5月は桃居(とうきょ)さん。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

5月は西麻布の桃居(とうきょ)さんで
藤吉憲典 作陶展。

写真は最近三回の桃居さんでの個展案内状。初めて個展の機会をいただいたのは2005年でした。それから1年おきに機会をいただいています。こうしてあらためて見てみると、近年は「箱」というテーマがつくり手・藤吉憲典のなかにひとつ大きくあったのがわかります。

桃居さんのオーナー広瀬さんは、わたしが最も尊敬する方のお一人です。いつも静かにつくり手を信じて受け入れてくださる、とても大きな方です。お仕事でやり取りをさせていただくなかで、「姿勢・行動で示す」ということのすごさを毎回感じさせてくださる方です。

初めてお伺いしたころ、桃居さんでは磁器の作家はほとんど扱っておられませんでした。それでも常設で扱いながら、つくり手の成長・変化を見守ってくださっていました。そんなこともあって、藤吉憲典にとって桃居さんでの個展は、毎回「どれほど成長したかをご覧いただくための機会」なのです。

もうすぐ、2017年5月の個展案内状が出来上がる予定です。出来上がり次第、こちらでもご紹介いたします。

桃居さんでの藤吉憲典作陶展は、
2017年5月26日(金)~5月30日(火)です。

 

 

 

ロンドン個展へ発送完了。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

藤吉憲典のロンドン個展に向けた発送が完了しました。

海外発送はなかなか慣れず、毎回緊張します。何度も確認していても、書類に不備はなかったかしら、梱包は万全だったかしらと、先方に無事届いたという連絡が来るまでは、落ち着きません(汗)

ロンドンへの作品発送も、箱はいつもの増田桐箱店さんです。

やきものは割れものなので、とにかく割れないように!が第一です。梱包方法や材料もいろいろと検討しますが、ここ数年は強さと柔らかさを併せ持った桐箱の保護力に頼ることことが多いです。

桐材の特性に加え、箱の形や蓋の在り方など、箱屋さんが的確な提案をしてくださるので、とても助かっています。海外の方にも日本の桐箱文化の機能美を感じて楽しんでいただけるのではないかな、そうなるといいな、と思いながらの梱包です。

 

藤吉憲典ロンドンでの初個展。
Sladmore Contemporaryにて5月3日より開催です。

Londoncraftweek On 3rd May, @Sladmoregallery exhibits work by master ceramicist @ceramicartist_KensukeFujiyoshi .

 

藤吉憲典の作陶の様子。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

藤吉憲典の作陶の様子を撮った動画が完成しました。

昨年の夏から撮りはじめて、ようやく完成しました。今回の撮影・編集をすべて担当してくださったFilmmaker日浦さんのおかげで、藤吉憲典の磁器制作のイメージがわかりやすく伝わるものができあがったと思っています。ありがとうございます。

藤吉憲典のつくったものをお手元に持ってくださっている方々、これから手に取ろうとしてくださっている方々、皆さんに、そのモノの背景を少しでもお伝えし、楽しんでいただけるといいな、と思っています。

 

蕎麦猪口倶楽部アドレスちょっぴり変更。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

ネットショップ蕎麦猪口倶楽部のアドレスを、ちょっぴり変更しました。

蕎麦猪口倶楽部 https://hanamatsurigama.com

http:// → https:// に変わりました。常時SSLと呼ばれる、インターネット上のセキュリティ対策に対応しました。http://hanamatsurigama.com からも自動転送されるようになっていますので、今まで通りのアクセスでも大丈夫ではありますが、念のためお知らせまで(^^)

あわせてトップページのスライドショーに使っている写真も入れ替えてみました。

「ロクロ」「削り」が終わって「素焼き窯」に今から入ろうとしている蕎麦猪口生地の並んでいる写真や、本窯からあがったばかりの蕎麦猪口の集合写真など、蕎麦猪口好きにはたまらない(!?)写真を入れております。

これから夏に向かって、お素麵や冷やしうどんなどにも活躍する蕎麦猪口。おかげさまで、ただいまつくり手・藤吉憲典の制作状況がたいへん混んできております。「このときに使いたい」とイメージがお決まりのお客さまは、お早目のご注文をお待ちしております!

 

 

津屋崎陶片ミュージアム:H29041801墨弾の蓋もの

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

津屋崎陶片ミュージアム:墨弾(すみはじき)の蓋もの。

幕末と思われる「蓋もの」の蓋の陶片です。幕末の蓋もの、よく見つけます。蓋は、表も裏もちゃんと絵付されているものが多くて、程好いサイズ感で形も可愛らしいものが多く、完品で出てきたら使いたいといつも思います。

碗の陶片だけだとそれが蓋ものの身なのか、もともと碗だけのものなのかわかりにくいのに対し、蓋の陶片は「これは蓋もののフタだ!」と分かりやすい。というわけでなんとなく、幕末の蓋ものの蓋だけがたくさん上がっているような錯覚をもちます。

墨弾(すみはじき)」と呼ばれる技法で絵付されたものです。

津屋崎陶片ミュージアム

墨弾とは…生地に墨で文様を描き、その上から呉須(ごす:染付の藍色を出す絵具)を塗ると、墨に含まれる膠(にかわ)分によって墨の上の呉須がはじかれて、これに釉薬をかけて焼くと、墨は焼き飛ばされて白く抜けた文様となります。(佐賀県立九州陶磁文化館図録 柴田コレクションⅥ より)

 

花祭窯の庭にも春。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

花祭窯の庭にも春がきています。

一昨年、お友達でありガーデナーであるガーデンアルテさんに設計施工していただいた庭。四季それぞれ花が咲くように設計してくださっているので、常に新しい発見があって楽しんでいます。

花祭窯

春の花が咲いたり新芽がたくさん出てきたりする景色に、「暖かくなってきた」を視覚で感じる今日この頃。

古来からやきものの文様には、草花・動物・気象現象など自然の美しさが多様に描かれてきているのですが、古典の文様に学ぶだけでなく、こうして「今、目の前にある自然の美しさ」を日々体感することが、制作に意識的・無意識的に反映されることをあらためて感じます。

 

 

 

村上隆著『創造力なき日本』。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

久しぶりに、村上隆さんの本。
『創造力なき日本-アートの現場でよみがえる「覚悟」と「継続」』(角川書店)

2012年10月が初版ですので4年以上前の本になりますが、巻頭の「はじめに」に書かれている著者の「憂う」状況は、いまだ日本を覆っているように思いますし、そうそう簡単に変化するものでもなさそうです。

読みながら、とても真っ当なことをおっしゃっていると思いました。「自分は嫌われている」ということを本のなかでもたびたび書いておられますが、ほんとうのことを言ってしまうから、嫌がられてしまうのですね。

目次からいくつか抜粋すると(順不同です)

  • 「仕事」と「夢」を混同するな!
  • 芸術家における「成功」とは何か?
  • 「続けていくこと」と「戦略」の重要性
  • 形なくして心は伝わらない
  • 受け手に対するサービスの精神
  • 教えられることと、教えられないこと
  • 「何を残すか」ということ

などなどなど…

ともあれ、モノづくりをなさっている方で「結局、趣味の域を抜け出せずにその創作活動を終える」ことになりたくない!と思っている方には、ご一読をお勧めします。ここに書かれていることが全てだとは思いませんが、知っておいたほうがいい考え方だと思います。

 

 

花祭窯の仕事場の様子を伝える。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

ロンドン個展を控えて、現地のギャラリーから「工房やギャラリーの様子の写真が欲しい」と言われ、あわてて撮っています。

花祭窯の仕事場の様子を伝える。

お客さまにとっては、これもまたつくり手・藤吉憲典の世界観を構築しているものの一つとして、楽しんでいただける要素になるのだなぁと、感じつつ。

ただ、あらためて仕事場のなかを見渡してみると、まあひどく雑然として人様にお見せできるような状態ではなく…。ふと天井を見上げたところお見せできそうだったのが、これ。

工房は築90年ほどの木造建築で、立派な柱や梁があります。この歴史ある環境でものづくりができるのは、ほんとうに恵まれたことであると、住むほどに実感しています。

建具もガラスもほぼ昔のままなので隙間風がビュービュー吹くし、窯のある場所は昔の「おくどさん」(いわば台所)で土間づくりなので、冬は底冷えがします。

この写真の梁(はり)、ここに工房を移転してきたときは、低く天井が貼られて見えない状態になっていました。天井が高いと寒いから、あとから塞いでいたのですね。

その、あとから塞いだ部分を取り払って出てきたのが、この梁。

この梁が出てきたときは、思わず歓声を上げました。この景観のなかに身を置いて仕事をすることのできる贅沢を体感しています。

 

津屋崎陶片ミュージアム:H290405002~注ぐ器。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

津屋崎陶片ミュージアム、注ぐ器。

津屋崎陶片ミュージアム

ぱっと見、酒器と思ってしまうのは、我が家でのこの手の注器の用途がほぼお酒用であるから、という声が聞こえてきそうです(笑)

注ぎ口のついたものには水注や急須、土瓶などもありますが、ついている位置や形からして、これは酒の注器と思われます。

内側にも釉薬がきれいにかかっています。蓋がかぶさる口の部分もきれいに仕上がっていて、とても丁寧な作りです。そのつくりに対して、絵付がなんともおおらかなのは、ご愛嬌。

津屋崎陶片ミュージアム

17世紀末から18世紀初頭あたりのものでしょうか。お酒一合ほどの可愛らしいサイズです。

 

 

津屋崎陶片ミュージアム:H290405001~磁器の重箱

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

津屋崎陶片ミュージアム、磁器の重箱。

津屋崎浜に上がってくる陶片に、碗の形の蓋ものの蓋などはわりとよく見かけるのですが、今回のこれは、蓋のあるもののなかでも重箱の類と思われます。

古伊万里陶片重箱

↑この写真は高台(底部)を上にして立てて撮っています。ロクロで薄手に創られていますが、口縁部もきっちりと仕上げられているので、逆さでもきれいに立ちました。

江戸時代には、重箱に料理を詰めて行楽に出かける楽しみがあったということで、佐賀県立九州陶磁文化館の資料にも、19世紀につくられた円形や方形の重箱がいくつもあります。

佐賀県立九州陶磁文化館図録

(※佐賀県立九州陶磁文化館 平成6年度特別企画展「よみがえる江戸の華―くらしのなかのやきもの―」を参考にしています。)

この手の重ね箱は、料理用のお弁当箱としての重箱だけでなく、化粧道具入れとしてつくられたものもあるようで、今回の陶片がそのどちらだったのかは定かではありません。

陶片の大きさから考えて、それほど大きな重箱とは考えにくいので、もしかしたら、お化粧道具入れとしての重箱だったのかもしれません。

薄手ですっきりと立ち上がった品の良い形。高台際のかっちりとしたつくり。そして文様の丁寧さ。贈りものとして特注されたものかしら、などと想像が膨らみます。