久しぶりの久留米市美術館。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

久しぶりの久留米市美術館

お友だちからチケットを頂いたので、久留米市美術館で開催中の展覧会「リアル(写実)のゆくえ-現代の作家たち 生きること、写すこと」を見て参りました。

10年以上ぶりの久留米市美術館。いえ、前回行ったのは、まだ石橋美術館だったころでしたので、そう考えると初訪問です。石橋美術館であったころには存在した収蔵品の数々、特に久留米に縁のある日本の近現代画家の作品が、ほとんど東京のアルティゾン美術館(旧石橋美術館)に引っ越ししてしまったのは残念なことでしたが、2012年に建て替えられたという新しい館は、とても快適な展示空間=鑑賞空間となっていました。

さて展覧会「リアル(写実)のゆくえ-現代の作家たち 生きること、写すこと」。期待以上に面白かったです。まず佐藤洋二さんの「義手」「義足」シリーズに引きつけられました。必要から生まれ、発展した作品群は、これぞリアルでした。素材としてのシリコーンのすごさをまざまざと感じる作品でした。次にいいな、と思ったのは満田晴穂さんの「自在」シリーズ。昆虫を作る金工作家さんです。すべての関節が動くという緻密さは、以前から話には聞いていましたが、今回初めて実物を拝見。その造形のリアルさには昆虫への愛情がにじみ出ていて、眺めながらニヤニヤしてしまいました。

そんななか、わたくし的今回の一番の傑作は、漆器の若宮隆志さんの「曜変天目蒔絵椀」。ご存じやきものの世界では過剰な(笑)脚光を浴びている「曜変天目」ですが、それを漆で再現していました。そのユーモアといいましょうか、皮肉といいましょうか、美術工芸界への批判的な視点が伝わってきて、とても面白く拝見しました。もちろん、見た目の再現性も素晴らしかったです。わたしは、現代アートの求める「メッセージ性」が、言葉で説明しないと伝わらないものには、まったく魅力を感じないのですが、この「曜変天目蒔絵椀」は、言わんとすることが一目瞭然。こういう作品は大好きです。

上の写真の通り、小雨が降るあいにくのお天気ではありましたが、石橋文化センターの庭園では「春の花まつり」がちょうどスタートしたところで、満開の桜と咲きはじめのチューリップ、もうすぐお終いのツバキも楽しむことが出来ました。庭園をぐるりと一周すれば、すっかり華やかな気分に。市街地にこのようなオアシス的空間があるのは素晴らしいですね。