文様の話、馬。

こんにちは。花祭窯おかみ/磁器作家・藤吉憲典の妻兼マネジャーふじゆりです。

9月に入り、朝晩涼しい今日この頃。「天高く、馬肥ゆる秋」なんて言葉も頭に浮かびます。ということで、

文様の話、馬。

古伊万里の文様にもたくさん登場する馬。雲と組み合わせた「天啓群馬(てんけいぐんば)文」は中国・明時代のやきものにルーツのある、たいへんおめでたい文様のひとつです。

牛と同様、神様の乗り物とされた馬。農耕民族にとって、生活に欠かせない重要な存在でもあり、活動の象徴です。江戸時代に花開いた磁器文化。語呂合わせで文様におめでたい意味を持たせるのは、この時代の粋なユーモアでした。

馬が九頭で「うま く」いく。

午(うま)年生まれであるつくり手・藤吉憲典のオリジナルは、珈琲碗皿に群馬の文様。吉祥の動物と言われている馬を、さらに九頭並べて語呂合わせ。おめでたさも倍増です(^^)

 

 

花祭窯と藤吉憲典、秋以降の予定。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

今日から九月。ということで、

花祭窯と藤吉憲典、秋以降の予定。

このほかに、出来れば11月に花祭窯でお茶会をしたいな、とも考えています。

作り手・藤吉憲典はこの八月、少しだけゆっくり夏休みをとることができました。また秋から冬に向かって、器・アートいろいろなものが生まれてくるでしょう。

各地で一人でも多くの方とお会いできるのを、楽しみにしています!

 

文様の話、木賊(とくさ)。

こんにちは。花祭窯おかみ/磁器作家・藤吉憲典の妻兼マネジャーふじゆりです。

文様の話、木賊(とくさ)。

とくさ。「木賊」とも「十草」とも書きます。トクサといえば、茶花に使われ、日本庭園に欠かせない植物のひとつです。実際のトクサは見た目に「節」が特長的なのですが、器の文様としては「縦線」で表されることが多いです。いわば「ストライプ」ですね。古伊万里の江戸時代から定番の文様のひとつです。

「木賊文様」というと、上の写真のような染付の縦線をイメージすることが多いのですが、実は赤絵で描いても、木賊。

錦木賊文珈琲碗皿 藤吉憲典

染付の藍色一色で描かれると、いかにも「日本の古典的な文様」という感じがしますが、赤絵で多様な色を加えると、ガラッとイメージが変わるのが面白いですね。

たかが縦線されど縦線。線一本でも、つくり手により、描く対象により、まったく表情が異なってくるのが、木賊文様の面白さです。

 

文様の話、唐草の美。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

文様の話、唐草の美。

自分のこのブログで「唐草」をキーワード検索してみたら、津屋崎等辺ミュージアムで紹介している古伊万里の陶片の写真が続々と現れました(笑)

唐草の文様のついた陶片をたくさん拾っている、ということなのです。それはつまり、唐草文様が、古くからずっと愛され続け、描き続けられている文様だということでもあります。力強い唐草、繊細な唐草、やっつけ仕事的に描かれた雑な唐草…。古の陶工たちが描いた唐草を見ていると、この文様の魅力の普遍性を感じます。

牡丹唐草(ぼたんからくさ)、微塵(みじん)唐草、蛸(たこ)唐草…ひとことに唐草といっても、モチーフは様々。唐草の蔓の中心に何を据えるのかによっても、バリエーションが無限に広がります。

日本だけではありません。中国からシルクロードを遡ってイスラム圏、ヨーロッパ。唐草が地域・文化圏そして時代を越えて愛されてきたことがわかります。そして、やきもの(陶磁器)だけでなく、さまざまなものに文様として取り入れられていることも、皆さんご存知の通り。

日本でやきものに描かれる唐草文様は生命力の象徴。子孫繁栄の願いが込められたおめでたい文様として描かれています。

 

著作おっかけ。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

著作おっかけ。

「この人の本、よく読んでるね」と息子に言われて、ここ1~2年「おもしろいな」と思った本をきっかけに「著作おっかけ」をしているパターンがあることに気がつきました。著者名で大人買いをすることはありませんが、書店でも図書館でも、気がつくと同じ方が書いた本を手に取っていることが増えています。とはいえ読み進める量が多くはないので、どの方の著作も、まだ読んでいない本のほうがはるかに多いのですが。

わたし個人の昨年からの流れは、原田マハさん、佐藤優さん、池上彰さん、シェイクスピアと来て、先日講演会をお聴きしてすっかり興味を持った法政大学総長の田中優子さんが加わりそうな感じです。こうして並べると、自分の読書傾向にあらためて気づきます。もう少し小説比率を高めていきたいですね。

対するダンナ・藤吉憲典は、そういえば「著作おっかけ」をはるか昔からしているように思います。なかでもわかりやすい傾向としては、山岡荘八、藤沢周平ときて、最近はまっている葉室麟さん。もっぱら時代小説を読んでいます。妄想力がとても強いので、小説の文字情報は即座に頭のなかでカラー映像(もちろん動画)に変換されているようです。

「読書日記」をつけると自分の読書傾向を省みるのにもいいよ、とよく言われますが、なかなか続きません。さしづめこのブログでの本紹介が、読んだ本をすべて紹介しているわけではありませんが、わたしにとっては読書日記になるのかもしれません。

 

初もの、いただくとやっぱり嬉しい。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

初もの、いただくとやっぱり嬉しい。

秋の味覚、松茸をいただきました。

土のついた松茸を手にして、「この秋の初もの」というだけでなく、自分で料理をするのが初めて!だということに気がつきました。

立派な食材をいただいて、料理する段階で台無しにするのは絶対に避けたい事態。こんな時にいつも役に立つのが、辻調理師専門学校の調理・指導による本『ひと味おいしい日本料理』です。旬の食材と料理法が下処理の仕方からきちんと載っていて、いつも大雑把な料理しかしないわたしにとって、強い味方です。

松茸も、もちろん載っていました。まずは下処理、水で洗わず固く絞った布巾で汚れを落としてから使うと。香りが飛んでしまわないようにでしょうか。危うく洗うところでした。調理法は、失敗を最小限にすべく、マツタケご飯とシンプルに焼いて。

ドキドキしながら、初もの松茸の料理デビューが無事終了。

美味しくいただきました。ごちそうさまでした。

講演会「グローバリゼーションと江戸時代」聴いてきました。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

法政大学の公開文化講演会の広告を新聞に見つけました。

法政大学総長 田中優子氏の講演会
「グローバリゼーションと江戸時代」。

講師の法政大学総長・田中優子さんは江戸時代の文学・生活文化がご専門。肥前磁器の歴史は江戸の歴史と重なるので、これはぜひともお話を聴いてみたい!と足を運んできました。

1時間という短い講演時間でしたが、とても面白かったです!

会場となったホテルオークラ福岡。通常は椅子席で最大800席という会議室が、ざっと数えたところ1000名を超えていたのではないでしょうか。法政大学関係者の方々に加え、わたしのような一般参加者でいっぱいでした。

以下、備忘。


  • グローバル化とは、多様性を受け入れること。
  • 日本のグローバリゼーションへの対応
    1. 江戸時代=モデルの無い時代
    2. 明治維新=ヨーロッパモデル
    3. 第二次大戦後=米国モデル
  • モデルの無い時代は、技術力をつけて独自の文化・国をつくった。
  • 江戸時代は「モノ=情報」。
    モノを輸入→それをしのぐものをつくることで技術・文化を磨いた。
  • 学ぶ・真似ぶ→独自のモノ・文化
  • 江戸のイノベーション例:
    時計の輸入→生活を時計に合わせるのではなく、時計を生活に合わせた=和時計
  • 日本文化のなかからしかできないものは何か!?を発見する時代。
  • 「モデル」が無くても自分の道をつくっていく。
  • そのためには「楽しむこと」「工夫すること」「試すこと」のできる人材が求められる。

学ぶ・真似ぶから独自のモノ・文化を生み出していったこと、ビジュアルの文化が花開き、「流行」の仕掛け・概念が生まれたのも江戸時代、というお話は肥前磁器の歴史にもそのまま当てはまっていて、とても刺激的な講演でした。

 

わたしのお茶の教科書。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

わたしのお茶の教科書。

南方流(なんぽうりゅう)に入門して、はや5年目。繰り返しお稽古すれど、作法を覚えたと思っては忘れの繰り返し。なんとも心もとない状況ではありますが、素晴らしい師匠・先生・先輩方・お稽古仲間に支えられ、楽しんでいます。

毎年八月は、お稽古がお休みの月。この間に少し本でも読もうと引っ張り出してきたのがこの三冊です。

  • 『利休百首ハンドブック』淡交社編集局 編(淡交社)
  • 『南方録』西山松之助校注(岩波文庫)
  • 『南方録を読む』熊倉功夫(淡交社)

『利休百首ハンドブック』は流派を問わずよく読まれているのではないでしょうか。入門して最初に、先生に「おすすめの本がありましたら教えてください」とお願いしたところ、まずはここから、とご紹介いただいた本です。

茶道の精神・点前作法の心得を、覚えやすいように「和歌」の形でまとめられたものです。現代の裏千家の作法に合わせて編集されていると書かれており、作法については流派により異なる部分もあるようですが、茶道の精神、大切な志・心構えが説かれています。お稽古の行き帰りに電車のなかで思い出したように読む本です。

『南方録』は、関連する書籍がかなりたくさんあり、どれを手に取るべきか迷うのですが、わたしが一番最初に手にしたのは、持ち歩ける岩波文庫でした。『南方録』原本のカナをかなに書きなおし、漢文を読み下し文に整理してあるものの、ほぼ原文なので読み進むのに時間を要しました。「棚」「書院」「台子」「墨引」それぞれに図が豊富に載っていて、文章の内容と照らし合わせて見ることができるのが好い感じです。

そして今読んでいるのが、熊倉功夫先生の『南方録を読む』。分厚い本なので、どのタイミングで取り組もうかと躊躇していたのですが、稽古でお世話になっている先生がプレゼントしてくださり、読みはじめました。いざ読みはじめると、こちらは現代語訳と解説が原文と一緒に書いてあるため、比較的読み進めやすいです。

いずれの本も、わたしは一度読んだだけでは到底ことばが頭にも体にも入ってきません。お稽古と同じように、時間をかけて繰り返し何度も読みながら、少しづつでも身に付けていくことが出来たら嬉しいな、と思います。

 

文様の話、津屋崎の貝。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

文様の話、津屋崎の貝。

ありがたいことに、「藤吉憲典といえば、貝の箱」と覚えてくださっている方も、少しづつ増えてきているようです。

藤吉憲典・錦貝尽くし文陶箱

この貝尽くしの文様は、ここ津屋崎に越してきてからのオリジナル文様。数日前のブログ「文様の話、古典とオリジナル(2)」でもご紹介したように、作り手・藤吉憲典は、日々の暮らしのなかで目にする自然から題材を得て文様を生み出すのが得意です。「貝の箱」は、その代表例といえるかもしれません。

ここに描かれている貝殻は、すべて実物が手元にあります。ダンナ・藤吉憲典が毎朝の散歩で拾ってくるのが、貝殻と陶片。広々とした海を目の前にしているのに、下ばかり向いて歩いています。その結果として、これが生まれたということで(笑)

文様の話、古典とオリジナル(2)

 

 

読書『ひらがなで読むお経』

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『ひらがなで読むお経』角川書店

2003年初版発行の本です。なにがきっかけでこの本を購入したのか、よく覚えていないのですが、「はじめに」の一番最初に書いてある一文がすべてかな、と思います。

いわく

「お経は意味がわからなくても唱えるものであり、
読誦(どくじゅ)の声に言葉の力がこもる。」
大角修編著(角川書店)

本棚を整理していてふと目にとまり、お盆なので引っ張り出してみました。買ってすぐ、しばらく音読していたことがありました。一昨年、実父が亡くなったのを機に四十九日まで毎朝般若心経を音読しました。意味は分からなくても読むだけで、気持ちが整理されてくるような感じがありました。仏さまのためといいながら、実は読んでいる人にこそ、なのかもしれません。

言葉のひとつひとつに意味があり、知恵があります。最初はその意味を理解したい、知恵を身に付けたいという気持ちもあったのですが、読んでいるうちに(悪い意味ではなく)どうでもよくなってきました(笑)ただ音を出すだけでもなんとなく、良いのかな、と。そう思えてくるところも、お経の持つ力なのかもしれません。

もちろん、この本には音読用の平仮名だけでなく原文、解説も載っています。巻末にはお経の言葉の小辞典も。

「声を出す」習慣をつくりたいと思っている方に、「お経を読む」という選択肢もあります(^^)