福岡市科学館で遊んできました!

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

福岡市科学館で遊んできました!

関西方面から福岡に来る友人を「ミュージアム接待」。月曜日ということで、美術館博物館は閉館しているところも多く、「どこか/なにか、おススメある?」と尋ねられたのがきっかけでした。

福岡市内の美術館博物館は、福岡市美術館・福岡県立美術館・福岡市博物館のビッグ3が軒並み月曜定休ではありますが、福岡アジア美術館は水曜定休のため、月曜日に足を運ぶことが出来ます。けれども、せっかくわたしに相談してくれたのだから、というところで、少し別の視点からいくつかおススメを出してみました。

そのなかで、友人のアンテナに引っかかったのが福岡市科学館。ここの学芸員さんとは、先の学芸員研修でご一緒したこともあり、展示に力が入っていることはお墨付きです。子ども向けコンテンツが充実していることは大前提の科学館ですが、大人にももっと足を運んでほしいとの思いが詰まった館だというお話を常々聞いておりました。実のところ、わたしも足を運んだことがありませんでしたので、この機会に同行することに。

博多からバスで約30分、六本松という学究的な地域にあります。目の前にバス停も地下鉄の駅もありますので、交通至便。建物は3階以上が福岡市科学館で2階には蔦屋書店が入り、1階はスーパーマーケットが入っているという、商業ビルです。外から直接科学館の受付フロアに到着するエスカレーターに乗れば、異世界に続く雰囲気もあって気分が盛り上がります。

上の写真は、エントランス。まだ入場券を購入する前ですが、既に展示コンテンツがスタートしており、面白くて足が止まりました。体験型の展示も多いと聞いていたので、荷物と上着をロッカーに預け、いざ。名誉館長は宇宙飛行士の若田さんということで、等身大の若田さんパネルにご挨拶。常設の基本展示室は「1.宇宙ゾーン」「2.環境ゾーン」「3.生命ゾーン」「4.生活ゾーン」となっています。

いやぁ、面白かったです。夢中で遊びました。途中、展示解説プログラムもあり、着席してレクチャーを聴くこともできました。化学記号が出てくるお話で、学生時代を思い起こしながら。平日でもこのようなプログラムがきちんと入っている配慮がありがたいですね。周りを見れば、子ども連れの方もおられましたが、ほとんどは大人で、一人の方もあればグループの方もあり。素晴らしいな、と思いました。

近所の友人(大人)が「何回行っても飽きない!一日遊べる!」と言っていたのを思い出し、深く納得。半日では時間が足りませんでした。関西方面から来た友人も、十分楽しんでくれたようすで、次回は一日コースにしたいと。一日コースにすれば、プラネタリウムのプログラム鑑賞を取り入れたり、さらに満喫できそうです。

科学系の館としては、佐賀県武雄市にある佐賀県立宇宙科学館がわたしのイチオシでした。こちらは建物・敷地の規模もかなり大きく、それこそ丸一日居ても時間が足りません。大がかりな設備もあり、修学旅行先としても人気が高い施設です。子どもが小さい頃に何度も通いましたが、結局すべてのコンテンツを制覇することはできませんでした。福岡市科学館は、佐賀の宇宙科学館に比べたら規模こそ小さいものの、「一日遊ぶ」にぴったりのサイズで、程好く知的好奇心を刺激してくれる場所です。

読書:家族と老いを考える2冊、『老後の資金がありません』と『あくてえ』。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書:家族と老いを考える2冊、『老後の資金がありません』と『あくてえ』。

天海祐希さんの主演で映画になった『老後の資金がありません』を観そびれていたところに、図書館の特集コーナーで原作を発見。

『老後の資金がありません』(中央公論新社)垣谷美雨著

主人公・篤子はドンピシャでわたしと同い年。生活環境は異なるものの、老親の介護はじめこの世代に共通する家族の問題の数々に、うなずきながら読みました。映画であればコメディとして笑い飛ばせたのかもしれませんが、本だからこそ迫りくる切実さがあって、気がつけば拳を握りしめて応援していました。

篤子の言うところの「50歳を過ぎた頃から」目につくようになった数々の現象(家族、特に夫の性格や癖)は、子育てがひと段落しそうだという安心感と反比例して現れるものかもしれません。文中にある彼女の「心の叫び」に対し、「わかる!わかるよ!」と心のなかで相槌を打ちました。たぶん彼女とわたしは性格的に似ているところがあるのだな、と思いながら。

なかでも篤子の「だが…それは強者の考え方だ。」のセリフ(心の声)が残りました。「自分は世の中の一部分しか見ないで、弱者のなんたるかを知らないまま一生を終えたのではないかと思うことがある。」というのは、読んでいるわたし自身に向けられた、深い反省でもありました。

これでもかと難儀な状態が降りかかりながらも、ストーリーは少し光が見えてくるところで終わります。安心とは言えないものの、少しはホッとして「ジ・エンド」を迎えることが出来ました。先に原作を読むことになったのは、かえって良かったかもしれません。そのシビアなストーリーを踏まえたうえで、映画(DVD)で大笑いしたいと思います。

対して、最後まで光が見えなかったのが、カメリア図書館の同じ特集コーナーにあったもう一冊。

『あくてえ』(河出書房新社)山下紘加著

著者の山下紘加さんは1994年生まれとありますから、わたしよりも20歳以上も若い方です。読みながら、近年社会問題化している「ヤングケアラー」という言葉が思い浮かびました。家族の問題は今や若者にとっても他人ごとではなく、あらゆる世代において切実になってきていることを、あらためて突き付けられました。

こちらも家族の問題てんこ盛りです。両親の離婚に、出て行った父親のお母さんの介護問題。当然お金の問題も出てきます。若い主人公がイライラしながら、どうしようもなく、現状を受け入れていくしかない様子が、閉塞感一杯に描かれています。

ストーリーの最後で、小説家を志している主人公が「小説は必ず終わりを迎えるし、良くも悪くも決着がつくのに、現実はそうではない。ずっと続いていくのだ。」と心の中で叫ぶセリフは、現代におけるこれらの問題の根深さを突き付けてきました。

『老後の資金がありません』では最後に見えた光が、『あくてえ』では見えず(むしろ悪くなるばかり)、トンネルに迷い込んだような感じでした。それでも読後感が悪くなかったのは、それが特別な人だけに起こる特別な問題ではなく、誰にでも降りかかる可能性のある現実的な問題として、ある意味淡々と描かれていたからかもしれません。

図書館の特集コーナーで偶然見つけた二冊。読んでよかった二冊です。

いろいろ、あちこち、情報集めと種まき。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

いろいろ、あちこち、情報集めと種まき。

今日は朝から博多方面へ。福岡商工会議所さんが主催する観光商談会に参加して参りました。2回目の参加です。前回は…と確認してみたところ、2019年。昨年もご案内を頂いていたのでしたが、コロナ禍下で参加を見合わせたのでした。

思えば前回この商談会に向けて具体的に準備をしたことが、肥前磁器の伝統工芸文化・技術を伝えていく方法のひとつとして観光視点でのアプローチもあり得るということを、きちんと考える機会につながったのでした。もともと伝統工芸の産地では、伝統工芸と観光とがセットになっているようなところがありますが、そういうものとは異なる方法、花祭窯だからこそできるやり方があることに気づいたのでした。

前回から4年を経て、旅行をする人々が旅先に求めるものが、どんどん変わっていることを、随所で印象付けられた商談会でした。例えば参加者を一覧したパンフレットを見ても、従来の柱である「飲食」「お土産」「宿泊」よりも、「体験プログラム」「アクティビティ」「鑑賞コンテンツ」といったジャンルが強調されているのは、新鮮に感じました。またそれらのジャンルにさまざまなプログラムがあり、一利用者としての目線で興味をそそられるものがたくさん。

さて今回は3社の方々と面談。それぞれに得意分野が異なられるため、お話をするなかで、さまざまな知見にふれることが出来ました。残念ながら観光マッチングという面では、成約しそうなものはありませんが、1社とは今後一緒になにかできそうなことがあるという手応えがありました。ここでいただいたご縁を生かせるか否かは、自分たち次第。いい形で何か成果を出せると良いな、と思っています。

というわけで、今回も福岡商工会議所さんにたいへんお世話になりました。お声掛けくださり、ありがとうございました!

蕎麦猪口全種類撮り直し。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

蕎麦猪口全種類撮り直し。

現在、オンラインショップ「花祭窯 蕎麦猪口倶楽部」でご紹介中の蕎麦猪口。1997年に窯を開いてからこれまでにダンナ・藤吉憲典が手がけた文様は170種を超えます。

蕎麦猪口倶楽部 https://hanamatsurigama.com/

昨年から、蕎麦猪口全種類をあらためて見直し、写真に撮り直すプロジェクトを進めています。25年の間に生まれた蕎麦猪口のなかには、途中、作家の考えで「これはもう一度デザインし直そう」となったものも少なからず。そんな変遷も経ての、現在の「藤吉憲典が作る蕎麦猪口」の顔ぶれを一覧できるように「作り、撮る」プロジェクトです。あ、写真はプロにお願いしましたので、正確には「撮ってもらう」ですね。

嬉しいのは、これまでその場その場の必要に応じて自力で撮ってきた蕎麦猪口の商品写真を、まとめて撮り直していただいていること。蕎麦猪口のご紹介をスタートしたころは、何枚撮ってもうまくいかず、ものすごく時間がかかっていたのでした。そして、時間をかけたからといって、完璧な写真が撮れたわけではなく。今回ようやくすべての顔ぶれを、プロの手による揃った美しい画像でご覧いただけるようになることは、わたしにとってひとつの夢が叶う喜びそのものです。

すべての蕎麦猪口の写真を差し替えるには、また少し時間がかかりますが、アップ完了次第、あらためてお知らせいたします。蕎麦猪口ファンの皆さま、どうぞお楽しみになさってくださいね。

雪が舞う日は、家のなかでじっくり仕事。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

雪が舞う日は、家のなかでじっくり仕事。

この冬一番の寒波とのニュースに戦々恐々。寒いの苦手なのです。でも佐賀の花祭に住んでいた時には、里山の自然はもっと厳しかったのでした。1月~2月には最低気温がマイナス5度なんてことは珍しくなく、雪が降ればあっという間に積もってなかなか溶けず、軒先には立派なツララが…という感じ。それに比べたら、津屋崎の冬は過ごしやすく。ちなみに上の写真は昨年の雪の日の様子。今回は気温は低いものの、それほど雪は積もっておりません。

とはいえ、強風と雪で外に出るのが危なさそうなので、お茶のお稽古をお休みして、事務仕事を片付けることに。花祭窯は個人事業主なので、ちょうど12月末決算を受けての確定申告準備シーズンで、やるべき仕事は盛沢山です。

まずは「To Doリスト」を作成。時間的に優先順位の高いものをまず済ませたら、そのあとは手に付けやすいものから黙々と。とにかくリストをひとつでも減らしていくことを自分に課していくやり方は、ふだんはまず「やりたい仕事」にゆっくり時間をかけることを優先しているわたしにとっては、ちょっとしたエクササイズのように感じられます。これはこれで達成感があって面白く。次々と達成感を味わうために、リストアップする仕事はできるだけ小さく分けて項目化するというのも、コツですね。

お天気という外部環境に合わせて仕事の仕方を自由に変えることが出来るのも、自営業ならでは。つくづくありがたい働き方だと思います。今週後半は外での仕事が入っているので、少しでも寒さが緩んでくれたらいいな、と思いつつ。

「Meet Me at Art 美術館同行サービス」の概要。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「Meet Me at Art 美術館同行サービス」の概要。

「美術館同行サービス」スタート。と書いたのは、昨年末のことでした。

自分の背中を押すために書いたのでしたが、さっそく友人数人から好意的なリアクションをいただき、「よし!やるぞ!」と勇気100倍に。尊敬するお友だちからの声援は大きな力になりますね。ご希望の方にすぐにでもご案内できるよう、具体的に組み立てていくことにいたしました。

以下、概要をつらつらと。


「対話型美術鑑賞」の技法を盛り込んだ美術館同行サービスです。観察眼を磨き、視野を広げ、自分の内側を覗き込む。そんな深い美術鑑賞体験をナビゲートいたします。別のアプローチとしては、ご希望により「回想法」の技法を活用した鑑賞法も可能です。どのような美術館体験をしたいか、ご相談により最適と思われる方法をご提案して参ります。

と書くと、なんだか堅苦しい感じがしますが、単純に「一人ではなかなか美術館に足が向かないから」「鑑賞した感想を誰かと分かち合いたいから」という理由でオーダーいただくのもウェルカムです。通常は常設展示での同行を想定していますが、このような場合は「特別展」での同行も検討可能です。

どこの館で行うかは、これもご相談によりますが、通常対象館と出張対象館の二つのパターンを想定しています。出張対象館では、既定の美術館同行サービスの料金に講師の旅費交通費が加算されます。

  • 通常対象館:福岡市美術館/福岡アジア美術館/福岡県立美術館
  • 出張対象館:福岡市博物館/九州国立博物館/ご相談により日本各地のご希望の館

基本的には、各館の常設展示室を使っての開催となります。特別展は人が多いことが想定され、ゆっくり鑑賞に集中することが難しいので。同行サービスは基本的にはマンツーマン、または2名様までです。3名以上の人数になる場合は「講座」扱いとなり、別プログラムとなります。時間は1時間半程度を基本としますが、ご相談により調整可能です。また複数回を組み合わせたプログラムにすることも可能です。

(2023年1月24日掲載→最終更新日1月26日)


とまあ、こんな感じです。まだまだ情報が足りない部分もあるかもしれませんので、これを基本に、随時加筆して参ります。料金については、個別にお問い合せ下さいませ。その他ご質問等、お気軽にどうぞ。

お問い合わせ先やアートエデュケーターのキャリアについては、下記のページをご参照くださいませ。

企画展『新原・奴山古墳群と集落』を観てきました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

企画展『新原・奴山古墳群と集落』を観てきました。

福津市のカメリアステージ歴史資料館には、世界遺産登録された新原奴山古墳群に関する展示室があります。コンパクトながら重要な遺物等を展示するための基準を満たす特別展示室がふたつ、その周りに回廊になっている展示スペース、そして机と椅子が備わり閲覧可能な書籍資料の部屋。図書館が2階にあるので、その行き帰りに覗くのに最適です。

展示スペースは広くはないけれど、所蔵している資料はたくさんあり、ときどきこのような企画展で展示解説をしてくださいます。

↓こちらは昨年度の「新原・奴山古墳群」関連の企画展↓

今回の展示では、「住」に焦点を当てられていました。個人的に気になったのは「カマド」。住居内にカマド跡がある「カマド付き竪穴住居」は、5世紀ごろに朝鮮半島からの渡来人によって、ここ宗像エリアに伝わったとされています。住居内に台所があって、そこで煮炊きしたものを食べる…一気に当時の生活が身近に感じられてきます。

可愛らしい「手づくね土器」の数々も目に留まりました。祭祀用に作られたと考えられるミニチュア土器。徳利とぐい呑でしょう、手で粘土をこねて作った感じがダイレクトに伝わってくる土器の姿は、素朴でほのぼのとしていました。古来、酒器は祭祀に欠かせない大切な道具であったことが、あらためて伝わってきます。

それにしても、古墳と集落の分布図を見るたびに、この地域にどれだけたくさんの人々が生活していたのだろうと、なんだか壮大な気持ちになります。須恵器の窯跡が、確認されているだけでも60基以上あるというのも、あらためて興味深く。

こうして企画展を拝見することで、自分たちの住む地域の歴史を振り返る機会があることは、とても嬉しいことです。遠方の博物館等にわざわざ足を運ぶというのではなく、住んでいる場所で、生活の一部になっている文化施設で、観ることが出来るのは、ほんとうにありがたいことです。

令和4年度福津市複合文化センター歴史資料館 企画展『新原・奴山古墳群と集落』は、令和5年1月5日(木)~2月27日(月)(火曜日・最終水曜日は休館)です。

津屋崎古墳群。
495号線沿いに現れる、津屋崎古墳群。

読書『仁義ある戦い アフガン用水路建設 まかないボランティア日記』(忘羊社)杉山大二朗 文・漫画

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『仁義ある戦い アフガン用水路建設 まかないボランティア日記』(忘羊社)杉山大二朗 文・漫画

アフガニスタンで用水路建設を続けた医師・中村哲先生と、それを支えるペシャワール会の活動を垣間見ることのできる本が、また一冊世に出ました。このブログで本書をご紹介できる嬉しさ。著者の杉山大二朗氏は、彼がアフガニスタンから日本に帰国して少し経った頃からの友人です。「やっと上梓しました!」と、喜びと安堵の混ざった顔で本書を届けてくれました。

中村哲医師がアフガニスタンで凶弾に倒れてから三年が経ちました。中村医師の葬儀の後に、魂の抜けたような、心ここにあらずの状態で、著者が我が家にいらっしゃったときのことを、はっきりと覚えています。そこから本書上梓に至るまでに、どんな経緯や葛藤があったのかは、容易にすべてを量り知ることはできません。けれども本書を手に、出版の報告にいらした表情を見て、わたしたちもまた、とても安心したのでした。

中村医師に関する書籍は、ご存命中から多数出ていましたが、お亡くなりになってからもなお、次々に出版されています。そんななかでの、ペシャワール会から派遣された現地ワーカーの一人であった著者による本書は、エッセイであり、漫画であり。これまでにないアプローチで、アフガニスタンでの中村医師の姿を垣間見ることのできる一冊です。

漫画という手法を取り入れることで、より読みやすくわかりやすく、一人でも多くの人たちに伝えたいという気持ちが伝わって参ります。読み終わってまず思ったのは、子どもたちにも是非読んで欲しいということ、そして、たくさんの言語に翻訳されて世界中に届けばいいな、ということ。国・宗教・文化を越えて大切なことが、中村医師の姿(行動)を通して伝わってくる本です。

本書を書き上げたことで、さらに書くべきテーマがあることに気がついたという著者の、次作も楽しみです。

『仁義ある戦い アフガン用水路建設 まかないボランティア日記』(忘羊社)杉山大二朗 文・漫画

卯年睦月の花祭窯の庭。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

卯年睦月の花祭窯の庭。

このところ曇りがちの日が続いていましたので、少しでもお日さまがのぞくとすっかり嬉しくなります。花祭窯の小さな露地には、メジロやヒヨドリが騒がしく飛んでくる季節となりました。この季節、庭に色を添えてくれるのはサザンカの濃いピンク色。そろそろ散り始めでもあり、地面もまた華やかです。

サザンカ

先月に比べると、やや色艶が落ち着いてきた感のあるサザンカ。それでもさすがの存在感です。

ひと月前にはまだ色のついていなかった蕾が色づいてきたジンチョウゲ。

お友だちからいただいたパンジーは、これからが楽しみです。

南天の赤い実も、残すところこの一枝。

スノーフレークの新芽がどんどん伸びてきました。

寒さはこれから本番を迎えますが、草花に励まされつつ春待ちの今日この頃です。

読書『しゃべる からだ』(サンマーク出版)トルステン・ハーフェナー著/柴田さとみ訳

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『しゃべる からだ』(サンマーク出版)トルステン・ハーフェナー著/柴田さとみ訳

こちらも昨日ご紹介の本と同様、メールマガジン「ビジネスブックマラソン」で紹介されていた本のなかで、昨年気になりながらそのままになっていたものの1冊。

↓昨日ご紹介したのはこちらでした↓

さて『しゃべる からだ』。著者の肩書を見ると「マインドリーダー、メンタリスト、マジシャン」とあります。いずれの肩書も、怪しげな匂いがしないこともありません。が、書いてあることは、至極真っ当です。心理学をかじったことのある人ならば、ふつうに「そうだよね、そうだろうね」とうなずける内容なのではないかと思います。「身体言語、知覚、行動心理学、錯覚」などをとことん勉強・実践(実験)なさった専門家、という方が、ぴったり合うような気がします。わたし個人的には、昔から行動心理学に興味があり、本書を読みたいと思ったのでした。

まず最初に書かれていたこの文章に、大きくうなずきました。

『「体」と「心」、「行動」と「思考」の間には、境界など存在しない。すべては関連し合い、つながり合い、互いに影響をおよぼし合っている。』

「境界など存在しない」。当たり前で、わかっていたつもりなのに、無意識のうちに別々のものとして考え語る自分がいたことに気づかされました。このことに気づき、意識し直すだけでも、ものの見方が変わるような気がします。

そしてもうひとつ、本書にある行動心理学を生かすために、大前提とされるのが「観察力」でした。相手のことをどれだけ観察できるか=相手にいかにしっかりと向き合うか。同時に、相手への観察とともに、自分自身への観察も大切でもあると感じました。観察についての記述では、わたしがアートエデュケータとして取り組んでいる「鑑賞教育」に通じるものがたくさんあり、思いがけずつながったことが、読んでいて嬉しくなりました。

サブタイトルに『よりよく生きるための「身体言語」の本』とあります。ノウハウ本として読む方もあると思いますが、もっと深いところで大切なことが書かれていると思いました。昨日は「ラテン語」という言語を通して、今日は「身体」という言語を通して、思考・表現・行動を考える機会となった読書でした。

『しゃべる からだ』(サンマーク出版)トルステン・ハーフェナー著/柴田さとみ訳