ちょっとした「嬉しい」の積み重ね。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ちょっとした「嬉しい」の積み重ね。

今日はようやく朝からお日さまが出て、青空がまぶしい一日でした。雨が一週間以上続くと、やっぱり気分的にうつうつとしがちになるもので、そんななか「あら」と嬉しくなる景色が目に飛び込んでくると、気分が明るくなります。

2階からふと庭に目を向けたら、いつの間にかサルスベリが咲いていました。毎日チェックしていたはずなのに、葉っぱに隠れていて気づきませんでした。我が家の百日紅は毎年遅いので、まだ咲いていないだろうと思い込んでいたところへ、嬉しいサプライズ。雨のなか、華やかなピンク色が映えていました。

百日紅
百日紅。

夜、戸締りをしようとしたときに玄関にヤモリ発見。ヤモリ=家守で縁起が良いので大好きです。それに、なんといっても姿が可愛らしい。ガラスの反対側から足の吸盤の様子など見ていると、生きる力を感じます。この子はまだ小さかったので、これから我が家で育ってくれると良いな、と思いつつ。

ヤモリ
玄関にヤモリ。

花祭窯の露地を庭師さんにお願いしたときに植えた百合は、ヤマユリとカノコユリの2種類でした。が、昨年からこの白百合が咲くようになって、今年も伸びてきたなぁ、と思っていたら雨の中きれいに開花。ご近所から種が飛んできたのでしょうね。花の少ない季節に嬉しい華やかさです。

白百合
どこかから飛んできて咲いた白百合。

10年以上前になりますが、僧侶であり著作も多数お持ちの小池龍之介さんの本のなかに、なるほどと思ったものがありました。いわく、良いことを連鎖させたいと思ったら、どんなに小さなことでもいいから「良いこと」を発見して、その発見を積み重ねていくとそれがすなわち「良いことの連鎖」につながる、と。

実際にこの習慣を始めてみると、「嬉しい」は身の周りにたくさんあることに気づきます。そして嬉しいことがあったと意識したり、数えてみたりすると、さらに気持ちが上向いてきます。ちょっとした「嬉しい」の積み重ね。単純ですが、なかなかの効用です。

地域における社会教育(生涯学習)の拠点について考えた。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

地域における社会教育(生涯学習)の拠点について考えた。

ローカルな話題ではありますが、現在、福津市では第3次福津市行財政改革大綱へのパブリックコメント(市民意見公募)を受け付けています。『時代に応じた市民生活の質の向上を図るため、効果的・効率的な行財政運営を実現し、「持続可能なまちづくり」を行うための行財政改革の理念と基本方針を定めるもの』(福津市ホームページより)に、市民の声を反映させる方法のひとつです。

このなかに、公共施設の統廃合・再配置が取り上げられていて、福津市が掲げる社会教育「郷育カレッジ」の主な講座会場となっている福津市中央公民館も、その検討対象として名前が挙がっています。福津市には、カメリアホール(福津市複合文化センター・文化会館)という施設もあるので、そちらに統合できるのではないかというのが、統廃合推進論の根拠となるのだろうな、と思いつつ。

「ここが地域の社会教育の中心ですよ!」を体現する施設があることは、その地域の社会・文化教育を活性化するのに、大きな役割を果たすと思います。ただ、それも「どれだけ活用されているか」によるもの。中身が伴わなければ意味がありません。そういう意味では、福津市には市民のための社会教育システム「郷育カレッジ」がありますので、中身はバッチリ。

わたしは個人的には、学べる場がありさえすれば「象徴的な場所」が無くてもOKと考えています。象徴的な場所が必要なのだとしても、コンセプトと実際の働き(中身)さえしっかりとしたものがあれば、会議室ひとつでも足りるかも、と。一方で、「ここがその場所」と集約的な役割を果たす空間があれば、より多くの人に機会を届けやすいのは間違いないとも思っています。たとえば公共の博物館や美術館は、建物自体(時には周辺環境をも含め)がその役割をも兼ねていて、年々その重要性への認識が高まっていると感じています。

まずは実際に社会教育(生涯学習)の場(教室)として使える場所が、どれくらいあるのかを知ることが必要だなぁ、と。これまでの稼働率を出せば、「不足しているのか、余っているのか」もわかるはずです。そして統廃合というよりは、施設の目的・役割を見直す「再配置」を促すのであれば、今までよりももっと「社会教育(生涯学習)の拠点」たる位置づけの場所を確保できるのかもしれないなぁ、と考えています。

まずは一市民として、第3次福津市行財政改革大綱へのパブリックコメント(市民意見公募) に意見を出すことから始めたいと思います。せっかくの機会ですからね。

アートフェアアジア福岡2021のポスターが到着。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

アートフェアアジア福岡2021のポスターが到着。

さっそく、花祭窯にもポスターを貼って宣伝。チラシもありますので、興味のある方は、お声掛けくださいね。アートフェアアジア福岡2021(以下、AFAF)の関係者でも何でもありませんが、福岡でこのようなアートイベントがあることは、文化芸術関係の仕事をしている一人として、とっても嬉しく、応援していきたいと思っています。

昨年はコロナ禍で開催が見送られた「アートフェアアジア福岡」。2019年以来、2年ぶりの開催となります。時節柄、一昨年のような「今が旬のアート関係者」によるトークなどのイベントは予定されていないようです。それは残念ではありますが、仕方がないですね。代わりにと言いましょうか、一昨年よりも、一般の人が入りやすい形になっていると思います。

まず、会期が9月22日(水)~9月26日(日)と5日間あります。前回は一般公開は2日間だけでしたので、5日間あると、忙しい人でも足を運びやすくなると思います。次に、入場料が無料です。アートフェアは通常入場料をとることがほとんどで、AFAFも2019年は1日券1500円フリーパス3000円でしたから、「入場無料」は大きいと思います。無料なら「ちょっと見てみようか?」と足が向きやすくなりますよね。場所も博多阪急の7階8階とまとまっています。

出展ギャラリーは45軒。顔ぶれを拝見して思ったのは、年々、地元であるはずの九州内のギャラリーの割合が減っているのではないかということ。逆に言えば、全国から参加してくれるようになった(それだけの価値を認めてもらえるようになった)とも言え、AFAFが育ってきた証ともいえるのかもしれませんが。どう考えるべきか、ちょっと複雑な気もします。

ただ一般客としては、ふだんなかなか足を運ぶことのできない、全国各地のギャラリーさんのブースを見ることができるというのは、嬉しいことですね。今年も、たったひとつでも「お!」と響くものを発見できるといいな、と期待しているところです。

福岡では、30年間続いたアジアフォーカス・福岡国際映画祭が、2020年の開催を最後に、残念ながら実行委員会を解散してしまいました。わたしは身近な場所で参加できる芸術体験の機会をひとつでも多く持ち続けることが、その地域の活力につながると思っています。このアートフェアが、博多でいうなら山笠やドンタク祭りのように、季節の顔となってずっと続くイベントになったらとても嬉しいな、と思っています。

Meet Me at Art「コラージュ講座」の位置づけは「心の健康」へのアプローチ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

Meet Me at Art「コラージュ講座」の位置づけは「心の健康」へのアプローチ。

2021年郷育カレッジ講座の特集テーマは「郷育で心も体も健康に!」。昨年度に続き、今年度もコラージュ講座を準備しています。郷育カレッジのなかに美術系の講座が少ないなか、昨年初めて開催したのでした。

美術の教育普及ワークショップメニューのひとつですが、「心の健康」へのアプローチを意図しています。コラージュ制作を通じて、自分の内側を可視化し、客観的に受け入れていくことで、心のリフレッシュを図ります。わたしはこのワークショップを「Meet Me at コラージュ(=コラージュ制作を通じて自分に出会う)」と名付けています。

そもそもわたしが「博物館学芸員技術研修」で学んだコラージュは、芸術表現としてのものではなく、アートセラピーのひとつとしてのコラージュ療法でした。指導してくださった、聖学院大学心理福祉学部教授の藤掛明先生によると、アートセラピーには、心理系アプローチと美術系アプローチ、二つの経路があります。わたしはセラピーの専門家ではありませんが、医療や福祉の現場でも、美術系アプローチ活用への注目は年々高まっているように感じます。

今年度のプログラム進行を検討するにあたり、昨年の講座に参加してくださった方々のご感想を振り返ってみました。

  • 集中して一人静かな時間が持てた。
  • コラージュ制作を通じて、自分の好きなことに改めて気づくことができた。
  • 自分で考えを創作していく過程に、希少価値を感じた。
  • 今自分が表現したいことが明確に出て、面白かった。
  • やりだしたら、ついついはまり込んだ。
  • 空間で何かを表現したいという思いが出てきた。

などなど。これらのご感想を拝見すると、コラージュの目的と効果を再確認することができます。「じっくり自分に向き合う」機会を持てていない方は、少なくありません。約1時間半の講座で、参加者の皆さんが楽しく集中力を高め、夢中になる時間を味わい、終わったらリフレッシュを実感できるよう、進行を考えていくところです。

ところで本日のアイキャッチ画像(一番上の写真)は、『美術館っておもしろい!』(河出書房新社/モラヴィア美術館)より拝借。美術・美術館の役割を絵本にしている本書のなかにも、美術の教育普及の仕事の果たす役割・大切さが、わかりやすく描かれています。

「聴く」の訓練と、「見る」の訓練に、共通点。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「聴く」の訓練と、「見る」の訓練に、共通点。

英字新聞「the japan times alpha」購読をスタートして半年以上が経過しました。購読者会員向けのサポートが充実したサイトClub Alphaが、自習での学習をサポートしてくれます。紙で届いた英文記事を読み上げてくれる音声と、それらに質疑応答も含めて「多聴」を促す「リスニングとインプット」のための音声コーナー。おかげさまで「目で読む」だけでなく「耳で聴く」訓練も取り入れられるようになってきました。

コーナーのひとつに『「英語が聞き取れない」を治療するイングリッシュ・ドクター西澤ロイのListening Lecture』なるものがあります。そのレクチャーの最初に「リスニングは意味を考えずに聴くべし」というものがありました。いわく、広い意味でのリスニングという行為は「1.音を聞き取る、2.言葉に変換する、3.意味を理解する」の3つに分けられるということ。そしてそれぞれは、別々に鍛えられるべし、と。

それによると、まずは「何と聞こえるか(耳)」に集中することが大切で、そのあとの「言葉に置き換える」はいわば「リーディング」の仕事。まず聞く(リスニング)、次に言葉に置き換える(リーディング)、ここまでで「聞こえたものと言葉を一致」させ、最後に意味を理解する。これを繰り返し訓練していった結果として、最終的に「音が聞き取れて、(無意識に)意味が分かる」という状態になるのだということです。この手順は、赤ちゃんが言葉を覚えて話せるようになるまでのステップと全く同じだという解説に、なるほど納得。( Club Alpha 『「英語が聞き取れない」を治療するイングリッシュ・ドクター西澤ロイのListening Lecture』 参照。)

これを読んで、美術鑑賞の手順と共通点があることに気づきました。本来の(と、わたしが考える)美術鑑賞は、まずは意味(文字・テキスト)のことを考えずに絵や彫刻などの美術作品そのものを観て「何が見えるか(目)」に集中することがなによりも大切です。「何が見えるか」が出てきたら、「何が見えるか、どう見えるか」を書き出し(リーディング)、最終的に「それはなぜだと思うか(意味)」を自分で導き出します。「受け取る→言葉に置き換える→意味を導く」という手順ですね。受け取る器官が、リスニングは耳であり、美術鑑賞は目であり。

美術鑑賞と英語のリスニングとの大きな違いは、英語の場合は、音と結びつけられる言葉にも意味にも一般的に共通理解される「正解(おおよその)」があるのに対して、美術鑑賞から導き出される意味には決まった正解は無く、すべての解は鑑賞者それぞれのなかにあるということ。

いずれも、最初の段階「何と聞こえるか」あるいは「何が見えるか」で、雑念(文字情報)を入れずにそのままに受け取ることが重要です。そして一見簡単そうにみえる「そのままに受け取る」ことも、それができる耳や目を手に入れるのには、繰り返しの訓練が役に立つということも共通点。思いがけず英語学習の手順に美術鑑賞教育との共通点を発見したところでした。

次世代教育推進協会の交流会に参加してまいりました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

次世代教育推進協会の交流会に参加してまいりました。

「地域での社会教育はつながりが大切で、実際につながっていくことが多い」のタイトルで、社会教育のことを考えていたのは約半年前。そこでも紹介していた、福津市で地域の子どもの教育を考える任意団体「次世代教育推進協会」の交流会が開催されました。福津市内の学校・地域・習い事教室などが連携して、子どもたちの「やりたい」「知りたい」に応える機会を提供していくための、有志の集まりです。

今回は市内の小学校のうち3校の校長先生が、ゲストとしてご参加くださいました。約2時間の意見交換の後、最後の挨拶をしてくださった校長先生の「学校も、民間も、子どもを思う気持ちは同じで、抱える課題にも共通のものがたくさんあり、ここにも仲間がいると嬉しくなった」という言葉が印象的でした。

福津市では「コミュニティスクール」として、学校と地域と家庭が連携して子どもたちに関わっていく取り組みをしています。「子供会」「婦人会」「商工会」「おやじの会」など、これまでにもさまざまな地域団体が、小中学校と連携した活動をしています。その「地域」の枠組みに、「習い事教室の先生方」という新しい結びつきが加わるのは、画期的なことだと思います。

公教育と、私教育の連携。アートエデュケーターとしては、博物館学芸員の教育普及の仕事は「学校ではできないこと・やらないことをする」ことに、大きな価値があると考えています。相互に補い合うことで、子どもたちにより豊かな学習環境を提供できるのは、素晴らしいことです。具体的な取り組みに発展させていくのは今からということですが、一会員として、とても期待しています。

このような機会をつくるために奔走してくださっている会長はじめ幹部役員の皆さん、事務局の皆さんに心より感謝申し上げます。

久しぶりに、バス。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

久しぶりに、バス。

ふだんの移動手段は、徒歩、自転車、車。少し遠くへ行くとなると、電車、バス。ですが、バスに乗ったのは久しぶりでした。写真は、花祭窯前の路地から海岸方面を望んだところ。この海岸線の景色を、時々バスが横切ります。

自分で車を運転して通るのに慣れた道も、バスに乗ると景色が変わるのが面白いですね。まず席の位置が高くなるので、目の位置もあがります。そして、車を運転していると正面から広がる景色が、バスの車窓からだと横向き、片側のみになります。自然と片側の景色に集中することになり、何度も通ったことのある道なのに「ここに、そんなものがあったのね!」という発見が少なからず。

速度も関係します。自分で運転しているとスーッと通り過ぎる道も、バス停の度に減速と停車が繰り返されるため、視界に留まる時間が長くなります。その結果、やはりこれまで見過ごしていたものが目に留まります。

こういう時間を味わうたびに、「見る」「見た」の認識のあいまいさを思います。アートエデュケーターとして美術鑑賞の場に立つたびに、「どこの目で、何を見ているのか?」の言葉を心のなかで繰り返すのですが、この問いは、日々の生活のなかでも有効だなぁ、とつくづく思うのです。

約20分間のバス移動。その間に「見えたもの」をなぞり返しつつ、「見る」の面白さを思う午後です。

令和3年度郷育カレッジ開校式がありました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

令和3年度郷育カレッジ開校式がありました。

福津市の生涯学習の仕組み「郷育カレッジ」。郷育(ごういく)カレッジとは、福津市民と福津で働く人のための生涯学習の仕組みです。運営するのは、福津市役所の郷育推進係と、ボランティアスタッフの郷育運営委員。毎年100講座近くを開講する、他に類を見ない市民カレッジで、本年度19年目に入ります。講座運営をサポートするボランティアスタッフとして、わたしも参加しています。

過去記事:福津市には「郷育カレッジ」があります

昨年はコロナ禍で開校式は中止、7月と8月に予定されていた全講座が中止になり、9月以降も感染症防止対策の観点で中止となった講座がたくさんありました。令和3年度は、コロナ禍でも開催できる形式での講座を増やすなど、カリキュラム編成の初期段階から「いかに休講を回避しつつ、安全に開催するか」の議論を重ね、準備いたしました。

先週末7月10日(土)の開校式は、会場・スタッフとも感染症対策を万全にして臨みました。2年ぶりとあって、参加する皆さんの晴れやかなお顔が印象的でした。学びの場所に集う喜びがあふれていて、とても嬉しくなりました。開校式記念の公開講座は、放送大学さんとのコラボレーションが実現。郷育カレッジとは規模はまったく違いますが「生涯学習」推進を標榜する点では志は同じです。

令和3年度郷育カレッジ開校式 放送大学コラボ公開講座『地域でゴー!自分の健康づくり 生活習慣病とお口の健康』福岡歯科大学客員教授樗木晶子先生のお話より、以下備忘。


  • 成人病ではなく、生活習慣病→一次予防(未病)。
  • 健康寿命。
  • 肥満度判定(BMI)はあくまでも参考。理想体重=身長が止まったころの体重。
  • 「よく噛む」の効用。
  • 定期的な歯科検診の効用。
  • 歯ブラシの選び方、歯ブラシの当て方・動かし方、歯磨きの順番とポイント。
  • 顎関節症→歯科医院。

90分ほどの講演でしたが、先生の語り口のわかりやすさと実践的な内容で、参加者の皆さんが熱心にうなずきながら聴いておられる姿が印象的でした。歯磨きの仕方についての図解が配布資料に含まれていたり、家に帰ってすぐ実践できる学びとなりました。

個人的には、上に書いたような本題に入る前に、自己紹介で樗木晶子先生が語られた医学部のこと、大学研修医のこと、女性医師の社会的立場やキャリア形成の実際、現場での実態などのお話が、とても興味深かったです。大学病院という男性社会で長くキャリアを積んでこられたご本人だからこそ、おっしゃることのできる内容だと思いました。

ともあれ、令和3年度の郷育カレッジもスタートです。来年3月末までに84講座が開講されます。開校式の開催で素晴らしいスタートが切れたことが、スタッフの一人としてとても嬉しい週末でした。

STEAM教育って?の続き。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

STEAM教育って?の続き。

「STEAM教育」なる単語が気になったのがつい先日。さっそく本や雑誌などから情報を集めています。実は、昨日ご紹介した絵本『アートのなかでかくれんぼ』シリーズも、表紙の端の方に「STEAM教育のAをのばす!」と書いてありました。A=Artですね。「SDGs(持続可能な開発目標)」もそうですが、時流に乗る言葉(概念)は、すぐにこのように便利に使われるのですね(笑)。

さて調べ始めてすぐに「あら」と思ったのが、「STEAM教育」が提唱され始める前にはに「STEM教育」であったらしいということ。STEM教育が提唱され始めた後に「Artも必要だよね」ということになったのでしょう。ということは、やはりオードリー・タン氏が著書『オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る』で書いておられたように、今後は「+D」すなわちDesign(デザイン)の概念も加わるのでしょうね。上の写真は、その目次。

関連本を調べていて出てきた書籍のなかに、山口周さんの『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』(光文社新書)を発見。かの本は繰り返し読みましたので、なるほど概要がつかめたような気がします。『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』では、「STEAM」のなかでもとくに「A」が強調されていましたが、2019年に福岡市美術館で開催された講演会でのお話を合わせて考えると、「アートとサイエンス」というつながりが少し見えてきました。

次の段階としては「実際にどのような教育を、どのように実践するのか」が気になります。これについては、雑誌AERA(2021年2月1日号)に特集記事を見つけました。日本国内で実践している高校(・中高一貫校)の事例なども載っていて、興味深い内容でした。以下備忘。


  • 思考の「言語化」
  • 「知る」と「創る」の循環
  • 身体性
  • 五感を使って
  • 面白いからやる
  • 他者と協働できるコミュニケーション能力
  • 教科横断
  • 研究者であれ
  • 当事者意識を持って課題解決に挑める人材
  • STEAMライブラリー事業
  • オープンイノベーション

雑誌AERA(2021年2月1日号)より


国内で関連書籍や実行組織がさらに充実してくるのは、今からなのだろうと思います。またこれもSDGs同様ですが、そのような言葉や概念が無い時代から、すでに実践されていることはたくさんあって、そういうヒト・コトにスポットライトが当たってくるのだろうな、と思います。

読書『アートのなかでかくれんぼ1 ルーブル美術館でさがせ!』(フレーベル館)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『アートのなかでかくれんぼ1 ルーブル美術館でさがせ!』(フレーベル館)ニコラス・ピロー作/木村泰司日本語版監修

とっても面白い絵本を見つけました。「世界的に有名な美術館蔵の作品のなかに、その美術館の人気者を紛れ込ませて探す」遊びの絵本。美術館版の「ウォーリーを探せ」と言えば伝わりやすいでしょうか。

現在3種類出ているシリーズものです。そのひとつめが、ルーブル美術館蔵のヒッポ(Hippo=カバ)を探せ!というわけで、思わず手に取りました。上の写真は、藤吉憲典の作るHippo。エジプトの遺跡から出土する副葬品(と考えられている)Hippoはロンドンの大英博物館にもありますし、キャラクターとして有名なのはニューヨークにあるメトロポリタン・ミュージアム(MET)です。

ルーブルに足を運んだのは、もう20年以上前になります。「ヒッポを探せ!」をやりながら、また行かねば!の思いも新たになりました。ヒッポ探しは比較的簡単にミッションコンプリート。

続く2作は、オルセー美術館バージョン。こちらでは「シロクマのポンポンを探せ!」になっています。オルセーには足を運べど休館中、ということが2回もあって、未だなかに入ったことがありません。日本で開催された「オルセー美術館展」には足を運んだことがありますが。

シロクマのポンポン探しは、ヒッポ探しに比べると、難易度がやや上がりました。少しづつ目が慣れていくので、焦らず取り組めば見えてきます。

実際にチャレンジしてみて(探してみて)、作品に目を凝らし端から端まで眺めるので、たしかに「見る」訓練になると思いました。が、同時に「一生懸命探す」と「絵や彫刻作品をじっくり見る」は同じではないとも思いました。美術鑑賞法のひとつとして楽しいのは間違いないので、「見る」練習としてプログラムを作るのは面白そうです。世の中のすべての美術館で、自館バージョンの「○○を探せ!」を作ったらかなり面白いことになるはずです。

作者のニコラス・ピローさんがどんな方なのか、調べることができなかったのですが、日本語版を監修した木村泰司さんは美術史家でいらして、著書を読んだことがありました。美術教育関連の本や絵本がどんどん出版される今日この頃ですが、久しぶりに純粋に面白がって読む(遊ぶ)ことができた絵本でした。