読書『喜ばれるおせち料理とごちそうレシピ』(朝日新聞出版)牛尾理恵著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『喜ばれるおせち料理とごちそうレシピ』(朝日新聞出版)牛尾理恵著

いつものカメリアステージ図書館の「特集棚」で発見。お節料理のレシピ本は、長年使っている手持ちのものが気に入っているので、なかなか新しい本を追加することがないのですが、毎年この季節になると、図書館で借りてきてお節料理のイメージトレーニングをするのが楽しみになっています。

本書は大判で144ページオールカラー。眺めるだけでも楽しい一冊ですが、内容の充実度合いがすごいです。サブタイトルに「作りやすくておいしい おせち&ごちそう料理148レシピ」とあり、読後の印象は、まさにそのサブタイトル通り。基本のおせちからアレンジまで、作り方だけでなく、盛り付け、シーン別のおススメなど、幅広く網羅していて、しかも「わたしでも出来そう!」がたくさんみつかりました。

レベル別のアレンジレシピは、特に便利に使えそうです。初級者向けには「盛り付けるだけプレート」やら「詰めるだけおせち」やら、「簡単だけど豪華」を謳ったレシピは、パパッと何か用意しなければならないときに役立ちそうです。また本の後半では、年末年始に喜ばれる鍋料理や持ち寄り料理、おつまみレシピもあります。「おせち」を超えて、かゆいところに手が届く一冊です。久しぶりに「おせち本」を購入リストに追加しました^^

『喜ばれるおせち料理とごちそうレシピ』(朝日新聞出版)牛尾理恵著

毎年、器に助けられている我が家のお節料理。本書が力強い味方になってくれそうです。

花祭窯の師走の庭。

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花祭窯の師走の庭。

ここ北部九州に位置する津屋崎も、すっかり冬らしい寒さとなっています。寒いのは苦手なのですが、寒さが増して嬉しいことのひとつが、干し柿。寒くなることでカビの心配がなくなりますし、より甘みも増すような気がします。実のところ既に食べ始めておりまして、かなり甘く美味しくできています^^

干し柿

ちなみに先月吊り下げたばかりの干し柿は、下のリンク「花祭窯の霜月の庭」から見ることが出来ます。仕込んだ時はかなり大きな柿でしたが、ひと月足らずですっかり干し柿らしく育ったことがわかります。

ヤツデの花。どんどん葉っぱが大きくなっています。

冬の庭

ツワブキの花は、そろそろお仕舞いです。

花祭窯の庭

ナンテンの実が、すっかり色づきました。

ナンテン

シダの葉っぱがきれいに伸びているので、鏡餅の飾りにそのまま使えそうです。

花祭窯の庭

そしてこれからの楽しみはなんと言ってもサザンカ。我が家のサザンカはまだ始まったばかりです。

山茶花サザンカ

読書『戦争は女の顔をしていない』(岩波現代文庫)スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ著/三浦みどり訳

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『戦争は女の顔をしていない』(岩波現代文庫)スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ著/三浦みどり訳

いつものカメリアステージ図書館新刊棚から。今年夏に開催されたカメリアステージ図書館の選書ツアーで、ご一緒だった参加者の方が選んでおられた本。少し前に新聞だったか雑誌だったかで見かけて気になっていた本でした。

1941年開戦の独ソ戦争について、粘り強い調査と500名を超える従軍女性へのインタビューで書き上げられた本書。著者のスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチさんは、2015年にノーベル文学賞を受賞しています。本書のもととなる取材をはじめたのは1978年ということです。1984年に発表。原稿を書き上げるまでの困難に加え、発表してから刊行が許されるまでにさらに2年かかったという事実が、本書の内容が「国」にとって都合の悪いものであったことを裏付けていると思いました。そして日本語版はようやく2008年に群像社が刊行しています。実に30年を経てようやく、わたしたちが読むことのできる形になったのですね。知らんぷりをしてはならないものを、ここまで届けてくれた著者と訳者と出版社の方々の強い気持ちに、頭が下がりました。

第二次世界大戦末期の独ソ戦については、昨年春に読んだ『グッバイ、レニングラード』でその凄まじさをはじめて知ったのでした。上の写真は『グッバイ、レニングラード』から引用。

『グッバイ、レニングラード』を読んで、少しその戦争のことを知ったつもりでいましたが、本書『戦争は女の顔をしていない』を読んだ今となっては、それもやはり「男の顔をしたもの」すなわち男の視点・言葉で語られたものを前提としているとわかります。戦争に関する記録や表現に関しては、本にしても映画にしても、ソ連に限らずそういうものである可能性が極めて高いのだと思います。

従軍した女性たちの話から見えてくるものは、これまでに聞いたこと・読んだことのある日本の戦前・戦中・戦後の話と重なるものがたくさんあって、とても他国の他人ごとではありませんでした。「歴史から学ぶ」という言葉よりも「歴史は繰り返す」という言葉の方が現実味をもってくるように思いました。今まさにその国が戦争をしているのですから、なおさらです。あるのは「戦争か平和か」ではなく、「戦争か戦後か」。暗澹たる思いで途中何度も本を閉じ、読み終わるまでに時間がかかりました。

巻末に訳者・三浦みどりさんの「あとがき」と、澤地久枝さんの解説「著者と訳者のこと」があります。ここまで、きちんと読み通したい一冊です。一人でも多くの方が手に取ってくださるといいな、と思います。今回わたしが手に取ったのは岩波現代文庫版で、文庫として残っていることが、とても良かったと思える本です。

『戦争は女の顔をしていない』(岩波現代文庫)スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ著/三浦みどり訳

師走の風物詩、津屋崎千軒の小さな灯り展。

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師走の風物詩、津屋崎千軒の小さな灯り展

数年前に有志の方々がスタートし、最初はとてもこじんまりしていたのが、人と人とのつながりで次第にエリアを広げ、いまではすっかり冬の風物詩となりつつあります。イルミネーションのイベントと言えばいいのかしら、ビジュアル的には確かにそうなのですが、「小さな灯り」という呼び方に、イベントを立ち上げた方々の志が伝わってくる、そんなイベントです。

前の晩から天気が大荒れで、開催できるかしらと心配していましたが、当日は午後からお天気が回復。夕方4時からスタートということで、まだ明るいなか、さっそく出かけてきました。まずは豊村酒蔵さんの前を通り、

小さな灯り展

藍の家へ行くと

小さな灯り展

一番乗り!甘酒とアツアツのサツマイモを販売しようとご準備中でした。

小さな灯り展

豊村酒蔵へ戻ると、こちらでは熱燗サービス。

途中、王丸屋で休憩。

小さな灯り展

こちらはクラフトコーラを販売。暗くなってからは、アカペラのコンサート。

そしてなごみへ。広場にはカナダキッチンのミネストローネとチャイのキッチンカー。屋内では和菓子佐々舟さんのぜんざい。

小さな灯り展

↑写真は、なごみのミスコピーした用紙を活かした照明のひとつ。ここからさらに進むと、シルバーパークでのイルミネーションも見事でした。

急に真冬並みの寒さとなった週末でしたが、どこのスポットでも「暖かい飲み物、食べ物」が用意してありましたので、とても楽しく回ることが出来ました。せっかく頑張って準備をするのだから、二日ぐらい開催したらよいのに…というご意見もありそうですが、一日限りなのがまた良いのです。我が家から徒歩30秒の贅沢。また来年が楽しみです。

博物館リンクワーカー人材養成講座 2023-その3。

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博物館リンクワーカー人材養成講座 2023-その3。

博物館リンクワーカー人材養成講座 2023。3回目の参加となった今回は、福岡市博物館の教育普及担当さんからの発表でした。タイトルは「“院内学級”に対するオンラインプログラムの開発~これまでとこれから~」。福祉との連携を探るリンクワーカー人材養成講座では、認知症への対応や連携など高齢者の方々とのつながりでの実践発表が多かったのですが、今回は病気やけがなどで学校に通えない子どもたちが学ぶ「院内学級」との連携のお話でした。

以下、福岡市博物館からのお話と、語り場からの備忘。


  • 「博物館はおもしろい」を扉に、さまざまなことを学ぶ機会を提供したい。
  • 各プログラムの「学習の手引き」を作成し、学校の学習指導要領に沿った視点・解説を入れる。
  • 「院内学級」に限らず、さまざまなパターンでの「出前授業」としての活用可能性。
  • 社会とのつながりが遮断されがちな人たちへのアプローチ―不登校、大人の引きこもり、ギフテッド…
  • 組織としての取り組みが無くても、まずは個人としてできることをスタート➜いずれ広げていけるように。
  • 多職種連携、他業種連携。
  • オンラインプログラム用に、ハードコピー・レプリカ等の手元資料の事前配布。
  • 安定した通信環境があれば、タブレット端末だけで博物館ツアーのオンラインプログラムリアルタイム実施が可能。

博物館リンクワーカー人材養成講座は、参加する方の所属や職種が回を増すごとに広がっています。講座の音頭をとっていらっしゃる九州産業大学緒方先生のご尽力によるもので、すごいなぁと思います。まさに「リンクワーカー」を増やす試みとして、機能しています。そして、毎回の情報共有時間「語り場」で出会う皆さんが、それぞれにご自身の居場所で取り組んでいらっしゃる活動の面白さ。たくさんのお話を聞くなかで、皆さんに次に会ったときに自分の活動報告が出来るように、と、モチベーションが上がります。

次回は2023年度の最終回。楽しみです。

そんな仕組があったのね!な、税理士さんの記帳指導にお世話になっています。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

そんな仕組があったのね!な、税理士さんの記帳指導にお世話になっています。

その封筒が届いたのは、6月だったと思います。差出人欄を見て「え?税務署?」と、ちょっとどっきり。申告何か間違えていたかしら…と緊張しつつ封を開くと、出てきたのは管轄税務署からの「記帳指導等希望アンケート」の案内でした。いわく「国税局から委託された税理士が、受講される方の備付帳簿に応じて、記帳の仕方、決算における処理、所得税及び消費税の確定申告書の書き方等の指導を、計4回無料で行うもの」ですがいかがですか?と。

へぇ~!こんなサービスがあったんだ!(知らなかった!)ということで、さっそく税理士をしているお友だちに相談してみたところ、「インボイス制度も始まるし、個別に無料で指導してもらえるのは、いい機会だと思いますよ!」とのお返事。記帳指導の方法は、セミナー形式と個別形式があり、「記帳指導等希望アンケート」では、どちらの方法を希望するかと、具体的に希望する内容を記す欄がありました。この機会に、利用しているけれど最低限しか活用できていない感のあるクラウド会計での記帳・活用方法をご指導願いたい旨を記し、申込。無事、所轄税務署から「税理士による個別記帳指導」受講決定のお知らせが届きました。

個別記帳指導では「指導担当税理士」さんが、年度末までに4回指導してくださいます。花祭窯は、お隣の宗像市に公認会計士事務所を構える税理士さんが担当してくださることに。先日3回目を終えたところですが、うちと同じクラウド会計をお使いなので、毎回すっきり明快なご指導。大きめのディスプレイに実際の入力画面を映し出して、各種帳票をチェックしながら記帳上の課題を指摘し、修正方法を示し、次回までの宿題を出してくださいます。今世間を騒がせているインボイス制度についても電子帳簿等保存制度についても、現時点でうちが最低限対処すべきポイントを押さえて説明してくださるので、迷いがありません。

おかげさまで、今年度分の確定申告に向けての会計処理の進み具合は、開業以来かつてない早さ。昨今の「税制度にふりまわされている」感満載のなか、ありがたいことです。

英語でアート!のマンツーマンレッスン。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

英語でアート!のマンツーマンレッスン。

『英語でアート!』(マール社/佐藤実・宮本由紀共著を手に取ったのは2018年2月となっていましたので、5年以上前のことになります。その数か月後に著者・宮本由紀さんの福岡での出版記念講座に参加したのが、由紀さんとの「初めまして」でした。そこから、対面やZoomで「アート×英語」や「アート×仕事」などをテーマにした講座でお世話になったり、海外ギャラリーとのメディエーターとしての由紀さんにご相談をしたり、とにかく「まだ5年しか経っていなかったのね!」と思うほど、とてもお世話になっています。

その由紀さんが、期間限定で月一のマンツーマン講座をしてくださるという情報をいただき、またとない機会に張り切って手を上げたのでした。昨日はその2回目。あらかじめ送っていただいた「質問リスト」を中心に、レッスンは進みます。わたしは即興での受け答えに自信がありませんので、質問リストに対する答えを準備したうえで臨みました。…が、レッスンはほぼフリートーク形式で進み、そのなかに質問が組み込まれ、準備したものを読み上げるというよりは参照しながら、懸命に英語を繰り出す60分となりました。

オール英語でのマンツーマンレッスン60分。ふだん習っている英会話レッスンも、同様の形式ですが、こちらは日常会話が中心になっていることもあり、自分が話しやすいテーマを広げることが出来るので、それほど大変ではありません。ただこれが「アートの英語」であり、相手がこちらに対して聞きたい内容を具体的に持っているということになると、少々(いや、かなり?)勝手が違って参ります。わたしにとって60分は短いとは言えず、1回目も2回目も、途中で頭のなかが真っ白になってしまうのではないかと心配しました。

実際には、由紀さんが上手にナビゲートしてくださったおかげで、頭のなかが真っ白になってしまうことは無く、60分もあっという間でした。またレッスンの後にはすぐに、レッスン中に引っかかった部分について、気づきのフィードバックが届きます。どのような言い方をすれば、より伝えたいように伝わるのか、テキストで書いたものを受け取ることによって、フリートークのなかで流れて行ってしまいがちなところを、きちんと意識に残せるようになります。その手厚いフォローがとてもありがたいレッスンです。期間限定レッスンは、年をまたいで残すところあと3回。昨日終わったばかりですが、すでに次回が楽しみになっています。

上の写真は、わたしの仕事机に常連で並んでいる本4冊。パソコン画面の横、すぐに手に取れる場所は、ここ数年ずっとこの4冊です。あらためて写真を見て、我ながら背表紙の傷み具合にびっくり。丁寧に扱っているつもりですが、仕事中必要になることが多く、しょっちゅう手に取っていることがわかります。これら、わたしにとっての「必須本」を眺めながら、由紀さんとのご縁に感謝しています。

年内のお茶のお稽古は、今週でお仕舞い。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

年内のお茶のお稽古は、今週でお仕舞い。

時折小雨の舞う博多へ、今年最後のお茶のお稽古に行って参りました。今わたしがお稽古しているのは、奥点前のひとつで「袋茶碗」と呼ばれるお点前です。袋茶碗のお稽古に進んだのは今年の春のことでした。

茶道南方流では、奥点前のお稽古は、ひとつのお点前を一年かけて習います。一年の間に、炉が風炉になりまた炉に戻り、炉にも風炉にもときどきで設えの変化がありますので、同じお点前のお稽古をずっとしている感じではありません。覚える間もなく変化していく、という感じです…と、毎回言い訳しながらの、お稽古。

ちょうど同じ袋茶碗を習い中の仲間が目の前でお稽古をしてくださったので、拝見しつつ予習になり、いつもよりはスムーズにお点前をすることが出来ました。スムーズになると今度は所作が次また次へと忙しい感じになり、半年以上前にいただいたご指導「あと0.5秒ゆっくり」に舞い戻るという結果になったりもいたします。その自覚があるだけに、それでもお稽古の後に「だいぶ所作がきれいになってきましたよ」と褒めてくださる先生方の言葉が、とても心にしみるのです。

今日は年内最後ということで、先生が今後のお稽古の進み方を確認してくださいました。来年の春あたりまでは引き続き袋茶碗のお稽古で、そのあとは「天目」のお点前に進みます。天目をさらに1年以上お稽古して、その先へ、と。南方流は、節目となるお免状的なものが他の流派に比べて格段に少ないようで、そのことが、お茶を習うこと自体が大切なわたしにとっては、とてもありがたいのです。お免状は要らないので、ずっとお稽古させてください!という感じ。お茶のお稽古に足を運ぶこと自体が目的になっています。

先生方や和尚さんに年末のご挨拶をしながら、円覚寺のお茶室が自分にとって心の拠り所となる場所になってきているのを実感しました。

シマウマ作品続々-「壁面」の楽しみがどんどん広がります。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

シマウマ作品続々-「壁面」の楽しみがどんどん広がります。

気がつけば、もう12月!とはいえ年内(=花祭窯にとっては年度内)に進めたい仕事はまだまだてんこもり。今年は、藤吉憲典作品において、書画をはじめ「壁面」に本格的に意識を向けた一年となりました。これまでにも陶板レリーフ(半立体陶板)を作成するなど、ジワジワと壁面へのアプローチは続けてきていましたが、本格的に書画作品をアート作品として発表することを決めてから、「どのように提供するか」への意識が新たになりました。

「購入できる作品としてご覧(ご検討)いただく」「お客さまが自分の空間に飾ったときのイメージができるようサポートする」と考えたときに、特に国内では、額縁であったり軸装であったりという、「作品をプレゼンテーションするための+α」が大きな意味を持つことを、実地で学んだ一年でした。

というわけで、引き続き「壁面作品」の「見せ方」を考え続けています。その最新作が、シマウマ陶板の額装。今回も大崎周水堂さんにお世話になりました。

藤吉憲典 縞馬陶板

藤吉憲典の縞馬陶板。額装していたものがひとつ嫁ぎましたので、あらたに二つ増やしました。大崎周水堂のスタッフさんがさまざまに(かつ、かなりピンポイントで!)提案してくださったなかからセレクト。今回はシックで上品な仕上がりとなりました。

縞馬陶板 藤吉憲典

色違いで同じタイプの額縁です。ちょっとした色の違いですが、どちらがよりしっくりくるか、何度もシミュレーションした結果、このような組み合わせとなりました。「作らないけれど、作る側の人」である私としては、このような形で作品に参加できることが、とても面白く嬉しいのです。縞馬陶板シリーズは、個人的にも大好きなので、ずっと花祭窯に飾っていたいという気持ちもありつつ。

そして今年は、少し前までは「はっきり分かれている」と感じていた、器ギャラリーさんとアートギャラリーさんとの垣根というか役割分担が、こと国内においては徐々に意味がなくなりつつあることを、何度も実感いたしました。「器を見に来たけれど、そこで気に入ったアート作品を見つけて、購入する」お客さまが確実にいらっしゃって、それが自然であること。実は勝手な線引きをしていたのは販売する側のわたしたちの方で、お客さまの方がずっと自然体で自由なのだということを感じる場面がいくつもありました。そうとわかれば、何をすべきかは明白です。来年以降は作品を発表する作家側としても、もっと垣根をなくして、「藤吉憲典のアート作品」をご覧いただける機会を増やして参ります。

再読書『知覚力を磨く 絵画を観察するように世界を見る技法』(ダイヤモンド社)神田房枝著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

再読書『知覚力を磨く 絵画を観察するように世界を見る技法』(ダイヤモンド社)神田房枝著

美術教育(研修)のプログラムをまとめ直す必要が生じ、このところ関連書籍を読み直ししています。山口周さんの『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか』、藤掛明先生の『コラージュ入門』…

そして『知覚力を磨く』へ。前回読んだのは2020年10月末。もう3年も前のことだったとわかり、ちょっと驚きました。というのも、本書に書かれている内容に、今なお新しさを感じるからです。

以下備忘。


  • 思考の前提となる認知、すなわち「知覚(perception)」
  • 知覚とは、目の前の情報を受け入れ、独自の解釈を加えるプロセス
  • 「どこに眼を向けて、何を感じるのか?」「感じ取った事実をどう解釈するのか?」
  • 人間の知的生産には、「知覚➜思考➜実行」という3つのステージがあります
  • 何の先入観も持たず、ただ眼の前の事物・事象をありのままに見ることが出来なくなってきている
  • 知覚とは、自分を取り巻く世界の情報を、既存の知識と統合しながら解釈すること
  • 新しいものは「誰かの主観」から生まれる
  • 知覚の価値は、他人とは異なる意味づけそれ自体のなかにあります
  • 情報は(中略)データそのものよりも、知覚に基づいた「意味づけ」が圧倒的に重要
  • ゼロベースで観る
  • インプットされた情報を既存の知識と統合し、意味を付与する知覚プロセスのほうは、半自動的に進む
  • 知覚という“コントロールできないもの”を磨く
  • 知覚的盲目
  • 何か明確な目的をもって探している状態からは、なかなか新しいものは出てこない
  • 観察眼を鋭くすれば、「アイデアを観る眼」も磨かれる
  • 絵画が最適な理由①バイアスが介在しづらい②フレームで区切られている③全体を見渡す力がつく
  • 注意点①十分な観察時間②多くの解釈を生む眼のつけどころ③知覚を歪める要素の排除
  • (水墨画)この絵に描かれたパーツは、あくまでも全体との調和のなかで意味を持っており、それらの位置・バランス・濃淡・強調度合い・空白部分なども含めた知覚に支えられている
  • ほとんどの創造性に関与しているのは、過去の学習・経験から得た知識を関連づけるプロセス
  • 点と点をつなぐ観察
  • 曖昧性が深まるほど、「知覚」への依存度は高まる

『知覚力を磨く 絵画を観察するように世界を見る技法』(ダイヤモンド社)神田房枝より


おかげでかなり復習&インプットし直しが出来ましたので、そろそろアウトプットにつなげて参ります。