読書『おとなのOFF 絶対見逃せない2024年 美術展』(日経TRENDY)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『おとなのOFF 絶対見逃せない2024年 美術展』(日経TRENDY)

すっかり年初恒例となった、美術展チェックです。昨年に引き続き、今年も『おとなのOFF』の臨時増刊号をゲット。

展覧会会場となる美術館博物館は日本全国にありますので、なかなか足を運べないのが現実ではありますが、昨年は「これは観たい!」ベスト5に挙げていたもののうち、3つの展覧会に足を運ぶことが出来ました。わたしとしては、上出来です。福岡県内あるいは出張先(東京)での訪問がほとんどですが、意識の片隅に置いておくと、時間を見つけて機会を上手く生かすことが出来ますね。

ではさっそく『おとなのOFF 絶対見逃せない2024年 美術展』に掲載されているもののなかから、「これは観たい!」ベスト5。


1位 キース・へリング展 アートをストリートへ

昨年12月の学芸員研修で、「中村キース・へリング美術館」の学芸員さんに「社会課題と向き合う美術館活動」のお話を伺ったばかりで、素晴らしいタイミングです。

現在、六本木の森アーツセンターギャラリーで開催中ですが、福岡への巡回も予定されています。ありがたいことですね。福岡市美術館 2024年7月13日〜9月8日。楽しみです!

2位 永遠の都ローマ展

こちらも福岡市美術館 2024年1月5日~3月10日。新年5日から始まっていますので、近いうちに足を運びます。カラヴァッジョの「洗礼者聖ヨハネ」が目玉とされています。カラヴァッジョの作品を福岡で、生で観ることが出来る貴重な機会です。今からドキドキしています。

3位 没後50年 福田平八郎

大阪中之島美術館 2024年3月9日~5月6日。実のところ「福田平八郎」と聞いてもぴんと来なかったのですが、作品を見て「ああ!」と心当たりました。「写実に基づく装飾画」と呼ばれているそうですが、色使いとパターンがポップで、魅力的です。ぜひ観に行きたい展覧会です。地元・大分県立美術館での巡回展は2024年5月18日~7月15日。

4位 円空-旅して、彫って、祈ってー

あべのハルカス美術館の開館10周年記念展覧会。160体の「円空仏」が揃うというのですから、なかなか稀有な機会だと思います。会期は2024年2月2日~4月7日ですので、中之島美術館の福田平八郎展と合わせて、大阪展覧会ツアーを計画するのも良いかもしれません。

5位 生誕120周年 サルバドール・ダリ―天才の秘密―

福島県にある諸橋近代美術館。本書で見るまで知りませんでした。ゼビオ株式会社の創立者・諸橋廷蔵氏が収集した作品を展示する美術館。ダリをメインに、ルノワール、マチス、ピカソ、シャガール等19・20世紀巨匠20数人の作品を収蔵しているそうです。会津磐梯山の景勝地に位置するという美術館。ぜひ足を運んで観たいものですが、九州では大分県立美術館 2024年11月22日~2025年1月19日の巡回があるので、そちらで観るのが現実的かもしれません。

3位に挙げている福田平八郎の展覧会も大分県立美術館でありますので、これは大分に足を運べということかもしれませんね。


このほか、『おとなのOFF 絶対見逃せない2024年 美術展』に載っていなかったところでは、福岡アジア美術館で新年1月2日から開催されている「日中平和友好条約45周年 世界遺産大シルクロード展」も楽しみにしていた展覧会。近々博多に出たときに鑑賞予定です。

今年も、ひとつでも多くの「お!」な作品と出会えるのが楽しみです。

年の初めの恒例仕事「花祭窯2024経営指針書」作成。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

年の初めの恒例仕事「花祭窯2024経営指針書」作成。

2024年のテーマは、藤吉憲典が「レリーフ(平面立体)作品と、獣人(fantastical human hybrid)シリーズ」、わたしは「増殖と拡散」です。

毎年変わる「テーマ」は、今まではやや漠然としていました。昨年が「表現の多角化」「奥行きのある仕事」、その前が「威風堂々」「自由な展開」、さらにその前は「超えて行く」…こう見てみると、年々少~しづつ具体性が出てきて、今年はかなりピンポイントになっています。上の写真は毎回一番上に掲げるもので、毎年決めるテーマと、「志(ビジョン)」「使命(ミッション)」「大切にすること」。「志」以下の三つは、言い方が少しづつ変わったことはありますが、基本的にはずっと変わっていません。

今回指針書を作るにあたり、記録を保存している2014年からのものを、久しぶりに(もしかしたら初めて!?)振り返ってみました。この10年で指針に掲げてうまく行っていること、思いがけず新たに生まれた方向性、やむを得ず見直したことなどが一目瞭然で、今年どう動いていくのかを考えるのに、最適の反省材料となりました。あらためてはっきり見えたことは、目標に掲げて、口に出して、実際に動いてみないことには、何もはじまらないし、何もわからないということ。動いたものに対しては、良きにつけ悪しきにつけ結果が出るので、次に進むことが出来ています。

また10年分の経営指針書を振り返ってわかったもう一つのことは、変化のスピードがどんどん速くなっているということ。じっくり取り組むべきことはじっくり取り組むこととして、他方でどんどん試してどんどん見極めていくことが増えていると感じました。特にオンラインでの情報発信に関しては、「何を使って、どのような情報を発信し、なにを期待するのか」が、猛スピードで変わっていることを、あらためて実感。その変化についていこうと頑張るよりは、振り回されることのないスタンス・仕組みを作り上げることに重点を置くべく舵を切っているここ数年の動きは、自分たちにとっては正解なのだと思います。

今年もこの経営指針書を真ん中において、修正を重ねながら取り組んでまいります。一年後にどれだけ変化しているか、楽しみです^^

読書『マルナータ 不幸を呼ぶ子』(河出書房新社)ベアトリーチェ・サルヴィオーニ著/関口英子訳

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『マルナータ 不幸を呼ぶ子』(河出書房新社)ベアトリーチェ・サルヴィオーニ著/関口英子訳

2023年末ラストの読書は、イタリアの作家さん。いつものカメリアステージ図書館で、年末年始用に多めに借りていた中の一冊です。これまでにヒトラー下のドイツを舞台とした小説は何度も読んだことがありましたが、ムッソリーニ政権下のイタリアを舞台にした小説は、記憶している限り初めてかな?と。訳者の関口英子さんのお名前に見覚えがあるなぁと思ったら、その1年ちょっと前に読んでいました。

こちらも河出書房新社から出ていました。『「幸せの列車」に乗せられた少年』の時代背景は第二次世界大戦後でしたので、ムッソリーニ政権のファシズムの影響が色濃く残っていたころですね。『マルナータ 不幸を呼ぶ子』の方が少し前の時代になります。

さて『マルナータ 不幸を呼ぶ子』。労働者階級で貧しく、周囲から忌み嫌われながらも人の目を気にせず自分の意志のままに行動するマッダレーナと、ブルジョワ階級で世間体を気にする母親のもと厳しくしつけられて育ったフランチェスカという、性格も家庭環境もまったく異なる二人の思春期の女の子の物語です。二人の少女の関係性は、どの時代にも有り得る話でありながら、ムッソリーニ政権下という時代背景が、二人の生きづらさを、より際立たせる役割を果たしていることが、読んでいてひしひしと伝わってきます。

この時代がどのようなものであったのかと、そこを舞台に設定した著者の意図については、「訳者あとがき」でわかりやすくまとめられています。この訳者あとがき内にある、著者が言ったという「性差別と人種差別が横行し、好戦的な男社会の典型であるファシズムの時代」「女性や、社会の枠組みからはみ出す者たちが声を上げることの難しかった時代」「ファシズム政権下のイタリア社会は、むろん過去のものではあるのですが、現代社会との危うい類似性も感じられる」「彼女たちの生きづらさは、いまの私たちと決して無縁ではない」の言葉たちが、刺さりました。

「言葉の力」=「言葉の大切さ」と「言葉の恐ろしさ」を考えさせられるセリフが物語の随所に出てきて、ひとつの大きなテーマになっています。これはきっと、言葉を生業とする著者にとっての大きなテーマなのだろうと思いました。

個人的には、これまでほとんど知らなかったイタリアのムッソリーニ政権下がどのような社会であったのか、どのように市民が扇動され、戦争につき進んで行ったのか、その一片をうかがい知る貴重な機会にもなりました。そしてその日本との類似性が恐ろしくもありました。そういえば先日読んだ『戦争は女の顔をしていない』はスターリンのソ連でした。そこにも類似性は多々見られ、つまり「国民性」とか「民族性」ということでは無く、「人間」としての本質なのだということか、と考えさせられました。

1995年生まれの著者、本書は初の長編作品だったということ。『マルナータ 不幸を呼ぶ子』では、欲を言えば、ラストシーンがあまりにもよくできすぎていて違和感が残ったので、著者の別の本も読んでみたいと思いました。日本語版がまた出ることを期待しています。

2024 辰年 よろしくお願い申し上げます!

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2024 辰年 よろしくお願い申し上げます!

本日から仕事始めです。年末にダンナが花祭から飾り用の草木を採ってきてくれて、このお正月もお花を飾ることが出来ました。

正月

辰年=龍。この一年は、龍の子たちに、玄関を飾って(護って)もらうことにいたします。

龍の子 藤吉憲典

客間の床の間には、昇龍。

昇龍 藤吉憲典

ご近所さんから見事な赤と黄の千両をいただきましたので、龍の花器へ。

染付龍文花器 藤吉憲典

肥前山口駅改め江北駅にて、「車窓から花祭詣で」ミッションも完了。

江北駅

書き初めには、ご近所のお友だち25名以上がご参加くださいました。下の字は、ダンナ、藤吉憲典の今年の抱負。

書き初め2024

2024年も、良い仕事をお届けすべく、精進してまいります。よろしくお願い申し上げます。