読書『水木しげるのラバウル戦記』(ちくま文庫)水木しげる

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『水木しげるのラバウル戦記』(ちくま文庫)水木しげる

ご存じ「ゲゲゲの鬼太郎」の水木しげる先生の戦記物。水木しげるさんが戦争で南方に行かれたこと、そこで片腕を失ったこと、『ラバウル戦記』はじめ戦争に関するものをいくつか書いて(描いて)いること。知ってはいたものの、ちゃんと読んだのは今回が初めてでした。

淡々と書かれているからこそ、考えさせられました。さまざまな不条理に対する水木二等兵の素朴な感想を読むほどに、状況に惑わされずものごとをそのまま見ることのできる人の強さを感じました。特に心に残ったのが「植物や石は平穏に暮らしているのに、なんで人間だけがのたうちまわらねばならんのだろうと思った。」の一文。ほんとうに、なんで人間だけが、と思います。

それにしても、現地でのスケッチをたくさん持って帰ってくることができたというのも、奇跡的に感じます。本書をテーマとした展覧会があってもよいだろうなぁと思いつつ。