プロの仕事。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

プロの仕事。

明後日からはじまる西麻布桃居さんでの藤吉憲典陶展。個展用の作品が出そろったので、作品撮影をお願いしました。

ほんとうは個展のたびに毎回きちんと写真を撮っていただいて、記録に残していくのがベストだと頭ではわかっているものの、なかなか理想的にはできていません。

作品が揃うのが個展会期の発送期限ギリギリである事実もさることながら、なによりもわたしの気持ちに余裕がなくなって、撮影の手筈を整えることができていないというのが実際のところです。いけませんね。

今回は「必ず撮ってもらわねば!」という使命感のもと、藤吉憲典の作品撮影においてもっとも信頼するabc photoの赤司さんに依頼。超ご多忙のなか駆けつけてくださいました。

お昼から設営を開始し、撮影した作品数は約50点。撮影方針と基本のセッティング決定までに最も時間を割き、ベストな撮影環境が決まると迷いなくシャッターを切っていかれる姿が、プロフェッショナル。無駄にシャッターを切らないんですよね。

当初 17時ぐらいまでかかるかもしれませんね、と話していましたが、実際は1時間以上早く完了。素晴らしく美しいお仕事ぶりに感嘆しました。

結局のところ「何がカッコいいのか?」が、作り手である藤吉憲典としっかり共有できているのが、撮影を安心してお任せできる一番の理由なのだと、改めて感じました。もちろん、それを具現化する高い技術をお持ちであることは言うに及ばず、です。

皆さんにも写真の数々を早くご覧いただきたくて、納品が待ち遠しいところです。どうぞお楽しみに♪

朝起きて、

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

朝起きて、

朝食までに行うルーティンがあります。神棚にお参りする、メールをチェックする、フェイスブックでお友だちの近況を拝見する。わたしは自分の仕事を手帳で管理していますが、この流れのなかで手帳が埋まっていくことも少なからず、朝は仕事を組み立てる時間にもなっています。

今朝はこの流れのなかに、わたしにとってのGOOD NEWSがいくつもあって、思わず顔がほころびました。こんな日は、日々の仕事のモチベーションがあがるだけでなく、中長期的な計画も進んでいくから面白いものです。

写真は、好きな景色の一つ、近所の津屋崎漁港の景色。朝から魚市場「お魚センター」に出かけるのは、朝食後のルーティンです(^^)

「ニッチ」って何?

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「ニッチ」って何?

先日、お友だちとおしゃべりをしていて出てきた言葉「ニッチ」。よく使う隙間という意味でのニッチではなく(綴りは一緒ですが)、建築用語でした。昨今はインテリア用語として一般的に使われることもあるようですね。

「 【niche】① 西洋建築で,壁面を半円または方形にくぼめた部分。彫刻などを飾ったり噴水を設けたりする。壁龕(へきがん)。」 (Weblio 三省堂大辞林 より)とありました。

壁龕(へきがん) というのがまた難しいですね。へきがんは「 西洋建築で、壁・柱の垂直面につくったくぼみ。彫刻などを飾る。ニッチ。 」(コトバンク大辞林第三版より)とありました。

話の発端は友人とのおしゃべり。藤吉憲典の作品群が「もう少し大きくしたら、ニッチにちょうどいいよね」と言われ、「ニッチって何?」と質問したのでした。 説明を聞いてみると、それ知ってる!存在は知っているけれど名前を知らなかった、というやつです。

日本の住宅には床の間があり、欧米の住宅にはニッチがある。床の間・ニッチともに、いわば個人博物館としての最小単位の展示スペースだとわたしは思っています。住宅にある博物館。残念ながら昨今の日本の住宅建築からは床の間は失われつつありますが、ヨーロッパにはニッチと、それに伴う文化がちゃんと引き継がれているとの友人の言葉は、とても心強いものでした。

ニッチという空間にこそ、磁器彫刻家としての藤吉憲典作品がピッタリはまるのではないか、というお友だちの話に、なるほど納得。 ヨーロッパ各地で住宅建築をたくさん見てきている友人の言葉だけに、説得力も絶大です。 そのような具体的スペースを想定しての制作を今までしたことが無かったと、ダンナともども気づかされたのでした。

いざ気づいてみれば、そして調べるほどに、まさにニッチこそ藤吉憲典作品のためのスペースなのではないかと思いが募ってくるから不思議なものですね。12月のロンドン個展(Kensuke Fujiyoshi solo Exhibition)に向けて、「ニッチ」は重要キーワードになりそうです。

なにげないおしゃべりのなかで、たくさんのヒントを投げかけてくれるお友だちに心より感謝。いつもありがとうございます。

様式を生み出す。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

様式を生み出す。

昨日は尊敬する建築家ご夫妻が、花祭窯に遊びに来てくださいました。ちょうど西麻布桃居さんでの藤吉憲典陶展に向けて準備している作品が揃いつつあるところで、一足早くご覧いただくことができました。

そのなかで飛び出したのが「藤吉さんの作品を観ていると、新しい時代の様式が生まれるという確信が感じられるよね」という言葉。つくり手であるダンナにとって、これ以上ない激励をいただきました。

そういえば、「骨董の名品のように、代々受け継がれ何百年先にも愛でられるものをつくる」ということを常々考えてはいても、「様式を生み出し、遺す」という発想はありませんでした。新しい様式を遺すという観点があった!と、大きな発見をした気分でした。

やきもの、なかでも肥前磁器の世界で様式といってまず思い浮かぶのは「柿右衛門様式」であったり「鍋島様式」であったりします。様式という観点で、これまでに藤吉憲典が作ってきているものを思い返してみると、確かに 「藤吉様式」とでも呼べるものが確実に生まれ、育ちつつあると言えそうです。

「藤吉様式」ではなんだか硬いから、新しい様式としてどんな名前を付けたらカッコよくしっくりくるかしら、などと楽しく妄想中です。

【開催報告】ビジネスパーソンに必須の教養、その第一歩を美術鑑賞で@博多阪急

こんにちは。Meet Me at Art アートエデュケーターふじゆりです。

【開催報告】これからのビジネスパーソンに必須の教養、その第一歩を美術鑑賞で!@博多阪急

博多阪急さんからお声掛けいただいて実現した、ビジネスパーソン向けのセミナー。無事終了いたしました。ご来場くださいました皆さま、誠にありがとうございました。

平日昼間の開催とあって、夜なら行けるのに!週末なら行けるのに!というビジネスパーソンの皆さんからご意見をいただいておりました。確かに、多くのビジネスパーソンは仕事中の時間帯。また別の機会に、週末または夕方以降の開催を企もうと思います。

45分という短い時間。「アート×ビジネス」の昨今の流れを知っていただいたうえで、対話型鑑賞(ビジュアルシンキング)も試しに体感していただきたいと欲張った結果、シミュレーションしていた以上に駆け足になってしまいました。伝えたいことがたくさんで、話が多くなってしまったのが反省点です。

百貨店という場所柄、少々気の散りやすい環境でしたが、ご参加の皆さんがワークショップにしっかり取り組んでくださっていた様子が、とても嬉しかったです。

これをきっかけに、ご参加の皆さんが美術や美術鑑賞を「自分にとって大切なもの」として感じていただけるといいな、と思いつつ。

機会をご提供くださった博多阪急さんにも、心より感謝申し上げます。

書道部2019年5月。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

書道部2019年5月。

久しぶりの書道部投稿。5月は「美術鑑賞」。

今日は何を書こうかな?と考えるのも楽しみな毎月の書道部。筆を握る直前まで気の利いた文字を思いつかなかった今回は、ブログネタを思いつかないときと同じように「今日やったこと」を書こう!と決定。

禅語などに比べると、なんとも趣が無いように思える文字列ではありますが、いざ筆で書いてみると「わたしはこれが書きたかったんだ!」と思えてくるから不思議です(笑)

書道の練習をしていて面白いのは、書いているのは文字でありながら、「どんな意味を持った文字列か」というよりは「並び姿が美しいかどうか」のほうが大切に思えてくること。

何枚か練習するうちに、自分の実力なりに文字がぴったりと半紙に収まってくると、じわじわと嬉しくなってきます。

花祭窯書道部

さあ、来月はなんと書きましょうか。

本をきっかけに。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

本をきっかけに。

好きになること・もの、ありませんか?

美術鑑賞の座学講座をするにあたって、最近わたしがよく使うのは、アンリ・ルソーの絵画なのですが、ルソーの絵に興味を持ったのは、実は小説がきっかけだったと、講座の準備をしながら思い出しました。

原田マハさんの『楽園のカンヴァス』です。この本を読んで、まず家にある画集からルソーを引っ張り出してひきこまれ、ロンドンではナショナルギャラリーで虎の絵(タイトル「Surprised!」)に釘付けになり、ルソーの「夢」を見るためだけにでもニューヨーク近代美術館MoMAに行かねば!と思っています。

小説に登場する絵や音楽は、しばしばそのストーリーとの相乗効果で強く心に響いてくると感じます。もちろん大前提として、そのもの(絵や音楽)自身の力があるからこそ、の響きなのですが。

わたしの場合、小説のおかげでルソーの絵に関心が向きました。もちろん同じ画家が描いたものでも、響くもの響かないものあります。ルソーの絵も例外ではないのですが、惹かれるものが多いと感じています。

わたしは絵を見る時に、極力文字情報を排除するのですが、文字情報のかたまりである小説から影響を受けて、好きな絵に出会うこともある。なんだか面白いなぁと思います。

藤吉憲典の陶箱。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

藤吉憲典の陶箱。

初日まであと2週間となった西麻布桃居さんでの「藤吉憲典陶展」は、今年初めて「箱、蓋もの」をテーマにご覧いただく個展になります。

思い返せば陶箱は、藤吉憲典が作家として独立した当初から、ぽつりぽつりと作ってはいたのでした。箱のてっぺんに小鳥がのったり、恐竜がのったり。我が家でも梅干し入れになったり、キャンディポットになったり、ずっと使っています。

洋の東西を問わず、美しい箱は昔から人気があります。特にヨーロッパでは、用途はとりあえず、箱自体が愛でられるようになっていると感じます。「その箱になにをいれるの?」という問いは、箱を手に入れた自分自身に向けられる、最高に贅沢な問いかけのよう。

これまで藤吉憲典は、日本国内のギャラリーさん向けに和食器を中心とした用途あるもの、海外のギャラリーさん向けに磁器彫刻家としてアート的なものを発表してまいりました。2019年桃居さんの個展では、その二つの流れのひとつの融合点を示すことができそうです。

国内のお客さまには、陶箱をまとまった数ご覧いただくことのできる、初めての機会となります。楽しい展示になるだろうと、今からワクワクしています。お時間が許しましたら、ぜひ足をお運びくださいませ。

藤吉憲典陶展 at 桃居

藤吉憲典陶展
2019年5月31日(金)→6月4日(火)
AM11:00→PM7:00(最終日PM5:00)
会期中無休
桃居
港区西麻布2-25-13
TEL03-3797-4494
藤吉憲典陶展 at 桃居

徳り庵でお稽古。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

徳り庵でお稽古。

暖かくなったら花祭窯の狭小茶室「徳り庵」でお茶会遊びをしよう!と思いつつ、気がつけば五月も中旬。重い腰が上がらずにおりましたが、息子の「お稽古したい」の一言で徳り庵オープンしました(笑)

窓の隙間から入り込んだツタの景色が面白いからと放っておいたら、青々と伸びていました。利休さんは、花は野にあるように生けよとおっしゃったらしいのですが、さてこの景色をどうご覧になるやら。

さあ、そろそろお茶会遊びを計画したいところです。

 

西洋名画コレクション展@みぞえ画廊

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)/アートエデュケーターふじゆりです。

西洋名画コレクション展@みぞえ画廊

みぞえ画廊さん、現在本社は東京にある田園調布ギャラリーになっていますが、もともとは福岡でスタートなさっているアートギャラリーさんです。

物故巨匠から現代の作家まで扱っておられます。福岡市内にもアートギャラリーはいくつもありますが、なかでもみぞえさんは「美しいもの」を大切に扱おうという意思が強いギャラリーさんだと、勝手にわたしは感じています。延長された会期終了間際に伺うことができてラッキーでした。

よかったです!

ギャラリー空間で絵画を拝見する嬉しさは、なんといっても作品との距離の近さ。離れて見たり、最接近して見たり、角度を変えて見たり。特に気に入った絵の前で、時間の許す限りじっくり見てまいりました。

出品作家名には、ピカソ、アンリ・マティス、ジャコメッティ、シャガール、モネ、ユトリロ、カンディンスキーとそうそうたる名が並んでいましたが、個人的には、シャガールの作品四つが特に良かったです。

美術館の展覧会では無い空間で良い絵画に向き合う機会を、ここ福岡ではなかなか見つけられずにいたので、とてもありがたい時間でした。