読書『花のれん』(新潮文庫)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『花のれん』(新潮文庫)山崎豊子著

山崎豊子作品、冊数の少ないものから読み進めています。デビュー作『暖簾』に続き『女の紋章』(これは上下巻ありましたが)、そして今回の『花のれん』。いずれも著者の「大阪船場商人の世界」への執心が感じられる作品でした。アプローチは異なれど、登場人物の姿を通じて「いかに商売をするのか=いかに生きるのか」を見せつけられました。自営業者であるわたしとしては、楽しみながらも考えさせられるところ少なからず。

さて『花のれん』。文庫裏の紹介文に「大阪商人のド根性に徹した女興行師の生涯」と書かれていますが、その主人公のなりふり構わず頑張る姿が、なんとも愛おしかったです。ダメ亭主を亡くした後の本領発揮ぶり、商売人ぶり。人によっては「えげつない」と感じるのかもしれませんが、わたしは読みながらついつい応援していました。それは主人公がどれほど必死に考え、自ら動いているかが、伝わってきたからにほかなりません。思わず、わたしももっと足を動かさないと…と反省。

山崎豊子作品を読みはじめてまだ三作目ですが、面白いなぁと思うのは、著者の登場人物に対する「えこひいき」とでも言えそうな描き方をしばしば感じること。えこひいきされるのは主人公とは限らず、書中で悪役としてふるまっている登場人物であっても、著者の愛情がひしひしと伝わってくることがありました。

そろそろ、大作に手を伸ばそうと思います(^^)