染付牡丹文蕎麦猪口・藤吉憲典

立てば芍薬座れば牡丹~知ると楽しい文様のこと

こんにちは。花祭窯の番頭役ふじゆりです。

6月25日(土)からはじまる熊本SUNNYさんでの
『藤吉憲典 蕎麦猪口展』を存分に楽しんでいただきたいので、
今日からしばらく文様について小話を展開してまいります。

これまでにご紹介したのはこちら。

●松竹梅~知ると楽しい文様のこと


蕎麦猪口の文様は楽しい

上の写真の蕎麦猪口の名前は、
染付外濃牡丹文蕎麦猪口(そめつけ そとだみ ぼたんもん そばちょこ)。

※豆知識
外濃と書いて「外ダミ」。
絵付の絵具である染付の藍色で塗りつぶすことを「ダミ」といいます。
この文様は、牡丹の花の外側を塗りつぶしてあるので「外ダミ」。

牡丹の花は富貴の象徴

やきもので牡丹のデザインと聞いてぱっと思い浮かぶものは

牡丹唐草文(ぼたんからくさもん)

牡丹唐草文 藤吉憲典

かも知れません。

立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花。

牡丹も芍薬も、花だけ見るととても区別がつきにくいのですが、
やきものに描かれているものは、おおむね牡丹と解釈されています。

その理由は、やきものが中国の影響を受けたものであること。
中国では唐の時代から牡丹の花は富貴の象徴であり、百花の王としてとして人気の高い花なのです。

ですから、同じように華やかに描かれた花でも、縁起を担いで「牡丹」と解釈。

上に紹介した牡丹唐草文のほかにも、岩牡丹文(いわぼたん)、牡丹繋文(ぼたんつなぎ)、短冊牡丹文(たんざくぼたん)など、さまざまに描かれています。

牡丹が文様になっている蕎麦猪口はこちら。

 

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。