津屋崎陶片ミュージアム:H29042001二重高台の大皿

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

津屋崎陶片ミュージアム。二重高台の大皿。

外側の高台が割れて削れてしまっていますが、二重高台です。器の径が大きいと、窯での焼成中に生地が変形してへたってしまうことがあります。それを防ぐ方法のひとつとしての、二重高台。支える点(線)を増やすことにより、底や腰が落ちるのを防ぎます。

津屋崎陶片ミュージアム

二重高台の大鉢や大皿は、上手(じょうて)と呼ばれる凝ったものも多いですが、これは絵付の大雑把な感じを見る限りでも、それほど上手のものでは無さそうです。上手のものは、裏もしっかり描きこんであるものが多いです。

これは高台の内側には線描きしか見えず、ちょっぴり残念。あんがい時代の若いものかもしれません。

津屋崎陶片ミュージアム

それでも、二重高台の陶片をあまり見つけることが無いので、嬉しい発見です(^^)

 

 

西麻布の桃居さんで「藤吉憲典 陶展」。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

5月は西麻布の桃居(とうきょ)さんで「藤吉憲典 陶展」。

毎回スタイリッシュなDMを作ってくださる桃居さん。いつもほんとうにありがとうございます!

個展案内状は、こちらからお申込みいただくことができます。ご希望のお客さまに5月初旬から郵送いたします。

藤吉憲典陶展2017桃居

今回DMの撮影用にうちからお送りしたのは、まったくタイプの異なる三種類の器でした。タイプは異なるものの「古典的テーマをきちんと現代にとらえなおす」と、今まさに、つくり手が熱中しているところなのです。

桃居オーナーの広瀬さんがどの器を案内状用に選んでくださるかは、案内状が出来上がるまでの「待つ楽しみ」のひとつです。出来上がったものを拝見して「なるほど、これを特に面白いと思ってくださったのだな~!」と、にんまりします。

個展案内状の写真に使われたのは、「柿右衛門(かきえもん)様式」と呼ばれる色絵磁器の古典的な様式のひとつ

「柿右衛門様式、藤吉憲典がつくるとこうなる」5月の桃居さんでぜひご確認ください。

 

津屋崎陶片ミュージアム:H29041901明かりの道具

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

津屋崎陶片ミュージアム、明かりの道具。

「燈明皿」とか「油皿」とか「ひょう燭」と呼ばれ、行燈のなかに置いて使われたものです。江戸中期以降の唐津系の陶器と思われます。

津屋崎陶片ミュージアム 明かりの道具

ほんの少し欠けていますが、ほぼ完品。これだけ形がそのまま残っていると、思わず実際に油と芯を入れて明かりを灯してみたくなりますね。

唐津系の明かりの道具は、こちらでもご紹介しています。いろいろな形があるのは、明かりをいかに長持ちさせるか、改良を重ねたからだとか。

津屋崎陶片ミュージアム:H290331001~明りの道具(ひょう燭)。

 

 

2017年藤吉憲典個展予定の追加・変更

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

2017年藤吉憲典個展予定の追加・変更のお知らせです。

今年も個展・企画展等、貴重な機会をいただき、ありがとうございます。年初にお知らせしていた内容から、下記の通り変更と追加のお知らせです。

【変更】熊本SUNNYさんでの「蕎麦猪口と小皿豆皿展」。

会期が7月になりました!7月1日(土)~7月9日(日)開催です。

【追加】岡山ギャラリー栂さんで10月に蕎麦の器展。

そば処とギャラリーを併設なさっている栂(とが)さん。新蕎麦シーズンに合わせて開催予定の企画展「蕎麦の器展」に藤吉憲典の器も参加いたします。こちらは会期等詳細が決まり次第、あらためてご案内いたします。


2017年藤吉憲典個展予定

  • 5月3日(水)~5月24日(水)ロンドン Sladmore Contemporaryで個展
  • 5月26日(金)~5月30日(火)東京・西麻布 桃居さんで個展
  • 6月9日(金)~6月11日(日)福岡・津屋崎 花祭窯「20周年展」
  • 7月1日(土)~7月9日(日)熊本 SUNNYさんで企画展
  • 7月22日(土)~7月30日(日)兵庫・神戸 ギャラリー壺屋さんで個展
  • 10月 岡山 ギャラリー栂さんで蕎麦の器展
  • 12月14日(木)~12月28日(木)鹿児島 壺中楽さんで個展
  • 12月22日(金)~12月29日(金)福岡・津屋崎 花祭窯「暖の器展」

ぜひご来場くださいませ。

 

5月は桃居(とうきょ)さん。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

5月は西麻布の桃居(とうきょ)さんで
藤吉憲典 作陶展。

写真は最近三回の桃居さんでの個展案内状。初めて個展の機会をいただいたのは2005年でした。それから1年おきに機会をいただいています。こうしてあらためて見てみると、近年は「箱」というテーマがつくり手・藤吉憲典のなかにひとつ大きくあったのがわかります。

桃居さんのオーナー広瀬さんは、わたしが最も尊敬する方のお一人です。いつも静かにつくり手を信じて受け入れてくださる、とても大きな方です。お仕事でやり取りをさせていただくなかで、「姿勢・行動で示す」ということのすごさを毎回感じさせてくださる方です。

初めてお伺いしたころ、桃居さんでは磁器の作家はほとんど扱っておられませんでした。それでも常設で扱いながら、つくり手の成長・変化を見守ってくださっていました。そんなこともあって、藤吉憲典にとって桃居さんでの個展は、毎回「どれほど成長したかをご覧いただくための機会」なのです。

もうすぐ、2017年5月の個展案内状が出来上がる予定です。出来上がり次第、こちらでもご紹介いたします。

桃居さんでの藤吉憲典作陶展は、
2017年5月26日(金)~5月30日(火)です。

 

 

 

藤吉憲典の作陶の様子。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

藤吉憲典の作陶の様子を撮った動画が完成しました。

昨年の夏から撮りはじめて、ようやく完成しました。今回の撮影・編集をすべて担当してくださったFilmmaker日浦さんのおかげで、藤吉憲典の磁器制作のイメージがわかりやすく伝わるものができあがったと思っています。ありがとうございます。

藤吉憲典のつくったものをお手元に持ってくださっている方々、これから手に取ろうとしてくださっている方々、皆さんに、そのモノの背景を少しでもお伝えし、楽しんでいただけるといいな、と思っています。

 

蕎麦猪口倶楽部アドレスちょっぴり変更。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

ネットショップ蕎麦猪口倶楽部のアドレスを、ちょっぴり変更しました。

蕎麦猪口倶楽部 https://hanamatsurigama.com

http:// → https:// に変わりました。常時SSLと呼ばれる、インターネット上のセキュリティ対策に対応しました。http://hanamatsurigama.com からも自動転送されるようになっていますので、今まで通りのアクセスでも大丈夫ではありますが、念のためお知らせまで(^^)

あわせてトップページのスライドショーに使っている写真も入れ替えてみました。

「ロクロ」「削り」が終わって「素焼き窯」に今から入ろうとしている蕎麦猪口生地の並んでいる写真や、本窯からあがったばかりの蕎麦猪口の集合写真など、蕎麦猪口好きにはたまらない(!?)写真を入れております。

これから夏に向かって、お素麵や冷やしうどんなどにも活躍する蕎麦猪口。おかげさまで、ただいまつくり手・藤吉憲典の制作状況がたいへん混んできております。「このときに使いたい」とイメージがお決まりのお客さまは、お早目のご注文をお待ちしております!

 

 

津屋崎陶片ミュージアム:H29041801墨弾の蓋もの

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

津屋崎陶片ミュージアム:墨弾(すみはじき)の蓋もの。

幕末と思われる「蓋もの」の蓋の陶片です。幕末の蓋もの、よく見つけます。蓋は、表も裏もちゃんと絵付されているものが多くて、程好いサイズ感で形も可愛らしいものが多く、完品で出てきたら使いたいといつも思います。

碗の陶片だけだとそれが蓋ものの身なのか、もともと碗だけのものなのかわかりにくいのに対し、蓋の陶片は「これは蓋もののフタだ!」と分かりやすい。というわけでなんとなく、幕末の蓋ものの蓋だけがたくさん上がっているような錯覚をもちます。

墨弾(すみはじき)」と呼ばれる技法で絵付されたものです。

津屋崎陶片ミュージアム

墨弾とは…生地に墨で文様を描き、その上から呉須(ごす:染付の藍色を出す絵具)を塗ると、墨に含まれる膠(にかわ)分によって墨の上の呉須がはじかれて、これに釉薬をかけて焼くと、墨は焼き飛ばされて白く抜けた文様となります。(佐賀県立九州陶磁文化館図録 柴田コレクションⅥ より)

 

津屋崎陶片ミュージアム:H290405002~注ぐ器。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

津屋崎陶片ミュージアム、注ぐ器。

津屋崎陶片ミュージアム

ぱっと見、酒器と思ってしまうのは、我が家でのこの手の注器の用途がほぼお酒用であるから、という声が聞こえてきそうです(笑)

注ぎ口のついたものには水注や急須、土瓶などもありますが、ついている位置や形からして、これは酒の注器と思われます。

内側にも釉薬がきれいにかかっています。蓋がかぶさる口の部分もきれいに仕上がっていて、とても丁寧な作りです。そのつくりに対して、絵付がなんともおおらかなのは、ご愛嬌。

津屋崎陶片ミュージアム

17世紀末から18世紀初頭あたりのものでしょうか。お酒一合ほどの可愛らしいサイズです。

 

 

津屋崎陶片ミュージアム:H290405001~磁器の重箱

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

津屋崎陶片ミュージアム、磁器の重箱。

津屋崎浜に上がってくる陶片に、碗の形の蓋ものの蓋などはわりとよく見かけるのですが、今回のこれは、蓋のあるもののなかでも重箱の類と思われます。

古伊万里陶片重箱

↑この写真は高台(底部)を上にして立てて撮っています。ロクロで薄手に創られていますが、口縁部もきっちりと仕上げられているので、逆さでもきれいに立ちました。

江戸時代には、重箱に料理を詰めて行楽に出かける楽しみがあったということで、佐賀県立九州陶磁文化館の資料にも、19世紀につくられた円形や方形の重箱がいくつもあります。

佐賀県立九州陶磁文化館図録

(※佐賀県立九州陶磁文化館 平成6年度特別企画展「よみがえる江戸の華―くらしのなかのやきもの―」を参考にしています。)

この手の重ね箱は、料理用のお弁当箱としての重箱だけでなく、化粧道具入れとしてつくられたものもあるようで、今回の陶片がそのどちらだったのかは定かではありません。

陶片の大きさから考えて、それほど大きな重箱とは考えにくいので、もしかしたら、お化粧道具入れとしての重箱だったのかもしれません。

薄手ですっきりと立ち上がった品の良い形。高台際のかっちりとしたつくり。そして文様の丁寧さ。贈りものとして特注されたものかしら、などと想像が膨らみます。