指すのは、やはりまったく別の道なのだと再確認。ただそんななかでも、森村泰昌の大型作品を観ることが出来たのは、思いがけない収穫でした。

過去の名作をパロディにした発想の大胆さとブラックユーモアが大好きで、いつかはほんものを生で観たいと、常々思っていました。昨年京セラ美術館で開催されていた森村泰昌の展覧会に、足を運べたらよかったのですが、行けずに残念に思っていたところでしたので、これはラッキーでした。

また作品ではありませんが、上の写真「数字で見る森美術館の20年」を見ると、一つ一つの数字から分かること学ぶことがいろいろとありました。こういうところに、展覧会を担当するキュレーターさんの力を感じます。やはり日本における現代アートと、社会施設としての美術館の役割を先進的に開いてきた館ですね。次回わたしがここに来るのは果たして何年後(何十年後!?)になるかしら、と思いつつ。

西麻布桃居さんでの藤吉憲典陶展、ご来場&オンラインでのご参加、誠にありがとうございました!

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

西麻布桃居さんでの藤吉憲典陶展、ご来場&オンラインでのご参加、誠にありがとうございました!

会期最終日にかけて二日間、桃居さんにわたし・ふじゆりも在廊してまいりました。藤吉の個展の際には、作家本人が在廊日を設けるのはもちろんのこと、わたしもできるだけギャラリーにおじゃまするようにしています。ここ何回か、桃居さんでの個展のタイミングで伺うことが出来ずにおりましたが、今回久しぶりに在廊することが出来ました。

まずは会期中に桃居さんにご来場くださいました皆さま、オンラインでご参加くださいました皆さま、誠にありがとうございました。おかげさまで、無事会期を終了いたしました。今回は「酒器」に絞り込んでいましたので、偏った品揃えとなりましたが、そのかたよりのなかだからこそ、より際立った藤吉憲典の世界観を楽しんでいただけたのではないかと思います。

わたしがおじゃました会期終盤は、お客さまのペースもゆっくりです。おかげさまで、桃居さんの常連さんと、たくさんお話することが出来ました。わたしの勝手な印象ではありますが、桃居さんにいらっしゃるお客さまは、老若男女によらず自分自身の確固たる美意識をお持ちの方が多く、お話をしていてとても深く楽しいのです。これは、オーナー広瀬さんのお人柄によるものと思われます。

二日間だけの滞在ではありましたが、器の話、伝統工芸の話、美術の話はもちろん、そこから広がる経済の話、政治の話、生き方、宗教観、社会課題とさまざまな話題を共有することが出来ました。皆さんのお仕事や専門分野のお話を伺うのも、世界が広がり勉強になります。「藤吉憲典陶展」に足を運んでくださった方々と、そのようなお話が出来るのは、とてもありがたいことです。広瀬さんが桃居さんをオープンなさって36年ということで、これまでに培ってこられてものの大きさを、あらためて感じた滞在となりました。

桃居さんでの藤吉憲典の個展は、また二年後の予定です。次回はどのような展示になるのか、楽しみにしていただけると幸いです。

今年も学芸員研修会が開催されます。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

今年も学芸員研修会が開催されます。

九州産業大学の緒方泉教授が事務局を務める学芸員研修会が、今年度も開催されるとご連絡いただきました。2013年に博物館学芸員資格課程を修了し、2016年度の研修に初めて参加してから、もう8年目になります。当時(今もですが)どこの美術館・博物館にも所属していない身で、ダメで元々と申し込んだところ、快く受け入れてくださったのが最初のご縁でした。上の写真は、一連の学芸員研修会のなかで、最もインパクトを受けた出会いとなった、日本での美術教育(アートエデュケーション)の第一人者・齋先生の講座での成果物。

コロナ禍下ではオンラインでの「語り場」形式での研修もスタートし、オンラインとオフラインの両方で研修を継続してくださったのは、ほんとうにありがたいことでした。今年も両方での開催です。

  • 博物館を活用した「健康寿命」増進プログラム開発のための学芸員研修会
  • 博物館リンクワーカー人材養成講座 オンライン語り場「地域住民の健康を支える方法を考える」

各研修会の詳細・最新情報は、九州産業大学美術館ホームページの「お知らせ」からご覧いただくことが出来ます。研修会への参加対象は、博物館関係者、医療・福祉従事者、大学教員、学芸員有資格者、博物館学を学ぶ学生等となっています。美術(館)と健康・福祉のかかわりに関心のある方におすすめです。

↓これまでにわたしが参加した研修の様子は、こちらでご覧いただくことが出来ます↓
ふじゆりスタイル 学芸員研修

「画狂人」って、もともとは誰のことなのかしらと思ったら。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「画狂人」って、もともとは誰のことなのかしらと思ったら。

連日の告知ブログ。夏至の本日6月21日、西麻布桃居さんでの藤吉憲典陶展は初日を迎えます。個展の初日はいつもドキドキ。正直に言えば、初日に限ったことではありません。個展にご来場くださったお客さま方がどのような反応をなさるのか。すべての作陶に全力を傾けているからこそ、作家本人はやり切った感があり「あとは天任せ」とすっきりしたものですが、サポーターたるわたしとしては、お一人でも多くの方にご覧いただきたいので、最終日までジタバタし続けます。

桃居オーナー広瀬さんが書いてくださった紹介文に、“令和の「画狂人・藤吉憲典」”というくだりがありました。「画狂人」という表現が新鮮だったので調べてみたところ、宮本亜門さん監督で葛飾北斎を主人公にした舞台『画狂人・北斎』のタイトルに元があることがわかりました。舞台のポスターに見る俳優・西岡徳馬さんの表情に凄みがあります。狂人のイメージって、こんなふうなのですね。

紀伊國屋ホールのサイトにある『画狂人・北斎』の宣伝文を読めば、「他人を顧みず、自分勝手に画に向き合い、狂ったように画を描き続けた生き様」とあり、藤吉憲典は似たようなところはあってもそこまで過剰ではないかな、と。ただ「そこら辺にいる変なおっさん」というところは、そのまま地を行っているという確信があります。工房のある津屋崎の方々は、皆さんきっとそう(=そこら辺にいる変なおっさん、だと)思っておられることでしょう。

そういえば九州国立博物館での『北斎展』を観に行ったのは、約1年前のことでした。そのときにわたしが一番良かったと感じたのは、「日新除魔図(にっしんじょまず)」という200枚超の連作。サラッと描いた(ように見える)スケッチだからこそ滲み出るセンスに目を見張ったのでした。「ように見える」というのは、ふだん実際に絵をつける作家の様子を見ているからこそ実感できることです。描きだすと迷いがありませんので、サラッと描いているように見えますが、実は最初の一筆に入る前に、ものすごい量のシミュレーションが、作家の脳内でなされているのです。意識的にも無意識的にも、すごい量のシミュレーションが行われているのだろうな、と見ていてわかります。それは、やきもの(磁器作品)においても、書画(水墨画)においても同様。

それにしても、今回広瀬さんがそのように評価してくださるまで「画狂人」という表現を知りませんでした。お墨付きを得ましたので、これからは藤吉憲典の創作活動における一面を現す言葉として、使っていきたいと思います^^

西麻布桃居さんでの「藤吉憲典 陶展」6月21日スタートです!

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

西麻布桃居さんでの「藤吉憲典 陶展」6月21日スタートです!

1年おきに開いていただいている、桃居さんでの個展。20年以上のお付き合いのなかで、毎回、藤吉憲典のチャレンジに理解を示し信頼してくださるオーナーの広瀬さんには、感謝で頭が下がりっぱなしです。桃居さんで作品を発表し続けることは、作家にとって大きな精神的な支えとなっています。

初日に先立ち、桃居さんのインスタグラムで紹介をしてくださっているのを発見。

嬉しくありがたいコメントをいただいていました。

天性の「描く人」、描くことに憑かれた人、が藤吉憲典さんです。

今回は「描かねばいられぬ人」藤吉さんの資質とその才能が全開となった展示となりました。

令和の「画狂人・藤吉憲典」の描写の妙にご注目ください。

桃居インスタグラム https://www.instagram.com/toukyo_ichirohirose/ より

今回の個展用に送ったモノをご覧になっての、桃居さんのコメント。作家の思いがきちんと伝わっているだけでなく、その奥にあるものまでも読みとってくださっています。

一人でも多くのお客さまにご来場いただけることを、願っております!

桃居 藤吉憲典 陶展
2023年6月21日(水)~6月26日(月)
11:00~18:00 (最終日は17:00まで)
東京都港区西麻布2-25-13
TEL03-3797-4494