福津市カメリア図書館

読書『どれか一つは嘘』(集英社)キム・エラン著/古川綾子訳

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『どれか一つは嘘』(集英社)キム・エラン著/古川綾子訳

いつものカメリアステージ図書館新刊棚より。10月上旬に館内整理で1週間ほど休館する、ということで、いつもより少し多めに借りてきたなかの一冊です。韓国の作家さんによる小説は、長いこと守備範囲外でしたが、図書館の新刊棚に入ってくるおかげで、手に取る機会が少しづつ増えてきているように思います。

キム・エランさんの著書は初めまして、でした。それぞれに、しんどい状況、秘密と背景を抱えた、三人の高校生が主人公です。韓国も日本も、「現代」が抱える過酷さは共通するものがあるのでしょう。登場人物の名前こそ、国柄を感じるものでしたが、舞台が日本であってもまったく違和感なく読めるだろうな、と思いました。

タイトルになっている「どれか一つは嘘」は、主人公たちが通う高校で、クラスの先生が提案した自己紹介方法。これがとても絶妙な方法で、なるほどたったこれだけのことでも、気持ちをいくぶん楽にする方法にもなるのだと、思わず感心しました。とっても簡単な仕組みでありながら、絶妙です。なにがどう絶妙なのかは、読んだら感じ取っていただけると思います。

しんどい物語を、とつとつとした文体でつないでいます。著者の目線の優しさが伝わってくるような感じです。加えて、原文では読めないので、確かなことはわかりませんが、翻訳者の方の原著に対する思い入れがあってのことでもあるのでしょうね。毎度のことながら、海外の良書をわたしたちに読めるように差し出してくださる翻訳者の方に、そして刊行してくださる出版社に、感謝です。

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その独立準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々雑用)担当として作家活動をサポートしています。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)としても、並行して活動しています。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。