読書『図書館の外は嵐』(文藝春秋)穂村弘著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『図書館の外は嵐』(文藝春秋)穂村弘著

いつものカメリアステージ図書館新刊棚。中身はまったく予想がつきませんでしたが、タイトルと表紙の装丁に惹かれて迷わず手に取った一冊です。小説のようなタイトルですが、書評集。いえ、書評集という言い方も正しくないような気がします。本書の表紙にあるように「穂村博の読書日記」というのが、そのまま正解です。

図書館で借りたときは気づかなかったのですが、表紙の画は、ヒグチユウコさんでした。道理でスーッと惹かれたはずです。有無を言わせない世界観。そしてこれがまた、本書にぴったりなのです。

さて、著者の穂村弘氏は、歌人・詩人。本書内での読書記録は「×月×日」というように、日記形式で進みます。そこで紹介される本は、タイトルだけでなく、引用文も紹介されているのですが、その引用に、「ことば」への鋭い感覚があふれています。感覚的に合う合わない(あるいは好き嫌い)がはっきり分かれるかもしれません。わたしは、とても興味をそそられました。

読書日記に登場するのは、小説はもちろん、詩集、歌集、漫画と多彩です。セレクトの視点も面白い。そして繰り返しになりますが、ご本人が歌人=言葉を生業にする人であるだけに、ことば・言葉の組み合わせへの鋭い反応がとても興味深いです。本書内で紹介されているものを、ひとつづつ、読んでいきたいと思います。

BCP策定について、商工会でお勉強。

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BCP策定について、商工会でお勉強。

なんでもかんでも横文字になったり略称になったりして、ついていくのに必死(あるいは、ついていけていない)な今日この頃、商工会のスタッフさんから「BCPの策定」についてご案内をいただきました。

BCP = Business Continuity Plan。訳すると「事業継続力強化計画」。

平たく言えば、「なにかあったときに、事業をできるだけ滞らせることなく継続するための、あるいは一日も早く通常業務に戻れるようにするための、事前準備の計画」と、理解しています。事業規模の大小を問わず、あった方がいいプラン、いえ、本来なければならないもの。福津市商工会では、定期的にいらっしゃる中小企業診断士の先生が、BCPに関しても個別に相談に乗ってくださるということで、まずは「イロハ」を学びに行って参りました。

実のところ、これは、事業を始めたときからずっと頭にあったことではありました。リスクマネジメントの一環として、必要性は頭にあったけれども、後回しになって手を付けていなかったもの、です。近年になって「BCP」なる単語となって広がりつつあるのは、自然災害の甚大化、コロナ禍などが、大きな要因のよう。中小機構さんにBCPの専用のサイトもオープンしており、国の力の入れようが伝わってまいります。

ともあれ、気になっていたことにきちんと目を向ける良い機会となりました。「認定制度」なるものもあります。そこで認定されたからどう、ということでは無いとは思いますが、認定制度化することによって、評価基準=計画に含めるべき項目がはっきりと示されることが、自力で計画を立てようとする場合にとても役に立ちます。

わたし自身「どこから手を付けたらいいかなぁ」という状態でしたが、なんとなく作れそうな感触を得ることが出来ました。まずは実際にプランを書き出していきたいと思います。商工会さんにお世話になりましたので、きちんと結果を示さねばなりません。こんなふうに、「やらねば」の環境を作ることが一番ですね。

文月半ばの花祭窯の庭。

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文月半ばの花祭窯の庭。

昨日~今日と、銀座黒田陶苑さんでの個展に向けて、作品の発送準備をしています。いつもはお客さまを迎える花祭窯の露地に面した和室は、この間、梱包作業部屋に変身。割れ物を扱い緊張が続くなか、ふと外に目を向ければ、すっかり緑の濃くなった露地の草木が目に留まります。

柘榴

ここ数カ月、話題の中心となっている我が家のザクロは、その姿がすっかり「柘榴の形」になってまいりました。10個以上咲いた花も、風で落ちるなどして、実になりつつあるのは、今のところ3つほど。1つでも実になれば上出来だな、と思いつつ。

タカサゴユリ

昨年他所から飛んできて、花をつけたタカサゴユリは、今年はさらに勢力を拡大中です。つぼみが目につき始めましたので、7月のうちに開花するかもしれません。ヤマユリとカノコユリは、いつものようにゆっくりペース。

花祭窯の庭

そして今年は例年より約1か月早く、サルスベリの第一弾が咲きました。毎年、ご近所のサルスベリがお終いになったころに咲く、我が家のサルスベリ。意外な早咲きに、思わずオオっと声を上げてしまいました。

サルスベリ

花祭窯の前にある駐車場の花壇スペース(に勝手にしました)では、ゴーヤ、食用ヒョウタン、ミニカボチャが順調に伸びてきています。

花祭窯の庭

緑を愛でたら気分もリフレッシュ。無事梱包作業も目途が立ち、ひと仕事完了です。

読書『この道の先に、いつもの赤毛』(早川書房)アン・タイラー著/小川高義訳

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読書『この道の先に、いつもの赤毛』(早川書房)アン・タイラー著/小川高義訳

我が家では、九州福岡のローカル紙・西日本新聞を購読しています。未だ「紙」版重視です。電子版も使ってはおりますが。西日本新聞では、毎週土曜日に書評面「読書館」が見開きであり、毎週末の楽しみです。

ひと月ほど前だったでしょうか。その書評面で読んだうちの1冊に、本書がありました。そのときは「面白そうな本」だと感じたのみで、探すには至らず。それがつい先週、図書館の新刊棚に並んでいるのを発見。わたしは本のタイトルを覚えるのは苦手なのですが、書評で読んだタイトルと、タイトルの裏話が面白かったので、珍しく覚えていました。

これは縁があるのだろうと、さっそく借りて参りました。やさしい文章で、サクサク読み進み、週末の一日で読了。なんてことのない、ある四十男の日常と、彼の現在の恋と、過去の恋のお話。読みはじめてすぐに、主人公のイメージがなぜか歌舞伎役者・尾上松也氏の姿に脳内変換されました。作者アン・タイラーさんはアメリカ人で、主人公もまたおそらくアメリカ人。年齢的には主人公よりも松也氏の方が若いのですが…。

ともあれ、なんだかとてもやさしい読後感の残る小説でした。こういうものを読んだのは久しぶりかもしれません。新聞で目にした書評にはストーリー概要も載っていたはずですが、覚えていたのはタイトルだけで、逆にもし概要を覚えていたら、手に取らなかった本だったかも、と思いつつ。こういう選び方がたまにあることで、読書傾向の固定化が防げそうです。

今週末7月16日初日です-藤吉憲典個展@銀座黒田陶苑。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

今週末7月16日初日です-藤吉憲典個展@銀座黒田陶苑

個展案内状が届きました!とアップしてから、あっという間に一か月が経過しておりました。久しぶりの銀座黒田陶苑さんでの個展は、今週末が初日です。DMの発送は早めに完了し、先週あたり、お客様のお手元に届いているようです。「〇日におじゃまします」というご連絡もちらほらいただいております。ありがとうございます。

今回の黒田陶苑さんでの個展は、ご来場日時予約制ではありませんので、開催期間中ご都合の良いときに、いつでもご来場ください。

さて花祭窯では、現在まさに本窯焼成中。この窯が上がったら、今回の展示作品がほぼ出そろいます。先々週から、桐箱やさんに来ていただいて作品の採寸と箱発注をしたり、出来上がったものから通し番号をつけて作品リストを作成したり、ざっと写真を撮ったりと、発送準備を少しづつ進めています。明日は桐箱が納品される予定で、一気に梱包作業まで進むはずです。

個展の作品発送準備は確認作業の繰り返し。リストの入力ミスはないか、桐箱の作成漏れは無いか。梱包作業も緊張の連続。包み方のノウハウは25年積み重ねてきたとはいえ、割れ物を扱うのに「慣れる」という感覚はあまり無く、何度やっても神経を使います。ギャラリーさんまで無事に届けることが使命で、「問題なく届きました」のご連絡をいただくまでは、ドキドキです。

すでに作品のいくつかは、藤吉憲典の公式インスタグラムでご紹介をはじめています。お気に入りが見つかりましたら、それをお目当てに、ぜひ会場に足を運んでいただけると嬉しいです。

https://www.instagram.com/ceramicartist_kensukefujiyoshi/


-なつ そめつけ-
藤吉憲典個展

2022年7月16日(土)-7月21日(木)
※18日(月)は定休日。

午前11時-午後7時

銀座黒田陶苑アネックス
東京都中央区銀座6-12-14銀緑館2階

TEL03-3571-3223

銀座黒田陶苑 藤吉憲典個展

読書『エリザベス女王 史上最長・最強のイギリス君主』(中公新書)君塚直隆著

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読書『エリザベス女王 史上最長・最強のイギリス君主』(中公新書)君塚直隆著

サブタイトルがすごいな、と思いつつ。またまたエリザベス2世。祝・女王在位70年プラチナ・ジュビリー!と意図したわけではありませんが、マイブームは継続中です。先日、見てきたドキュメンタリー映画も、とても興味深かったのでした。

本書は、エリザベス女王(2世)の人生をなぞることで、彼女と英国王室の歩みを振り返るだけでなく、現代史(世界史)をも紐解く手掛かりになる1冊です。映画でも感じたことでしたが、近現代史を知るためのひとつの視点として、とても興味深く、わかりやすいと思いました。

本書を読んで、これまで読んできた本、見た映画の内容が、どんどんつながっていくのを感じました。

例えば、チャーチル

サッチャー

もっと遡って、英国王家の歴史

連合王国としての英国と各国との関係

などなどなど。

映画『エリザベス女王陛下の微笑み』を見ていたので、その映像と、本書の文字情報とが、うまい具合に合致する部分が多々。我ながら良いタイミングで読んだなぁ、と思いました。それにしても、見たり読んだりするたびに、その人物の奥深い魅力にどんどん引き込まれます。すごい方です。

エリザベス女王-史上最長・最強のイギリス君主 (中公新書)

「ふくつのね in 博多阪急」に、花祭窯も参加します。

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「ふくつのね in 博多阪急」に、花祭窯も参加します。

博多阪急さんでのイベントに参加します。ことのはじまりは5月下旬のことでした。いつもお世話になっている、津屋崎千軒なごみの管理者・ひかりのみちDMO福津さんが「花祭窯さんは、百貨店でのイベントとかお声掛けしても大丈夫ですか?」と声をかけてくださいました。

詳しくお話を聞いてみると、地域振興目的ではあるものの、「物産展」ではなく「ライフスタイル提案」として、地域のものづくりの人・モノを紹介したいということ。また、単発的なものでは無く、継続的に展開できるようじっくり取り組もうとしていることがわかりました。共感すること少なからず、第一回目の今回、参加させていただくことにいたしました。


【ふくつのねin 博多阪急】

■期間
令和4年7月27日(水)~8月2日(火)
10:00〜20:00 ※最終日のみ18:00 閉場

■場所
博多阪急1 階メディアステージ

■催事に関する問い合わせ 092-461-1381 (博多阪急 代表)


花祭窯からは、藤吉憲典のアート作品を10点ほどお出しいたします。期間中博多駅近辺にお越しの方は、ぜひお立ち寄りくださいませ。

塗香(ずこう)はじめ。

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塗香(ずこう)はじめ。

塗るお香で塗香(ずこう)。パッとイメージしたのは源氏物語の世界。自分が使うようになるとは、ほんの少し前までまったく思ってもいませんでした。

もともと香りを身に着けるのはあまり得意ではなく、香水はもちろん、香水より軽めのコロンも、上手に使えません。なんなら化粧品だけでなく洗剤も、香りのあるものは苦手。アロマオイルを使うことはたまにありましたが、知見が必要なので、必要最低限の使い方になり…という具合でした。

そんなところへ「塗香」という選択肢が現れました。お香は、花祭窯でお客様をお迎えするときに使っていますし、お茶の席でも必ず登場するもの。蚊取り線香だって、蚊除けのお香ですから、わたしにとっては、ふだんから身近なものです。そういえばほんのいっとき「匂い袋」を持ち歩いていたこともありましたが、それもすっかり忘れていました。

塗香は粉末状のお香で、少量を直接手や身体に塗って使います。もともとは心身を清める目的で作られてもので、お坊さんが身に着けるものであったとか。邪気払いに用いられる白檀をベースに作られるのだそうです。

さてこのたびわたしが手に入れたものは、やはり白檀をベースに、沈香、丁子、桂皮などがブレンドされたもの。お香やさんで嗅いでみて気に入ったのは、どうやら沈香の香りだったようです。ややスパイシーな感じもするのは、さまざまな生薬を調合しているから。香りの効果だけでなく、なんとなく心身に良い影響がありそうな気がして、嬉しくなる単純なわたしです。

実際に塗香を使い始めて最も気に入ったポイントは、香水のように香りが長く残ることがないので、気軽に身に着けることが出来ること。ほとんど気になりません。塗るというよりは、粉末を擦り込む感じで、それがまたお清めっぽい感じだなぁと自己満足しています。ともあれまだ使い始めたばかり。暑い夏の清涼剤的な役割を期待しつつ、です。

出来ない自分をすんなりと受け入れることが出来る、お茶室。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

出来ない自分をすんなりと受け入れることが出来る、お茶室。

昨日はお茶のお稽古でした。博多の禅寺・円覚寺で南方流に入門しています。コロナ禍で2年間のお休み期間を経て、今年の3月からようやく再開したお茶のお稽古。「ウィズコロナの新様式」は、お茶のお稽古においても同様で、南方会でもいくつもの新たなルールが設けられています。ですから前とまったく同じにはなりませんが、再開から3か月を過ぎてようやく、「お茶のお稽古のある日常」が戻ってきた実感をかみしめつつあるところです。

わたしにとって、お茶のお稽古に出かけることは、お点前の作法を倣うこと以上の大きな意味があることを、あらためて実感しています。タイトルの「出来ない自分をすんなりと受け入れることができる」は、昨日のお稽古でつくづくと感じたこと。

お稽古に足を運ぶことが出来なかった2年間、薄茶を点てていただくぐらいのことは、自宅で一人でもできることと、頭ではわかっていても、できませんでした。やっと花祭窯のお茶室徳り庵に座ることが出来たのは、お稽古が再開してから。

そんなことをおしゃべりしていたら、先生がポツリと「いえいえ、わたしだってそうですよ、気持ちが向かないときはそういうものです」とおっしゃってくださいました。そして、先生もまたお稽古が休みの間にお点前についての考え方をまとめようと思い、時間もたっぷりあったのに、結局まったく手を付けることが出来なかったのだとおっしゃいました。

実はその間、先生が入院闘病なさっていたことを、その場にいた人は、皆知っていました。にもかかわらず、そのことには一言も触れず、わたしたちが安心できる空気を作ってくださったお心遣い。その場にいたみんなが、「お稽古できるはずだったのに、しなかった自分」を責めるではなく、そのままに認めることが出来たように思います。

この一件はわかりやすいエピソードですが、このような場の空気が常にあるのが、円覚寺でのお茶のお稽古。できない自分を素直にそのまま受け入れることができる場所であり、そんな自分を温かくも厳しくも受け入れてくださる先生方がいらっしゃることが、とてもありがたいのです。

マジックアワーだらけの津屋崎浜。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

マジックアワーだらけの津屋崎浜。

マジックアワーって?と若い友人に尋ねたら「朝とか夕方、空の色の変化がとってもきれいな時間帯」というように教えてもらいました。なるほど、皆がスマホでいつでも気軽に写真を撮れる時代。「今一瞬」の空の美しさを逃さずに収めることが、比較的容易に出来るようになりましたから、このような言葉が一般化してきたのでしょうね。

つい最近までガラケー使いだった我がダンナ・藤吉憲典も、スマホに変えてから使っている数少ないアプリのひとつがインスタグラムです。ここ津屋崎浜で毎朝の散歩が日課のダンナ。ずっと、朝の景色の美しさを一人でも多くの人に伝えたい!と思っていたそうで、その気持ちを実現できるようになっています↓

https://www.instagram.com/kensuke.sanpo/

↑身近にある「自然の美しさと、古いものの美しさ」こそが創作の源泉という、その一端を垣間見ることが出来るインスタです。ときどき浜辺に上がっている陶片も写っているのが、肥前磁器作家・藤吉憲典ならでは。

ありがたいことに、花祭窯の立地は「ちょっと外に出たら海」という場所にありますので、居ながらにしてマジックアワーの恩恵に与っています。夕方、外の色がちょっと気になったときは、そのまま海沿いの道路まで出ると、目の前に美しい風景が。

津屋崎浜より

津屋崎浜より

↑写真2枚は、そんなある日に撮ったもの。下の写真では、飛行機が飛んでいます。ぶらぶらと海岸沿いの道を散歩して10分ほど。自然の生みだす美しいものの力にはかなわないなぁと、いつも思います。