植物・気象・動物~知ると楽しい文様のこと

こんにちは。花祭窯の番頭役ふじゆりです。

6月25日(土)からはじまる熊本SUNNYさんでの
『藤吉憲典 蕎麦猪口展』を存分に楽しむ!をテーマに
文様について小話を展開しております。

これまでにご紹介したのはこちら。

●松竹梅~知ると楽しい文様のこと

●立てば芍薬座れば牡丹~知ると楽しい文様のこと


蕎麦猪口の文様は楽しい

蕎麦猪口の文様の楽しさは、その題材の多様さ。

本日の写真は左から
染付朝顔文蕎麦猪口(そめつけ あさがおもん そばちょこ)
染付傘文蕎麦猪口(そめつけ かさもん そばちょこ)
染付群馬文蕎麦猪口(そめつけ ぐんばもん そばちょこ)

この三つを見るだけでも、それを感じていただけるのではないでしょうか。

草木や花などの植物がテーマになったもの
雨と傘、気象や自然現象がテーマになったもの
動物がテーマになったもの

朝顔文

我が家の近所の朝顔も咲きはじめました。
夏の風物詩ですね。
日本では薬草として平安時代から親しまれていたようです。

渡来種が多く、色カタチさまざまな種類のある朝顔。
江戸時代にはこうした「変化朝顔」を栽培するブームがあったといわれています。
観賞用として人気が出て、いろいろなデザインに用いられたのでしょう。

蕎麦猪口では、染付(そめつけ)の藍色だけでシンプルに描かれることもあれば、
赤絵を用いて華やかに描かれることもあり、
朝顔ひとつとってもたくさんのデザインが残っています。

傘文

古伊万里からつづく古典文様には、自然現象をデザイン化したものも数多くあります。
荒波、小波、雪、氷、雨、風・・・・・

形のない現象をデザイン化する方法は、日本の織物の文様や
日本画での描かれ方など、いろんな分野からお互いに学びあっていたようです。

さて、この傘文。
自然現象の雨の文様である一方、宝文様でもあります。

中国八吉祥と呼ばれるおめでたい文様のなかに宝傘があります。
傘を持つ人物が描かれていないのは「隠れ蓑」「隠れ傘」に由来があり、
かぶると体が見えなくなるという想像上の傘だから。
隠れ蓑と同様、鬼や天狗の宝物である道具の一つと伝えられています。

それゆえこの傘文の蕎麦猪口も、吉祥文様の蕎麦猪口として愛されています。

群馬文

馬は牛と同様に、神の乗りものとされています。
ともに農耕民族にとっては生活に欠かせない重要な存在で、活動の象徴・招福の縁起物です。

雲とあわせて描かれる「天啓群馬(てんけいぐんば)」の文様は、
良い兆しを伝えるものとして、特におめでたい文様として慶ばれています。
そのほかにも、馬を九頭描いて「うまくいく」と語呂合わせした江戸の気風が感じられるものも。

蕎麦猪口の文様の面白さ、
ぜひ現物を手にとってご覧ください(^^)


藤吉憲典 蕎麦猪口展
2016.6.25(土)-7.3(日)

Bistrot & Bar SUNNY
熊本市中央区水道町4-39-2F
TEL096-355-4188

月曜定休

営業時間
火/木/金:18-26時
水/土/日:13-16時18-26時

立てば芍薬座れば牡丹~知ると楽しい文様のこと

こんにちは。花祭窯の番頭役ふじゆりです。

6月25日(土)からはじまる熊本SUNNYさんでの
『藤吉憲典 蕎麦猪口展』を存分に楽しんでいただきたいので、
今日からしばらく文様について小話を展開してまいります。

これまでにご紹介したのはこちら。

●松竹梅~知ると楽しい文様のこと


蕎麦猪口の文様は楽しい

上の写真の蕎麦猪口の名前は、
染付外濃牡丹文蕎麦猪口(そめつけ そとだみ ぼたんもん そばちょこ)。

※豆知識
外濃と書いて「外ダミ」。
絵付の絵具である染付の藍色で塗りつぶすことを「ダミ」といいます。
この文様は、牡丹の花の外側を塗りつぶしてあるので「外ダミ」。

牡丹の花は富貴の象徴

やきもので牡丹のデザインと聞いてぱっと思い浮かぶものは

牡丹唐草文(ぼたんからくさもん)

牡丹唐草文 藤吉憲典

かも知れません。

立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花。

牡丹も芍薬も、花だけ見るととても区別がつきにくいのですが、
やきものに描かれているものは、おおむね牡丹と解釈されています。

その理由は、やきものが中国の影響を受けたものであること。
中国では唐の時代から牡丹の花は富貴の象徴であり、百花の王としてとして人気の高い花なのです。

ですから、同じように華やかに描かれた花でも、縁起を担いで「牡丹」と解釈。

上に紹介した牡丹唐草文のほかにも、岩牡丹文(いわぼたん)、牡丹繋文(ぼたんつなぎ)、短冊牡丹文(たんざくぼたん)など、さまざまに描かれています。

牡丹が文様になっている蕎麦猪口はこちら。

 

松竹梅~知ると楽しい文様のこと

こんにちは。花祭窯(はなまつりがま)番頭役ふじゆりです。

6月25日(土)からはじまる熊本SUNNYさんでの
『藤吉憲典 蕎麦猪口展』を存分に楽しんでいただきたいので、
今日からしばらく文様について小話を展開してまいります。

蕎麦猪口の文様は楽しい

先日「続々・蕎麦猪口について」でも書いたのですが
蕎麦猪口にすっかり魅入られた理由、それは

蕎麦猪口の文様

江戸時代につくられた蕎麦猪口の文様の種類が数千にも及ぶという話を聞いて、
ひとつの形状にそんなにたくさんのデザインが実現するなんてすごい!」と感動したのが最初でした。

そんな文様のお話
第一回目はずばり

日本の吉祥文様の代表格・松竹梅(しょうちくばい)

松竹梅といえば吉祥文様(きっしょうもんよう)=おめでたいデザインの代表格。
吉祥文。「めでた柄」とも呼ばれ、おめでたい、縁起の良い文様の総称です。

松・竹・梅の共通点は「冬の寒さに耐える植物」であること。
また松や竹・笹は古来より「神様の依り代」として神事に欠かせないものでした。

蕎麦猪口では、松・竹・梅がそれぞれ単体で描かれることもあれば、
2種3種と組み合わせで描かれることもあります。
染付でも赤絵でも描かれており、古くからの人気ぶりが伺えます。

寒い季節も緑の葉が美しい松。
不老長寿・健康の象徴です。
蕎麦猪口では老松、若松、三蓋松、松原などなど多様に描かれています。

竹・笹

どこまでも根を張り広がっていく竹。
その繁殖力になぞらえて、無病息災・子孫繁栄の願いがこめられています。

寒さをしのぎ春を告げる慶びの象徴。
花の優しさと高貴な香りが縁起物として愛されています。

 

古典的な題材でありながら、現代もなお愛され続けている松竹梅。
ハレの席に、お祝いに、文様に思いをこめて
贈りものに人気の文様でもあります。

 

茶室「徳り庵」~名前の由来

こんにちは、ふじゆりです。

そういえば、まだこちらでちゃんとご紹介していませんでした。

花祭窯の茶室「徳り庵」

「とくりあん」と読みます。
変形三畳の狭小茶室です。

お茶室の定義は「茶を目的とした空間」
「自然」と「美」を感じるたたずまいでさえあれば自由な解釈が許されるものだとわかり、
徳り庵では「茶室はこうあるべき」にとらわれずにつくりました。

徳り庵の名前の由来は、ふたつあります。

その一、徳利(とっくり)

茶室に入ってふぅっと一息、おちついたら、まず天井を見上げてみて欲しいのです。
土壁がそのまま天に向かってすぼまっていきます。
徳利のなかから上を見たら、こんな景色かしら、という感じ。

花祭窯茶室徳り庵

↑この写真は、天井をつくる過程での骨組み図。
竹の力を借りてつくったこの曲線面に、土壁を塗って完成しています。

 

その二、徳不孤必有隣

「徳は孤ならず必ず隣有り」と読みます。
論語にある孔子の言葉です。
素読を通して親しんでいる論語の言葉からなにかもらいたいな、と思っていたところに見つけました。

意味は「たくさんの人と交わるなかで徳が養われ、親しく理解しあえる仲間ができる」というようなこと。
そんな仲間を迎え、お茶を飲み、語らえる場所でありたいという気持ちをこめて。

余談ですが
この名前を決めて数ヶ月後のこと。
ダンナが急に「あーっ」と大声。
いったいなにかと思ったら「これ、親父がよく書いてたんだ!」と。

20年以上前に亡くなった藤吉憲典のお父さんは書道の先生でした。
掛け軸や色紙に文字や水墨画をたくさん残していましたが、
生前、友人などが訪ねてきたときに、色紙や短冊に書いて差し上げていたのが
この「徳不孤必有隣」であったと、急に思い出したらしく。

これを聞いてますますこのお茶室の名前が気に入っています(^^)

 

 

「粋」ってなんだ!?

こんにちは。ふじゆりです。

まだ花祭窯として独立する1年ほど前のある日のこと。
有田のとある窯元で商品開発をしていたダンナは、
「粋なデザイン」の新商品をたくさん出せと社長に言われたのでした。

勤めから帰って来ての第一声

「粋」ってなんだ!?

独立してからもずっと、この言葉はどこかに引っかかっていて
ことあるごとに「これは粋なのか、粋じゃないのか」が気になるものの、
そもそも「粋とはなんぞや」を本質的にわかっているかと問われたら、その自信も無く。
「これは粋だ!」と断言できないままに月日は流れて。

そんななか、古本屋で見つけた、そのものズバリのタイトル「粋」。

その前文にこうありました。

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江戸後期、江戸の市民たちは、
「粋」という洗練された美学をもっていました。垢抜けて、しゃれていて、すっきりしていて
それは長い間の泰平が生みだした、
ゆとりと遊びの文化といってよいでしょう。

(中略)

そして「粋」のなかに、私たちが “豊かに活き活きと生きる” ための
重要な指針が秘められているように思えます。

(後略)

------------

そして「粋」を紐解くさまざまな写真と文章で構成されているのですが、
この本を一読してわかったのは「本を読んだだけでは『粋』はほんとうにはわからない」ということ(笑)

「垢抜けて、しゃれていて、すっきりしていて」「ゆとりと遊びの文化」が生み出したもの・ことを
実際にたくさん見て、たくさん触って・・・体・五感で感じる経験を積み重ねた先にしか
「粋ってなんだ!?」への解は無いように思いました。

果たして「粋ってなんだ!?」に辿りつくのはいつの日か。
そこをめざして、ものづくりに取り組んで行きたいと思うのです。

 

ところでこの本、資生堂さんの企画でした。

なるほど、資生堂さんといえば、これ。

以前にこのブログでも紹介しました、資生堂名誉会長の福原義春氏が書いた
『美 「見えないものを見る」ということ』

本ふたつ

繋がっていますね(^^)

 

 

続々・蕎麦猪口のこと。

こんにちは。ふじゆりです。

蕎麦猪口(そばちょこ)のこと。

続・蕎麦猪口のこと。

と語ってまいりましたが、その最終回(の予定)。
蕎麦猪口にすっかり魅入られた理由、それは

蕎麦猪口の文様

江戸時代につくられた蕎麦猪口の文様の種類が数千にも及ぶという話を聞いて、
ひとつの形状にそんなにたくさんのデザインが実現するなんてすごい!」と感動したのが最初です。

骨董品や、その破片(陶片)、写真で見る資料に残っている文様の豊かさは見ていて楽しく、
なるほど骨董の蕎麦猪口を蒐集する方の気持ちがわかります。

草花、動物、干支、昆虫、爬虫類、幾何学文、文字、人物、山水、気象などなど

文様の題材にならないものは無いと思えるくらいに、デザインの宝庫です。

日本へのやきもの伝来のルーツとなる中国大陸・朝鮮半島の影響はもちろん、
インドペルシャ文化の流れを感じさせるもの、仏教文化に根ざしたものもたくさん。
そのうえに、日本独自の文化や環境が生んだ文様も加わっています。

身近で素朴な草花や四季を感じる風物の描写は、当時の陶工の周りにあった
豊かな自然を思わせます。

またおめでたい吉祥文様は、中国のやきものにも好まれて描かれていますが、
江戸の時代を反映した縁起担ぎ・駄洒落の効いたものもあり、
文様から日本の風俗文化を感じるものです。

蕎麦猪口という限られた形状に広がる文様の世界。
その面白さにすっかり取り込まれています。

こんな蕎麦猪口の文様の楽しさをもっと知りたい方へのおすすめ本は
「年代別蕎麦猪口大事典」です。

監修の大橋康二さんは、佐賀県立九州陶磁文化館名誉顧問。

九州陶磁文化館といえば、肥前磁器の研究・所蔵が素晴らしく、
特に柴田夫妻コレクションはその数も内容も秀逸で
藤吉憲典が最も勉強をさせていただいた場所。
やきものを志す方には、ぜひ通って欲しい美術館です。

6月9日は花祭窯の開窯記念日です。

こんにちは、ふじゆりです。

紫陽花が咲きはじめ、6月が目の前に迫ってきました。
本日は朝から宛名書きをしています。

6月9日は花祭窯の開窯記念日。

いつを開窯日=創業日にしようかというときに「ロックの日」で決定しました。
おかげで、結婚記念日は毎年忘れていますが、開窯記念日だけは覚えています。

佐賀・花祭での開窯から15年、+津屋崎に越してきて5年目
今年2016年は19周年で、いよいよ20年目に入ります。
毎年創業記念に催しごとをしているわけではありませんが、
時間と気持ちに余裕のあるときに、できるだけ感謝の気持ちを形にしようと思い立ち。

ほんの気持ちではありますが、開窯月を記念して
2016年6月1日~6月30日ご予約のうえお越しのお客さまにお抹茶一服差し上げます
※和菓子準備の都合上、必ず前々日までにご予約くださいませm(__)m

不定休でご予約の無い日はお休みすることもありますので、
ご来窯の前にご一報をお願いいたしますm(__)m

 

20年目を目の前に思うこと。

つくづく「人」に支えられてここまできています。
地域の方々、お取引先ギャラリーさん、お客さま、勉強会仲間、友人・・・。
ありがとうございます!この場を借りて、感謝申し上げます。

1997年「こんなに(景気の)悪いときに独立するの?」といろんな方から言われました。
藤吉憲典は佐賀県有田の複数の窯元で技術を身につけました。いわば有田焼。
当時有田ではやきもののメーカー・窯元がどんどん潰れていました。
でも、その後の20年でさらにメーカー・窯元は激減。いまだ底の無い悪循環のようです。

花祭窯はといえば、とにかくコツコツ亀の歩みで進んできました。
自分達にできること・したいこと・すべきことを、「つくるもの」についてはもちろん、
「販売先・販売の方法」についても試行錯誤を積み重ねています。
金なしコネなしで出発し、間違いや失敗もたくさんしてきましたが、
「何度失敗してもあきらめなければ終わりじゃない」という気持ちで続けています。

やきものは儲かる仕事ではないとよく言われます。
たしかにそうかもしれません。
でも「やきもので食べていく」と決めて、取り組んでいます。

20年目といっても、やっとなんとかスタート地点に立ったぐらいの気持ちだというのが正直なところです。
でも少しづつ、自分達にできることで社会に還元して行けたらいいな、という気持ちも出てきました。

今年から、少しづつですが計画していきます。
ひとつには肥前磁器(有田焼・伊万里・鍋島・柿右衛門などの総称)の技術・文化継承
もうひとつには、肥前磁器文化の楽しさを知ってもらう機会づくり。
計画が整い次第、あらためてご案内してまいります。

支えてくれる方々が「藤吉を応援していて良かった」と思えるような自分達でありたいと思っています。
これからも、どうぞよろしくお願いいたしますm(__)m

 

インスタグラムをはじめてみたら。

こんにちは、ふじゆりです。

ロンドン・Sladmore Contemporary ギャラリーでの企画展も残すところ4日です。

海外ギャラリーでの企画展は、昨年のロンドンでのアートフェア参加に続く初体験。
4月、展示を前に「海外の方々に、陶芸家・藤吉憲典の仕事を知っていただく方法」を考えていたところ、
勉強会仲間のお友達がアドバイスをくれました。

海外向けに、インスタグラム

さっそく取り組んでみて、なるほど!
写真をアップし、その写真を説明するキーワードを「#(ハッシュタグ)+英単語」で付けていくだけ。
すぐに海外からの「いいね!」が飛んできました。

これは嬉しい(^^)

写真が主役なので、英文でアレコレ解説を加えなくても成立するのですね。
これは英語が使いこなせていないわたしにとって、とても助かります。
「いいね!」してくださる方も、直感的に反応してくださっているような感じがします。

ビジュアルイメージがすべてなので、写真の撮り方・選び方の腕と眼をもっと磨かねばなりません。

陶芸作家・藤吉憲典のアカウントでは、作品写真を中心に載せています。
https://www.instagram.com/ceramicartist_kensukefujiyoshi/

はじめてみてわかったのは、インスタグラムでは「写真による世界観」が重視されるようだということ。
試しにつくり手の顔の入った写真をアップしたら、あまり反応がありませんでした(笑)

 

仕事と、仕事の背景にあるもの

藤吉憲典の仕事(=作品)を知っていただくための方法をひとつ得た一方で、
「その仕事の背景にあるものも紹介していったら、興味のある人により楽しんでもらえるかも」
という思いが膨らんできました。

そこで「仕事の背景=作陶環境である場所・もの・こと」をビジュアルで紹介するために、
作家とは別に「花祭窯」のアカウントをつくってみました。
https://www.instagram.com/gallery_hanamatsurigama/

作品をつくる人とつくっている環境を知っていただくための場所が揃いました。
あとは、その世界観が伝わるように、コツコツとビジュアル情報発信です。

ビジュアルで伝える表現は、言葉の壁をらくらく越えることをあらためて実感。

言葉による説明ではなく、見たままに判断をゆだねるのは
藤吉憲典の陶芸の仕事と同じだ!と気づき、ますます面白さを感じている今日この頃。

ということは、なおのこと、わたしの写真の撮り方・選び方の腕と眼が問われますね・・・。
日々精進です。

お酒を飲みながらお勉強・その2

こんにちは、ふじゆりです。

お酒を飲みながら建築のお勉強

第2回目。
今回も、隣町にお住まいの建築家、株式会社藤井設計室の藤井さんご夫妻のご好意で。
https://www.facebook.com/Fujii.Design.Office

阿蘇ファームランド、ひらかたパーク、南紀白浜とれとれヴィレッジ・・など
おもしろい空間をたくさん手がけておられるスゴイ建築家さん。
ご縁があって家族ぐるみで仲良くしていただいています。

その藤井さんがこれまでにヨーロッパ各地で撮影してきたさまざまな様式の建築物の写真を見ながら、
それぞれの建築について解説を聞くことが出来るという趣向です。

第2回目のテーマは、建築の歴史

洞窟から出てきた人間はまず最初に舟を作り、その後、舟をひっくり返して家ができた。

建築史を学んだ方には当たり前のことなのかもしれませんが、
のっけからの解説と、その建築物の写真に、建築素人のわたし達には強烈なインパクト。

そもそも古代の建築物は人間のためのものでなかったこと。
そこにある、目に見えないものへの敬意がうかがえるスケール。
手間とコストを厭わない国家的事業。

構造的な必然性と、装飾。
双方の兼ね合い。
その進化と変遷。

 

お話を伺いながら、器の歴史とも通じるものがあるなぁと感じていました。
器もまた、神様に祭る神器からはじまり、
用途の必然性と装飾の兼ね合いが常にあり、
御用窯の時代には手間もコストも厭わず、
そのなかで変遷してきています。

建築はわたしたちにとって異業種ですが、視野の広がりと同時に、
異なるもののなかにある共通性の面白さを教えてくれます。

ともあれ

美しい古い建築物の数々の写真で目の保養をし、
建築士・藤井さんのユニークな視点を交えた解説に教養を学び、
おいしい料理とお酒で、心もお腹も満腹の贅沢な勉強会でした。

ありがとうございました!

 

ちなみにトップの写真は、花祭窯の茶室徳り庵の天井組み。
構造と装飾を考えるなかで日本建築らしく竹の力を借りています。
この上に土壁を塗っているので、今は見えませんが。

 

台湾とのご縁。

おはようございます。ふじゆりです。

九州と台湾の経済文化交流の勉強会に参加してきました。

今年2016年に入ってから、台湾のギャラリーさんからお問合せがあったのがきっかけで、
台湾とのご縁が強まってきていると感じています。

台湾にはやきものの歴史的宝・故宮博物院があり、常々「行こうね~」と話していたものの、
「これ」というきっかけをつくれず後回しになってしまっていました。
「台湾のギャラリーさんからの問い合わせ」という絶好のきっかけに、つくり手は台湾へ。

初訪問の台湾。そこでつくり手がギャラリーの方々とお話をしてわかったのは
お茶や書など、日本と似たような文化的な基盤があること。
そのうえにやきもの文化が培われてきたのですね。

台湾の文化・食・親切な人々。

つくり手であるダンナは、すっかり魅了されて帰ってきました(^^)

 

さて

台湾での個展を検討するにあたり、先方との実務的なやりとりはわたしの仕事になります。
さっそく詳しく話を伺ってみると、いろいろと検討事項のあることもわかってきました。

そこで、いろいろな方々にお話を聞いて情報集め。
九州・福岡は地理的に近いこともあって、台湾に親しい方々も多く
情報提供してくれる場所も多いことがわかりました。

そもそも台湾のことをどれくらい知っているかというと、
ほとんど知らない自分があり。
ギャラリーさんとお取引をするしないということ以前に、
どんな国なのかを知ることが先だと気づきました。

それで、参加してきたのが今回の勉強会。

そこで学んだのは、台湾と日本・九州の強い結びつきでした。
もちろん、貿易取引高がどうだとか、観光客数の伸びがどうだとかという数値的なものもありますが、
むしろわたしにとって大きかったのは、その根本にあるものへの示唆でした。
歴史のなかで培われてきた、目には見えないけれど、確かにあるお互いの信頼関係と敬意でした。

そんな背景を得て、あらためて思ったこと。
台湾での個展を成功させよう!
民間レベルでの文化交流のひとつとして、少しでも役割を果たせたら嬉しいな、と思っています。

皆さんに一日も早く良いご報告ができるよう、でもあせらずじっくり取り組んで参ります。