花祭窯の十月の庭。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

花祭窯の十月の庭。

今朝目が覚めたら、キンモクセイの香り。九月の台風で潮風に吹かれた花祭窯の小さな庭は、枯れてしまった植物も多いなか、一カ月を経て力強く復活しています。

季節を間違えて咲いたのかと思いきや、偶然耳にしたラジオ番組で、よく言われる「狂い咲き」というのではなく、台風などで実が落ちてしまったときに、種を保存するために、もう一度咲くのだという説明をしていました。種子を遺すためには花を咲かせる必要があるということですね。季節外れの花桃を眺めつつ、生命力の素晴らしさに感心しつつ、色とりどりの庭を楽しんでおります。

なるほど、神無月。

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なるほど、神無月。

いつもなら九月の終わりごろから、太鼓のお稽古の音が響いてくるはずでしたが、今年は静かでした。おくんち(秋季大祭)の行列と、子ども相撲が行われていたはずの週末。写真は数年前のおくんちの行列の様子です。

でも、おくんちのお祓い神事は行われていました。お神輿が出て、御旅所二か所で神事。ふだんは地域総出のお祭りですが、今回は氏子総代と呼ばれる係の人たちだけで行われました。持ち回りで神社のお手伝いをしているダンナは、前日から掃除とお神輿の準備に駆り出され、当日も社務所で参拝客への案内係。

今年はお神輿の練り歩きがないので、参拝する人もほとんど無いかと思いきや、神社にお参りにいらっしゃる方があったようです。毎年のことですから、自然と足が向くのかもしれませんね。ダンナの役目はというと、お神輿が御旅所にまわっている最中に、いらした参拝者に「今、神様はここにおりません」と説明すること。

最初その役目を聞いたとき、すぐに理解できず、思わず聞きなおしました。つまり、神社の神様をお神輿に乗せて、御旅所での神事に回るので、その間は神社には神様はおられないのだということ。お神輿が神社に戻ってきて初めて、神様も神社に戻られるということなのですね。

それを聞いて「神無月だ!」と合点。神無月の語源を「出雲大社に神様が集まるから、地元に神様がいなくなる」という大雑把な理解で納得しておりましたが、なるほど10月は秋季大祭・豊穣祭の季節。出雲までお出かけになっていなくても、神様がお神輿に乗ってあちらこちらで神事を行いに出かけているあいだ、神社に「神無」の状態ができるということが、現実感をもって感じられました。

それにしても、波折神社のおくんちを楽しんで9年目にして発見のトリビア。なんとなく接していて、実はわかっていないこと、まだまだたくさんありそうです。

EXHIBITION ‘Animals at Home / Cats, Dogs and other Best Friends’ in London に参加します。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

EXHIBITION ‘Animals at Home / Cats, Dogs and other Best Friends’ in London に参加します。

今年は海外での展覧会はあきらめていたところでしたが、11月から12月にかけてロンドンでの企画展に参加することになりました。もちろん渡航はできませんので、作品のみの参加になります。

会場はJermyn StreetにあるSladmore Gallery。藤吉憲典の所属するSladomore Contemporaryが現代もの(コンテンポラリー)のギャラリーであるのに対し、Sladmore Galleryは19世紀から20世紀のヨーロッパ彫刻を専門とするギャラリーです。オーナーのEdwardとは、藤吉の個展の都度、オープニングでお会いしていました。

今回の企画展は、Antique to Contemporary(古典から現代まで)=ヨーロッパ彫刻のアンティークとコンテンポラリーとを一緒に楽しんでいただける、贅沢な展覧会です。Sladmore Galleryのコレクションは、古典彫刻とはいっても重厚というよりは、しなやかな力強さ・美しさを感じるものばかり。あのなかに並ぶのだと思うと、誇らしく嬉しい気持ちでいっぱいになります。

テーマの ‘Animals at Home / Cats, Dogs and other Best Friends’ を聞いたとき、Stay at Homeの期間を経て、あらためて身近にある大切な存在に感謝する気持ちがこみ上げてくるのを感じました。アートが日常にもたらす喜びもまた、世界中であらためて見直されているのだと思います。

藤吉にとっては、アーティストとして参加できることが誇らしい展覧会です。ありがたい機会に声をかけてくださったGerry(Sladmore Contemporary)とEdward(Sladmore Gallery)に心から感謝しています。オープニング等詳細は、会期が近くなりましたら、またあらためてご紹介いたしますね。

「なにも制約が無かったら、何をしたいですか?」

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「なにも制約が無かったら、何をしたいですか?」

もう5年ほど前のことです。ある会で「経済的な制約も、時間的な制約も、なにも制約が無かったとしたら、何をしたいですか?」という質問に対して、自分のやりたいことをプレゼンテーションする機会がありました。

そのとき、この問いに対するわたしの答えは「特別なことではなく、今やっていることの延長線上にあること」でした。考えに考えた末に、我ながら拍子抜けするような結論。でも、これはつまり、ふだんから自分の価値観のなかで大切なことを、可能な限り優先できていたということかも。そう気づいて、「よかったなぁ」とつくづく思ったのでした。

優先しているのは「子どもと一緒にいる時間」であったり、「家族そろってご飯を食べること」であったり、「睡眠時間をしっかりとること」であったり、「楽しく面白く仕事をすること」であったりと、何気ない日常のことばかり。これに、何の制約も無かったら「少しでも気になった本は片っ端から買う」とか、「美術館やコンサートや観劇に行きたいと思ったときに迷わず行く」とか、「気が向いたときに自由に海外旅行に行く」とかがプラスできたら、わたしは概ね大満足なのだということがわかりました。

今までにない制約が一気に増えた今年ですが、少しづつ「できること」も増えてきましたね。「わたしは何をしたいのか」あらためて考えてみる機会にするのも、いいかもしれませんね。

商工会は身近な情報源。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

商工会は身近な情報源。

つい先日、シリコンバレーでガッツリとビジネスをし、アメリカ的起業文化を体現してこられたご夫妻とおしゃべりする機会に恵まれました。ここ福津市で起業の環境を整えるにはどうしたらよいのか?的なお話からはじまり、実際に相談に来る地元の若い方々と会って話して感じたことなど、率直なご意見を伺うことができました。

そのときに共通して「そうですよね!」とうなずき合ったポイントが、「自分で足を動かし、汗をかいて情報を取りに行くという基本的なことを、面倒くさがっていてはダメだ」ということでした。そして、日本の地方で何かをしようというとき、一番身近なところにある商工会を使わない手はないのに、それさえもしようとしない若い人が多いことについて、「格好いいことばかり言うけれど、ほんとうにやる気があるのか、一生懸命さが感じられない」というようなことでした。

シリコンバレー帰りの方の口から「商工会」という言葉が出て来たことに驚きましたが、実際にここ(福岡県福津市)で事業を起こすと考えたときに、情報の窓口としてとても便利なのです。地元の商工会の先には県単位での組織があり、その先には国があって、さまざまな施策はそこから降りてきます。万一、地元の商工会で得られる情報が少ないと感じたとしても、その先、そのまた先へとアンテナを伸ばすことで得られるものはとても多いのです。

たしかに、担当してくださる経営指導員さんのタイプにより、自分の求めるサービスを引き出すことができないということも、無いとは言えません。だからといって「使えない」と切り捨てる前に、どれほど働きかけているか、というところ。わたしも地元福津市の商工会に加えて、県の商工会連合会、福岡市の商工会議所と、状況に応じてアクセス先を変えています。

物理的な距離的にも最も身近な地元の商工会は、お世話になればなるほど、お世話になり甲斐があると感じています。お世話になる=自分の事業をより深く知ってもらう機会であり、それが増えることになり、新たな情報があった時に「花祭窯にも役立つかも。教えてあげよう」と思ってもらえるようになると思うのです。

というわけで、この秋もいろいろと相談をし、助けていただいております(^^)

読書『THE CURATOR’S HANDBOOK』(フィルムアート社)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『THE CURATOR’S HANDBOOK』(フィルムアート社)エイドリアン・ジョージ著 河野晴子訳

いつかは!と思って読んでいた本が本格的に活躍しそうで、ワクワクしています。『THE CURATOR’S HANDBOOK』を読んだのは、約4年前。当時は、わたしにとって仕事上なじみの深い美術館・博物館・ギャラリーなどの「文化・文化施設が果たす社会的な役割」について考察する手引きとなる本として、読んでいたのでした。

本書の日本語でのサブタイトルが「美術館、ギャラリー、インディペンデント・スペースでの展覧会の作り方」。サブタイトル通り、第1章から第12章まで “How to” の宝庫です。


目次

第1章 始動する:キュレーションの第一歩
第2章 アイデアを実現させる
第3章 プロポーザル、企画の売り込み、プランニング
第4章 予算と資金調達
第5章 契約、交渉、義務、評価
第6章 展覧会の出版物と物品販売
第7章 展覧会をつくる
第8章 オープン前の数週間
第9章 展示作業
第10章 オープン数日前と当日
第11章 プレスオープンと内覧会
第12章 展覧会会期中、そして会期後

『THE CURATOR’S HANDBOOK』(フィルムアート社)より


「展覧会」。花祭窯の場合、それは「陶芸作家・藤吉憲典の個展」です。主催してくださるコマーシャルギャラリーさんがすべてお膳立てしてくださるので、作品と作品リストをお届けすることに注力し、それ以外は全面的にギャラリーさんにお任せするのが常です。

なので、学芸員資格を持っているとはいえ、自分自身が中心となって「展覧会をつくる」ことは、「いつかできたら楽しいだろうな」と思うぐらいで、具体的にイメージしたことがありませんでした。が、ここにきて「展覧会をつくる」計画が浮上。まさに本書が活かされる状況になりそうです。

ギャラリーオーナーの方々には毎回お世話になりっぱなしです。オーナーさんがどれほどのエネルギーを注いで個展を開いてくださっているのか、身をもって理解することのできる機会になりそうです。とはいえ、まだ計画どころか「アイデア」の段階。開催できるのが来年になるのか再来年になるのか、詳細はこれからです。本書を読みなおし、準備するべきことの多さを考えると、ある程度時間がかかる(時間をかける必要もある)こともわかってきました。

一日も早く皆さんに告知ができるよう、頑張ります!

「自分のペースで」動き出す。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「自分のペースで」動き出す。

いろいろなことが少しづつ動き出しているのを実感する今日この頃です。わたし自身は3月以降、物理的な動きがとても少なくなっていました。大好きな博多にもずっと行かず。取得して以来初めて交通系カードの請求が0円!となり、それが実に半年続き。そんななかでも、家族が皆元気であることが何よりもありがたいと実感しつつ。

個人的には9月以降、学芸員の研修に参加したり、集まっての会議に出席したり、顔を合わせての打ち合わせがあったりと、少しづつ「公的に人と会う」機会に足を運ぶことが増えてきました。「公的に」というのがミソです。ある程度ちゃんとした格好に着替え、スッピンではない状態。約半年サボっていたことを取り戻さなければなりません(笑)

マスクをつけていたり、人との間に透明な壁があったり、席に物理的な距離があったり、「以前のように」ではありませんが、それでも「実際に人に会って話をする」ことで、自分のなかにエネルギーが湧いてくるのを感じます。具体的にいいアイデアが浮かんできたり、事務仕事まではかどったり…不思議ですね。

ところで、わたしは趣味で家ヨガをしています。先生はDVD。一番最初は実際にヨガ教室で先生について学びましたが、1年ほどでDVD師匠に変更。数あるヨガDVDのなかから数本試してみた中で、自分に合うものを1本みつけ、ずっと(6‐7年)使っています。

そのDVDのなにが良いかというと、基本的な動きの内容はもちろんですが、バックに流れるナレーションが良いのです。ヨガのポーズのとり方の解説の合間合間に、やわらかい落ち着いた声で「ご自分のペースで」とか「呼吸は続いていますよ」とかのフレーズが入り、それがわたしには絶妙のタイミングなのです。

つい頑張りそうになると「ご自分のペースで」と聞こえ、「呼吸は続いていますよ」と言われると、無意識に息が止まっているのに気づきます。こんな具合に、ヨガの本来の目的から逸れないよう導いてもらえるのは、一人で取り組むときにとてもありがたいことです。おかげで、短い時間のコースでもスッキリします。

大きな変化があって、変化に対応しなければと言われるけれど、なにごとも「自分のペース」で、しっかり呼吸をしながら、が大切ですね。

ポワロがモンブランを美味しそうに食べていたので。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ポワロがモンブランを美味しそうに食べていたので。

土曜の晩にテレビで映画「オリエント急行殺人事件」を観ていたら、ポワロ(ケネス・ブラナー)とラチェット(ジョニー・デップ)が食堂車でモンブランをつつくシーンが目に留まり、「そういえば、今まさにモンブランの季節だわ!」と。

さっそく翌日、近所のケーキ屋さんへ。ありました「和栗のモンブラン」。ふと横を見たら「かぼちゃのモンブラン」「安納芋のモンブラン」と、イモ・クリ・かぼちゃの大共演。旬の食材がケーキになる愉しみは年中を通してありますが、それにしても嬉しいシーズン到来です。肝心のモンブランの写真は…撮りそびれました。

豪華な食堂車でのティータイムは「乗り鉄」のあこがれ(笑)。九州では、JR九州が豪華観光列車でスイーツを食べる「或る列車」を運行しており、また西鉄が「地域を味わう旅列車「THE RAIL KICHEN CHIKUGO」を運行しています。つまり、その体験をしようと思えば、比較的身近に、できる環境が整っているということ。

と、文章を書いていたら、ちょうどラジオから「栗」についての豆知識が聞こえてきました。わたしたちが食べている部分は、栗の「種」でナッツ類に属するのだそうです。タネだったのですね。栄養もたっぷりで、渋皮も一緒にいただくと、より良いようです。

プラネタリウムでQUEEN。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

プラネタリウムでQUEEN。

コロナ自粛でずっと途絶えていた鑑賞機会。コンサートや演劇はもちろん、映画にも出かけておりませんでしたが、昨晩は記念すべき復活「鑑賞」第一弾!家族でプラネタリウムにQUEENを観に行ってきました。

お隣の町・宗像市にある「宗像ユリックス」のプラネタリウムでの、プラネタリウムドームイベント「QUEEN-HEAVEN-」。「クイーンのコスプレしてる人とかいるかな?」と期待しながらでしたが、土地柄か、そのような姿の人は皆無(笑)。観客の年齢層はほぼわたしと同年代か上の方々で、それに加えて、我が家同様に親に引っ張られてクイーンファンになったと思われる年齢層の中高生が数人。

2001年にブライアン・メイの監修で制作されたという全天周映像作品は、天文学者であるメイの世界観と、彼のQUEENへの情熱と、亡きフレディへの愛情と敬意にあふれていました。特にラストの、These are The Days of Our Lives(邦タイトル:輝ける日々)の映像と音楽が、とても温かくて切なくて、素晴らしかったです。ブライアン・メイが、どれほどQUEENとそのメンバーを大切にしているかが伝わってきました。全編を通してロジャーはやっぱりカッコよかったし、ディーコンの優しい表情も最高でした。サラウンド音響システムで聴く名曲の数々に、存分に浸った80分間でした。

それにしても、こんなに近場(車で約20分)でQUEENイベントに参加できるとは、思ってもおりませんでした。主催者さまに、心より感謝!です。

宗像ユリックスプラネタリウムでの、プラネタリウムドームイベントQUEEN-HEAVEN-は、12月までの週末に不定期で開催されています。今後の日程やチケットの詳細は、ホームページをお確かめくださいね♪

宗像ユリックスプラネタリウム https://www.hosizora.com/

宗像ユリックスは文化・スポーツの融合施設です。以前から、プール・図書館・コンサート・映画鑑賞などでよく利用していましたが、久しぶりの利用となりました。これを契機に、会員期限が切れてしまっていた「ユリックススマイルクラブ」にも再加入。スポーツの秋・文化の秋が、嬉しい形でスタートしました。

宗像ユリックス https://yurix.munakata.com/

読書『ケインとアベル』(新潮文庫)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『ケインとアベル』(新潮文庫)ジェフリー・アーチャー

巻末の訳者による解説で「小説アメリカ現代史」とありましたが、まさにその通りでした。アメリカのみならず第一次大戦前から現代につながるヨーロッパの情勢も含んだ、近現代史を知るのに、とてもわかりやすい小説でした。

ストーリーの面白さはもちろんで、なかなか読む手を休めることができませんでした。それだけでなく、わたし個人的には、これまでぼんやりと理解していたものが、この本のストーリーを通してよりはっきりしたという、学びの大きい本でもありました。

そのひとつは、第一次大戦・第二次大戦を通じたヨーロッパ諸国とソ連(当時)・アメリカの位置づけ・関係をうかがい知ることができたこと。当時の「新世界」アメリカの存在価値。世界史(近現代史)に出てくるできごとが、実体としてどういうものであったのか、その一端を垣間見ることができたと思いました。

もうひとつは、アメリカ的資本主義の考え方、株式・投資・恐慌というものが、ようやく理解できたように思います。わたしは経済学部出身ですので、その手の話は授業でも何回も学んだはずなのですが、どうにも実感を伴わず、字面上の理解にとどまっていました。でも、本書の中に何度となく出てくる、株式売買のシーンとその背景にあるもの、株価大暴落の前後のストーリーを読むことによって、ようやく腑に落ちたような気がします。

事実だけを並べた教科書よりも、ストーリーに載せた小説で読むほうが理解が進むことを、ここ数年の読書で思います。なるほど「漫画日本史」とか「漫画世界史」とかが売れるわけですね。もちろん小説ですから、それが史実・事実と合っているかどうかは、自分で見極める必要がありますが。

それにしても、あらためて、ジェフリー・アーチャーは政治家としても、実業家としても、栄華を体験している人なのだなぁと、思わず嘆息しました。まだまだ読んでいない本がありますので、これからも楽しみです。