読書『個をあるがままに生かす 心理学的経営』PHP研究所

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『個をあるがままに生かす 心理学的経営』PHP研究所

『経営者の条件』(岩波新書)に引き続き、大沢さんの著書。1993年発刊の『心理学的経営』が電子書籍として復活したものです。その紙書籍版で、26年ぶりの復刊。これまた新陳代謝の激しいビジネス書分野のなかでは、異例のことではないでしょうか。

本書が創刊された1993年は、わたしが大沢さん率いる人事測定研究所(現・リクルートマネジメントソリューションズ) に入社した翌年のことです。入社前から「大沢イズム」を直接的に学ぶ時間と機会をたびたび得ることができたのは、贅沢なことだったと思います。

「人間をあるがままにとらえる」「個性差(ちがい)を大切にする」ということが、大沢さんのおっしゃることの芯にあります。産業心理学や組織管理論を少しでも学んだ方なら目にしたことのある研究や理論も下敷きにしつつ、学究的な側面だけでなく、実際の経営組織の現場での実務があるからこその説得力を感じます。

心理学の専門家や関心のある方、企業経営やリーダーシップ論に関心のある方、どちらにも興味深く読んでいただける本だと思います。

読書『デヴィッド・ボウイ インタビューズ』(シンコーミュージック・エンタテイメント)

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読書『デヴィッド・ボウイ インタビューズ』(シンコーミュージック・エンタテイメント)

日常的に、仕事上の資料探しに図書館を使っています。書籍タイトルがはっきりしているものでなく、「こんな感じの内容」とジャンルで探すときは、やっぱりネットではなく本屋さんなり図書館なりで、書架の前をウロウロ探すのが性に合っています。なにより、楽しい。

我が家から近い順に、カメリア図書館、福津市図書館、未来屋書店。その先は博多に出て大型書店。徒歩・自転車圏内のカメリア図書館は、わたしにとって「まず、ここに行ってみる」場所です。

今回探していたのは、実は歌舞伎関係の本でした。「芸能関係」というとってもざっくりした分類の棚を眺めていたところ、目に留まったのが本書『デヴィッド・ボウイ インタビューズ』。思いがけず見つけてしまいました。

デヴィッド・ボウイの音楽に出会ったのは、中学2年生の時。80年代の「レッツ・ダンス」から、70年代、デビュー期へとさかのぼってレコードを聴いたのを思い出します。ラジオと深夜のMTVで追いかけ、ロンドンに行ったときにはマダム・タッソーで蝋人形のデヴィッドと一緒に写真を撮り(笑)

その音楽とパフォーマンスのカッコ良さに惹かれていたものの、「文字で彼を知る」機会は、これまであまりありませんでした。特に亡くなった後にたくさんの本が出ていることは知っていましたが、今回初めて手に取りました。

読み応えがあります。写真一切無しで650ページに及ぶ、折々の言葉。文字を目で追いつつ、音とビジュアルを脳内再生しつつ、楽しみました。

読書『経営者の条件』(岩波新書)

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読書『経営者の条件』(岩波新書)

わたしにとって古巣である、人事測定研究所(現・リクルートマネジメントソリューションズ)創業者・大沢武志さんの2004年の著書。昨年末2019年に第6刷が「岩波新書新赤版一〇〇〇点」から出ています。新陳代謝の激しいビジネス書のジャンルにあって、15年も前に著された本書が今尚売れ続けていることに、大沢さんの理論の普遍性を感じます。

とはいえ、本書のなかで大沢さんが警鐘を鳴らしている内容が、いまだ古びていないこと(すなわち、企業経営における同様の過ちが繰り返されていること)は、喜べることではなく。

表紙カバー裏にある添え書きに「雪印、三菱自動車などの相次ぐ不祥事で経営陣の責任が問われる一方、日産、ヤマト運輸などのトップが、今名経営者として称賛されている。」(『経営者の条件』岩波新書)とあります。2004年時点での評価ですね。現在の日産やヤマト運輸の評価を思うと、時代の流れを感じます。

現場体験に基づいた『経営者論』です。昭和から平成の時代にかけての企業・経営者の実際をもとに論じられていて、その時代を生きてきた人たちにとっては、生々しく振り返りができます。そのなかには、もちろんリクルート江副さんを取り巻くエピソードも。個人的に、大切にしたい一冊です。

読書『アンナ・カレーニナ』(新潮文庫)

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読書『アンナ・カレーニナ』(新潮文庫)

「読んでいなかった名作を」「続・読んでいなかった名作を」に続き、また古典に目が向く周期が来ています。今回は、19世紀ロシア文学の文豪トルストイ。『アンナ・カレーニナ』は新潮文庫上・中・下巻で合計2000ページ越え。でも「途中で飽きないかしら」の心配はまったくの杞憂でした。

舞台は1870年代ロシア、そして貴族社会。現代の自分が生きる環境とはまったく異なるうえ、背景知識も皆無で読みはじめましたが、そのようなものは要りませんでした。

時代も環境も異なる登場人物の置かれている状況など理解しようが無いはずなのに、その心情の在りようや気持ちの移り変わりが手に取るようにわかる!と読み手に感じさせるのは、文章の力なのでしょう。決して退屈させない丁寧な描写に、引き込まれました。

そして同時に、読んでいる自分の年齢が、登場人物の心情に重なるのに役立っていることを感じました。それも登場人物の一人ではなく、すべての人物に対して、自分と似ている部分(多くは、ダメなところ)を見つけることができるのでした。経験値の浅い若いころに読んでも、このような共感は持てなかったかもしれません。

映画、バレエ、ミュージカル、宝塚と様々に演じられてきたのですね。読みながら鮮やかな映像がイメージで湧いてくるストーリーなので、納得です。わたしは映画も見たことがありませんでしたので、機会を見つけて観てみたいと思います。

次は『戦争と平和』。こちらも全四巻ですから、『アンナ・カレーニナ』以上の大作ですね。読破するのが楽しみです。

読書『日経おとなのOFF 絶対見逃せない2020美術展』(日経TRENDY)

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読書『日経おとなのOFF 絶対見逃せない2020美術展』(日経TRENDY)

読書と言って良いものか!?ではありますが、さておき。年末になると翌年の美術展の予定や見所を紹介する雑誌がいくつも発行されます。特別付録の「2020美術展100ハンドブック」が人気だと聞いて「日経おとなのOFF」版をゲットしました。上の写真は、そのハンドブックについているMAP。わたしは紙派なので、こういうのが嬉しいです。

今年はロンドンからナショナル・ギャラリー、ナショナル・ポートレート・ギャラリー、コートールド・ギャラリーの所蔵品が日本にやってくるということで、なんだかイギリス尽くし。中野京子さんによる「名画で読む英国王室」が載っていたのも嬉しい一冊です。

日経おとなのOFF編集部の推す美術展100ハンドブックのなかから、わたしが個人的に「観に行きたい!(足を運べるかどうかは別として)」と思っている美術展ベスト5を挙げてみることにしました。


1.「カラヴァッジョ展」 あべのハルカス美術館

既にスタートしている展覧会です。思えば大学1年生の時、一般教養で選択した美術の授業がカラヴァッジオとの出会いでした。一年間カラヴァッジオ尽くしでイメージを刷り込まれ。わたしにとっては「家に飾りたいとは思わないものの、目が離せない絵」を描く人です。あべのハルカス美術館にはまだ足を運んだことがありませんが、面白い展覧会が多く、気になっていました。今年あたりぜひ訪問したいところです。

2.「カラヴァッジョ展《キリストの埋葬》展」 国立新美術館

こちらもカラヴァッジオ(笑)。なぜ今日本でカラヴァッジオなのかわかりませんが、観ることができるなら、一枚でも多く見たいもの。バチカンの所蔵品が日本にやってくるという話題性もさることながら、個人的に彼の絵がなぜそんなに気になるのか、それを解明したいという思いです。

3.「ヨーロッパの宝石箱 リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展」大分県立美術館(巡回)

実はリヒテンシュタイン公国の存在を知りませんでした。が、侯爵家のコレクションと聞いては、見たい!の一言です。コレクション展の面白さは、集めた人(集めた家)の嗜好・偏向がはっきりと表れるところ。贅を尽くしたコレクションは面白いに違いありません。大分を含め全国5カ所の巡回が決まっているようなので、ぜひどこかで観に行きたいところです。

4.「MIHO MUSEUM コレクションの形成-日本絵画を中心に-」MIHO MUSEUM

こちらはそもそもミュージアム自体が創立者・小山美秀子さんの個人コレクション。日本から古代オリエントにわたる約3000件のコレクションを入れ替えながら展示なさっているのですね。美術展に行きたいというよりは、館自体に行きたいです。

5.「海幸山幸」九州国立博物館

こういうふうなテーマ展が、もっと増えたらいいな、と思っています。流派や時代やジャンルで区切るのではない展覧会。同じ作品も見せ方によって発見があり、前後にどんな文脈(作品)を並べるかによっても受け取り方が変わってくることがあります。観覧者にどんな発見をもたらすことができるのかは、学芸員さんの腕の見せ所だと思います。


このほか、昨年から今年にかけて新しくオープン(またはリニューアル)する美術館情報も興味深かったです。個人的に気になったのは、旧ブリジストン美術館であるアーティゾン美術館。わたしにとってはブリジストンすなわち石橋財団のコレクションといえば、福岡県久留米市にある石橋美術館(現・久留米市美術館)でした。文化芸術もまたやはり東京一極集中かと、少々複雑な気持ちもありながら。

この手のガイド本はあまり購入したことがなかったのですが、いろいろと考えるきっかけにもなりました。

映画『ダウントン・アビー』観てきました。

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映画『ダウントン・アビー』観てきました。

2020年の映画一発目。今年は何本観に行けるかな、楽しみです。写真はロンドンケンジントン宮殿。

人気テレビシリーズの映画化ということでしたが、まったく予備知識無しで観てまいりました。1920年代のイギリスヨークシャー地方伯爵家のカントリーハウスを舞台とした物語。おおよそ100年前のお話。

面白かったです。ロマンス、スキャンダル、陰謀、家族の確執、階級社会の裏表など、分かりやすいストーリーが喜劇的に味付けされていて、思わず何度もニヤリとしました。当時のイギリスが抱えていた社会問題や不安が背景にちりばめてあるものの、小難しいところはひとつもなく、すっきりと楽しめる映画でした。

あとからテレビドラマ版のおさらい動画を見たところ、テレビドラマ版のストーリーの方が、かなり波乱万丈だったようですね。

登場人物が皆とても魅力的でした。それぞれ欠落した部分を抱えていながら(あるいは、だからこそ)憎めない。キャラクター設定がしっかりしていて特長を覚えやすいというのは、物語を面白くする大きな要素なのですね。

それにしても、広々とした丘陵地に立つ邸宅を臨む景色の美しさ。これを見るためだけにでも、映画館に足を運んでよかったと思いました。

和英辞典がやってきた。

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和英辞典がやってきた。

自分用に和英辞典を購入。スマホがあれば辞書は要らないでしょ!と言われる昨今。実際のところ、英文をつくるときにはさんざん無料翻訳サイトにお世話になっております。が、そのうえで「やっぱり紙の辞書が欲しい!」となったのでした。

英会話教室仲間に、尊敬する友人がいます。わたしよりひとまわり以上年上で、定年退職してから海外旅行を楽しみたいと習い始め。教室に通っている期間は同じくらいなのですが、その間に彼女は英検1級を取得。彼女の語彙の豊富さに触れるたびに、わたしももっと単語を増やさなければと反省してばかりです。

その彼女が常にバッグに入れているのが、辞書。彼女の場合は電子辞書ですが、ことあるごとに「英語でなんて言うんだったかしら?」と辞書に手が伸び、その場で確認をする習慣がついているのです。日々のこのような習慣も、語彙を増やすことにつながっているのだろうと、彼女と話をしていると感じます。

紙の和英辞典はそれなりに重いので、常に持ち歩くというわけにはいきませんが、机の上にいつも置いておけば、気になった時にサッと開くことができます。そう、わたしにとってはスマホで調べるよりも辞書を開く方が簡単だと気づいたからこその、紙の辞書。少しでも語彙の強化につながるといいな、と思いつつ。

読書『30の都市から読む世界史』(日経ビジネス人文庫)

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読書『30の都市から読む世界史』(日経ビジネス人文庫)

河合塾世界史講師の神野正史氏の監修。「世界史」の文字を含んだタイトルの本を、ここ数年で何冊も買い込んだので、もういいだろうと思いつつ、ついつい手にした一冊です。切り口が変わると見え方も変わってくるというのは、これまでの世界史本からも学んでおり、今回は「都市」のキーワードに釣られました。

「はじめに」にも書いてあるとおり、都市ごとに文章が独立しているので、どこから読みはじめても大丈夫です。興味のある都市を見つけたときや、訪問の予定ができたときなどに、この本を開く。地図の背景を知るための、ガイドブック的な使い方ができる本だと思いました。文庫でコンパクトなので、気になったら取り出せるように、もっぱらバッグに入れて持ち歩いています。

読めば、知らないことばかり(笑)。やはり世界史は広くて深いですね。いろいろな切り口の世界史本を読まなければ、まったく追いつきません。本書で描かれている30のいずれの都市にも魅力を感じました。なかでも特に「アテネとサンクトペテルブルクに行ってみたいな」と思い、「上海とドバイのこれからがどうなるか」に興味がそそられました。

読書:シャーロックホームズ シリーズ読み直し。

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読書:シャーロックホームズ シリーズ読み直し。

近所の図書館でお正月休みの間に大量に借りてきたのが、シャーロックホームズものの文庫版。昨年のシャーロックホームズミュージアム訪問『ヴィクトリア朝ロンドンとシャーロックホームズ』(原書房)の読書から、すっかり引っ張られています(笑)

読みたい!と思ったときに過去の名作を容易に手に取ることができるのは、ひとえに文庫と図書館のおかげです。かつてホームズを読んだのは、小学校高学年の頃だったと思いますので、数十年ぶりの読み直し。『緋色の研究』からスタートし、『四つの署名』『バスカヴィル家の犬』(いずれもコナン・ドイル著、新潮文庫)と進んでいます。

面白いです。ストーリー自体の面白さに、ささやかながら自分の経験や知識がプラスされて想像力が広がっていくのを、読書を通して感じています。なかでも特に 『ヴィクトリア朝ロンドンとシャーロックホームズ』(原書房)の読書 によって、ストーリーの世界がぐっと広がりました。本の力ってすごいですね。

『ヴィクトリア朝ロンドンとシャーロックホームズ』(原書房) を編んだのは、シャーロックホームズの展覧会をキュレーションした学芸員や研究者の方々で、熱烈なシャーロックホームズファン。このことがまた、わたしにとっては刺激的な事実であり、学芸員の仕事の面白さ、「好き」が生み出す力の素晴らしさを感じています。

こんなふうに、学芸員としての仕事を形にできたら、素敵ですね。ひとつまた、目標ができました。

2019読んだ本ベスト5。

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2019読んだ本ベスト5。

今年もこの季節になりました。読書中の本が数冊あるので、年内に読み終わるものもありそうですが、とりあえず本日までのところでランキング。


第5位:『W・チャーチル 我が半生』(中央公論新社)W・チャーチル著

ウィンストン・チャーチルの半生自伝。はじめに「現代イギリスの自伝として」とあるとおり、今のイギリスにつながる政治の流れ、イギリスから見た国際情勢の流れが、描かれています。小説のように読ませる文章で、面白く現代史を学ぶことができました。

第4位:『エグゼクティブは美術館に集う』 (光村図書)奥村高明著

美術鑑賞の効用を説いた本書は、アートエデュケーターとして知っておきたい内容が盛りだくさん。その内容の充実度合から、2回に分けて備忘録をアップ。繰り返し内容を確認したい本であり、「アーティストでは無いけれど、美術を仕事にする」方々に、おススメの本です。

第3位:『ユダヤ人と近代美術』(光文社新書)圀府寺 司 著

世界中で、アートに関わるあらゆる場面で ユダヤ系の方々が多く活躍していることを知り、その背景を少しでも理解したくて見つけたのがこの本。美術・芸術の持つ根源的な力、近代以降の「市民」にとっての美術を考えるのにも、深い示唆のある本です。

第2位:『書くことについて』(小学館文庫)スティーヴン・キング著、田村義進訳

文章指南の本でありながら、巨匠スティーブン・キングがいかにして誕生したのかを垣間見ることができる自伝的な書でもあります。ストーリーの面白さに引き込まれ、読み終えてすぐに2周目を読みました。小説家を目指す方には、ぜひ読んでみて欲しい本です。

第1位:『ハリー・ポッター』シリーズ (静山社)J・K・ローリング著

この年にしてやってきたハリー・ポッター・ブーム。ページをめくるのがもどかしく感じられたのは、実に久しぶりでした。巷で大ブームになっていた時には、ほとんど興味がなかったのですから、わからないものですね。文庫化の恩恵に授かりました。


今年は、前半は坂東眞砂子さんや平野啓一郎さんといった日本の小説家の面白さにハマり、後半はハリー・ポッターにハマりと、「小説」をたくさん読んだ一年となりました。

「この本読んだの今年だったのね!」というものもあれば、読んだことをすっかり忘れてしまっていた本もあり。もう一度読もうと引っ張り出した本少なからず。これだから、自分のために読書記録は付けておかねば!ですね。