藤吉憲典が作る染付の蕎麦猪口

ぐるりと一周~知ると楽しい文様のこと

こんにちは。花祭窯の番頭役ふじゆりです。

7月3日(日)まで開催中の熊本SUNNYさんでの
『藤吉憲典 蕎麦猪口展』を存分に楽しむ!をテーマに
文様について小話を展開しております。

これまでにご紹介したのはこちら。


和食器には「正面」があることが多く、
どこが正面なのかは、器の形や文様の向きで判断されるのですが
今回ご紹介の蕎麦猪口のように、
ぐるりと一周同じ文様の繰り返しになるものもあります。

うえの写真は左から

  • 染付網文蕎麦猪口(そめつけ あみもん そばちょこ)
  • 染付芝垣文蕎麦猪口(そめつけ しばがきもん そばちょこ)
  • 染付寿字文蕎麦猪口(そめつけ ことぶきじもん そばちょこ)

いずれも「どこが正面か」はほとんど気にする必要が無いので、
器を使うときも置くときも、気楽です。

染付網文蕎麦猪口

魚をとる網の文様。
そこから大漁への願いのこめられた縁起文様のひとつです。
古伊万里の時代から人気の文様で、
網のなかに魚を描き、大漁の喜びを強調したものもあります。

 

染付芝垣文蕎麦猪口

これもまた、古伊万里の時代から描かれている定番文様です。
なんの変哲も無い垣根が文様になる面白さ。
もともと自然や景色(山水)だけでなく生活風景や道具までもが文様になる肥前磁器
蕎麦猪口に美しくデザインされた垣根には、江戸時代の陶工たちのセンスが感じられます。

 

染付寿字文蕎麦猪口

文字もまた、文様の題材として人気。
なかでもこの「寿」は「福」と並んで喜ばれるおめでたい文字です。
「寿」のついたものだけでも相当数の文様のバリエーションがあり、
お祝い事を喜ぶ気持ちの大きさを感じさせます。

今回ご紹介している「寿」字は篆書体(てんしょたい)風にデザインされていて、
ぱっと見では「寿」と読めなかったりもします。
実際に江戸時代の陶工たちのなかには文盲の人も多かったといわれており、
字というよりは絵あるいは記号としてとらえられていたようです。
蕎麦猪口の文様の面白さ、ぜひ現物を手にとってご覧くださいね(^^)


藤吉憲典 蕎麦猪口展
2016.6.25(土)-7.3(日)

Bistrot & Bar SUNNY
熊本市中央区水道町4-39-2F
TEL096-355-4188

月曜定休

営業時間
火/木/金:18-26時
水/土/日:13-16時18-26時

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯(はなまつりがま)の内儀(おかみ)であり、Meet Me at Artを主宰するアートエデュケーターでもある、ふじゆり のブログです。