読書『そして誰もいなくなった』(早川書房)アガサ・クリスティー著/青木久惠訳

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『そして誰もいなくなった』(早川書房)アガサ・クリスティー著/青木久惠訳

このところ年度末のバタバタで(事業年度は1月-12月ですが)、図書館に行く暇がありませんでした。気がつけば「隙間時間で読む新刊本」が手元に無い事態。このような事態は久しぶりで、実際のところ読む暇もあまり無かったのではありますが、ふと手が空いたときに「読む本が無い!」と思わず叫んでしまいました。

そこに息子が差し出してくれたのが本書。2010年刊行の新訳版です。わたしが読んだのは、たしか小学校高学年の頃、アガサ・クリスティーの著書で最初に読んだのがこれだったと思います。時代が異なりますので、異なる訳者のものを読んでいるはずですし、なによりストーリーをすっかり忘れてしまっていますので、借りることに。

さて『そして誰もいなくなった』。こんなストーリーだったのね…と、ほぼ初めての感覚で読みました。個性の強い登場人物の描かれ方が面白く、このような「職業と性格」の結び付け方も、もしかしたら彼女が始めたことなのかもしれないな、などと思いました。最後の最後に謎解きを読みながら、ようやく「そういえばそうだった!」とようやく既視感を覚え、読了。

先に読んでいた息子の感想が「このストーリーのパターンって、いろんな本で繰り返し使われているよね。これが一番最初だったんだね」でした。「人里離れた場所」「集められた人が一人づつ亡くなっていく」のパターンは、つい最近映画が公開されていた『ある閉ざされた雪の山荘で』(東野圭吾原作)が、まさにそうだったようですね。わたしはこちらはまだ読んでいませんが、後世のミステリー作家諸氏にとって、アガサ・クリスティーはずっと偉大な存在なのだろうと思います。本書のあとがきに、赤川次郎氏が「永遠の目標」とタイトルする文章を寄せていて、そこからもリスペクトが伝わってきました。

ところでわたし自身は、このところアガサ・クリスティーといえば、『オリエント急行殺人事件』『ナイル殺人事件』『名探偵ポアロ ベネチアの亡霊』と、すっかり映画で観るばかりになっていました。試しにググってみたところ、『そして誰もいなくなった』は1945年に最初の映画化されていたようですね。今作ったらどうなるか、映画を観てみたいという気がします。ポアロが出てこないので、ケネス・ブラナーによる映画化は無理かもしれませんが。

『そして誰もいなくなった』(早川書房)アガサ・クリスティー著/青木久惠訳