染付の蕎麦猪口

続・蕎麦猪口のこと。

こんにちは。ふじゆりです。

引き続き蕎麦猪口のこと。

蕎麦猪口ってなに?

蕎麦猪口が最も盛んに作られたのは、江戸時代中期から後期
蕎麦やうどんが庶民の食文化として広まるタイミングで、蕎麦猪口も広まっていきました。
もともと小さな碗や小鉢が「猪口」と呼ばれていて、
蕎麦やうどんのつけ汁を入れる器、つまりお蕎麦用の猪口だから「蕎麦猪口」。
ところが江戸の当時には、まだ「そばちょこ」とは呼ばれていなかったようです。

猪口(ちょく・ちょこ)の語源は諸説あり、
中国語で盃(さかずき)の意味を持つ「鐘(しょう)」の発音から派生したという説が有力です。
「猪口」の漢字をあてたのは、器の形がイノシシの口に似ているからとか。

江戸時代当時の猪口は、小鉢や小碗の総称でサイズ・形・用途もさまざまでした。
料理を盛る、汁物を容れる、飲み物を飲むなど。
そうした猪口のなかから、蕎麦を食べる際の出汁を入れるに程好く、
蕎麦湯を飲むのに勝手の良いサイズ・形のものが蕎麦猪口と呼ばれるようになっていったようです。

なるほど、蕎麦猪口の用途が広く使い勝手の良い理由がわかりますね。

蕎麦猪口、どう使ってますか?

我が家でも、蕎麦などの出汁入れとしてはもちろん

●お茶・コーヒーを飲むとき
●焼酎お湯割りでもロックでも
●小鉢として和え物や汁気のあるものの盛り付け

など、常に蕎麦猪口が食卓にあります。

お客さまからは、ゼリー・プリンなどの冷果や茶碗蒸しなどの調理にもちょうど良いとのお声も。
そのまま食卓に出せるのも便利なのですね。

先日は、お世話になっている信金の担当者さんがお見えになり
「うちの支店の湯飲みがもう古くて汚くなってて・・・」と。
聞けばお客さま用の湯飲みが欲しいけれど、最近はコーヒー出すことも増えてきたということだったので、
どちらにも使える蕎麦猪口をおすすめしたのでした。

宝珠蕎麦猪口 藤吉憲典

蕎麦猪口だと一般的なお茶托のサイズとバランスがいまひとつなので、
うちは木製の銘々皿に載せてお出ししていますよ、と見ていただきました。
また、夏は冷たいものをお出しすることもあるということでしたので、
そういう場合には布製のコースターなどでも合いますよ、とお話したところでした。

 

と、とにかく使い勝手の良い蕎麦猪口。
ずぼらなわたくしは、蕎麦猪口に日々助けられております。

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。