形あるものの強さ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

形あるものの強さ。

「強さ」という表現が合っているのかどうか、ちょっと言葉が見当たらないのですが。仕事はじめに「形あるものを作るからこその喜び」を垣間見る出来事がありました。

数年前、長い海外生活から日本に戻っていらしたばかりというお客さまとの出会いがありました。藤吉憲典のつくる造形作品を特に気に入ってくださり、お付き合いが続いています。つい先日のこと、そのお客さまから「これ、藤吉先生の作品ですよね?」と届いた写真。拝見したところ、窯を開いて初期のころよく作っていた片口でした。

聞けば、お姉さまからお引越しの際に「特に気に入っているもの」として、譲り受けたなかにあったということでした。片口に一目ぼれしたお客さまが、さっそくこれを使おうと洗っていた時に「憲」の銘が目に入り、びっくりして問い合わせてくださったのでした。

そのお客さまのなかでは、藤吉が食器作家でもあることはご存じであったものの、どちらかといえば芸術家のイメージ。一方、お姉さまは「ずいぶん前に器のギャラリーでとても気に入って買った」とおっしゃるだけで、その片口の作家名もご存じなかったのでした。

思いがけず大切なお姉さまから譲り受けた器に「憲」を見つけ、とても驚いたし感慨深かったと、縁の不思議を喜んでくださったお客さま。わたしたちもまた、ありがたい出来事のお知らせに嬉しい気持ちでいっぱいになりました。

藤吉憲典は、その作陶の志として「国宝より家宝」をずっと掲げています。その意図そのままに、「人から人に大切に受け継がれるもの」となっているワンシーンを見せていただいた出来事でした。

読書『30の都市から読む世界史』(日経ビジネス人文庫)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『30の都市から読む世界史』(日経ビジネス人文庫)

河合塾世界史講師の神野正史氏の監修。「世界史」の文字を含んだタイトルの本を、ここ数年で何冊も買い込んだので、もういいだろうと思いつつ、ついつい手にした一冊です。切り口が変わると見え方も変わってくるというのは、これまでの世界史本からも学んでおり、今回は「都市」のキーワードに釣られました。

「はじめに」にも書いてあるとおり、都市ごとに文章が独立しているので、どこから読みはじめても大丈夫です。興味のある都市を見つけたときや、訪問の予定ができたときなどに、この本を開く。地図の背景を知るための、ガイドブック的な使い方ができる本だと思いました。文庫でコンパクトなので、気になったら取り出せるように、もっぱらバッグに入れて持ち歩いています。

読めば、知らないことばかり(笑)。やはり世界史は広くて深いですね。いろいろな切り口の世界史本を読まなければ、まったく追いつきません。本書で描かれている30のいずれの都市にも魅力を感じました。なかでも特に「アテネとサンクトペテルブルクに行ってみたいな」と思い、「上海とドバイのこれからがどうなるか」に興味がそそられました。

読書:シャーロックホームズ シリーズ読み直し。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書:シャーロックホームズ シリーズ読み直し。

近所の図書館でお正月休みの間に大量に借りてきたのが、シャーロックホームズものの文庫版。昨年のシャーロックホームズミュージアム訪問『ヴィクトリア朝ロンドンとシャーロックホームズ』(原書房)の読書から、すっかり引っ張られています(笑)

読みたい!と思ったときに過去の名作を容易に手に取ることができるのは、ひとえに文庫と図書館のおかげです。かつてホームズを読んだのは、小学校高学年の頃だったと思いますので、数十年ぶりの読み直し。『緋色の研究』からスタートし、『四つの署名』『バスカヴィル家の犬』(いずれもコナン・ドイル著、新潮文庫)と進んでいます。

面白いです。ストーリー自体の面白さに、ささやかながら自分の経験や知識がプラスされて想像力が広がっていくのを、読書を通して感じています。なかでも特に 『ヴィクトリア朝ロンドンとシャーロックホームズ』(原書房)の読書 によって、ストーリーの世界がぐっと広がりました。本の力ってすごいですね。

『ヴィクトリア朝ロンドンとシャーロックホームズ』(原書房) を編んだのは、シャーロックホームズの展覧会をキュレーションした学芸員や研究者の方々で、熱烈なシャーロックホームズファン。このことがまた、わたしにとっては刺激的な事実であり、学芸員の仕事の面白さ、「好き」が生み出す力の素晴らしさを感じています。

こんなふうに、学芸員としての仕事を形にできたら、素敵ですね。ひとつまた、目標ができました。

仕事はじめ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

仕事はじめ。

写真は、あまりにも縦にまっすぐだったので、嬉しくなって1本活けてみた、松。

近所の小中学生の冬休みもお終い。二日の書き初めと新年会でお正月をすっかり満喫し、三日午後からぼちぼちと仕事を始めました。年末から3日間パソコンを開かないだけで、ずいぶんと休憩したような気がします。物理的に仕事から離れる時間も大切ですね。その間に考えたこともいろいろあり、頭の中を整理整頓しながら、ウォーミングアップ。

昨日は今年の納品第一号を発送完了しました。納品の時はいつでもホッとしますし、嬉しいです。楽しみに待っていてくださる方々の存在は、仕事をするうえで大きな力です。同時に、お客さまのところまで運んでくださる運送業の皆さまに感謝。こうして地方でスムーズに仕事ができるのは、運んでくださる方あってこそです。

花祭窯は個人事業主なので、1月は会計年度のスタート月でもあります。今年の経営指針書もおおよそ出来上がりました。短期・中期・長期の行動計画は、実際に動き出すと修正しながらの毎日になります。年末に「最初のイメージからどう変わったか」を見るのも、実は楽しみのひとつです。

そして新年度が始まるということは、前年度の決算をするということであり、そろそろ確定申告の準備です。

2020書き初め。

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2020書き初め。

今年のわたしの書き初めは「行雲流水(こううんりゅうすい)」。禅の言葉のひとつです。執着をなくし、空を行く雲のように、川を流れる水のように、淡々と自然に任せること。カタチにとらわれず、自然に任せて柔軟に変化していくこと。

歳を重ねるごとに、自分でコントロールしようとしてもどうにもならないことも少なくないと、わかってきました。また、エネルギーを費やして取り組んだ結果と、自然の成り行きに任せて見守った結果が大差無い、なんてことも往々にあると、経験してきています。

自身を省みたとき、それでもなんとかしようとジタバタしてしまうのは、性格的に仕方の無いこと。でも、「行雲流水」の言葉を心のどこかに留めておいたら、同じ状況にあっても少しは肩の力を抜くことができたり、天命を待つ心境に至ることができるかもしれないな、と思います。

行雲流水のごときしなやかさとは程遠い生き方をしていますが、それもまた良しと認めつつ(笑)

2020子年。本年もよろしくお願いいたします!

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2020子年。本年もよろしくお願いいたします!

写真は車窓からの初日の出。九州北部地方、よく晴れた元旦でした。

昨年末ぎりぎりに干支のネズミができあがりました。ご近所へのご挨拶まわりに間に合って一安心。年が明けてから年賀状を書きはじめるのは、ここ数年お馴染みの景色になってきました。恒例の二日の書き初めは、新年早々にもかかわらず、たくさんの方がご参加くださいました。

花祭窯書き初め2020

上の写真は、陶芸家・藤吉憲典の書き初め。「目の前のことを丁寧に一つずつ」まずはお待たせしているご注文品の制作・お届けからスタートです。

「楽しみに待ってはいますが、急かしてはいません。良いものを作ってくださいね」とおっしゃってくださったのは、いつも造形作品をご注文してくださるお客さま。つくり手にとってはなによりありがたい言葉で、お客さまのご理解に支えられていることを、つくづくと感じます。

今年も、器に、アート作品にと、藤吉憲典の発表の機会を、国内外でいただいております。ありがとうございます。日程など詳細はこれから詰めていくものも。近々、2020年のおおよその予定をご紹介いたしますね!

一方で、アートエデュケーションの仕事・活動も、地道にコツコツと積み重ねてまいります。今年は地元地域での講座だけでなく、少しづつ広げていくことができたら嬉しいな、と思っています。

藤吉憲典の個展の際には、わたくしも出来るだけ会場に足を運ぶようにしています。今年も各地で皆さまにお会いできるのを、楽しみにしております♪

身近なところに多様性。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

身近なところに多様性。

陶芸家の家に集まったのは、メダカ屋、ゲームクリエイター、フレンチシェフ、工務店現場監督、学芸員、市役所職員、美容師、日本語学校教師、一級建築士、革職人、IT技術者…先日の忘年会のことです。

まぁ、見事に職業がバラバラ。年齢層もバラバラ。最年長のダンナを筆頭に、息子でもおかしくない年齢の方まで。もちろん、結果としてそうであった!というだけで、意図したわけではありません。ただ友人にフリーランスや自営業者、オーナー経営者が多いのは、うちが自営業者だからかもしれません。

呑みながら、食べながら、どうしようもなくくだらない話題もあれば、シリアスな相談事もある、おもしろい時間です。それぞれ仕事においての立場や環境がまったく異なるので、おしゃべりしているだけでも自然と視野が広がります。若い方に教わることは数多く。

共通点があるとしたら、人生において、自分にとって、生業をどうとらえているか、にあるのではないかと思っています。正面切ってそのような質問を投げかけたことは無いので、「たぶんそうだろうな」という感じですが。

毎年、こうして集まってくれるのが、とっても嬉しい仲間たちです。

手づくり、という手があった!

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

手づくり、という手があった!

先日のクリスマス。イブの日にケーキを買おうと思ったら、どこのケーキ屋さんも大行列。並ぶのいやだな、どうしようかな、と思いつつスーパーで買い物中に視界に飛び込んできたのが、スポンジケーキと各種生クリームが陳列された「手づくりケーキセット」売り場。

そういえば、息子が小学校あがってすぐのころ、近所のお友だちと「手づくりでクリスマスケーキをつくる」というので、スポンジから焼くのは無理だろうと出来合いのスポンジケーキを買ってきたのを思い出しました。

これだ!と思い5号サイズのスポンジケーキ(デコレーションできるように2枚に切ってある♪)と、生クリームのパックをつかみ、果物売り場でトッピング用の果物を調達。

「今年のクリスマスは、手作りケーキにします!」と宣言したところ、息子はノリノリで果物カット係とデコレーション係を担当してくれました。わたしはと言えば、生クリーム泡立て係で、久しぶりに手に泡だて器を握りました。ハンドミキサーもあるのですが、アナログで(笑)

出来上がったのが上の写真のケーキ。本来我が家のデコレーション係筆頭であるダンナが窯焚き中で忙しかったので、今回はデコレーションに参加できず。見た目には素人感満載ですが、生クリームたっぷり・果物たっぷりで、楽しく美味しく大満足。

スポンジは出来合いなので、正確には「半・手づくり」とでもいいましょうか。自分の好みの素材でデコレーションでき、手軽に手作り感が味わえて、満足度が高いものとなりました。

来年からも、この手で行くことに決定!

こんな人になりたい。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

こんな人になりたい。

クリスマス。今年のところどころで気にかかりながら先延ばしにしてしまっていたことを、年内にきちんとしなければ!と、一念発起した昨日でした。

2019年はここ数年のなかでも、陶芸術家・藤吉憲典にとって、ひとつ勝負の年でありました。「器」と「アート」。どちらも大好きで、どちらも大切。本人曰く「ガチャンガチャンと」思考回路を切り替えながら、作陶に取り組んでいます。つくるのにどちらがラクということは無く、細部まで丁寧に、「すべてが自分の代表作」というスタンスはまったく同じ。

器=役に立つもの、アート=意味のあるもの。同じ「磁器作品」であっても、求めるお客さまの志向は異なるため、市場は同じではありません。「器のギャラリー」と「アートギャラリー」のあいだに距離があるのは、アートピースに取り組み始めたときからわかっていたことではありました。

作り手・藤吉憲典にとっては、両輪があることで、それぞれの分野の進化・深化があります。が、それを本心から理解できる人は、日本においてはクリエイティブな業界にあっても(あるいは、だからこそ)多くはないことを、ことあるごとに感じていました。

それでも、こうして「好きなもの、作りたいものだけを作る」姿勢を一貫して来れているのは、ひとえに、作家とその作品を愛し、理解しようとし、尊重し、その進化・深化を一緒になって楽しみ、受け入れ、世に発表してくださるギャラリーさんがあるからこそです。これは、国内でも国外でも同じ。

さて冒頭の「気にかかりながら先延ばししていたこと」のひとつについて、お世話になっているギャラリーさんにご連絡をしたところ、作家が「こう言ってもらうのが一番うれしい」というお返事そのものをいただきました。

20年近いお付き合いのなかで、これまでもずっと「この人のようになれたら素晴らしいな」と思っていた方。その懐の大きさに、また頭が下がりました。涙が出るほどありがたい言葉に、作家ともども大きく勇気づけられたクリスマスでした。

ふるさと納税。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ふるさと納税。

昨年もこの時期にこのような記事を書いたな、と思いつつ。もちろんふるさと納税の仕組み自体は年中稼働しているのですが、12月の申し込みがもっとも多いようですね。

上の写真は、ANAのふるさと納税サイト。サイト内のキーワード検索で「花祭窯」を入れると、一発で出てきました。福津市の返礼品として、ふるさと納税スタートの初年度から提供してきていますが、花祭窯からの提供品は、国の制度の変化やふるさと納税サイトの変化に合わせて変わってきています。

花祭窯からの提供品は、昨年は「蕎麦猪口」のセットのみでしたが、今年は重箱や筒茶碗が加わって、より選択の幅が広がったと思います。通常のご注文品と同様、ふるさと納税でもご連絡をいただいてからの制作になります。お届けまで4カ月程度お待たせしておりますが、ご理解くださる方からのご指名はありがたい限りです。

福津市では、ふるさと納税の使い道のひとつとして、世界遺産に指定された「新原・奴山古墳群」をはじめとした伝統文化の保護事業に使うことをうたっています。しっかりと有意義に使ってほしいものですね。