南阿蘇に行ってきました。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

今年も南阿蘇に行ってきました。

南阿蘇に足を運ぶきっかけとなったのは、2015年に訪問したセレクトショップグリューンさんとのご縁でした。その夏南阿蘇に遊びに行ってから、今年で三度目の夏になります。

翌2016年の地震で、グリューンさんはお店が使えなくなってしまいました。オーナーさんご家族はご無事で、少しづつ前に進んでおられます。セレクトショップ・グリューンさんのご様子は、ブログで確認できます。

2016年の夏も、南阿蘇に行きました。まだあちらこちらの道が寸断されている状態で、通れるルートを確認しながらの訪問。お世話になった宿のご主人が、温泉に連れて行ってくれる道すがら、被害状況について詳しく説明してくださいました。

2017年は、俵山トンネル方面にう回路ができていて、前年よりも南阿蘇が近くなっていました。あちらこちら、まだ手付かずの状況もありましたが、着々と復旧工事が進んでいることも目に見えました。

訪問した当日は、ちょうど南阿蘇の「あそ望の郷」で夏祭り。予報されていた雨も、お祭りのフィナーレ花火の打ち上げまでは降らず、少し涼しくなった夜空に美しい花火を見ることができました。

 

読書『イタリアの世界遺産』。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『歴史を旅する イタリアの世界遺産』武村陽子 著

イタリアの世界遺産の歴史解説がわかりやすく簡潔にまとめられていました。表紙の印象から、ガイド本のような感じかと思いきや、読み応えのある本でした。A5サイズで160ページほどの薄手なので、観光ガイドに持ち歩いても使いやすそうです。

まず最初に、「イタリアの世界遺産一覧マップ」を見て、イタリアってこんなに世界遺産があるのね、と驚きました。著者によると、世界で最も多く世界遺産を持つ国なのだそうです。

イタリアのあちこちに点在する世界遺産の位置がわかるよう地図上に記されていること、章立てが「古代ローマ(紀元前8世紀~紀元後5世紀)」から始まり「バロック、そしてその後(16世紀~1870年)」まで、時代ごとに分けて解説されていることから、それぞれの世界遺産の背景がわかりやすいです。巻末には「イタリア略年表」も。コンパクトにまとまっています。

個人的には、少し前に読んだ世界史の本と、最近気になっているルネサンス期の偉人の本と、今回のイタリアの世界遺産の本、それぞれが相互補完的に位置付けられ、とてもタイムリーな読書となりました。

 

ラスコー展でクロマニヨン人について考えた。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

ラスコー展でクロマニヨン人について考えた。

事前情報で「複製」「復元模型」の展示物が多いと聞いていましたが、「複製」「復元」だからこそ伝えられることもあるということを、学芸員資格課程のなかで学んでいたのを思い出し、「クロマニヨン人が見た世界」を体感しに行って参りました。

パネル展示・復元模型・復元画・レプリカ・再現展示・映像などなど、さまざまな展示技術・工夫を体感できる特別展でありました。

「ラスコー洞窟への招待」とタイトルのついた再現洞窟を楽しみにしていたのですが、期待していたより距離が短くあっという間に通り抜け。模型や映像資料では洞窟の規模がとても大きい(長い)のがわかるだけに、残念でした。ひとつよかったのは、再現洞窟なので、写真撮影OKだったこと。上の写真が、再現洞窟の内部です。

また、紹介されている壁画がごく一部に限られているのも、少々拍子抜けでした。あれだけの壁面があるのですから、おそらくもっとたくさん、さまざまなモチーフが描かれていたのではないだろうかと想像できるのですが、紹介されているものは、ウシ・ウマ・シカ・バイソン・トナカイ・マンモスなど、非常に限られていたように思います。

どのような顔料を用いて、どのように描いていたのかなど、その当時に思いをはせることのできる展示ではありました。

現在、ラスコー洞窟は限られた研究者以外立ち入りができません。いろいろと制限のあるなかで展示をつくりあげるのは、とても大変だっただろうな、と感じました。

 

『#9』(原田マハ)に現代アート市場を垣間見る。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

久しぶりの本紹介。

『#9 ナンバーナイン』(原田マハ)に現代アート市場を垣間見る。

『キネマの神様』『楽園のカンヴァス』からスタートした、わたしの原田マハさん追っかけ。その後も、少しづつ読んでいます。期待通り面白いものもあれば、「あれ?」というものもあり。一人の作家を追いかけて読むのはとても久しぶりなので、そんな「わたしにとってのあたりはずれ」も楽しんでいます。

今回の『#9』は、あっという間に読みました。お話の面白さに加え、少し前に読んでいた『巨大化する現代アートビジネス』(紀伊國屋書店)で解説されていた「中国におけるアート市場・現代アート」のイメージを小説のなかで味わうことができたのが、なんともタイムリーでした。

読書『巨大化する現代アートビジネス』(紀伊國屋書店)

これもまた少し前に読んだ『僕らが毎日やっている最強の読み方』(東洋経済新報社)で、良質な小説は「疑似体験」や「代理体験」を積むのに役立つ、ということが書いてありましたが、まさにそのような感覚だったのかもしれません。

読書『最強の読み方』。

ところで『#9』のなかに出てきたセリフに、なるほどと頷く一節がありました。いわく、

発信側(=アーティスト)に必要なのは、感性(センス)・技術(テクニック)・独自性(オリジナリティ)・情熱(パッション)。受信側(=鑑賞者)として美術を極めるのに必要なのは、感性(センス)・知識(ノウレッジ)・照合(リファレンス)・表現(ディスクリプション)。【『#9』(原田マハ)より】

受信側に問われる「感性」「知識」、ここまでは分かりやすいにしても、「照合」「表現」というのがどのようなことを指しているのかは、この本を読むことで明らかになりました。

鑑賞者として美術を極めるには、まだまだ道のりは遠そうです。

 

福津市複合文化センターの歴史資料館

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

福津市複合文化センターの歴史資料館。

写真は、福津市複合文化センター(カメリアステージ)のフェイスブックページからお借りした、新原奴山古墳群の関連資料展示室。

先日、図書館ができた!という話題を提供したばかりでしたが

津屋崎に新しい図書館誕生!

あらためて同じ館の1階にある、歴史資料館に行ってきました。福津市にはこれまでに遺跡から出てきた遺物をまとめてきちんと展示できる場所が無かったため、ここにスペースが確保できたことはほんとうに嬉しいことです。

写真の新原奴山古墳群展示室のほかに、特別展示室がふたつと、その周りに回廊になっている展示スペース、そして持ち出しはできないけれども閲覧可能な書籍資料の部屋。歴史資料館は無料で気軽に入れる空間でありながら、見応えもあります。

先日、その特別展示室の設計に関わったという方が、偶然花祭窯にお見えになられ、少しお話を伺うことができました。ふたつの特別展示室は、防火設計をはじめ、重要な遺物等を展示するための基準を満たす設計がしてあるということで、とても嬉しくなりました。というのも、このような「ちゃんとした展示室」があることで、重要な遺物や、他館からお借りした遺物の展示紹介が可能になったりするのです。

わたしが訪問した時には、新原奴山古墳群展示室には、このたびの世界遺産登録に関する資料と思われる映像が流れており、なるほど楽しみながら学べるスペースになっていると感じました。

 

津屋崎に新しい図書館誕生!

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

津屋崎に新しい図書館誕生!

花祭窯から自転車で約5分。待ちに待った図書館がオープンしました。

福津市津屋崎の新しい図書館は、1階に歴史資料館とカフェ。2階が図書館。3階がオフィスフロアになっています。

個人的には、1階に歴史資料館が併設されているのがとても嬉しいです。福津市にはこれまでに遺跡から出てきた遺物をまとめてきちんと展示できる場所が無かったため、ここにスペースが確保できたことは画期的です。

2階にある図書館に上っていく手前の1階にあることで、歴史資料館単体だと足を運ばない人でも「ついでに」郷土の歴史資料を目にすることができるというのが、とてもナイスだと思います。目にすることで興味がわいてくることもありますよね。

福津市には、市役所に隣接してすでにひとつ図書館があります。全国的に公の図書館・関係機関は予算を削られる方向にあるなか、(福津市も図書館への予算は十分ではないものの)ふたつ目の図書館ができあがったというのは、市民として幸せなことかな、と思います。

文化的な拠点として、これからどのように運営されていくのか、とってもとっても楽しみです。

 

神戸のギャラリー壺屋さんで個展です。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

7月下旬は、

神戸のギャラリー壺屋(つぼや)さんで個展です。

壺屋さんもまたギャラリーをオープンなさって20年目。壺屋さんのオープンに至る経緯についてはこれまでにもお話を伺っていましたが、この6月に20周年を迎えた花祭窯とほぼ同時期のスタートであったことを、個展案内状に添えられた言葉からあらためて感じました。

由緒ある茶陶の作家さんを中心に、お一人お一人との関係性、ひとつひとつの企画を厳しくこだわりぬいていらっしゃった壺屋さん。自分の美意識とつくりたいものへの欲求に正直に、道のりを開いてきた藤吉憲典。

そんな二者による初個展。この出会いが、お客さまにとって楽しく嬉しいものでありますよう。


藤吉憲典展

平成29年7月22日(土)~30日(日)
11時~18時【期間中無休】

ギャラリー壺屋
神戸市東灘区御影本町6-2-25
TEL078-843-5288
http://www.tsuboya.co.jp/

津屋崎陶片ミュージアム:H290707宋・龍泉窯系青磁。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

津屋崎陶片ミュージアム:宋の龍泉窯系青磁。

上の写真は、福津市津屋崎小学校内にある在自西ノ後遺跡(あらじにしのあといせき)の展示です。わかりやすい解説付きで、遺跡がそのまま残っているほか、遺物の展示も行われているので、小学校に足を運ぶ機会があるたびに、思わず見入ってしまいます。

そのなかに「これ見たことがある!」というものがいくつもあるので、今回は、展示されている龍泉窯系青磁と同じ文様のものを、海あがりの陶片から探してみました。

津屋崎陶片ミュージアム:龍泉窯系青磁

津屋崎陶片ミュージアム:龍泉窯系青磁

津屋崎陶片ミュージアム:龍泉窯系青磁

やはり同じものがあがっているのですね。こうしてルーツが明らかになる嬉しさも、陶片の愉しみのひとつです。

青磁の陶片はこれまでにも何回も(笑)

津屋崎陶片ミュージアム:H290620青磁いろいろ。

在自西ノ後遺跡については、こちらにも取り上げています(^^)

津屋崎陶片ミュージアム~青磁の陶片

津屋崎陶片ミュージアム:H290704幕末の金襴手大皿

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

津屋崎陶片ミュージアム:幕末の金襴手(きんらんで)大皿

津屋崎陶片ミュージアム幕末金襴手大皿

別の日に見つかった二つの陶片。同じ大皿の一部と思われます。こういうことがたまに起こるのがまた、海あがり陶片の面白さ。

染付の藍色の部分はガラス質の釉薬の下に描かれているので、海で洗われても絵が落ちないのですが、器の表面に描かれる赤絵(上絵)は消えてしまうことが多いです。赤の色が残った貴重なカケラ。

よく見ると何も描かれていないようにみえる面にも、絵が描かれた跡がうっすらとあるのです。松の木、梅の枝、波が描かれていたのかな。何色が使われていたのかなぁと、気になります。

津屋崎陶片ミュージアム幕末金襴手大皿

このころはお皿の高台が大きいものが多いようですが、それでも尺(約30cm)はあるのではないかと思われるサイズの大皿です。

幕末~明治ごろの金襴手は以前にも紹介したことがありました。

津屋崎陶片ミュージアム:H290301001

津屋崎陶片ミュージアム:H290630土ものの高台。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

津屋崎陶片ミュージアム:土ものの高台。

浜辺を歩いていて、どうしても染付赤絵の磁器が目につくので、それを拾ってくることが多いのですが、土ものもたくさん上がります。実際のところ、江戸期の塩田跡の発掘をお手伝いしていた時に出てきたのは、磁器よりも土ものの方が多かったのでした。

本日は、土もの三つ。ロクロで引いた碗です。三つとも高台がきれいに残っていて、面白いなぁ、と思いました。ロクロでひくと、底に向かうにしたがって生地が厚くなるので、高台周りが(後処理で削りすぎない限り)一番丈夫になって割れにくいのかもしれません。

津屋崎陶片ミュージアム土もの高台

↑土ものの生地の上に、白土で化粧してあります。高台の内側にも釉薬がかかっているのが、土ものには珍しいと思いました。側面には波文様のような彫文様。彫に白化粧ということで技法的には三島手のような感じかと思いきや、現川(うつつがわ)焼にこのような技法があるということで、彫に見えたのは刷毛による文様かも知れません。

津屋崎陶片ミュージアム土もの高台

↑黒っぽい釉薬がかかっています。釉薬をかけたあと、高台際をきれいに剝いだようで、きっちりと色が分かれています。写真はやや白っぽく映っていますが、いかにも粘土っぽい赤い土です。高台なかに見えるヒビは、残念ながら器の内側まで入っていますので、使うと水漏れしたでしょう。碗全体が割れるには至らなかったようです。

津屋崎陶片ミュージアム土もの高台

↑土の感じ、釉薬の感じから、萩っぽいですね。キッチリと仕上げられた高台です。上の二つと異なり、釉薬は流れるまま。釉薬のかけ方ひとつとっても、違いが見て取れて面白いのです。

 

土もののうつわ、これまでにも唐津系の燈明皿の類をご紹介しています(^^)

津屋崎陶片ミュージアム:H29041901明かりの道具

津屋崎陶片ミュージアム:H290331001~明りの道具(ひょう燭)。