一汁一菜(いちじゅう いっさい)。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

昨日「立冬が過ぎ」と書いたばかりでしたが、
ここ福岡でも、朝が冷え込むようになってきました。

朝は温かいお味噌汁。

が嬉しい季節です。

我が家は長いこと「朝はホームベーカリーのパンとコーヒー」だったのですが、
今年に入って、漢方医の先生とたくさんお話しする機会があり、
あらためて「食養生」ということを考えた結果たどり着いたのが

朝食は一汁一菜。

というわけで、ごはん・味噌汁・お漬物 の朝食です。

厳密には「一菜」にはお漬物は入らない、とする向きもあり、
だとするとおかずが一皿必要なのか?となりますが
そこはまあ、都合よく解釈することにして(笑)

ごはん・味噌汁・お漬物の朝食をはじめて、
おいしいうえに、合理的でもあると感じています。

朝ご飯をゆっくり食べる時間がとれないときでも、
お味噌汁さえあれば、すぐに体が温まります。
以前「お味噌汁は、飲む点滴」という話を医療関係者の方から聞いたことがありました。
そういえば起き抜けであまり食欲がわかないときでも、
温かい味噌汁を少しとると、体が目を覚ますような感じがします。

うちは晩御飯の時は削り節でお出汁をとることが多いのですが、
朝は常備している「昆布と椎茸の出汁」を使えば短時間でできます。
前の晩から水に昆布と干し椎茸を入れて置いておくだけ。
冷蔵庫に常備しておけば、いつでも使えて便利です。

漬物は、ぬか床のなかから取り出して切るだけ。
かわいらしい小皿豆皿にお漬物、
お気に入りのごはん茶碗にアツアツご飯でご機嫌です。

このお手軽さ!
最初に「食養生」と書きましたが、じつはお手軽さという面からも
一汁一菜朝食、おすすめです。

<耳より情報>
ごはんとお味噌汁とお漬物について、深い考察をなさっているサイト。
創業400年の日光たまり漬の上澤梅太郎商店「上澤の朝食」では、
一汁三菜のルーツなどについても知ることができます(^^)
http://www.tamarizuke.co.jp/uwasawa/index.html

風炉から炉へ。お茶のお稽古。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

風炉から炉へ。お茶のお稽古。

今日は月に数回のお楽しみ、お茶のお稽古に行ってきました。
11月になると釜をかけるのが「風炉(ふろ)」から「炉(ろ)」に変わります。

立冬を過ぎ、肌寒くなってきたところに、炉。
火(炭)の位置が客の席に近くなり、なんとなく暖かい感じがします。
ちょっとした道具の位置の変化も、おもてなしの配慮なのですね。

さて、道具が変わると、点前作法も変わります。
今年の春から濃茶のお点前を修業しているわたくし、
風炉の手前も覚えないうちに炉に変わり、気もまた新た。

とはいえ茶道のお稽古において「変化」は日常茶飯事。
季節だけでなく行事や設定によって、道具も作法も微妙に変わります。
なので、物覚えの悪さを自認するわたしは、南方流に入門するにあたり決めました。

茶道を頭で覚えようとせず、体に染みつくまでやろう。

果たして何年、何十年かかることやら気の長い話ですが、
そう最初に決めたので、お稽古中に作法を途中で忘れても間違えても、笑顔。
教えてくださっている先生方には、出来の悪い生徒で申し訳ないところでありますが‥。

ただ、頭で作法を覚えていなくても、心がけできることがあります。
それは、一つ一つの所作をできるだけ丁寧に、できるだけ美しく、と心がけること。

元来せっかちでバタバタと大雑把な性格なので、
この心がけをしていくだけでも、自分にとって大きな精神修養になると信じています。

実際のところ、気持ちが整っていると、お点前がひととおり終わるまで
「丁寧に美しく」の心がけを持続することができますが、
雑念があると、お点前の最中にこの心がけを持続することさえ難しいのです。

さて本日、自分なりには丁寧で美しいお点前を心がけることができました。
毎回あたたかく見守り、根気強く指導してくださる先生方、先輩方のおかげです。
感謝。

11月は大相撲九州場所。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

11月と言えば、大相撲九州場所。

九州場所の相撲観戦が我が家の年中行事に加わって早8年目。
今年もこの季節がやってまいりました。

「相撲は美しい」

これは2010年発刊のPenの特集号表紙のコピーです。

相撲を観に行く楽しみは、贔屓の力士の応援だけではありません。
実際に本場所の会場に足を運ぶようになって、
ほんとうに相撲は文字通り美しいと感じます。

そのひとつが、土俵と土俵まわりの美しさ。
本場所のたび丁寧に手仕事でつくられる土俵の美しさと、釣り天井の風情
その下に控える審判員の親方たちの姿。

次に、呼び出しや行事の方々の衣装
相撲観戦の日は朝から会場に入るのですが、
結びの一番に向けてだんだんと位が上がり衣装が豪華になっていく
その変化の面白さを見るのも楽しみなのです。

そして土俵入りで見られるお相撲さんの化粧回し
色とりどりに華やかな化粧回しのお相撲さんがずらりと並ぶさまは圧巻です。
土俵入りの様子はテレビ中継でも映されますが、ぜひ生で見てもらいたいひとつ。

さらに、なんといっても所作の美しさに見られる形式美。
横綱土俵入りはもちろん、取り組みのたびに繰り返される仕切りも
実際に足を運んでみると、ひとつひとつ目を離すことができず
あっという間に時間が過ぎてしまいます。

個人的には、故・先代九重親方の横綱千代の富士時代の土俵入りが
(子どもの頃でしたのでテレビでしか拝見したことはありませんでしたが)
とても美しく、実際に見ることができたらどんなに素晴らしかっただろうと思います‥。

結びの一番終了後の弓取り式も素晴らしい。
このころになると客席を立って帰りはじめる人も多いのですが、
最後まで見ないともったいない儀式です。

もちろん、お相撲さんの取り組みの姿自体が美しい、もあると思いますが、
それを取り巻く装飾的な要素。ここに美しさの愉しみがあると感じます。
大相撲は日本の伝統美をあちらこちらに垣間見ることのできる空間だと思います。

一度ぜひ、足を運んでみませんか(^^)

陶芸の近現代史から見た、位置。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

毎晩、寝る前の15~30分は本や雑誌を読む時間です。
子どもが生まれてからずっと「寝る前の読み聞かせ」をしていた、
その流れで習慣になったもの。

短時間の読書ですが、わたしにとっては、なかなか意義深い時間です。

昨晩の読書を終わって思い立ったのは

陶芸の近現代史から見た
磁器作家・藤吉憲典の立ち位置。

を検証してみよう!ということ。

読んでいたのは、2016年10月26日のブログでご紹介した
村上隆さんのスーパーフラットコレクション展図録

のなかで繰り広げられていた

桃居オーナー広瀬一郎さんと村上隆さんによる陶芸対談。

広瀬さんの作成された「生活陶芸の時代区分」の表は、
なるほどとってもわかりやすく、ああそういうことか!と合点。

明治時代からの陶芸史についての分析では
昨年(2015年)佐賀有田の九州陶磁文化館で明治有田超絶の美の展覧会に伴う
鈴田由紀夫先生の講演会で聴いた「国策としての明治有田」の話がよみがえり。
現代の工芸界における「クールジャパン」が明治時代の国策と重なって見え、
思わず苦笑したのを思い出しました。

そしてなによりも、このお二方の陶芸対談は、自分たちが窯を独立した時期が
どういうタイミングだったのか、背景にあったものをバックアップしてくれるものでした。

対談で解説されている明治時代以降の動きを整理したうえで、
これから来たる2020年代からの30年の動きを考えたとき、
自分たちがここ数年目指してきた方向性は、
広瀬さんや村上さんが言っていることと、たまたま合致している。かも(笑)

そんな面白い発見もありました。

陶芸の近現代史。
興味ある方は、ぜひ村上隆さんのスーパーフラットコレクション展図録
後ろのほうにある対談をチェックしてくださいね!

蕎麦猪口デザイン170種!

こんにちは。花祭窯・蕎麦猪口倶楽部 店主・ふじゆりです。

蕎麦猪口倶楽部(そばちょこくらぶ)でご紹介する蕎麦猪口。
文様170種になりました!

蕎麦猪口倶楽部 http://hanamatsurigama.com/

2001年メールマガジン「ふじゆりの蕎麦猪口蒐集」でスタートした蕎麦猪口プロジェクト。
150種を超えてからは、ゆったりのんびりの新作づくりで進んでまいりました。
が、ついにその文様数170種類になりました。

そもそも江戸時代に広まった蕎麦猪口の文様の数は数百とも数千ともいわれていて、
それを「写し」で復刻するだけでも気の遠くなるような仕事になるわけですが、
つくるからには

「古伊万里の文様を踏襲しながら、古臭くないデザインにアップデート」

しなければ、現代作家として作る意味がないというところで
ダンナ/磁器作家の藤吉憲典のセンスと腕の見せ所でした。

言うは易く(わたし)、行うは難し(つくり手であるダンナ)。

あらためて170種の蕎麦猪口を眺めてみて、つくり手の技量・器量に感謝です。
そして、ここまで続けてこれている背後には、なんといっても
藤吉憲典のつくる蕎麦猪口を楽しみにしてくださるお客さまの存在があります。

江戸時代に蕎麦猪口文化を築いてくれた肥前陶磁の先人たち、
今の世で、蕎麦猪口の愉しみを追及してくださる方々、
そしてその橋渡しとなる蕎麦猪口をつくる現代のつくり手。

ほんとうにありがとうございます!

さりとて、文様170種類は通過点のひとつです。
これからも、少しづつ増えていきますので、どうぞお楽しみに(^^)

↓藤吉憲典の蕎麦猪口170種はこちらでチェック↓

蕎麦猪口倶楽部(そばちょこくらぶ)

 

2016年11月、見に行きたいやきものの展覧会。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ) ふじゆりです。

今日から11月。文化の秋ですね。

この11月、特に見に行きたいやきもの関連の展覧会が3つ。

まずは

大阪市立東洋陶磁美術館
朝鮮時代の水滴 文人の世界に遊ぶ

水滴。書道具のひとつです。

企画展の案内に
『愛らしく 美しい、その小さき 粋の宇宙。』
とあります。

硯(すずり)に水を注ぐ水滴は、小さいながらも(小さいからこそ!?)
手の込んだつくり、絵付を施された名品がたくさん。
その姿かたち・文様銘文には、文人の理想や願望が込められています。

ちょうど最近、ダンナが龍の硯と水滴をつくったところで
文人の道具の面白さをあらためて想っていたところにこの企画展。

↓下の写真は磁器作家・藤吉憲典作の青磁の龍の硯(左)と水滴(右)。

青磁龍硯青磁龍水滴

大阪に足を運べたらいいな~と思いつつ。
大阪市立東洋陶磁美術館の水滴展は11月27日(日)まで。

ふたつめは

佐賀県九州陶磁文化館の特別企画展
日本磁器誕生

九州陶磁文化館は、今年有田焼創業400年事業の一環で
特別企画展を実施しています。

現在開催中の「日本磁器誕生」(11月27日まで)では
日本磁器400年の歩みと美を実感できる展示が行われているといいます。
その後は「日本磁器の源流」(12月9日より)として
中国磁器との相互の影響にスポットを当てての展覧会。

いずれも肥前磁器の仕事にかかわるものとしては、
有田焼の歴史の流れを学びなおす良い機会になるはずです。

佐賀は近いので、行かねば!と思いつつ。

みっつめは、この有田焼創業400年事業の一環でもある

九州国立博物館・文化交流展示室でのトピック展示
古伊万里 旧家の暮らしを彩った器

ホームページでの紹介には
「公家、大名家、豪商ゆかりの作品と、欧州の城館や宮殿を彩った名品を紹介し、
国内と海外それぞれの暮らしを彩った古伊万里の特徴や魅力の違いに注目します。」と。

花祭窯では今まさに、海外のお客さまと、国内のお客さま
それぞれがお持ちの、やきもの(磁器)への期待の違いを感じているので、
先人たちの通ってきた道は、とても興味深いものです。

が、会期は残り少なく11月6日(日)まで。

興味のある方、お時間のある方は、ぜひ足を運んでみてくださいね!