わたしの読書ベスト30-ひとことコメントその3。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

わたしの読書ベスト30-ひとことコメントその3。

先日張り切ってアップした「わたしの読書ベスト30-小説編。」。その後、あれも入ってない、これも入れ忘れたと続々とベスト30候補のタイトルが思い出され、心のなかで謝罪している今日この頃です。一度書き出したことによって、記憶の奥底にあるものがのそのそと出てくる面白さを感じています。

本日はひとことコメント16位から23位まで。


16.サロメ(原田マハ)
17.サロメ(オスカー・ワイルド)
18.恋(小池真理子)
19.バックミラー(星新一)
20.妊娠カレンダー(小川洋子)
21.変身(カフカ)
22.15の夏(佐藤優)
23.蟹工船(小林多喜二)

同じタイトルの『サロメ』、わたしは原田マハさんの『サロメ』を読んでから、続けて本家本元のオスカー・ワイルドを読みました。この順番は、わたしにとっては正解でした。マハさんのストーリーでオスカー・ワイルドその人への興味が高まったところで本人の書いた本を読むことで、行間の深読みが出来たような気がします。

小池真理子さんの本は、実はほとんど読んでいません。最初に(たぶん最初だったと思います)読んだ『恋』のおどろおどろしさに、もういいかな、と思っちゃったのですね。一冊で、小池真理子ワールドお腹いっぱい。ただ、読んでいる最中は本を閉じることが出来ずに、一気に読んだのを覚えています。

星新一さんにハマったのは小学生の時。学校の図書室にあったのだと思います。短編集を読み漁っていました。彼の描くSF的世界観は、ときにコメディチックで面白く読めるものがほとんどであった印象なのですが、ときに振り返って空恐ろしくなるようなものもありました。数あるショートショートのなかで心に残っているのが『バックミラー』。この世界観のイメージは、いまだにカラー版で脳内再生されます。

つづいて小川洋子さん。『博士の愛した数式』ももちろん読みましたし、興味深いお話ではありましたが、わたしのベストは『妊娠カレンダー』。ママレードを大量に作り続けるくだりがなんとも気持ち悪く、それでいてなぜかわかるような気もして、そんな自分をも気持ち悪く思いながら読んだのでした。

カフカの『変身』を初めて読んだのは、10歳ごろだったと思います。「朝起きたら巨大な虫になっていた」という設定は、比喩的なストーリーとしてではなく、奇妙なリアリティをもって迫ってきました。とても他人ごととは思えず、「自分がそうなった時」を想定しながら読んでいました。大人になったあとも何度か読んでいますが、初めて読んだ時のような恐怖は無く。

『15の夏』は、私小説と位置付けて良いのかな、と思いつつランキングに入れました。知の巨人・佐藤優氏の本は何冊も読んでいますが(読んでも読んでも追いつきませんが)、実用書が圧倒的に多いなかにあって、一層この本の輝きを感じます。いろいろな意味で新鮮さを感じた本でした。

そしてなぜかここにランキングした『蟹工船』。「日本のプロレタリア文学の代表作」とされますが、プロレタリア文学のなんたるかは、わたしにとってはよくわかりません。ただただ、蟹工船の吐き気をもよおすような痛み・苦しみだけが印象に残っています。あ、そういう意味では『あゝ野麦峠』も同じです。こう考えると、日本の文学作品からのベスト30入りがもっと出てきそうです。


さあ、次回で30位までのコメントが揃います!

↓1位から5位までのコメントはこちら↓

↓6位から15位までのコメントはこちら↓

わたしの読書ベスト30-ひとことコメントその2。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

わたしの読書ベスト30-ひとことコメントその2。

先日張り切ってアップした「わたしの読書ベスト30-小説編。」。ベスト30をアップしてから、こうして数日たってくると、さらに『注文の多い料理店』が入ってなかった!『雨ニモマケズ』も失念してた!となり、自分に呆れております。実のところ『注文の多い料理店』は、必須でした。

とりあえず、1位から5位までのひとことコメントその1を出しましたが

本日は、6位から一気に15位まで。


6.グレート・ギャッツビー(フィッツジェラルド)
7.神の火(高村薫)
8.黄金を抱いて翔べ(高村薫)
9.照柿(高村薫)
10.人間失格(太宰治)
11.お父さんのバックドロップ(中島らも)
12.優しくって少しばか(原田宗典)
13.ひとまねこざる(H.A.レイ)
14.風にのってきたメアリー・ポピンズ(P.Lトラヴァース)
15.超老伝-カポエラをする人(中島らも)

『グレート・ギャッツビー』も、わたしのなかの「読んでいなかった名作を」シリーズです。この切なさ、狂気、登場人物の「ダメさ加減」への共感は、先述の『アンナ・カレーニナ』に近いものがあります。

7.神の火8.黄金を抱いて翔べ9.照柿高村薫。大阪でサラリーマンをしていたころの上司が「このハードボイルドがおすすめ!」と教えてくれたのをきっかけに、はまりました。このあと『マークスの山』や『レディ・ジョーカー』などが出てくるのですが、わたしのなかでは、特に初期の『神の火』『黄金を抱いて翔べ』の2冊が最高傑作です。ひとつには、当時法人営業職で歩き回っていた大阪のビジネス街のこと細かい描写と、大阪の特定のエリアがもつ陰鬱で怪しい雰囲気が、まさに日々目にしていたそのままで、たまらなかったのですね。

『人間失格』。ほんとうはこの本は1位なのかもしれないのですが、1位に入れるのが癪なので、10位にもってきました。小学校高学年から大学生の頃までほぼ毎年、繰り返し読んでいたと思います。読むたびに自分の受け取り方が変わるのが面白かったのです。太宰=ダメ男のイメージはずっと変わりませんが(笑)。

中島らもは『お父さんのバックドロップ』『超老伝-カポエラをする人』。らもも一時期読みまくりましたが、わたしにとってのベストはこの2冊です。切なくて涙が出てくる前者と、笑い過ぎて涙が出てくる後者。どちらも「らも」そのものです。

30年ほど前によく読んでいた原田宗典が、ここ数年読みまくっている原田マハと兄妹であるという衝撃の事実を知ったのは、つい先日のこと。わたしにとって原田宗典といえば『優しくって少しばか』なのです。

絵本『ひとまねこざる』は、シリーズがたくさん出ていますね。わたしが幼少期読んでいたのは『ひとまねこざる』『ひとまねこざるときいろいぼうし』『じてんしゃにのるひとまねこざる』の三冊。単純に「カワイイ」とだけ言ってはいられないおさるのジョージのキャラクターが好きでした。

実のところ『風にのってきたメアリー・ポピンズ』は、わたしにとってオカルト的な本でした。ちょっと怖い、気持ち悪い、だけど目を離すことが出来ない…という感じ。指をポキポキと折って、飴として子どもたちに与える場面など、とても恐ろしく。挿絵は素敵なのですが、頭のなかでイメージする場面は生々しかったものです。


今回は同じ著者のものが複数含まれましたので、一気に15位までコメントで振り返ることが出来ました。30位まであと2回くらいでできそうかな、と思います♪

わたしの読書ベスト30-ひとことコメントその1。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

わたしの読書ベスト30-ひとことコメントその1。

先日張り切ってアップした「わたしの読書ベスト30-小説編。」

30位までを出したその直後から「あ、柳美里が入ってない」とか「藤本ひとみ1冊だけ?」とか自らに突っ込みを入れております。幼少期から今までの読書にランキングをつけるのは至難の業ですね。今回はまず1位から5位までの顔ぶれについて一言コメント。


  1. くまのプーさん(A.A.ミルン/石井桃子訳)
  2. プー横町にたった家(A.A.ミルン/石井桃子訳)
  3. 楽園のカンヴァス(原田マハ)
  4. 日の名残り(カズオ・イシグロ)
  5. アンナ・カレーニナ(トルストイ)

まず『くまのプーさん』『プー横町にたった家』(A.A.ミルン/石井桃子訳)。上の写真は、くまのプーさんの表紙です。これはもう間違いなく、わたしのワン・ツートップです。「石井桃子さん訳」版、限定です。初めて読んだのは小学校低学年の頃だったと思いますが、そのストーリーや、キャラクターの魅力、挿絵の素晴らしさはもちろん、言葉選び・言葉遊びのセンス・楽しさに夢中になりました。わたしの「日本語」に大きな影響を与えた本です。

原田マハさんの本はたくさん読みましたが、わたしにとっては『楽園のカンヴァス』がダントツのベスト本です。この本を読んで、アンリ・ルソーの画に初めて意識が向き、アンリ・ルソーの描いた絵の数々と彼の生き様の存在感が、わたしのなかで大きくなりました。そういう存在を持つと、人生は豊かになりますね。それを体感させてくれた本です。

続く『日の名残り』は、これまた数あるカズオ・イシグロ作品のなかで、わたしにとってのダントツベスト。いつでもすぐに、この世界観のイメージを思い浮かべることが出来ます。モノクロームというか、セピア色というか。そんな雰囲気がどうやらわたしは好きなようです。

そして『アンナ・カレーニナ』。わたしの「読んでいなかった名作を」シリーズのひとつです。アンナはじめ登場人物のそれぞれの「弱さ・ダメダメさ」が、ひしひしと自分事に思われてくる本でした。国も時代背景も、今の自分の人生とはまったく縁の無いものでありながら、激しく共感する不思議。圧巻の物語力を感じた本です。


1位から10位まで書こうかと思っていたのですが、「ひとこと」が長くなりました。今回は5位までということで。後日に続きます♪