読書『Are You Ready?』(山川出版社)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『Are You Ready?』(山川出版社)末吉里花 著/中川学 絵

こちらもカメリアステージ図書館の選書ツアーで選んだ本の一冊です。イラストの色使いとインパクトに惹かれて手に取りました。表紙買い。実は本文をちゃんと読んで内容を理解したのは、選書として決定した後でした。イラストのイメージは中身と食い違うものではなく、良い絵本を手に取ることができて、ホッとしています。

もともとは日本語で出版されたものを英訳した本書。著者の末吉里花さんは、TBS系テレビ番組『世界ふしぎ発見!』のミステリーハンターをなさっていた方だそうです。そういうところでも、地球規模でのものの見方を養われたのかもしれませんね。今は一般社団法人エシカル協会代表理事、日本における「エシカル」のパイオニアとして活動なさっているそうです。本書は「エシカルの入門書」とでもいうところ。

さて「エシカル(ethical)」。わたしはこの本を読むまで知りませんでした。直訳すると「倫理的な」というような意味。一般社団法人エシカル協会のサイトによると、SDGs(持続可能な開発目標)を実現するための、解決方法のひとつとしても「エシカルな考え方」「エシカル消費」が位置付けられています。ピンと来たのは「フェアトレード」による輸入販売。これもエシカル消費のひとつです。「これはほんとうに人のためになるのか」「これは地球環境のためになるのか」という問いがその根底にあると考えると、わかりやすいと思います。

平易な英語で書かれています。それにイラストが意味を添えてくれるので、きっちりと訳さなくても、著者がこの絵本で伝えたいことは理解できると思います。子どもにもわかりやすく単純化して説明されているので、親子で読んで考えることができる絵本です。

読書『「文」とは何か 新しい日本語文法のはなし』(光文社新書)

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読書『「文」とは何か 新しい日本語文法のはなし』(光文社新書)橋本陽介著

先月参加してきた、カメリアステージ図書館の選書ツアーで選んだ本の一冊。三回目の参加となった今回の選書は、過去二回に比べて、ようやく「自分が読みたい本」よりも「図書館に来る人にお勧めしたい本」を選べるようになったのが、自分のなかで少しは進歩したかな、と思えたのでした。

「はじめに」で「国語の授業はなぜつまらないのか」と問題提起する著者が、「文法はエンタメだ」と書きあげた本書。文法に関する考察は機知に富み面白いながらも、読む側としては普段使わない頭を使い、途中でくじけそうになりながら、やっと読み終えた、というのが正直なところです(笑)

それでも読了後には、「日本語文法」という枠を出て、言語について思いをはせる自分がいました。個人的に特に興味深かったのは、次の三つのポイントです。


  • 知の枠組みはすべて西洋由来
  • 文法とは計算システムである/人間言語の特徴は、無限に「文」を生み出せる点にある
  • 言語は思考を決定しないが表現と解釈を縛る

『「文」とは何か 新しい日本語文法のはなし』(光文社新書)より


英会話を習っていると、「日本語にはうまく訳せない英語」「英語ではぴったりくる単語が無い日本語」に出くわします。そのたびに言語の背景にある文化の違いを思います。しかも不思議なもので、習えば習うほどに「翻訳するのが難しい」ものに出会う頻度が増える印象があります。「言語は思考を決定しないが表現と解釈を縛る」のですね。

日本語文法を解説する手順をとりながら、広く「言語」について考えさせる本でした。書中、いろいろな角度から文法を解いてあり、それぞれの角度(視点)を深めるための「読書案内」がついています。「ことば」に興味のある人、言葉を教えることを仕事にしている方に、ぜひ手に取って欲しい一冊です。

読書『知覚力を磨く 絵画を観察するように世界を見る技法』(ダイヤモンド社)

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読書『知覚力を磨く 絵画を観察するように世界を見る技法』(ダイヤモンド社)神田房枝 著

美術鑑賞の効用を説く本がまた一冊登場しました。上の写真は帯で紹介されているコンテンツ。『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(光文社新書)で対話型鑑賞法を説いた山口周さんはじめ、ここ数年美術鑑賞によるトレーニング・研修効果をうたう本が次々と出ていて、アートエデュケーターとしては嬉しい限りです。目についた都度、読むようにしています。

著者によれば、「その効果が科学的に検証されている、絵画観察を用いたトレーニング」について論じているのが、本書『知覚力を磨く』の強み。たしかに自らを省みても「効果があると確信を持ってはいても、それを証明しろと言われると、検証までは出来ていない」のが、鑑賞教育の担い手としての実態です。それだけに、裏付けが語られることに、とても心強さを感じました。

以下、備忘。


  • 思考の前提となる認知、すなわち「知覚(perception)」
  • 「知覚」の幅を広げるというアプローチ
  • 知覚→思考→実行
  • 純粋によく見る
  • 知覚は「コントロール」できない
  • 知覚から「知識」がはじまる
  • 「他者」の知覚を取り入れる(=読書)
  • マインドアイ(見えないものを観る力)
  • 知覚力を奪う「敵」は「認知バイアス」
  • 「具体性に満ちた全体」をとらえる
  • 点と点をつなぐ観察(=関連づけ)
  • 人文科学は、明確な答えが無い問いに対して、自分なりの答えを提案していく学問

『知覚力を磨く 絵画を観察するように世界を見る技法』神田房枝 著より


ところで著者の神田房枝さんの肩書きが「ダヴィンチ研究所ディレクター」。ダヴィンチ研究所なるものがあるのですね。ダヴィンチはアーティストであっただけでなく、他分野を横断した様々な創造・業績を残していますが、そのほとんどが独学であったということを、本書で知りました。

アーティスト以外のアート関係者、教育関係者、企業人にもおススメの一冊です。

文字・活字文化の日。

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文字・活字文化の日。

日めくりを捲るのが毎朝のルーティンです。日めくりは毎年同じものとは限りません。毎日の紙面に書いてある内容もそれぞれで面白いのです。たとえば旧暦での日付、月齢、六曜、日干支、偉人の名言など。今年使っているものは、比較的シンプルな構成です。

さてその日めくり、10月27日のページに「文字・活字の日」「読書週間」とありました。「文字・活字の日」なんていうものがあるのですね。2005年に新たに制定されたということで、読書週間が10月27日からはじまり、その初日が文化・活字の日なのだそうです。

読書週間があるのは知っていましたが、文字・活字の日は知りませんでしたので検索してみたところ、東京都江戸川区立図書館のサイトにわかりやすい解説を見つけました。

江戸川区立図書館 特集!10月27日は、文字・活字文化の日

「文字・活字文化振興法」なる法律に基づいて制定された日ということです。「『文字・活字文化』の振興を図り、知的で心豊かな生活、活力ある社会を実現していくことを目的」とする法律で、その基本理念のひとつが「すべての国民が生涯にわたり等しく文字・活字文化のもたらす恩恵にあずかれる環境を整備する」となっています。素晴らしい!

新聞、書籍、手帳と「紙に文字・活字」の文化をこよなく愛するわたしとしては、心から拍手。もちろん画面上の文字も活字には違いなく、ブログやnoteでの情報発信もまた、今後膨大な活字文化を構成していくものでしょう。「読む」「書く」の楽しみが、ずっと受け継がれていきますように!なんてことをあらためて考えたのでした。

郷育カレッジ「カメリアステージの歴史資料館を見に行こう」

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郷育カレッジ「カメリアステージの歴史資料館を見に行こう」

福津市民と福津で働く人のための生涯学習の仕組み「郷育(ごういく)カレッジ」。地元福津市のカメリアステージ歴史資料館を紹介する講座に参加してまいりました。

福津市に、歴史資料館と図書館を併設したカメリアステージができてから、まるっと三年が過ぎました。個人的にはすっかり生活の一部となっていますが、まだ三年しか経っていないのですね。開館してから何回か、歴史資料館の説明をお聞きする機会がありましたが、今回は郷育カレッジ講座でその機会をつくることができました。

講座を担当してくださったのは、福津市文化財課の専門職員さん。歴史資料館ができるまでの道のりから、展示・保存管理設備の解説、バックヤードツアーに展示解説と、1時間半という短い時間ながら盛りだくさんの充実した講座でした。

博物館資格取得課程に在籍時に学んだ内容を、思い出しました。以下、備忘。


  • 博物館法等の法令指針に従って作られた施設。
  • 表:展示・公開・教育普及/縁の下:収蔵・保存・調査・研究
  • ゾーニング
  • 所有権、所蔵権
  • 「観覧動線」と「文化財(管理・展示準備)動線」
  • バックヤード(荷解きの部屋・学芸員調査室・収蔵庫)。狭くても役割を持った部屋に「分かれている」ことが大切。
  • 展示→モニタリング→修復等→保存→展示

郷育カレッジ「カメリアステージの歴史資料館を見に行こう」より


決して広くはないスペースながらも充実した展示内容に、さらに面白さを裏付けていただいた解説講座でした。何度聞いても楽しいです。ありがとうございました!

今年も干し柿。

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今年も干し柿。

ご近所さんから「干し柿つくる?」と、渋柿をいただきました。干し柿大好きな藤吉家。嬉しく頂戴いたしました。その日の晩にせっせと皮をむいて、麻ひもに吊るします。手間がかかると思いがちな干し柿づくりですが、作業自体はいたってシンプル。カビを防ぐのに、仕上げに熱湯に通したり、焼酎でふいたり、という方法もありますが、空気が乾いていて風通しの良いところに干せるならば、あまり心配はいりません。ダンナと二人で取り組めば、さくさくと仕事が進みます。写真の量を仕上げるのに、30分とかかりませんでした。

それにしても、もうそんな季節なのねと自らのブログを検索してみたら、昨年は11月21日に「ひさびさに干し柿づくり」とアップしていました。今年は約ひと月早いです。この10月はカラリとした晴れのお天気が多く、朝晩冷え込むようにもなってきた今日この頃ですので、タイミング的にはばっちりなのだと思います。干し柿を吊るすときはいつも、お正月においしく食べれたらいいな、と思っているのですが、たいていその前にどんどんお腹のなかに消えてゆきます。それもまた良し。

この週末は、ご近所を歩いていると、あちらこちらの軒先にぶら下がっている柿が目につきました。まさにシーズンスタートなのですね。もしかしたら佐賀にある創業地の柿の木も、豊作なのではないかと期待が膨らみます。渋柿が採れるということは、山栗も食べごろ、アケビはもう少し先かしら…と。そろそろ秋の味覚チェックに行かねば!です。

古墳とコスモス。

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古墳とコスモス。

495号線を車で走っていると、いつもの古墳ラインにコスモス。10月に入ってから、通るたびに花が増えていて、嬉しく思っていました。今朝はまた天気が良く、ついに車を止めて畦道に駆け上り、パチリ。

古墳とコスモス

上の写真、コスモスの奥に見える小さな丘は古墳です。そして、写っていませんがこの写真の右手にも、こんもりと可愛らしい古墳があります。道路を挟んだ反対側は、眼下に玄界灘。今日は少し風が強いので、青い海に白い波が立っているのが見えます。

わざわざ出かけなくても、用事がてらのドライブルートにこのような景色が現れる贅沢。朝から秋景色を満喫しました(^^)

今年も、そろそろ手帳。

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今年も、そろそろ手帳。

朝からラジオをつけたら手帳の話題。「スケジュール管理は手帳?スマホ?」という問いかけでした。ずっと手帳派のわたし。なんといってもお気に入りの手帳カバーがあること、自分で書くことで記憶に定着させる意図もあること、ぱっと開いて見通せる一覧性などが、紙の手帳を愛用する理由ですが、一方でスマホを使いこなせていないのも理由のひとつです。

例年、あちらこちらに手帳売り場が登場すると「来年の手帳、どうしようかな」と迷いまくります。それは楽しい時間でもあったのですが、来年に向けての手帳はすぐに決まりました。今年使っている手帳がシンプルでコンパクトで紙質の感じも良かったので、同じリフィルを博多アミュプラザ1階のSmithさんでリピート購入。「ここに行けばリフィルがある」とわかっているのも嬉しいです。一度気に入ると繰り返し使う性質なので、しばらくはこのシリーズを使い続けることになりそうです。

上の写真は、手帳リフィルのパッケージ。ここに書いてある一文「They will be your memories afterwards」に、今更ながらうなずきました。予定管理表であり、日々の記録であり、記憶につながるものになる手帳は、わたしにとって大切な存在です。

ところで「Smith」は、オリジナルステーショナリーやデザインステーショナリーの企画販売、輸入販売を行うデルフォニックスさんが直営するショップだそうですが、『架空の人物「フランス在住のイギリス人男性”Smith(スミス)”さん」の好きなモノが集まった空間をイメージした、文房具・雑貨のセレクトショップ。』なのだそうです。いつも店名さえ意識することなく通りがかりに覗いていましたが、そう言われてみたらなるほど!の品揃え。スミスさんとは好みに重なる部分が多そうです。

読書『暖簾(のれん)』(新潮文庫)

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読書『暖簾(のれん)』(新潮文庫)山崎豊子著

ついに山崎豊子さんに手を伸ばしました。ずっと、いつかは読むのだろうなぁと思いながら図書館の本棚を眺めておりましたが、少し前に松本清張氏の本に手を伸ばしましたので、満を持して(?)山崎豊子さんです。

山崎豊子さんといえば「大長編」のイメージ。『白い巨塔』『大地の子』『沈まぬ太陽』『二つの祖国』…何度もテレビドラマにもなっている原作の宝庫という親しみやすさはありながら、書棚にずらりと並ぶ背表紙を眺めながら、読み終わるのにどれくらい時間がかかるだろう…!?と躊躇があったのも事実です。

本書『暖簾』は、その大長編イメージを裏切る薄い文庫本で、安心して手に取りました。240ページほど。これが処女作だったのですね。大阪を舞台にした商人ものは、時代や環境の違いはあれど、短期間ではあっても大阪で仕事をしていたわたしにとっては、思わずうなずくシーンも少なからず。これはジャンルで言えば経済小説に入るのでしょう。とても面白く読みました。

経済小説と言えば、最近は『半沢直樹』をはじめとした池井戸潤さんもずっと気になっていますが、実は池井戸潤さんの著作にもまったく手を付けていません。『暖簾』が面白かったので、まずは山崎豊子さんの長編、大長編にも取り組もうと思います。池井戸さんにたどり着くには、まだまだ時間がかかりそうです。

空港で本屋さんブラブラ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

空港で本屋さんブラブラ。

用事があって福岡空港へ。せっかくならばと、新しくなった福岡空港3FのTSUTAYA BOOKSTORE さんをチェックしてまいりました。時間定額制のカフェラウンジを併設した本屋さんは、博多経済新聞の記事で『「旅に連れていく本、旅をわくわくさせる本」をテーマに、ビジネス書や文芸書をそろえる』と書いてあった通り、手に取りたくなる本がたくさん並んでいました。

久しぶりの本屋さん。朝早く、お客さんもほとんどいませんでしたので、思う存分ブラブラ。ちなみに朝6時半オープンだそうです。ビジネス書、文芸書、雑誌の棚を眺めながら、いくつか「お♪」と嬉しい発見もありました。

そのひとつは、タイトルに「アート」「教養」「哲学」の文字が増えていること。この手の書籍が増えつつあるのは、数年前から感じていましたが、一気に「メイン」と言える位置に並ぶようになっていることに新鮮味を感じました。ついにそんな時代になってきましたね。

もうひとつ気づいたのが、雑誌の並び方で「男性誌」「女性誌」という分け方が緩やかになっていること。わたしは若いころから、ビジネス誌や建築・インテリア系の雑誌やグルメ誌でも、男性が想定読者になっているものを愛読していました。ところが本屋さんの雑誌売り場は露骨に想定読者の性別を分けていると感じるところがほとんどで、居並ぶ男性陣をかき分けて目的の雑誌にたどり着くのには、ややストレスがあったものです。それが、ほとんど気にならない並びになっていました。

本屋さんの売り場もどんどん進化しているなぁ、と感心。カフェラウンジも使ってみたかったのですが、今回は時間が無くて入場は断念。外からざっと観察したところ、滑走路側に大きな窓で、とても景色がよさそうです。30分500円(税別)で、飲み物やちょっとしたおやつは用意してあるとのこと。仕事ができる環境(電源やwifi)完備。

これまで福岡空港に行くのは、いつも飛行機に乗る目的があるときばかりでした。なので、福岡空港で「時間に余裕がある」ということはほとんどなく、カフェや本屋さんも隙間時間に使う程度でした。でも今回TSUTAYA BOOKSTOREに来てみて、ちょっと考え方が変わりました。仕事やちょっとしたミーティングをするために福岡空港を使う、という選択もありですね。

久しぶりの「本屋さんブラブラ」で、世の中が大きく動いていることを感じました。