『レペゼン母』(講談社)宇野碧 著、『奇跡集』(集英社)小野寺史宜 著。

読書、今どきの本2冊。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書、今どきの本2冊。

今どきの本、と書いて、我ながらちょっと変かな、とも思いましたが、読後の率直な感想でした。いつものカメリアステージ図書館新刊棚から、装丁の色使いに釣られて思わず手に取った本2冊。上の写真はその装丁です。

『レペゼン母』(講談社)宇野碧 著、『奇跡集』(集英社)小野寺史宜 著。

まずは『レペゼン母』。「レペゼンって、何?」でしたが、それはわからないままにとにかく読みはじめました。面白かったです。300ページ無いぐらいでしたが、テンポよく読み進みました。連休中だったというのもあり1日で読了。著者の宇野さんは1983年生まれで、本書で小説現代長編新人賞を受賞して、作家デビューなさったそうです。

ストーリーの要は、梅農家とヒップホップ(ラップバトル)という、意外性のある組み合わせ。そのなかで母と息子の葛藤が描かれています。母の葛藤に対して、息子の葛藤は最後に明らかになっていくわけなのですが、それがうまい具合にラップバトルでのアンサーに載せられていて、なるほど、この設定はこんな風に使われるのね、と感心しました。

続いては『奇跡集』。著者の小野寺さんは1968年生まれということで、ほぼ同世代です。が、とても今どきというか、現代的な雰囲気を感じました。場面設定や登場人物の背景などから、そのように感じたのだと思います。7つの短編が、同じ電車の同じ車両の同じ座席シートの並びのところに乗っていた、という共通点でつながっているオムニバス。こちらも250ページほどの分量で、サクサクと読み進み、やはり1日で読了。

わたしがこれら2冊を読んで「今どきの本」だと思ったのは、舞台が「現代の日本」であったことが一番大きかったのかもしれません。自分の現在とつながっている部分があると感じさせるストーリーがいくつもありました。登場人物たちと立場や背景は異なっていても、「この感じ、よくわかる」と思える場面がいくつもあったこと。これまでは、世界観を別世界に運んでくれる小説を読むことの方が多かったのだと気づかされました。

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯(はなまつりがま)の内儀(おかみ)であり、Meet Me at Artを主宰するアートエデュケーターでもある、ふじゆり のブログです。