読書『人間の絆』(新潮文庫)サマセット・モーム

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『人間の絆』(新潮文庫)サマセット・モーム

カメリアステージ図書館の新刊棚に文庫を発見。令和3年11月1日発行となっていました。今更ながらではありますが、名作は何度も文庫で新刊として蘇るのですね。写真は、小説の舞台のひとつであるロンドン、テムズ川。

サマセット・モームの本は『月と6ペンス』を読んで以来です。『月と6ペンス』は、画家ゴーギャンがモデルとされるストーリー。個人的な読後感としては、たしかに衝撃は大きかったものの、「ゴーギャンだから」という前提(わたし自身の思い込み)が、プラスにもマイナスにも働いてしまった感じがしていました。

『人間の絆』は1915年に発表された長編で、自伝的小説とされています。『月と6ペンス』より後に出たのかと思っていましたが、『人間の絆』の方が先でした。分厚い上下巻に引き込まれて、どんどん読みました。ただ、ワクワクしてページをめくるのが楽しいという感じではありません。主人公の劣等感や、それと表裏一体となった自意識過剰、プライドの高さが生む滑稽さ無様さが自分自身と重なり、目を逸らしたいのにできない、という感じ。

モーム=月と6ペンス、という印象でしたが(というか、それしか読んでいませんでしたが)、どうやらモームの代表作と言えば、本書『人間の絆』なのだろうな、と思った読書でした。