選書ツアーで選んだ本が到着しました!

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

選書ツアーで選んだ本が到着しました!

カメリアステージ図書館の選書ツアーに参加したのは、9月のことでした。

12月頃にどの本を買い入れるか決定すると思います、という司書さんのお話でしたが、ずいぶん早くご連絡をいただくことが出来ました。今年度は1人当たり2冊しか入れることが出来ませんでした、と、電話口で申し訳なさそうにおっしゃいましたが、いえいえ、1冊でも自分が選んだ本が図書館に入るというのは、ありがたく嬉しいことです。

選書ツアーから3カ月近く経つと、自分がどのような本を選んだものか、すっかり忘れていました。今回わたしのセレクトから、図書館に入れていただけるのは上の写真の二冊。

イギリス王室1000年の歴史 新装版(株式会社カンゼン)指昭博著

『原郷の森』(文藝春秋)横尾忠則著

『イギリス王室1000年の歴史』は、写真や図(地図・年表・家系図など)が豊富で、読みやすくまとめられています。2021年発行なので、本書内ではまだエリザベス女王であり、チャールズ王太子ですが、英国を通して近現代を俯瞰するのにぴったりです。

もう一冊は、小説の形をとった、横尾忠則の芸術論。520ページの大作です。選書ツアーに参加した時期、わたしがちょうど横尾忠則の記事を執筆していたために目に留まったのですね。イラストレーター、画家、そして小説家として活躍する氏の、芸術観を垣間見ることが出来るはずです。

二冊とも、読みこむのはこれから。一人でも多くの方に図書館で手に取っていただけるよう、しっかり読んで、ポップを作ります^^

読書『「幸せの列車」に乗せられた少年』(河出書房新社)ヴィオラ・アルドーネ著/関口英子 訳

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読書『「幸せの列車」に乗せられた少年』(河出書房新社)ヴィオラ・アルドーネ著/関口英子 訳

読書記録が続きます。記録に付けていないものも含めて、このところ隙間時間にやたらと読書が進むのは、頭を使う仕事からの反動と言いましょうか、逃避と言いましょうか。読んでいるのがすべて小説の世界であることに気づけば、リラックスを求めて本を読んでいることがわかります。昨日はフランス、今日はイタリアの著者による物語です。

さて『「幸せの列車」に乗せられた少年』。第二次世界大戦後のイタリアで実際に行われていたという、南部の困窮家庭の子を北部の裕福な家庭へと一時的・避難的に連れていく活動。その子どもたちを乗せる列車が「幸せの列車」と呼ばれていたのだそうです。史実をもとに創作された物語であり、実在した人物や組織の名前が、敬意をこめてそのまま使われていたりします。

とても考えさせられるお話でした。社会における政治の役割とは何か、その担い手は誰か、誰のための政治か。ファシズムか共産党かという時代のイタリアの、現代史の一側面です。著者は1974年生まれ。イタリアナポリ生まれで、ナポリにそのような歴史があったことを知り、書かなければと思ったようです。

主人公の少年の想い、彼が成人してから向き合う母への思い。「幸せの列車」によって救われた子どもたちがいたことは、紛れもなく尊いことでありながら、すべてのケースにおいて良い事業であったとひとくくりにはできない現実の複雑さ。なにが正解かなんて誰にもわからず、そのなかでも自分の信じる活動に力を尽くすしかない、それぞれの善意。

「靴」についての記述がたびたび登場します。その靴はどんな靴なのか。足に合っているのか、自分のものではなく誰かのものなのか、履けば靴擦れができる靴なのか、ちょっと手を入れたら足にぴったり合う靴なのか。靴が暗喩するものを、考えれば考えるほどに、切なくなるストーリーです。

読書『赤いモレスキンの女』(新潮社)アントワーヌ・ローラン著/吉田洋之訳

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読書『赤いモレスキンの女』(新潮社)アントワーヌ・ローラン著/吉田洋之訳

とても不思議な読後感でした。道端で拾ったハンドバッグの中身を見て、その持ち主を探し出そうとする主人公のストーリー。ふつうに考えたら、いやいや、交番に届けようよ!と言いたくなるところです。実際ストーリーのなかで主人公は交番に届けるのですが、忙しくて手続きをする暇がないから、一度持ち帰ってあらためて持ってきてくれ、という事態になるところから、「?」ではあります。持ち帰った主人公はそれを再度届けることなく、ハンドバッグの中身を手掛かりに、持ち主を探していく…という物語。

一歩間違えば、というか、十分にストーカー的な要素からスタートするのに、それが「これほどにも持ち主(=自分)のことを一生懸命に探してくれた人がいた」という感動にも似た結果をもたらすのですから、わからないものです。「大人のお伽噺」の評がついています。登場人物の生活や仕事など、メインストーリーを取り巻く環境はとても現実味がありながら、話の展開はたしかにおとぎ話的です。

最初は「?」と思った展開も、読んでいるうちに違和感がどんどん薄れ、ジ・エンドの頃にはすっかりお話のなかに入り込んでいました。本や書店が大切な鍵を握るモノ、場所として登場します。小説を書く人は、本や本屋さんや図書館が好きな人が多いのだろうな、と、今更ながらに思います。だからこそ、お話のなかで大切なモノ、場所として登場させる人が多いのかもしれない、と。

主人公に残された手がかりは、パトリック・モディアノのサイン本と香水瓶、クリーニング屋の伝票と、文章が綴られた赤い手帳でした。それらのモノを観察し、モノが語ることに耳を傾ける作業をつなぎ合わせて、持ち主に辿り着きます。読みながら、それぞれのモノが持つ雄弁さを思いました。

そういえば、少し前に読んだ桜木紫乃さんの『氷の轍』のなかにも、似たような描写がありました。そちらは殺人事件の捜査に行き詰まったときのアドバイスとして、遺留品をよく見ろ、そこにあるモノに必ず手掛かりがあるというような内容で、設定はまったく異なるのですが。

著者はパリ生まれ。道理で随所におしゃれな雰囲気が漂っていました。そしてなぜかわたしは読み終わるまで、訳者は女性だと思い込んでいました。訳者あとがきを読み終わって署名を見てはじめて男性だったのだと気がつき、驚きました。とてもやさしさを感じる素敵な日本語だったのです。同じ著者・訳者コンビの本がほかにも出ていましたので、ぜひ読んでみたいと思いました。

花祭窯の霜月の庭。

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花祭窯の霜月の庭。

枯れた草を取り払って、落ち葉を掃除したら、花祭窯の小さな露地が、すっきりしました。これまでにも書きましたが、今年は台風の潮風をたくさん浴びてしまって、葉っぱが枯れてしまうことが相次ぎました。そんななか、季節の到来に合わせて芽を出し、花を咲かせてくれる面々に、いつも以上に嬉しい気持ちがしています。

ツワブキ

ツワブキの黄色を見ると元気が出てきます。葉っぱの濃い緑とのコントラストがGOOD。

南天

台風で葉っぱが枯れてしまったナンテン。今年は無理かな、と思っていましたが、赤い実がつきました。

柘榴

今年はじめから一喜一憂していたザクロ。見事に実が成り、おいしくいただきました。

山茶花

サザンカもつぼみがつきはじめました。

マリーゴールド

そしてフレンチマリーゴールドは満開。庭師のお友だちによると、12月まで咲き続けるそうです。

読書『切手デザイナーの仕事』(グラフィック者)間部香代著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『切手デザイナーの仕事』(グラフィック者)間部香代著

子どもの頃の趣味に「切手集め」がありました。今もその名残の「切手帳」が3冊手元に残っています。小学校に上がる頃からだったと思います。自分宛てに届いた手紙の切手を切り抜くことからはじまり、家族宛てに来たものからも頂戴するようになり。わたしが子どもの頃はまだ手紙文化が残っていて、手紙のやり取りがなされていたからこそですね。

お小遣いをもらうようになると、使用済み切手ではなく、未使用の記念切手を求めて、切手を買うようになりました。少ないお小遣いのなかからの買い物ですから、1枚づつ。シートのものも、バラで少しづつ買っていました。たまにうちにいらっしゃるお客さまが「切手が好きって聞いたから」と、記念切手や珍しい海外の切手などをお土産に持ってきてくださることがあり、何よりうれしいプレゼントでした。いまだに手元に残っているものがあります。

というわけで、本書のタイトルを発見したら、手に取らないわけには参りません。「切手デザイナーっていう職業があるんだ!」という驚きとともに、ページを開きました。日本郵便の社員で、現在8名いらっしゃるということで、それぞれのデザイナーさんへのインタビューをもとに、本書は構成されています。

まず興味があったのは、どういう経緯でその職に就くことになったのか。8人8様で面白いです。切手デザイナーという仕事に対する想いやスタンスも、それぞれ。そしてそれぞれが手がけた切手の写真が載っています。見たことあるもの、使ったことのあるもの、今まさに手元に持っているものがたくさんあり、テンションが上がりました。

わたしは相変わらず切手が好きで、記念切手を買うのですが(収集用ではなく、実用に)、好きなデザインとそうでないものとがあり、当たり前かもしれませんが、好きなものしか買いません。でも「誰がデザインした切手か」という視点は、これまで全くありませんでしたから、不思議です。デザイナーがいるという観点が抜けていたのですね。本書を読んで、自分が好きな切手をデザインをした方がどんな方なのか、少し知ることが出来たのは、嬉しいことでした。

現在わたしにとっての一番のお宝切手は、1981年に発行された「英国王室チャールズ皇太子ご成婚記念」切手です。チャールズ国王と、今は亡きダイアナ元妃のツーショット。このときは、頑張って2シート購入したのでした。当時、日本での販売価格がいくらだったかは覚えていませんが、切手の額面は14ペンスと25ペンスが1組になっています。

なんてことを思い出しつつ、久しぶりに切手帳を開きつつ、楽しんだ一冊でした。

博物館リンクワーカー人材養成講座がはじまりました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

博物館リンクワーカー人材養成講座がはじまりました。

せっかくの機会なので、具体的な実践につなげていくための学びにしたいと、今年は自分なりに事前準備をいたしました。まずは、自分の取り組みスタンスを整理。

できる範囲での周辺知識の獲得。

連続講座第1日目は、九州産業大学の緒方泉先生による「博物館浴」研究の最前線の報告からスタートしました。そのなかでピンときたキーワードは次の通り。

  • 博物館に課せられる「ケアの義務」
  • 博物館法=社会教育法+文化芸術基本法
  • MUSEUM CHANGES LIVES
  • 博物館やギャラリーは、英国におけるウェルビーイング資源
  • 英国での取り組み Museum Health &Well-Being Summit
  • メンタルヘルスプログラム、MINDFUL MUSEUM
  • 感覚から科学へ
  • 博物館健康ステーション
  • 脳の仕組みの変化を追う
  • 回想法のキーワードは「共感」

これまで、社会教育法のうえに根拠を置いていた「博物館法」が、今年度から社会教育法にプラスして文化芸術基本法をも根拠とするように変わったという、日本の法令上の変化は、遅れ馳せ感はありながらも、きっと歓迎すべき変化なのだろうと思いました。

講座後半はグループに分かれて「語り場」タイム。久留米大学の学芸員課程を教えておられる先生、宮崎県総合博物館の解説員さん、下関市考古博物館の学芸員さんとご一緒させていただきました。宮崎県総合博物館では既に週3回、福祉施設と連携した回想法の開催をしているということで、実際の取り組みについてお話を伺うことが出来たのは、とても刺激になりました。

ロンドンの新しいガイドブックをゲット。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ロンドンの新しいガイドブックをゲット。

ずっと使っているロンドンのガイドブックが、だいぶヨレヨレになってきているのと、最初に手に入れてからずいぶん時間が経っているので、情報をアップデートした方が良いよね、ということで。あらためて手元にあるガイド本の発行日を見てみると、2012年でした。なんと10年も経っています。でも前回2019年に訪問した際も、この1冊でまったく問題なく、使いやすかったのです。その間情報アップデートの必要性を感じなかったというのは、すごいことですね。

そんなわけで、同じシリーズの後発版が無いかとネットで探して見ましたが、ヒットせず。このシリーズ自体が廃版になっていました。そうなると、やはり本屋さんでページをめくって探さねばなりません。どういうものが望ましいのか、言葉にするのは難しいのですが、ガイドブックとの相性ってありますよね。実際に手元で見てみないと、自分にとっての使い勝手の良し悪しを判断できないのです。

まず出かけた近所の本屋さんでは、海外のガイドブックの顔ぶれがとても少ないのに驚きました。コロナ禍で海外旅行どころではない期間が3年近くありましたから、無理もないことですね。棚の並びを見ながら、ガイドブックを出している出版社はここ数年たいへんだっただろうな、と、あらためて思いました。

近所の本屋さんで見つけられないときは、博多へ。博多まで行けば、紀伊國屋さんと丸善さんがあるので、百人力です。今回は、先日選書ツアーでお世話になった丸善さんへ。

ありましたありました!まずは数あるなかから、気に入るものを3冊選び、そのなかから発行年月日が最新のものを選びました。良いものを発見することが出来て、大満足。ガイドブック、見ているだけでテンションが上がります。ようやく海外旅行がスムーズにできるようになってきましたので、これからまた各地のガイドブックも最新版がどんどん出てくるのかもしれませんね。

十一月、風炉から炉へ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

十一月、風炉から炉へ。

昨日は、3週間ぶりにお茶のお稽古でした。お茶室に入ろうとして、ご挨拶をしたところで、目の前の景色に一瞬動きがストップ。なにかが違う、という感覚からお茶室をぐるりと見まわして、腑に落ちました。風炉から炉へと変わったお茶室の設えです。この変化が、十一月がお茶の新年であることを、毎年思い出させてくれます。

と同時に頭をよぎったのは、設えに合わせてお点前が変わることへの不安感。またイチからだ…と心の声が顔に出てしまったのでしょう、すかさず先生に「今日は皆さんいらっしゃるなりそんな顔をなさるんですよ」と笑われました。そして無言ながら「大丈夫よ!」と笑顔で頷いてくださる先輩方。皆さんの笑顔に後押しされて、お茶室に入りました。

窯の位置が変わる。たったそれだけのことなのに、あたふたしてしまう我が身の頼りなさです。現在わたしがお稽古をしているのは、奥点前のひとつ「盆点て」。設えが変われば、道具を置く位置が変わり、それに伴ってお作法の流れが少しづつ変わります。ひとつのお点前を1年間通してお稽古することで身に着けていくのですが、なかなか一筋縄には参りません。

いつもよりもさらに時間をかけて、一つ一つ確認しながらのお稽古となりました。春から続けてきた盆点てのお点前も、今月からまた新しいお点前のような気持で学び直しとなりました。ゆっくり取り組むことを受け止めてくださる環境に、心より感謝です。

福津市は今、「光の道」シーズンです。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

福津市は今、「光の道」シーズンです。

このところずっと快晴の日が続いているので、海に沈む夕陽も見放題(笑)な、津屋崎浜から宮地浜。10月下旬が見頃と言われていますが、なんのなんの、11月に入っても浜辺にはたくさんのカメラマンが待機しています。

ちょっと進むと、また違った角度の景色でこれもまた良し。

光の道

海辺を散歩がてらこの景色を見ることが出来るというのは、やっぱりこの地に住まうからこそのラッキー。たまには写真に撮ってみようかな、とスマホを取り出した次第でした。

そもそも光の道って?

こちらは、昨年の光の道シーズンの記事。

読書『朗読ワークショップ』(アーツアンドクラフツ)青木裕子著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『朗読ワークショップ』(アーツアンドクラフツ)青木裕子著

元NHKアナウンサーであり、退職後は朗読家として自ら「軽井沢朗読館」を設立し、軽井沢町立図書館顧問・名誉会長である青木裕子さんによる、朗読指南書です。上の写真は、その目次。ここを見ているだけでも、読んでみたい本、あらためて読みたい本が、いくつも上がってきます。

著者は元NHKアナウンサーですから、声を出して伝えることのプロ。その方が惹きこまれた「朗読」の魅力がストレートに伝わって参ります。朗読指南書と書きましたが、読後の印象としては、ノウハウ書というよりはエッセイといった方がぴったりくるような感じたいたしました。朗読の魅力が伝わってくるとともに、著者の人間的な魅力が伝わってきます。

本書はじめの約40ページで「基本」を学び、その後は「小説を朗読する」「詩を朗読する」「エッセイを朗読する」と、「実践」に誘われます。ノウハウ書っぽくはありませんが、ノウハウ的な記述ももちろんたくさんあり、「下読みでのチェック作業」「読み聞かせと朗読の違いは」「読み間違い回避対策とは」などは、特に具体的に役に立つだろうと思えました。

ただ、本書を読んでなにより良かったと思えたのは、「まず声を出して読んでみよう」と思えたこと。図書館が主催する音読の研修を受けに行こうと思いながら、なかなか機会を得られずにおりましたが、本書を指南書として、自分一人でも「読み・録音し・修正していく」ことは出来そうです。

本書のなかでは、じっさいに青木裕子さんが読んだものがテキストベースで載っており、対応する音声がQRコードから聴くことができる仕組みになっています。素晴らしい。さっそくスマホを手に、隙間時間で朗読の練習です♪