真似からはじめる。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

真似からはじめる。

お友だちとおしゃべりしていたときのこと。「尊敬している人、すごいなと思う人はたくさんいるけれど、この人のようになりたいと思えるかというと、けっこう難しい」という話題になりました。これは、わたしが社会人になってすぐのころから30年近く、ずっと持ち続けていたテーマです。「あの人にあこがれていて、あんなふうになりたい!」とはっきり言える人に会うと、その率直さをまぶしく感じていました。

わたしの社会人デビューは、人材育成のプロフェッショナルとして知られる会社でした。最近でいうところの「メンター」の考え方が、当時既にしっかりと根付いている会社で、新人時代に先輩や上司からよく言われたのは、「お手本を見つけて真似る、目指す」ことの有効性。「目標とする人ができると、伸びるのも早いよ」と、よく言われていました。その考え方は、花祭窯を創業して自営業を営むにあたっても、ずっと生きています。課題にぶつかったときは、うまくいっている人に教えを請い、真似るのです。

わたしが自分の人生でとても恵まれていると思うのは、会社員時代から独立後もずっと、仕事プライベート問わず、尊敬する先輩や友人が常に身近な周囲にいることです。「今この輪の中にわたしがいるのは奇跡だ」と感じるような人とのご縁に恵まれていると思います。それにもかかわらず、「この人は本当にすごい。でも、そんなふうに生きたいか、生きることができるかと問われたら、ちょっと違う」という思いを繰り返してきました。

ところが、いつの頃からか「この人のような生き方をしたい」と思う人が自分のなかに明確にあることに、最近気づきました。それに気づいたとき、とても嬉しくなりました。その人の目線は、いつも自然や美術・アート的なものに向いています。肩の力が抜けていて、つねに遊びながら学んでいて、好きなことに向かって真っすぐで、家族との時間を大切にしていて、さりげない贅沢を日常に取り入れておられるのです。

ご自身の感性を十分に信頼して自由に生きておられる様子を拝見しているうちに、「よし、わたしもこうなろう!」という気持ちになっていました。できることからひとつづつ、その方の「真似」をしています(笑)

写真は、あこがれる生き方を目指して自分のステップアップをしていきたいという気持ちを重ねて、いい感じの階段♪

御料理古川さん。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

御料理古川さん。

博多住吉にある懐石料理屋さん「御料理古川」さんにおじゃましてまいりました。

2018年7月のオープン。店主の古川さんが大阪の「味吉兆ぶんぶ庵」で修業をなさっていたころからのお付き合いです。修業中の当時から、藤吉憲典が大阪で個展をするたびに、独立したときのための器をお買い求めくださっていました。郷里の福岡県でお店をお持ちになるということで、オープンに向けての器をご用命いただいたのは、もう3年以上前になります。

ずっと気になりながら、やっと訪問。オープンから2年で福岡佐賀版のミシュランに載り、『家庭画報』をはじめとした雑誌掲載も多く、あっという間に「予約の取りにくいお店」になっていました。何度か問い合わせて予定が合わないことがありましたが、順調に発展なさっているご様子を嬉しく拝見していました。

カウンター6席に4名個室が二つ。訪問した平日のランチタイムは、100%女性客でした。カウンター・個室ともに皆さん常連さんのくつろいだ雰囲気で、とても楽しそうでした。お料理は、味がおいしいのはもちろん、どれもスッと体に染みわたりました。最後のお菓子とお抹茶まで、気持ちよく完食。食べ終わって気がつけば、実はお腹一杯になっていた、という感じでした。

お食事後、カウンター席のお客様は、それぞれ次のご予約を入れておられました。古川さんのお席が空いている日に合わせて、次の会食日を決める。お店がとても愛されていることがわかりました。お料理のおいしさ、接客の良さはもちろんのこと、店主古川さんと奥さまの明るく飾らないお人柄あってのことと、伝わってきました。

友人との久しぶりのランチに使わせていただきましたが、とてもよかったです。大満足でした。次は夜のお食事におじゃましたいと思います。

読書『「自宅オフィス」のととのえ方』(主婦の友社)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『「自宅オフィス」のととのえ方』(主婦の友社)

図書館の新刊棚で偶然発見。ちょうど週末にメインPCの入れ替えをし、この機会にデスク周りを少し整理したいな、と思っていたところでしたので、グッドタイミングでした。やはり、気にかかっているテーマに関する本は、無意識に視界に飛び込んできますね(笑)

この春以来、在宅勤務への移行が進んだのでしょう、この手の本がたくさん出てきたように思います。なかでも本書では、実際に「自宅オフィス」で仕事をなさっている方々のお部屋のカラー写真がメインで、こだわりポイントがテキストで添えられていました。さまざまな職業の方が紹介されていましたが、ほとんどの方が、もともと在宅ワークやワーケーションと親和性が高いだろうと思われる方々。それだけに、こなれているとでもいいましょうか、手軽に取り入れられそうな「小技」が随所にあり、参考になりました。

面白かったのは、あえて狭いスペースにこだわったり、一見無駄そうなものを大切にしていたり、オフィスインテリア・レイアウトという枠を超えて、「自宅オフィス」の要素が語られていたこと。そしてそれらが、実際に「自宅で仕事をする」を実践しているからこそ、説得力を持っていたことでした。例えば、アロマ(香り)やグリーン(観葉植物)、音の切り替え(音楽)などの有効性もそれらのひとつ。

がっつり「ホームオフィスの構築を検討したい!」という方には、少々物足りないと思いますが、今回のわたしのように、ちょっとしたヒントがあれば…という向きには、ちょうどよいと思います。わたしはこの本を見て、自分が仕事スペースを考える際に重視するポイントがなんとなく見えてきました。そうすると、さらに同様のジャンルの別の本も探してみる、という楽しい連鎖につながります。

仕事スペースの模様替えは、そのまま仕事のモチベーションへとつながります。わたしと同じように、台所スペースに「自宅オフィス」スペースをつくっている方もあり、親しみを感じつつ、ちょっとしたヒントをいただいた一冊でした。

山歩き、海歩き。

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山歩き、海歩き。

筋力をつけたいなと思い、部活動では陸上長距離をしていた息子に相談。体重もどちらかといえば増やしたいと申し添えたところ、筋力を増やすためのウォーキングを提案してくれました。要は、ただ歩くのではなく、負荷をかければよいということ。

まずは、山。近所の花見スポットである大峰山は、ハイキングコースとして人気です。約1時間で歩いてこれるということで、チャレンジすることに。実際に歩いてみると、花祭窯からスタートして、帰ってくるまでちょうど1時間。久しぶりに高低差のあるコースで、途中でバテるのではないかと心配しましたが、気持ちよく歩くことができました。

翌日は、海。高低差こそないものの、やわらかい砂浜を歩くのは、けっこう脚力のいるもの。潮が引いてすぐの砂浜は比較的固く歩きやすいのですが、目的は「筋力をつける」なので、砂浜に足を沈ませつつ歩みを進めます。津屋崎浜から宮地浜へと進み、福間海岸の手前で折り返して帰ってきたら、ちょうど1時間でした。

山を歩いていると、自然と視線が上や遠くに向きます。鳥や木の実や草花が気になりますが、足を進めながら眺めることができ、視界も広がります。それに対して、海を歩いていると、貝殻やら陶片やらが気になり、うっかりすると視線が足元に向かいがちになります。今は姿勢良く歩くのが目的!と自らに言い聞かせつつ、海原の向こうを意識しながらのウォーキング。

ともあれ「歩こう」と思ったときに、海と山のメニューが選べる贅沢環境。思い立ったが吉日、三日坊主にならないよう、さっそくウォーキングシューズも購入。三日坊主になったら、また一から始める、を繰り返そうと思います。写真は海ウォーキングのご褒美、海に沈もうとしている夕日。ありがたいです。

着々個展準備中。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

着々個展準備中。

町田のももふくさんでの「藤吉憲典展」が一週間後に迫ってまいりました。

町田ももふく 藤吉憲典展2020
藤吉憲典展(磁)2020.11.21(土)‐11.27(金)12時-18時
ももふく 町田市原町田2-10-14#101 TEL042-727-7607

個展が開催されるまでの、作家側の準備は、どれくらいかかるのでしょうか?とご質問をいただくことが、ときどきあります。会期の長さ・スペース・ギャラリーオーナーさんのお考え、作家のスケジュールなど、いろいろな要素があるので、一概には言えません。というのが、お返事なのですが、それでは答えにならないので「例えば」でお話しすることが多いです。

例えば、今回のももふくさんの個展。1年以上前にお話をいただいてからずっと、「2020年の年末ごろにももふくさん」と頭に入っていますので、広く考えると、そこから準備が始まっています。ギャラリーさんにより、オーナーさんのお考え、その先にいらっしゃるお客さまの期待などが異なります。作家・藤吉憲典のやりたいことを押し出しつつも、その場に来てくださる皆さんに楽しく喜んでいただけるように、という気持ちが一番。ですので、同じ「和食器」という範疇であっても、個展開催場所によって、並ぶものの顔ぶれは少しづつ変わってきます。

いろいろなものを作りながら、「これは、ももふくさんに良さそう」というものを少しづつ増やしていき、開催2か月前頃には案内状用の候補となる器をお送りします。そのころに一度「ももふくさんでの個展用」の器をざっと並べてみると、「足りないもの」が見えてきますので、そこで作り手はギアを一段アップ。オープンまでの2か月で、充実を図っていきます。

約一カ月前には、案内状が出来上がってきます。その案内状を見ると、オーナーさんの期待が伝わってきます。少しでも多く期待に応えることができるよう、ラストスパート。あとは、時間との勝負になってまいります。ひとつでも数多くご覧いただきたいと思う気持ちと、ひとつひとつにしっかり手間と時間をかけて丁寧に作っていく姿勢と。

会期1週間前ともなると、ある程度目途がついているものの、ギリギリまで窯を入れるのは、「ひとつでも多く、よいものを」という気持ちの表れなのでしょうね。作家が「これでOK」を出したら、あとは出品リストの制作と梱包・発送の実務で、わたしの仕事です。個展の準備は、何年、何回繰り返しても緊張感がありますが、充実感のある仕事です。

大きな変化への第一歩。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

大きな変化への第一歩。

花祭窯の創業地に行って参りました。集落の入り口に入ったところで、思いがけず目の前いっぱいにコスモス畑が広がりました。

いわゆる「限界集落」と呼ばれる条件を備えた場所です。20数年前の当時も、林業も農業も皆さん兼業で、農繁期になると外に出た兄弟やお子さんたちが週末ごとに手伝いに来る景色がありました。年々過疎化が進み、担い手がどんどん少なくなっていました。

それでも1-2年前までは、お米と大豆の二毛作を続けていたと思います。今年の梅雨時期に訪れたときは、棚田状の農地が水田になっていなかったので、「今年は大豆だけなのかな」と、単純に考えておりました。

11月、いつもならそろそろ収穫期の大豆畑が見えるものと思い込んでいたところに、このコスモス畑。もちろん「わぁ!きれい!」ではあったのですが、同時に「ついに農業の担い手がいなくなったのだろうか」と、現実的な想いがこみ上げてきました。そして「いったい誰が、このコスモス畑を主導したのだろう?」と。

林業も農業も協働で補い合ってきたムラのこれまでの在り方を振り返ったとき、米や大豆の生産をやめるという決断と、そのあとをコスモス畑にするという発想を実現することは、困難な道のりだったのではないかと想像できます。新しい考え方を受け入れるのには、とても時間のかかるコミュニティでしたから。でも、目の前にあったのは、荒れた農地が取り残された景色ではなく、可愛らしいコスモス畑。

思えば工房を移転してもうすぐ10年。創業地に足を運ぶたびに、ご近所さんから「どんどん人が減ってね…」と聞かされていました。そして今回、大きな転換期にあることを突然目の当たりにしたのでした。ここに至る経緯がわからないだけに、ほんとうに驚きましたが、写真をとりながら、少しづつ気持ちを整理することができました。前向きな変化があることを感じたコスモス畑でした。

何年経っても、創業地はわたしたち花祭窯の原点であり、そこに立てば初心の志がありありと蘇ってくる場所です。これからも足を運び、村の変化も見守っていきたいと思います。

Dogs, Cats and Other Best Friends – A Selection of Animal Sculpture

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

Dogs, Cats and Other Best Friends – A Selection of Animal Sculpture

ロンドンの老舗ギャラリーSladmore Gallery の展覧会「Dogs, Cats and Other Best Friends – A Selection of Animal Sculpture」の詳細がオープンになりました。少し前にこのブログでも告知いたしましたが、近現代のアーティストの素晴らしい彫刻作品に並んで、藤吉憲典も数点作品参加いたします。

欧州ではコロナ感染の再拡大で、外出規制などが少しづつ強化されてきていて、英国もまたその例に漏れません。「クリスマスを楽しむために」を合言葉に、今自粛することを決めたという話も聞こえてきます。そんななか、昔から人々にとってかけがえのない生活のパートナーであり友人である動物たちをテーマにした彫刻の展覧会は、心温まる素敵な展示になること間違いありません。

顔ぶれは、犬、猫、羊、馬、牛、ウサギ、ラクダなど。Sladmore Galleryの所蔵する近現代を代表する彫刻家の作品に加え、Sladmore Contemporaryの所属アーティストがつくる動物彫刻の最新作を一堂に見ることができる、貴重な機会です。この展覧会に足を運べないのはとても残念ですが、イメージするだけでワクワクします。

期間中は、状況によりアポイントメントによるオープンになることも予想されます。お出かけ前に、必ずギャラリーにご確認くださいませ。


Dogs, Cats and Other Best Friends – A Selection of Animal Sculpture

16 November – 22 December 2020
The Sladmore Gallery
57 Jermyn Street, St James’s,
London, SW1Y 6LX

干支の置きもの-丑-

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

干支の置きもの-丑-

ここ数年、「そろそろ干支に取り掛かって欲しいなぁ」という年末が続いておりましたが、今年は早めに仕上がりました。町田ももふくさんでの個展を控え、ぜひ間に合わせようと、昨年よりひと月以上早く丑(牛)が出来上がり。

そもそもは、ご近所さんへの年末年始の挨拶回り用に、非売品でつくりはじめたのが「干支の盃」でした。盃が十二支を一周したので、次に作りはじめたのが「干支の箸置き」でした。このころから「販売して欲しい」というお声をいただくようになり、次第に箸置きというよりは「置きもの」に変化してきて今に至っています。

干支丑 青磁の牛 藤吉憲典

写真は、本窯からあがったばかりの牛の皆さん。つくりが素晴らしくできたので、まずは青磁のみで仕上げています。たしかに青磁で仕上げると、造形の美しさが際立ちます。が、欲張りなわたしとしては、白磁バージョンも見て観たいなぁ、と。ひそかに白い牛の登場を心待ちにしているところです。

干支のシリーズは、毎回そのお正月までに作った分の売りきりで、リピート制作はありません。2021年干支の丑の初お目見えは、ももふくさんの個展です。


ももふく
藤吉憲典展(磁)
2020.11.21(土)‐11.27(金)
12時-18時
町田市原町田2-10-14#101
TEL042-727-7607

立冬も晴れの好日。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

立冬も晴れの好日。

暦の上では冬に入りました。この週末は衣類を入れ替えたり、冬布団を出して干したり、ストーブを点検したり、居間のラグがくたびれていたので暖かそうなものに買い替えたり。このところ風のないカラリとした晴天が続いたので、季節の家事も快適に進みます。今年の秋は穏やかな日が多くて、久しぶりに、秋ってこんなふうだったなぁ、としみじみ感じました。

朝晩の冷え込みで、紅葉も進んでいますね。週末のSNSには、友人たちが登山をしていたり、紅葉狩りに出かけていたりと、美しい季節の風景が全国各地から届き、こちらまで嬉しくなりました。外に出て、季節を楽しみ、春から続いた閉塞感を少しでも吹き飛ばして、心も体もリフレッシュ!にぴったりの季節。

とはいえ、個人的には特段お出かけの予定も作らず、淡々と日々の家事・仕事をしています。そのなかで見つける「晩秋らしさ」もまた、ちょっとしたリフレッシュのタネ。ツワブキの黄色い花が咲いていたり、ダンナが山からムカゴを採ってきたり、ご近所さんから柿をいただいたり、朝市の魚市場に並ぶヤズ(ブリの幼名)に脂がのってきたり、早朝見上げる空の月が冴え冴えと美しかったり。

気持ちが安定する晴れの日は、行楽日和であるだけでなく、日々の仕事や家事にも最適なのだと実感する今日この頃です。

読書『ミザリー』(文藝春秋)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『ミザリー』(文藝春秋)スティーブン・キング

スティーブン・キングによる文章指南の本『書くことについて』を読んだのは、2019年10月のことでした。約一年前。そのうえで『ミザリー』を読みなおさねばと思いつつ、読むのにエネルギーが必要なことがわかっているので、時期を選んでいるうちに、時間が経ちました。スティーブン・キングの本はホラーがメイン。そのなかでは本書は、サイコサスペンスに近いと思います。ホラーは苦手なので、わたしは『ミザリー』と『書くことについて』以外は読んでいません。

さて『ミザリー』。わたしのなかで、ミザリーといえば、キャシー・ベイツ。彼女がアニー・ウィルクスを演じた映画『ミザリー』が公開されたのは、検索してみたところ1990年でした。30年前。実は自分が中学生ぐらいのころかと勝手に思い込んでいたのですが、そこまで古くはありませんでした。

その数年後にテレビで見たのが最初だったと思います。テレビの小さい画面にもかかわらず、インパクトの大きさは凄まじく、映画館で観なくてよかった映画のひとつです(笑)。実のところつい最近まで、キャシー・ベイツがどんな映画に出て、どんな役を演じても(とても優しくていい人の役であっても)、『ミザリー』での印象が勝ってしまって、怖かったものです。

『書くことについて』で、スティーブン・キングの創作背景を垣間見ることができたので、少しは客観的に読むことができるかと期待しつつ読書スタート。期待を裏切り、気が付けばすっぽりと小説世界に入り込んでいました。主人公が追いつめられていく心理戦の恐怖は、大まかなストーリーや結末が分かって読んでいても、まったく軽減されず…。

ただ今回、小説を読むことによってアニーの新たな側面を発見し、アニー像を少し上書き修正することができたのは、わたしにとって新鮮なことでした。それは、彼女の小説・創造世界に対する知的な洞察力とでもいいましょうか。ストーリー展開に対して「あんまりリアリスティックじゃないけれど、でもフェアだわ」と評するセリフがあり、この一言でアニーを見る目が約30年ぶりに少し変わりました。

それにしても、読み終えるのに消耗しました。個人的には、他の方に積極的におススメする本ではありません。