初釜茶会に行って参りました。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

初釜茶会に行って参りました。

昨日は入門している茶道南方流の初釜でした。お茶会前日はお掃除と準備。窓ふき・露地掃除・毛氈(もうせん)の準備などなど…この「前日のお勤め」を通して心を整えていくことが、おかげさまですっかり習いになりました。

日頃はお稽古の曜日や時間帯によりお会いする機会の少ない同門の方々、先生や諸先輩とお会いできるのも初釜茶会の嬉しさ。初釜らしい皆さんの装いで、気分も華やぎます。わたしはまだまだ着物の着方が下手なのですが、安心してアドバイスをいただいたり、その場で直していただけるのも、ありがたい機会です。

メインの楽しみはなんといっても、和尚さま自らのお点前を間近で拝見できること。余裕ある手さばき足さばきの美しさに思わずため息が出ます。また南方流の初釜では、毎回色紙を頂戴します。これがもうひとつの楽しみ。

今年の色紙に書いてあった言葉は

無位の眞人(むいのしんにん)

「どんな位にも属さない眞の自由人。大悟徹底の人をいう。」とありました。

どんな位にも属さない眞の自由人!すごい響きですね。

新しい一年が始まった、と感じる初釜の茶会です。

 

 

「祝の器展」本日最終日。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

「祝の器展」本日最終日。

2016年もお世話になりました。ありがとうございました。

毎年、12月は一年間の感謝を込めて花祭窯での展示企画をしたいと思いながら、できたりできなかったり。今年は12月22日から本日29日まで「祝の器展」として展示ができて、ホッとしています。

この展示でつかったのは、江戸時代からつい近頃まで使われていたという朱塗りのお膳。ご近所さんからのたいせつな預かりものです。

ご主人がお亡くなりになってから、それまで続けていたお正月の習慣もすっかりやめてしまったと。昔からのお道具が蔵に眠っているから、それよりは使ってもらうと嬉しいのよ、とおっしゃって、わたしたちに預けてくださったお道具のひとつです。

藤吉憲典染付の器、赤絵の器

「祝の器展」を見に来てくださった方、みなさんがこれをご覧になって喜んでくださいます。「なつかしい」とおっしゃるご年配の方だけでなく、若い方からも「かわいい~!」の声。

一人でも多くの方にこの風景を楽しんでいただくことも、花祭窯がここでできる仕事のひとつかもしれないと、ありがたく嬉しくなります。来年もこのような機会を必ずつくろうと、手帳に予定を書き入れました。

2016年の祝の器展もあと数時間。
今年も一年、ありがとうございました<(_ _)>

花祭窯で祝の器展。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

近所の店先に「柚子」をみつけました。
もうすぐ冬至ですね。

2016年の展示の締めは

花祭窯で「祝の器 展」。

毎年12月には感謝の気持ちを込めて、ここ津屋崎の花祭窯で藤吉憲典のうつわ展示を、と思っています。個展の日程やあれこれでできない年もありますが、今年は、やります!

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花祭窯 祝いの器 展

2016年12月22日(木)~12月29日(木)
午前11時~午後5時
期間中無休

花祭窯:福津市津屋崎4-8-20にて
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展示期間中は無休ですので、営業時間内であれば事前の連絡無しにお越しいただいても大丈夫です(^^)

江戸時代から現代にかけて使われていたという塗りのお膳に、藤吉憲典の器を並べてセッティングいたします。楽しい展示になるよう、いろいろ考え中。もちろん気に入った器はお買い上げいただくことができます。

忙しい年末、ちょっぴり息抜きに花祭窯へいらっしゃいませんか。お待ちいたしております。

次なるお題は、床の間。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

先日お友だちと話していて笑ったのですが、「幾つになっても知らないことだらけ」というか、「年を重ねるごとに知らないことが多いことに気づく」ということが実感としてあります。
というわけで、わたしの

次なるお題は、床の間。

先般、仙厓さんの掛け軸がやってきたので

仙厓さんがやってきた!

長らく自由に遊んでいた床の間に、掛け軸がかかりました。

掛け軸がかかると、その掛け軸について知りたくなります。
掛け軸のかけ方や、床の間空間の使い方の道理を知りたくなります。
そう、まさに知らないことだらけ。

床の間にかかっている掛け軸は、

  1. 誰の書いた(描いた)ものなのか。
  2. 何と書いて(なにが描いて)あるのか。
  3. その意味するところは。

それに対して

  1. 日本最古の禅寺である博多聖福寺の住職であった仙厓和尚によるもの
  2. 「指月布袋図」で、「を(お)月様幾ツ 十三七ツ」と書いてあり
  3. 月は円満な悟りの境地を象徴しており、布袋さんと子どもが指さすそのはるか彼方にその月はある。この月のように悟りの境地というのは、容易に到達できるものではない。

というようなこと。

この三つの問いに対しては、そのお軸ごとに調べたり確認したりして、知識として学んでいくわけなのですが、今回はたと立ち止まったのが「このかけ方でいいのか?」でした。

お茶会への出席やお手伝いは、床の間や掛け軸の在り方を体験する実践的な機会で、その都度勉強をしていたつもりが、いざ自分で床の間に掛け軸をかけるとなると、その空間の使い方に迷いが生じました。

「難しく考えなくても、格好良く収まったらいいのでは」という安易な気持ちで掛けてみたものの、花を生けるのか、香炉を飾るのか、試しにあれこれ並べてみたものの、いまひとつ決まりません(汗)

最終的には空間が格好良く収まればよいのだけれど、それもまずは床の間というものの道理を少しは理解したうえでこそ、うまくいくものなのかもしれないと思い至りました。

というわけで、少し勉強してみます(^^)

糠漬(ぬかづけ)ブーム。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

蕪(カブ)がおいしい季節になりました。
基本的に我が家の食卓は、旬の地場野菜ばかり使っています。

というわけで、ここ数日我が家では

蕪(カブ)の糠漬けがブームです。

先日、一汁一菜の朝食について書いたところでしたが、

一汁一菜(いちじゅう いっさい)。

それを支えているのが、糠床(ぬかどこ)

糠床、管理がたいへんでしょう?

と聞かれることがありますが、自他ともに認める大雑把な性格のわたしでも続いています。ということは、それほどたいへんではないかも。
あ、正直に言いますと、ダメにしてしまったこともあります。
そのときは、また糠床を作り直すのです(^^)

野菜を投入すると翌日にはお漬物になっている

って、すごいことですよね。

カブは葉っぱのついたまま、軽く塩をしてぬか床に投入。
カブが大きいときは、半分に切ることもありますが、そのときも葉っぱ付きのまま。
あ、大根を入れるときも、葉っぱも使います。

最近あらためてすごいな~と思ったのは、

蕪の葉っぱも大根の葉っぱも、
糠床に仕込むときれいな緑のままであること。

カブや大根の葉っぱ、そのままにしていると黄色くなってしまいますよね。
これが、糠床に付け込んでいるときれいな緑色で漬物に仕上がる。
これは糠漬けに限らず、ほかのお漬物でも同じことではありますが。

この「新鮮な状態の色が維持されている」現実を見るだけでも、
糠って、体に良さそう!な感じがします。

もうひとつ、すごいな~と思うのが、
もとになる糠床を他所からいただいてきた場合でも、自分の手で仕込み続けていると次第に

我が家の糠漬けの味になってくること。

これは、混ぜる人の手が持っている菌がそれぞれ違うから、
家によってそれぞれの味になっていくという話を聞いたことがあります。
おもしろいですよね。

手軽でおいしい「我が家のぬか床」。

おススメです(^^)

博多ライトアップウォーク2016

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

11月23日(木)から11月27日(日)まで、
博多祇園から呉服町周辺の11の寺社で

博多ライトアップウォーク2016 開催中。

南方流茶道の道場である円覚寺でも、お庭がライトアップ。
今年もこのシーズンがやってきました。

円覚寺では26日(土)27日(日)両日に限り、18時から20時まで、
お抹茶をいただきながらお庭を眺めることができます。

今年はお点前はありませんが、
夜のお寺でお抹茶をいただきながらお庭を愛でる
なかなかレアな体験です。

なお、入場には博多ライトアップウォークの入場券と、
当日円覚寺にて販売の呈茶チケット(500円)が必要です。
詳しくは、博多ライトアップウォーク2016公式サイトでご確認くださいね。
博多ライトアップウォーク2016 http://hakata-light.jp/

「習う」と「慣れる」。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

先日から「茶道」であったり「一汁一菜」であったりというテーマの流れで、
ぼんやりと考えてみたことが、

「習う」と「慣れる」。

わたしにとって茶道は、身につくまで繰り返し繰り返しやっていきたいことです。
そもそも茶道を始めた元にあるのは、「やきものや」という職業柄の知識欲。
でも、実際にはじめると、そんなこととは関係なく、面白さ奥深さにひかれました。
これも指導してくださった方のおかげなのですね。

一汁一菜の朝食も、ほんとうにおいしいと感じるから自然と続いているわけで、
ただ「体に良いから」というだけでは慣れるまで続かないだろうな、と。
そしてそのきっかけを与えてくださったのは、漢方医の先生であり、
その方に習ったからこそ、の習慣なのですね。

「習うより慣れよ」という言葉があるわけですが、半世紀近く生きてきた実感としては
「習ったうえで、習いながら、慣れるまで繰り返す」というのが腑に落ちる今日この頃。
どちらも大事。

でも、もっと正直に言ってしまえば
自分の気持ちが向かないことに対しては、習っても習っても身につかない。
かといって慣らそうとしても、そもそも「慣れるまで繰り返す」に至らない。
あ、あくまでも自分の場合ですが(汗)

「習う」も「慣れる」も本人の気持ち次第。
だとすると、最初に「習う」のきっかけを作ってくれる人の影響力というのは、とてつもなく大きい。
「最初に誰に習うか」によって、その分野に対するその後の姿勢は大きく変わるような気がします。

お茶にしても食習慣にしても、それ以外に今自分の身についている「いい習慣」を振り返ると、
いい指導者に巡り合えたからこそ楽しんでいる幸運を感じます。

感謝(^^)

一汁一菜(いちじゅう いっさい)。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

昨日「立冬が過ぎ」と書いたばかりでしたが、
ここ福岡でも、朝が冷え込むようになってきました。

朝は温かいお味噌汁。

が嬉しい季節です。

我が家は長いこと「朝はホームベーカリーのパンとコーヒー」だったのですが、
今年に入って、漢方医の先生とたくさんお話しする機会があり、
あらためて「食養生」ということを考えた結果たどり着いたのが

朝食は一汁一菜。

というわけで、ごはん・味噌汁・お漬物 の朝食です。

厳密には「一菜」にはお漬物は入らない、とする向きもあり、
だとするとおかずが一皿必要なのか?となりますが
そこはまあ、都合よく解釈することにして(笑)

ごはん・味噌汁・お漬物の朝食をはじめて、
おいしいうえに、合理的でもあると感じています。

朝ご飯をゆっくり食べる時間がとれないときでも、
お味噌汁さえあれば、すぐに体が温まります。
以前「お味噌汁は、飲む点滴」という話を医療関係者の方から聞いたことがありました。
そういえば起き抜けであまり食欲がわかないときでも、
温かい味噌汁を少しとると、体が目を覚ますような感じがします。

うちは晩御飯の時は削り節でお出汁をとることが多いのですが、
朝は常備している「昆布と椎茸の出汁」を使えば短時間でできます。
前の晩から水に昆布と干し椎茸を入れて置いておくだけ。
冷蔵庫に常備しておけば、いつでも使えて便利です。

漬物は、ぬか床のなかから取り出して切るだけ。
かわいらしい小皿豆皿にお漬物、
お気に入りのごはん茶碗にアツアツご飯でご機嫌です。

このお手軽さ!
最初に「食養生」と書きましたが、じつはお手軽さという面からも
一汁一菜朝食、おすすめです。

<耳より情報>
ごはんとお味噌汁とお漬物について、深い考察をなさっているサイト。
創業400年の日光たまり漬の上澤梅太郎商店「上澤の朝食」では、
一汁三菜のルーツなどについても知ることができます(^^)
http://www.tamarizuke.co.jp/uwasawa/index.html

風炉から炉へ。お茶のお稽古。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

風炉から炉へ。お茶のお稽古。

今日は月に数回のお楽しみ、お茶のお稽古に行ってきました。
11月になると釜をかけるのが「風炉(ふろ)」から「炉(ろ)」に変わります。

立冬を過ぎ、肌寒くなってきたところに、炉。
火(炭)の位置が客の席に近くなり、なんとなく暖かい感じがします。
ちょっとした道具の位置の変化も、おもてなしの配慮なのですね。

さて、道具が変わると、点前作法も変わります。
今年の春から濃茶のお点前を修業しているわたくし、
風炉の手前も覚えないうちに炉に変わり、気もまた新た。

とはいえ茶道のお稽古において「変化」は日常茶飯事。
季節だけでなく行事や設定によって、道具も作法も微妙に変わります。
なので、物覚えの悪さを自認するわたしは、南方流に入門するにあたり決めました。

茶道を頭で覚えようとせず、体に染みつくまでやろう。

果たして何年、何十年かかることやら気の長い話ですが、
そう最初に決めたので、お稽古中に作法を途中で忘れても間違えても、笑顔。
教えてくださっている先生方には、出来の悪い生徒で申し訳ないところでありますが‥。

ただ、頭で作法を覚えていなくても、心がけできることがあります。
それは、一つ一つの所作をできるだけ丁寧に、できるだけ美しく、と心がけること。

元来せっかちでバタバタと大雑把な性格なので、
この心がけをしていくだけでも、自分にとって大きな精神修養になると信じています。

実際のところ、気持ちが整っていると、お点前がひととおり終わるまで
「丁寧に美しく」の心がけを持続することができますが、
雑念があると、お点前の最中にこの心がけを持続することさえ難しいのです。

さて本日、自分なりには丁寧で美しいお点前を心がけることができました。
毎回あたたかく見守り、根気強く指導してくださる先生方、先輩方のおかげです。
感謝。

やきものができるまで(磁器の制作工程)・後半

こんにちは。花祭窯の番頭役・ふじゆりです。

7月21日(木)まで開催の銀座黒田陶苑さんでの藤吉憲典(ふじよしけんすけ)個展。
原点回帰=肥前磁器の伝統文化をしっかり感じていただくことがテーマになっています。

より深く楽しんでいただくための一助になれば・・・
ということで

↓肥前磁器についてこれまでに書いた記事はこちら↓

○肥前磁器(ひぜんじき)とは?

○染付(そめつけ)・赤絵(あかえ)・染錦(そめにしき)

○古伊万里(こいまり)のこと

○やきものができるまで(磁器の制作工程)・前半


本日は

磁器の制作工程について(後半)

上の写真は絵付に使う筆。
右手に見えている徳利などは、素焼きから上がった状態です。
この素焼きの状態の生地に、下絵付をします。

下絵付け(染付)

素焼きから上がった生地に、呉須(ごす)というコバルトを含む絵の具で絵付をします。
これが染付(そめつけ)の青色になります。

呉須は構成成分の割合によりさまざまな種類があります。
さらに自分好みの青色を出せるかどうかは、呉須の種類だけでなく、
陶土・釉薬・焼成方法などの条件の組み合せによっても変わってきます。

施釉

下絵をつけ終わった生地に釉薬(ゆうやく)をかけて、本窯焼成をします。

釉薬もまた、たくさんの種類があります。藤吉憲典は柞灰釉(いすばいゆう)を使っています。
柞灰釉は柞の木からつくった木灰を原料とした釉薬です。
性質が不安定で、呉須との相性や窯の焚き方に左右されやすい釉薬ですが、
独特のやわらかい肌合いを出すことができます。

藤吉憲典にとっては、理想とする古伊万里の雰囲気に最も近づけることの出来る釉薬です。

本窯焼成

藤吉憲典は電気窯を用いています。
現在、磁器制作において主に利用されている窯は、ガス窯や電気窯です。

火の色が景色となる土ものと異なり、
磁器では絵付の美しさを楽しんでいただくのも価値のひとつ。
そのためには薪で焚く窯は不安定すぎ、安定した焼成のできる窯が理想です。

おおよそ24~25時間かけて、最高温度1300度近くまで上げていきます。
途中ガスを入れながら還元焼成をかけます。

電気窯では、時間と温度を管理するプログラムが組み込まれていますが、
その日の気象などによる影響があるため、
温度の上がり具合や窯の内部の様子を確認しながらグラフをつけています。

染付の器は、この窯からあがったら、完成です。

赤絵付け

赤絵・染錦と呼ばれるものは、本窯焼成からあがった器に上絵付け(赤絵付)を施します。

色の種類が多く、赤ひとつとっても多様です。藤吉憲典は特に「赤」「緑」の色選びにこだわっています。
粉状の顔料をよく磨り潰し、水で溶いて絵の具にします。
絵を赤絵窯に入れるまでは、描いた部分に手が触れると消えてしまうため、
繊細な気配りが必要になります。

赤絵窯

赤絵窯では6時間から7時間かけて780度まで温度を上げていきます。
絵の具の種類により気化する温度が変わってくるため、温度を上げすぎないよう注意も必要です。

金やプラチナを使用する場合は、より低い温度での焼成となります。

赤絵窯からあがってきたら、底の仕上げをして、検品してできあがりです。

染錦花鳥文大鉢 藤吉憲典
染錦花鳥文大鉢。染付と赤絵を組み合せた染錦の器です。