海外美術館の教育普及ツール、その8。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

海外美術館の教育普及ツール、その8。

世界中に「行ってみたい美術館・博物館」は沢山ありますが、なかでもここは必ず行かねば!と思っているのが、ゲティ財団が運営する美術館です。

ロサンゼルスにある、ゲティセンターとゲティヴィラ。
https://www.getty.edu/

サイトのアドレスを見ると「.edu」ドメイン。エデュケーションの「edu」です。収蔵作品や資料をいち早くネットでオープンにし、教育利用を促進したことでも知られています。オンラインで学ぶ仕組みの充実ぶりも有名。12歳以下の子ども向け、学校での利用向け、ファミリー向け、エデュケーター(指導者)向けと、さまざまなプログラムがあります。

『英語でアート』の宮本由紀先生がおススメする海外美術館サイトの紹介に「使いこなせるようになれば、かなりの情報量にアクセスできます」とあり、膨大なもののようです。

そして、すごいな!と思ったのが、こちらのブログ記事。今回の緊急閉館の期間中にオンラインでゲティミュージアムをどう使ったらよいかを、いち早くアナウンスしています。

https://blogs.getty.edu/iris/explore-getty-art-resources-closed-coronavirus/

このブログ記事に導かれていくだけでも、相当量の美術学習(そして英語学習にも)になるでしょう。わたしは、まずはここから、チャレンジしてみたいと思います。

ゲティ家と、藤吉憲典とのつながりについては、こちら。

一人戦略会議。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

一人戦略会議。

昨日の午後は、場所を変えて「一人戦略会議」。場所を変えて、と言っても、家の中です。パソコンのある2階の仕事スペースから、1階のギャラリースペースへ。お天気が良かったので窓を開け放ち、静かで気持ちのよい空間でペンと紙を手に考えを整理しました。

わたし自身は3月はじめから外出自粛を始めたので、2か月以上博多に出ていません。それまでは月に2-3度、博多に出たついでに寄るカフェや、往復の電車内が、自然と「一人戦略会議」の場所と時間になっていました。外出・移動がなくなって、その時間が取れていなかったことに、ハタと気づき。

毎年、年初めが年度初めの花祭窯は、そのタイミングに合わせて「経営指針書」をつくっています。一人戦略会議は、年初めに作っていた指針書に対して、現在どう動いているかを検証しながら、その先どう動くかを修正していく貴重な時間。わたしにとってこの時間を確保することは、日々の仕事を進めるうえで、とても大切です。

変わること、変えるべきこと、変わらないこと、変えてはならないこと…。この2か月、頭のなかでいろいろと考えてきたことを、紙の上に置きなおすことで、整理していくことができました。文字に落として目に見える形にするとスッキリしますね。

「みんぱく」からのメルマガ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「みんぱく」からのメルマガ。

九州国立博物館からのメルマガ根津美術館からのメルマガ、に続いては、「みんぱく」からのメルマガをご紹介。みんぱく=国立民族学博物館。文化人類学・民族学とその関連分野の研究機関です。大阪府吹田市の万博公園内にあります。

5月号のメルマガでは、このご時世を反映して「おうちでみんぱく」が紹介されています。お家で遊べる民博ページに並ぶメニューは、次の通り。

 ◆バーチャルミュージアム紹介
 ◆ぬりえ(5種類)
 ◆飛び出す獅子舞 福ぬりえ
 ◆ペーパービーズ
 ◆読んでみよう!

おうちでみんぱく」のページでチェックしてみてくださいね。

民族博物館ならではの素材のマニアックさが楽しいです。子ども向けと位置付けられていますが、大人の知的好奇心にもばっちり応える情報展開ですので、家族で楽しめると思います。

海外美術館の教育普及ツール、その7。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

海外美術館の教育普及ツール、その7。

海外美術館。自分自身行ったことが無い場所、試してみたいものがたくさんあって、いくら時間があってもご紹介しきれないな、と思っていた矢先に思い出したのが、グーグルのアートプロジェクト。Google Arts & Culture サイトを覗くたびに、新しい発見があります。

最近のお気に入りは、Over 2,000 Museums at Your Finger Trip

Google Art&Culture

文字通り、指先で美術館への訪問旅行気分が味わえる素晴らしい仕組み。世界80か国以上、2000館以上の美術館・博物館のコレクションに、ワンクリックでひとっ飛び。自分で検索しなくても、館の名前を知らなくても、このページを出発ロビーに見立てて、簡単にアクセスできるのが便利です。すべてではなく、またざっくりとではあるものの、日本語訳されているテキストがついているのも嬉しいです。

このゴールデンウィークは、お家に居ながらフィンガートリップ。優雅に世界中の美術館訪問はいかがでしょうか。

森林浴ならぬ「ご近所草花浴」でストレス緩和。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

森林浴ならぬ「ご近所草花浴」でストレス緩和。

Stay Home, Stay Safe. たまに家の周りを散歩 with マスク。

1年半ほど前、アートエデュケーター(教育普及学芸員)の技術研修の一環で、園芸療法の先生から「美術館 de 園芸療法」の講座を学んだときのこと。一日に5分だけでも緑に触れる時間があるだけで、ストレスの緩和に大きな効果があることが、たくさん実証されていることを知ったのでした。そういえばこのお話を聞いて、一日5分の草むしりをはじめた、わたし。

講座を担当してくださった千葉大学園芸学研究科・看護学研究科の岩崎寛先生は、ヨーロッパではあたりまえに採り入れられている園芸療法を、日本でも定着させていくために、なによりもエビデンス(医学的根拠)を大切になさっていました。

そして、森林浴とまでいかなくても、草木や花が植えてある「公園浴」でも、その効果があることを実証なさっていました。ということは、公園でなくても、草木や花のあるご近所浴だって、ストレス緩和に効果があるということ。今こそ、このことをたくさんの方に知ってもらいたいと、あらためて思っているところです。

というわけで、ご近所から借景。画像をクリックすると大きくなります。

ご近所さんの藤棚。
ご近所さんが丹精込めて育てている藤棚。
ご近所さんの菖蒲。
菖蒲?あやめ?燕子花?いつもわからなくなります(汗)
年々大きくなるご近所のリンゴの木。
ご近所のおじさんが撒いたリンゴの種がついに実をつけるようになって早数年。
ご近所さんの牡丹。
迫力を感じる、みごとな牡丹。
うちの芝桜
足元に目を向ければ芝桜。

↑この芝桜は、家の前にある駐車場沿いに、わたしが植えたもの。毎年少しづつ花が増えていて、嬉しいです^^

続・自分の過ごす空間を快適に。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

続・自分の過ごす空間を快適に。

先日、「自分の過ごす空間を快適に。」のタイトルで、料理研究家・成宮なみさんのブログをご紹介したところでしたが、同じタイミングでもうひとつ、気になる記事を見つけました。

インポートインテリア・ドーノの上田桐子さんの「オンラインでのインテリアのご相談強化中」の記事が目に留まりました。上の写真は、ドーノさんのショールームにおじゃました際に、光と立体の影と花の色にひかれて思わず撮った一枚。

“在宅時間が長くなり「今までやれなかった整理整頓。そして…家のインテリアが気になる」「ずっと家にいるので、アートなど目で楽しめる癒しがほしい」などのご相談が一気に増えている”(インポートインテリア・ドーノさんのブログより)ということです。たとえば、部屋に飾るちょっとしたオブジェを探すにしても、自分の過ごす空間についてインテリアのプロに相談できるのは、最高に贅沢なことですね。

花祭窯の展示スペースも、この機会に少し模様替えをいたしました。大きめの展示棚をひとつ撤去して、もう一つの展示棚は片面にまとめ…などなど。棚がひとつ減ったら、とってもスッキリ。光の入り方が変わって、これまでより明るさが出ました。

スペースができると、そのスペースをどう生かそうかと頭が動きます。掛けていた書の位置を変えたら、絵を飾りたくなる壁面が発生。一方で押し入れを整理していたら、ちょうど良いサイズの額縁が二つ三つ出てきましたでの、久しぶりにダンナに絵を描いてもらって飾ることに。今発注したところなので、出来上がりはいつになるかわかりませんが、楽しみです^^

次は、どうしたら床の間空間がよりすっきり格好良くなるかしらと、眺めています。お客さまがいらしたときに、風通しのよさと空間の広がりを感じながら器や作品をじっくりご覧いただけるといいな、と妄想しながら。

自分の過ごす空間を快適に。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

自分の過ごす空間を快適に。

料理研究家の宮成なみさんのブログに「コロナ自粛と自宅療養は似ている。ご機嫌に過ごす方法。」というタイトルがアップされていました。曰く「できるだけ自分の過ごす空間を快適に過ごせるように作り込む。(中略)小さいことで良いので、自分がご機嫌に過ごせる癒しをいっぱい作ってくださいね。」と。難病で長い自宅療養期間を経験し、乗り越えてこられた宮成さんのことばには、説得力があります。身の周りにお気に入りがあることの大切さ。

有事の時にいつも我が家・花祭窯で確認するのは、わたしたちの仕事は、衣食住のなかで最優先される生活必需品ではないということ。けれども、必要とされるとき・場所が必ずある、誰かにとってかけがえのないものになるときがある。だからこそ、求められた時に最大の力を発揮できるように、淡々と、常に全力で、良いものを作り続けるだけ、なのです。

ミュージシャンの星野源さんが「(前略)衣食住はもちろん大事だけど、楽しいとか面白いことがないと人間は死ぬと僕は思います。(後略)」と語ったことを、各種ニュースサイトで拝見しました。「今こそ」の芸能・芸術の役割に言及していると、わたしは解釈しました。とてもストレートな表現で驚きましたが、ご自身の立ち位置がわかっておられるからこそなのでしょうね。

わたしたちも、美しいもの、楽しいもの、技術と情熱をかけてつくりあげたものが、それを見る人・使う人の生きる力をサポートすることを、ずっと信じています。それが実用的なものであっても、無くても。毎日食卓に並ぶ器にも、日常空間を飾るアートにも、そんな力があると思っています。

そして今、もう一歩進めて考えています。それは「淡々と、常に全力で、良いものを作り続けるだけ」ではなく、その過程を発信していくことで、より楽しみ面白がってもらえることも、できるかも!ということ。さっそくチャレンジしています。近いうちにご紹介できるよう頑張ります^^

九州国立博物館からのメルマガ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

九州国立博物館からのメルマガ。

気になる美術館、博物館のメールマガジンをとっています。どこの館のものも、通常は、おススメの展覧会や、展覧会に付随して行われるイベントの紹介が多く、受け取る側もそれが主な目的でもあります。

先日届いた、九国からの最新のメルマガタイトルは「4階文化交流展示室のおすすめの文化財を紹介します!」。このところ、臨時休館やイベント中止の連絡が多かったなか、思わず食いつきました(笑)わたしが九国からのメルマガを読むようになってから数年が経ちますが、こういうアプローチは初めてだと思います。

わたしはもともと「九州国立博物館は、特別展もいいけれど、4階の常設展がおススメ!」で「文化交流展示室推し」。特別展に誘われて観に行っても、文化交流展示室での滞在時間の方が長くなるのですが、そのファン心をくすぐる内容でした。

「4階文化交流展示室のおすすめの文化財を紹介します!」のタイトル通り、おススメの資料が写真付き(HTMLメール)、簡潔な説明付きで紹介されていました。各資料とも九国の収蔵品データベースへのリンク付きで、気になるものは、すぐに九国のサイトで確認することができます。5つの資料が紹介されていましたが、1回のメルマガで見る量としては、ちょうどよかったです。

個人的に最も気になったのは「青貝細工フリーメーソン螺鈿箱」。江戸時代の長崎螺鈿の輸出品です。19世紀という時代は、有田焼においても西洋からのオーダー品に応えて積極的に輸出をしていた時代でもあり、興味深く眺めました。

文化交流展示室は、展示されている資料数も多いので、毎回すべて見ることはできません。そのうえ、定期的に展示替えも行われています。「こんな収蔵品があるよ!」と教えていただけるのはとっても嬉しいことで、次回のメルマガ配信が今から楽しみです。

ほかの美術館、博物館のメルマガも、今こそこういうアプローチをしてくれたら嬉しいな、と思いつつ。

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海外美術館の教育普及ツール、その6。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

海外美術館の教育普及ツール、その6。

内容が充実しているといわれる、海外美術館サイトのエデュケーションツール。海外美術館サイトから、実際に自分で試してみたものを、その都度ご紹介して参ります。その第6弾。調べるほどに楽しくなってきました。

さて今回は、ヴィクトリアアンドアルバート博物館(以下、V&A)。膨大な資料数を誇るV&AのコレクションをWeb鑑賞して参りましょう。おもちゃ箱をひっくり返したような楽しさがあります。

From The Collections

↑「SPACES」「PERIODS AND STYLES」「PEOPLE」「FEATURED」「MATERIALS AND TECHNIQUES」「PLACES」 と6つのカテゴリーから、コレクションにアプローチすることができます。

どこから行けばよいか迷う!というときは、V&Aの特色から探す「FEATURED」から見てみましょう。「ウェディングドレス」「衣装」「メガネ」「オペラ」「靴」「家具」「壁紙」「額装」「帽子」などなど…の分類から、所蔵品を観に行くことができます。

カテゴリーを簡単に日本語にすると、「SPACES」は、V&A館内の場所による分類、「PERIODS AND STYLES」は作品の時代や流派による分類、「PEOPLE」は人物による分類、「MATERIALS AND TECHNIQUES」は素材や技法による分類、「PLACES」はその資料のルーツのあるエリアによる分類です。

実際に館を訪問してもそうなのですが、なにしろ芸術・デザイン全般ですので、守備範囲が広く、一日や二日で回れるものではありません。そんな大量の資料を、どう分類すればWeb上で探しやすいか、かなり工夫されていると思います。

海外美術館の教育普及ツール、その5。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

海外美術館の教育普及ツール、その5。

内容が充実しているといわれる、海外美術館サイトのエデュケーションツール。そのなかから、実際に自分で試してみたものを、その都度ご紹介して参ります。その第5弾。

昨日に引き続き、ロンドンのコートールド・ギャラリー(The Courtauld Institute of Art)のサイトからご紹介します。写真は、コートールド・ギャラリーのある建物サマセットハウス。ここから建物をぐるりと回った反対側に、ギャラリーへの入り口があります。

The Courtauld Collection

↑コートールド・ギャラリーの所蔵品を見ることができる「コレクション」へのアクセスページです。

「Highlights of The Collection」では、館がおススメする21作品が取り上げられています。何から見ようか迷ったときは、ここから順番に参りましょう。モネ、ゴッホ、ゴーギャン…とお馴染みの名前が並ぶのも、とっつきやすくて嬉しいですね。

「Paintings」「Prints and Drawings」「Sculptures and Decorative Arts」と、分野別のページもあるので、見たいものがはっきりしている人は、こちらから入っていっても好いと思います。紹介されている所蔵品すべてを見ようとすれば膨大な時間がかかりますから、「どこから入って何を見るか」は、サイト上でも悩ましいところです。

コレクションページでは、その作品写真だけでなく、その作品や作者にまつわる文字情報も一緒に載っています。が、文字情報(知識)に頼らず、自分の感性で作品そのものをじっくり眺めるのも、わたし個人的にはおススメです。