本ふたつ

こんにちは!ふじゆりです。

前回の投稿からずいぶんと時間がたってしまいました。

錦牡丹文茶碗

津屋崎の花祭窯へは、遠路訪ねてきてくださる方も多くいらっしゃいます。
皆さん、ここを目的に、アポイントをとっていらしてくださる方がほとんどで、
ほんとうに嬉しくありがたいかぎりです。

お越しいただくと、2時間3時間とゆっくりお話をすることも多々。

今、そんな皆さまに、より器と空間を楽しんでいただけるよういろいろと考えています。
知恵をしぼり、たくさんの方の力を借りて、もうすぐ形になろうとしています。

この思いを形にするために、くりかえし読んでいる本がふたつ。

ひとつは先日もちょっと紹介した、福原義春さんの『美-「見えないものをみる」ということ-』
もうひとつが、岡倉天心『The Book of Tea』

『美-「見えないものをみる」ということ-』には、これまで自分が頭や心で思っていても
上手に言葉に変換できなかった思いが、たくさん文字になっていました。

●現代の問題点は「高水準でありながら(均質化されて)質の劣る暮らし」である。
●「文明が文化を駆逐する」のを阻止しなければならない。
●人間らしく生きていくためには、多様性と人間らしい感性(感受性)を取り戻すことが必要。

そして「美」(自然・本物・文化)は、単に贅沢なものなのではなく
「美とは人間にとって正義や愛と同じような、いわば本能的な価値」
というある種の結論に、とても納得したのでした。

また、とくに「ものづくり」という点では

●ものづくりを分業化せず一人で行うことによって、つくったものが、つくった人のアイデンティティや魂と一致する。
●「本歌取り」「見立て」によって日本人は文化を進化させてきた。これは「質を落としながらのコピー」とは根本的に異なる。
●過去の知的資産に触れることは、単に過去を知るだけではなく、何よりも未来を考えるのに役立つ。

というところに、深く共感したのでした。

著者の福原義春さんの教養の深さ・バックボーンの厚さには、とうてい辿り着けるものではありませんが
少しでも近づけるような空間づくりができればと思っています。

『The Book of Tea』については、また次回(^^)

中学生職場体験@花祭窯

こんにちは!ふじゆりです。

花祭窯では、普段「陶芸体験」なるものは一切受け入れていませんが
毎年1週間(実質5日間)の中学生の職場体験を受け入れています。

津屋崎中学生職場体験@花祭窯
初めての年はすべてのことが試行錯誤でした。

今年は3年目。
1年目、2年目と経験してわかってきたことを反映しながらの取り組みです。

中学生が来てくれている時間を無駄にしないよう、
いろんな仕事があるのだと知ってもらうことが出来るよう、
そして、出来れば陶芸の仕事のおもしろさを感じてもらえるよう。

受け入れる側のこちらの度量が試される5日間です。

今年はゴールを「箸置きの生地づくり」において
少しづつ、慣れていってもらうことを意識。

お客さま用駐車場の草むしりにはじまり
海散歩で貝殻を拾い、デッサン(平面図)→カタチ(立体)にしていく作業を入れてみたり

中学生職場体験@花祭窯

来年の干支に向けて、図書館で「サル」の資料を集めてもらったり

視覚から平面へ、平面から立体へと
目と手、視覚と触覚(皮膚感覚)をつかっていく練習のよう。

「人に教える」ことの難しさと面白さ。

中学生職場体験@花祭窯

そして、おそらくうちで一番カタチの単純な箸置きの生地をつくってもらいました。

もちろん、ここから多少の手を加えてカタチを修正していかなければ
お客さまにお出しできるものは出来上がりませんが、
かなり頑張ってくれました。

職場体験も本日が最終日。
将来の仕事を考えるきっかけのひとつになると嬉しいな、と思いつつ。

わたしたち自身の5日間のあり方もしっかり省みて
また来年、中学生が来てくれるといいな、と期待しています。

盆踊りが終わって

おはようございます!ふじゆりです。
雨で涼しい朝です。

盆踊りが終わって、子どもたちの夏休みも終わりに近づき
津屋崎の夏もそろそろお仕舞いの気配です。

津屋崎祇園山笠2015

山笠で梅雨が明け、夏のはじまり。

南阿蘇2015

お取引先さまとのご縁で楽しんだ南阿蘇。

南阿蘇2015

伝統行事の楽しみ、自然の雄大さ
たくさんの栄養をいただいた夏休みです。

さて津屋崎の盆踊りは、毎年8月15日。
小さな櫓(やぐら)に三味線、笛、太鼓の生唄生演奏。

生演奏で踊ることの出来る盆踊り。
とっても贅沢です。

津屋崎の盆踊りは、「博多柳町」と「須磨の浦」という二つの唄があります。
この踊りがとてもややこしく、一周が長いことから
なかなか覚えることが出来ません。

毎年お盆前に盆踊りの練習日があり
津屋崎移住1年目から、この練習と本番に欠かさず参加し(笑)
4年目の今年は、ようやく1曲はなんとなく覚えたかなぁ・・・という感じです。

来年の夏こそは1曲マスターするぞ、と決意しつつ。

熊本へ SUNNYさんとGrünさん

こんにちは!ふじゆりです。

梅雨晴れの週末、熊本方面に出かけてきました。

オープン2周年で記念の蕎麦猪口展を開催しているビストロ&バーSUNNY(サニー)さんと
2015年4月にオープンしたばかりの南阿蘇のGrün(グリューン)さんにおじゃましてきました。

Bistrot & Bar SUNNY

SUNNYオーナーの藤川さんとは、藤川さんがお店を独立なさる前からのご縁です。
藤吉の器をとても気に入ってくださっていて、
昨年のオープン1周年記念に蕎麦猪口展を開催したいとご相談いただき、
今年は2周年・2度目の蕎麦猪口展となりました。

ビストロ&バーSUNNY蕎麦猪口展

SUNNYに蕎麦猪口が並ぶのは、この期間だけ。

熊本SUNNY蕎麦猪口展

今年は赤絵の蕎麦猪口もたくさんお届けすることができました。

藤吉憲典蕎麦猪口展

---------------
藤吉憲典 蕎麦猪口展
2015 6/20(土)~7/12(日)
SUNNY 熊本市中央区水道町4-39-2F
TEL096-355-4188
(営)18時-26時(水・土・日は13時‐26時)
---------------

見慣れている蕎麦猪口も、場所が変わればまた違って見えるので不思議です。
これだけの数が並ぶのもめったにない機会。
美しく並んだ蕎麦猪口を見て、とっても嬉しくなりました。

SUNNY訪問は、お料理とお酒も楽しみのひとつ。
おいしくて美しいお料理に、藤川さんのつくるカクテルがおすすめです。

7月12日まで約3週間の期間、手にとって選んでいただくことが出来ます。
ぜひ、お料理とお酒を楽しみながら、蕎麦猪口をご覧ください(^^)

Grün

グリューンさんは、南阿蘇に今年4月オープンしたセレクトショップ。

オーナーの岩田さんが津屋崎の花祭窯まで訪ねていらっしゃったのは昨年のこと。
東京のももふくさん、鹿児島の壺中楽さんで藤吉憲典の器に出会ったといい
器のウラに書かれた「憲」の名を手がかりに、雑誌やネットで調べて来られたのでした。

南阿蘇グリューン

南阿蘇、きらきらの緑のなかにグリューンさん、ありました。
古い道具箱や箪笥をディスプレイに使い、落ち着いた雰囲気。
広い窓から望む景色も緑がたくさんでとっても気持ちよかったです。

南阿蘇グリューン

オープン前にお求めになった藤吉の器は、もうほとんど売れてしまっていて
あちこちからお問い合わせがあったとのことで、嬉しい限りです。

お取引先さまがあちらこちらにいらっしゃるおかげで、
いろんなところに足を運ぶ理由が出来るのは、とても嬉しいことです。
訪ねて行く場所がある幸せを、あらためて感じた週末でした。

弥生三月、変転の季節。

こんにちは!ふじゆりです。

ここ福岡は数日真冬に戻った後、今日からまた暖かな晴れ。
寒いのが苦手なので、お日さまが出るとホッとします。

このところ、お世話になっている方がお二人続けて異動の挨拶におみえになりました。
お一人は信金の担当者さん。
お一人は商工会の職員さん。

お二人ともそれぞれ
この地ではあまり一般的でない「窯」という業種の仕事に
そして見ようによっては突飛とも思えるわたしたちの事業展望に
理解を示し力を貸してくださったのでした。

何年か後に、もしまた津屋崎に戻ってこられることがあれば
そのとき「お、花祭窯さんも相変わらずがんばってるね!」と誇らしく思ってもらえるような
そんな自分達であることが、一番の恩返しになるはずだと思っています。

宮地嶽神社の早咲きの桜
宮地嶽神社の早咲きの桜。

とはいえ、嬉しいことにお二人ともお住まいは比較的近所。
職場の肩書きを持ってのお付き合いから、個人としての友達付き合いへとステージを変えて
これからもわたしたちにとって大切な存在です。

津屋崎に移転してもうすぐ丸三年。
いつのまにかたくさんの大切な方々に囲まれて過ごしています。
親身にサポートしてくださる方々の存在を、あらためてありがたく思ったのでした。

九州国立博物館の楽しみ。

こんにちは!ふじゆりです。

久しぶりに九州国立博物館に行ってきました。

現在、特別展「古代日本と百済の交流」展が開催中です。
訪れると一日遊べる、見所の多い九州国立博物館。
わたしたちが今回最も楽しんだのは、文化交流展示室の「大涅槃展(だいねはんてん)」。
http://www.kyuhaku.jp/exhibition/exhibition_pre123.html

色鮮やかな涅槃図は、眺め続けると新しい発見がたくさんあります。
一枚だけでも見ごたえがあるのに、それがいくつもあるのですから、いくら時間があっても足りません。

九州国立博物館は、特別展の宣伝にとても力が入っていますが、
実はこの4階の「文化交流展示室」かなり楽しいです。

==『日本文化の形成をアジア史的観点から捉える』をモットーに、
日本とアジア諸国との文化交流の歴史に焦点をあてた展示を行なっています。==
(九州国立博物館ウェブサイトより)

そして今回は、すぐ下にある「太宰府天満宮」にもお参り。
梅は三分咲きといったところでした。

写真はその太宰府天満宮から九州国立博物館へ上っていくエスカレーター。

太宰府天満宮から九州国立博物館へ

津屋崎はワクワクしています。

こんにちは!ふじゆりです。

9月の終わりごろから
津屋崎千軒は町全体がなんだかワクワクしています。

その理由は、これ。
http://www.nhk.or.jp/fukuoka/drama/shiawase/index.html

NHK福岡放送局が制作する「福岡発地域ドラマ」の舞台に津屋崎が。

津屋崎千軒内でも、あちらこちらでロケが行われていて
福津市内からも市民エキストラで参加する人がたくさん。
子どもから長老さんまで、なんだか浮き浮きと嬉しそうです。

花祭窯から見えるいつもの風景も登場しそうです。
花祭窯から津屋崎浜を臨む。

2015年1月16日19時半より九州沖縄での放送です。

松田翔太さん、宮本信子さんの二人芝居に近い構成ということで
津屋崎の日常風景をバックにどんなドラマができあがるのか
今からとっても楽しみです。

津屋崎陶片ミュージアム~陶片の展示棚~

こんにちは!ふじゆりです。

津屋崎陶片ミュージアムをネット上でオープンし、
亀の歩みのようにゆっくりと紹介をはじめたところでしたが・・
なんと、リアルにディスプレイするための棚が、花祭窯に来てくれました!

津屋崎陶片ミュージアムのディスプレイ棚がきました。

ご近所さんが、もう使わないからとお譲りくださいました。
重厚な雰囲気で、400年~200年の時を越えてきた陶片を飾るのにぴったり!
ほんとうにありがとうございます。

津屋崎陶片ミュージアムのディスプレイ棚がきました。

いっぺんにたくさんを飾ることはできませんが、
ときどき入れ替えをしながら、楽しんでご覧いただけるよう
美しい展示を心がけてまいります。

現在、展示内容・方法を検討中。
オープンの暁には、あらためてご報告いたします。

どうぞお楽しみに!
といいながら、おそらく最も楽しんでいるのはわたしです(^^)

津屋崎陶片ミュージアム~見込に松竹梅~H260709001

こんにちは!ふじゆりです。

津屋崎陶片ミュージアム
本日のご紹介は染付の碗か蓋ものか。

染付碗、見込に松竹梅

染付碗、見込に松竹梅

染付碗、見込に松竹梅

染付碗、見込に松竹梅

写真1枚目、見込文様に松竹梅があると知っているのでそれとわかりますが
まあ、ずいぶんと崩れた松竹梅。

環状の松竹梅を見込文様に描くのは
18世紀中頃から流行りはじめたそうですが
手間のかかる文様であるため
ある程度上手(高級品)のものに描かれているようです。

写真のように雑な(笑)表現になってくるのは、19世紀に入ってからか。
職人さんが文様から文様を写しているうちに
もとの図案がなにを表していたのかわからなくなってしまった!
という感じのもの、古伊万里によく見かけます(^^)

ともあれ、これは表も裏もきちんと文様が描かれています。
表は花かなと思いきや、おそらく宝袋。
松竹梅も吉祥文ですから、宝尽くしですね。

つくりも丁寧で、高台にもきれいに釉薬がかかっています。
宝尽くしの蓋ものかな、と。

 

 

~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*

ふじゆりスタイル
http://fujiyuri.com/blog/

津屋崎陶片ミュージアム
http://fujiyuri.com/blog/category/tsuyazaki-oldchina-museun/

<運営責任者>
花祭窯(はなまつりがま) 藤吉有里
https://www.facebook.com/HanamatsuriKiln

~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
■蕎麦猪口倶楽部(そばちょこくらぶ)
http://sobachoko.fujiyoshikensuke.com/

復刻古伊万里からオリジナルまで。肥前陶磁の伝統と革新。
____________________________

■磁器作家・藤吉憲典(ふじよしけんすけ)

Ceramic artist Kensuke Fujiyoshi フェイスブックページ
https://www.facebook.com/KensukeFujiyoshi

藤吉憲典公式ホームページ
http://fujiyoshikensuke.com/

肥前陶磁の価値を高める仕事を通して
優れた伝統工芸文化と技術を世界へ・後世へ伝えます。
____________________________

花祭窯 〒811-3304福岡県福津市津屋崎4-8-20

~日常に文化とストーリーをプラス。
持つ人の個性を引き立てる上質~

津屋崎陶片ミュージアム~金襴手の華~H260629001

こんにちは、ふじゆりです。

津屋崎陶片ミュージアム。
今回のご紹介は、赤絵。それも、金彩を用いた金襴手(きんらんで)!
古伊万里様式の金襴手。
1690年~1730年ごろでしょうか。

古伊万里様式の金襴手赤絵

古伊万里様式の金襴手赤絵

古伊万里様式の金襴手赤絵

古伊万里様式の金襴手赤絵

古伊万里様式の金襴手赤絵

この赤絵も、良くぞこの状態で残ってくれてくれました!
と思わず叫びたくなるカケラのひとつです。

赤絵は上絵(うわえ)とも呼ぶとおり
釉薬をかけた本窯焼成の上に、絵の具を載せて焼いているため
釉薬による保護が無く、外的要因によって色が剥げ落ちます。

そのため、海で洗われていた漂着カケラには
赤絵が残っていないことが多いのです。

周辺部、白抜きになっている部分に
金彩が施されていたのではなかろうか、と想像できるのです。
この白抜き部分を良く見ると
植物や山などの文様が描かれた線描きのあとが見えます。

そして見込は染付。
ということは、染錦の金襴手です。
裏にもしっかり染付の文様が描かれています。
蔓と葉の組み合わせ。
高台にも染付の線が入っています。

皿のカケラです。
高台の大きさから考えて、7寸~8寸くらいでしょうか。
結構大きいですね。
つくりも薄く、丁寧です。

つくりの丁寧さ、絵付の豪華さ、丁寧さ。
上ものの器です。

こういう丁寧な仕事が肥前陶磁の誇りです。
眺めていて思わずニヤニヤしてしまう、嬉しいカケラです。