復習『大きな羊の見つけ方 「使える」美術の話』(仙台文庫)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

復習『大きな羊の見つけ方 「使える」美術の話』(仙台文庫)齋正弘著

アートエデュケーション(美術教育)の原点確認に、本書を学びなおし。わたしが学芸員資格課程を修了したのが2013年の秋。その3年後、2016年の秋に参加した学芸員技術研修会で、自分にとって最も大切なテーマが「美術教育(アート教育)」であることに気づいたのでした。

わたしが持っている仙台文庫版は、たしか廃版になっていました。中古で手に入れるしかないのかな、あるいはどなたか復刊してくださるといいな、と思いつつ。

3年ぶりに読み返してみて、美術の役割を再認識しました。いわく「美術は、全ての人間が全部一人一人違うということを基礎に、人間全体の世界観を拡大してゆくということが存在の意義である」。少し言い換えると、「一人一人違う世界の見方」が肯定されていることが、わたしたちが生きている近代市民社会であり、美術はその基礎にある「ものの見方」を訓練するものである、ということです。

そういう意味において、美術と文学はとても似ていると思います。ビジュアルによるアプローチか、文字によるアプローチか、の違いはあれど。図書館を利用するように美術館を利用し、本を買うようにアートを買い、読書をするように美術鑑賞する。そんな生活スタイルが、日本でももっとあたりまえになるといいな、と思います。