経営指針書チェック。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

経営指針書チェック。

ある朝方、面白い夢で目が覚めました。会社員時代の先輩方が集まっていて、わたしに問うのです。「どうなの?ちゃんと事業の進捗確認とか見直しとかできてる?今月は誕生日があったんだし、ここからの一年の決意表明とかしておいたら?それに来年は社会人デビュー30周年でしょ?」と。

なんて夢だ!と笑いつつ、約四半世紀前の記憶とはいえ覚えのある親身なやりとりに、とっても温かい気持ちになりました。実際のところ、会社はとっくの昔に退職しているものの、1992年入社でしたから来年でまるっと30年。「経済的に自立したあとの人生」という観点では、ひとつの節目になるのかもしれません。

ふと手帳に目をやると、暦は満月。どうりで満潮の海水面が高いなぁと思っていました。そして今回の満月のテーマは「原点回帰」。「社会人としての原点回帰」を促す場面そのものを、夢で見せることができる潜在意識のすごさにびっくり感謝しつつ、この機会を生かすことに。

毎年初めに「経営指針書」を立てますが、今年度が動き始めてからの事業の進捗や変更など、頭の中では常に考えていても、久しく「文字」に落とし込んでいなかったことを思い出しました。というわけで、本日の仕事は「2021経営指針書」のチェックからスタート。

文字に落とし込むことは、わたしにとっては大切な作業で、これによって意識に定着していくことができます。予定変更になった部分は訂正線を入れて残したうえ、赤字で修正していきます。毎月すべきこの作業が、半年以上、手つかずになっていました。日を追うごとにたくさんの訂正線や赤文字が加わり、一年が終わったときには、環境変化や自らの変化がそのままA4一枚に残るのです。

それが出来たら、夢では次は「決意表明」が求められています(笑)。そういえば、このところ誕生日に「良い一年になりますように」と願っても、「この一年こうなります!」という決意表明はしていませんでした。「あなたはどうしたいの?どうなりたいの?」という先輩方の声が聞こえてきそうです。決意表明は「思い切ってジャンプ!」です。

読書『名画で読み解く イギリス王家12の物語』(光文社新書)中野京子

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『名画で読み解く イギリス王家12の物語』(光文社新書)中野京子

「怖い絵」シリーズで有名な中野京子さんによる、「ヨーロッパの歴史を名画とともに紐解いていく」シリーズです。ちょうどひと月ほど前に本屋さんをぶらぶらしていて発見したのでした。『プロイセン王家12の物語』『ブルボン王朝 12の物語』『イギリス王家12の物語』『ハプスブルク家12の物語』『ロマノフ家 12の物語』を合わせた「この5冊を読めばわかる!」という魅力的なシリーズ。

本屋さんで発見したときは、衝動的に全巻手に取りそうになるところをぐっと抑えたのでしたが、まずは図書館に新刊で入っていたものを読んでみて、やっぱり「わたしに必要なシリーズ本」認定です。まだ2冊読み終わったばかりですが、少しづつ点がつながっていくのを感じています。

中野京子さんが「片方から見ていた風景が、逆の側からはどんな風に見えるかを知ることで、歴史の複雑でダイナミックな動きを感じていただけるのではないか」と『ブルボン王朝12の物語』の「あとがき」で書いておられるのですが、まずは見えていたものが少しづつつながっていく感じ。5冊全部読み終わったころには、それがダイナミックな動きとして感じられるようになっていることを期待しつつの読書です。

さて 『名画で読み解く イギリス王家12の物語』 。先日DVDで「エリザベス1世」を見るにあたり、手元に用意してパラパラと開き、該当する時代の絵画と解説と家系図を眺め、付焼刃的にではありますが、イメージを補足することができました。

おかげさまで、少しは流れがつかめたような気がしています。中野京子さんの解説が、学術的というよりは会話っぽくて、読んでいて親しみやすく、わかりやすいです。絵がすべてカラーで載っているのも嬉しく贅沢です。新書サイズですので、手軽に持ち運べるのもいいですね。しばらくお出かけのお伴になりそうです。

本書に登場する絵画は、見たことのあるものもあれば、初見のものも多数。見たことがあったかもしれなくても、覚えていないものも多々。ロンドンに行ったときは、いつもナショナルギャラリーには足を運ぶのですが、お隣にあるポートレートギャラリーに入る前にお腹いっぱいになったり、閉館時間になってしまうことが続いていました。それだけナショナルギャラリーの見ごたえがあるということなのですが、次回はまずポートレートギャラリーに足を運びたいと思います。

「花祭窯へのご来店は予約制です」をお伝えする方法。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「花祭窯へのご来店は予約制です」をお伝えする方法。

花祭窯は、磁器作家藤吉憲典の工房兼ギャラリーです。ギャラリースペースでは、今手元にあるもの(在庫)をご覧いただけるようにしていて、お客さまにご来店いただくことができます。ただ、夫婦二人でやっており、基本的にダンナはずっと制作にかかっておりますので、いつでも来客対応ができるというわけではありません。そしてもうひとつ、個展期間にかかっていたりすると、せっかくお越しになっても「ご覧いただくモノが無い!」ということもあるのです。

完全予約制の良いところは、なんといってもお客さまにゆっくりと気兼ねなくご覧いただけることです。あらかじめご連絡いただくことにより、こちらも気持ちの準備ができます。またどんなものをご覧になりたいと思ってお越しになるのか、少しでもわかっていると、ご要望に合わせた準備ができることもあります。

そんなわけで「一度に一組までの完全予約制」で、ご来店をお願いをしています。これまでは主に公式ウェブサイトやフェイスブックなどのSNSで、その告知とお願いをしていました。あと、ご来店なさる方はGoogleで検索していらっしゃる方も多いので、Googleマイビジネスでの告知。それでも、突然訪ねて来られる方もいらっしゃるので、オフラインでの告知も必要よね、ということでこの度チラシを作りました。

花祭窯ご来店前に必ずご連絡ください。

津屋崎千軒内の観光案内所的存在である「藍の家」と「王丸屋」、福間駅の観光案内所「ふっくる」に置いていただいています。「行こうかな」と思ったときは、それが直前であっても「まずはお電話ください!」なのです。オンラインとオフライン、どうしたらお客さまに周知できるかな、を試行錯誤の今日この頃です。

ちょっとした「嬉しい」の積み重ね。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ちょっとした「嬉しい」の積み重ね。

今日はようやく朝からお日さまが出て、青空がまぶしい一日でした。雨が一週間以上続くと、やっぱり気分的にうつうつとしがちになるもので、そんななか「あら」と嬉しくなる景色が目に飛び込んでくると、気分が明るくなります。

2階からふと庭に目を向けたら、いつの間にかサルスベリが咲いていました。毎日チェックしていたはずなのに、葉っぱに隠れていて気づきませんでした。我が家の百日紅は毎年遅いので、まだ咲いていないだろうと思い込んでいたところへ、嬉しいサプライズ。雨のなか、華やかなピンク色が映えていました。

百日紅
百日紅。

夜、戸締りをしようとしたときに玄関にヤモリ発見。ヤモリ=家守で縁起が良いので大好きです。それに、なんといっても姿が可愛らしい。ガラスの反対側から足の吸盤の様子など見ていると、生きる力を感じます。この子はまだ小さかったので、これから我が家で育ってくれると良いな、と思いつつ。

ヤモリ
玄関にヤモリ。

花祭窯の露地を庭師さんにお願いしたときに植えた百合は、ヤマユリとカノコユリの2種類でした。が、昨年からこの白百合が咲くようになって、今年も伸びてきたなぁ、と思っていたら雨の中きれいに開花。ご近所から種が飛んできたのでしょうね。花の少ない季節に嬉しい華やかさです。

白百合
どこかから飛んできて咲いた白百合。

10年以上前になりますが、僧侶であり著作も多数お持ちの小池龍之介さんの本のなかに、なるほどと思ったものがありました。いわく、良いことを連鎖させたいと思ったら、どんなに小さなことでもいいから「良いこと」を発見して、その発見を積み重ねていくとそれがすなわち「良いことの連鎖」につながる、と。

実際にこの習慣を始めてみると、「嬉しい」は身の周りにたくさんあることに気づきます。そして嬉しいことがあったと意識したり、数えてみたりすると、さらに気持ちが上向いてきます。ちょっとした「嬉しい」の積み重ね。単純ですが、なかなかの効用です。

地域における社会教育(生涯学習)の拠点について考えた。

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地域における社会教育(生涯学習)の拠点について考えた。

ローカルな話題ではありますが、現在、福津市では第3次福津市行財政改革大綱へのパブリックコメント(市民意見公募)を受け付けています。『時代に応じた市民生活の質の向上を図るため、効果的・効率的な行財政運営を実現し、「持続可能なまちづくり」を行うための行財政改革の理念と基本方針を定めるもの』(福津市ホームページより)に、市民の声を反映させる方法のひとつです。

このなかに、公共施設の統廃合・再配置が取り上げられていて、福津市が掲げる社会教育「郷育カレッジ」の主な講座会場となっている福津市中央公民館も、その検討対象として名前が挙がっています。福津市には、カメリアホール(福津市複合文化センター・文化会館)という施設もあるので、そちらに統合できるのではないかというのが、統廃合推進論の根拠となるのだろうな、と思いつつ。

「ここが地域の社会教育の中心ですよ!」を体現する施設があることは、その地域の社会・文化教育を活性化するのに、大きな役割を果たすと思います。ただ、それも「どれだけ活用されているか」によるもの。中身が伴わなければ意味がありません。そういう意味では、福津市には市民のための社会教育システム「郷育カレッジ」がありますので、中身はバッチリ。

わたしは個人的には、学べる場がありさえすれば「象徴的な場所」が無くてもOKと考えています。象徴的な場所が必要なのだとしても、コンセプトと実際の働き(中身)さえしっかりとしたものがあれば、会議室ひとつでも足りるかも、と。一方で、「ここがその場所」と集約的な役割を果たす空間があれば、より多くの人に機会を届けやすいのは間違いないとも思っています。たとえば公共の博物館や美術館は、建物自体(時には周辺環境をも含め)がその役割をも兼ねていて、年々その重要性への認識が高まっていると感じています。

まずは実際に社会教育(生涯学習)の場(教室)として使える場所が、どれくらいあるのかを知ることが必要だなぁ、と。これまでの稼働率を出せば、「不足しているのか、余っているのか」もわかるはずです。そして統廃合というよりは、施設の目的・役割を見直す「再配置」を促すのであれば、今までよりももっと「社会教育(生涯学習)の拠点」たる位置づけの場所を確保できるのかもしれないなぁ、と考えています。

まずは一市民として、第3次福津市行財政改革大綱へのパブリックコメント(市民意見公募) に意見を出すことから始めたいと思います。せっかくの機会ですからね。

アートフェアアジア福岡2021のポスターが到着。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

アートフェアアジア福岡2021のポスターが到着。

さっそく、花祭窯にもポスターを貼って宣伝。チラシもありますので、興味のある方は、お声掛けくださいね。アートフェアアジア福岡2021(以下、AFAF)の関係者でも何でもありませんが、福岡でこのようなアートイベントがあることは、文化芸術関係の仕事をしている一人として、とっても嬉しく、応援していきたいと思っています。

昨年はコロナ禍で開催が見送られた「アートフェアアジア福岡」。2019年以来、2年ぶりの開催となります。時節柄、一昨年のような「今が旬のアート関係者」によるトークなどのイベントは予定されていないようです。それは残念ではありますが、仕方がないですね。代わりにと言いましょうか、一昨年よりも、一般の人が入りやすい形になっていると思います。

まず、会期が9月22日(水)~9月26日(日)と5日間あります。前回は一般公開は2日間だけでしたので、5日間あると、忙しい人でも足を運びやすくなると思います。次に、入場料が無料です。アートフェアは通常入場料をとることがほとんどで、AFAFも2019年は1日券1500円フリーパス3000円でしたから、「入場無料」は大きいと思います。無料なら「ちょっと見てみようか?」と足が向きやすくなりますよね。場所も博多阪急の7階8階とまとまっています。

出展ギャラリーは45軒。顔ぶれを拝見して思ったのは、年々、地元であるはずの九州内のギャラリーの割合が減っているのではないかということ。逆に言えば、全国から参加してくれるようになった(それだけの価値を認めてもらえるようになった)とも言え、AFAFが育ってきた証ともいえるのかもしれませんが。どう考えるべきか、ちょっと複雑な気もします。

ただ一般客としては、ふだんなかなか足を運ぶことのできない、全国各地のギャラリーさんのブースを見ることができるというのは、嬉しいことですね。今年も、たったひとつでも「お!」と響くものを発見できるといいな、と期待しているところです。

福岡では、30年間続いたアジアフォーカス・福岡国際映画祭が、2020年の開催を最後に、残念ながら実行委員会を解散してしまいました。わたしは身近な場所で参加できる芸術体験の機会をひとつでも多く持ち続けることが、その地域の活力につながると思っています。このアートフェアが、博多でいうなら山笠やドンタク祭りのように、季節の顔となってずっと続くイベントになったらとても嬉しいな、と思っています。

お家でゆっくりお盆休み。

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お家でゆっくりお盆休み。

ふだん気になりながらそのままになっていたことを一つでも完了する!ことに。ただ、北部九州はお盆前からずっと大雨警報や避難勧告などが出ていましたので、お天気に気をとられていたというのが、実際のところです。

そんななか、まず手を付けたのが、ギャラリースペースの棚の整理。お休みと言いつつ仕事ですね(笑)。ただ、このところゆっくり器を並べ直すことが出来ていなかったので、お盆休みのおかげでできた仕事です。蕎麦猪口棚に並ぶサンプルの蕎麦猪口をすべて拭き上げることができたのが、一番嬉しかったかもしれません。

それから、7月からウィンドウに飾っていた「山笠絵皿」を終いました。季節ごとに置き換えています。お盆を境に「鶉(うずら)に桔梗(ききょう)」文様の金襴手の角瓶を出しました。桔梗は秋の七草のひとつです。また中国磁器の文様として人気の高い鶉は、粟(あわ)との組み合わせで描かれることが多く、秋から冬にかけての文様です。

次は英語学習=溜まっていた「the Japan times alpha」の読み込み。お盆休みに入った時点で5週分が手元にありましたので、せっせと音読。ところがこの音読、自分の読み取れるスピード以上に早くなりませんので、なかなか前に進みません。ついつい記事を読み飛ばしたくなることもありますが、本来好きでやっていることですので、時間をかけてもひとつひとつ進むのみ。3日かけてやっと半分読破しました。

それから、ふだんしないところの掃除も少しできました。冷蔵庫の霜取りをし、プラスチック製のごみ箱を内外拭き上げ、掃除機の中を歯ブラシできれいにし…。一見どこがきれいになったのかわからないようなところをきれいにして自己満足。

お盆休みの真ん中には、近所のおさかなセンターで地魚握りを調達。我が家にはお仏壇があるわけでなく、お盆行事をするわけではないのに「お盆の寿司盛注文受付中」に釣られました。「地魚握り」といいながらサーモンも入っているお茶目な寿司盛は、海鮮巻が豪快で、価格的にもお手頃です。寿司盛サービスがはじまったときに、なにかイベントがあるときに注文したらいいねと話していながら、このご時世でイベントの機会は無いもので、このお盆になりました。

季節外れの長雨で気温が少し涼しくなったので、雨の合間に久しぶりにウォーキングを復活することもできました。猛暑でウォーキングに出ることができない日が続いていましたので、これは嬉しかったです。

そんなわけで、ゆっくりペースのお盆休み。いいお休みになりました。

蕎麦猪口棚の写真を撮ってもらいました!

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

蕎麦猪口棚の写真を撮ってもらいました!

蕎麦猪口棚が花祭窯に設置されたのがちょうど1年前。設置の際はもちろん、その後もことあるごとに好い写真が欲しいと自力でチャレンジするも、棚の素晴らしさ・ディスプレイの力がちゃんと伝わる写真が撮れないまま、今に至っておりました。

まず第一に大きいので、全体をきれいに撮ろうとすると、わたしのカメラではかなり引いた位置から撮るしかないものの、距離が足りずに構図が歪んでしまうこと。次に100個以上の蕎麦猪口を並べているので、焦点をうまく合わせられずに、全体にぼんやりしてしまうこと。そして「蕎麦猪口=反射しやすい磁器」がたくさん並んでいるため光ってしまうこと。上手に撮れない言い訳だらけ(笑)。

ようやくプロに撮影を頼み、出来上がった写真を見て思うことは、「最初からお願いすればよかった」の一言。今回もご近所フォトグラファー日浦さんにお願いしました。いつものように「サクッと」撮ってくださいました。どのような写真が欲しいのか、なぜ自分ではうまく撮れないかをお伝えしたところ、必要な機材をピンポイントで担いでいらっしゃいました。約15分の撮影時間で、「こんな絵が欲しかった!」が現実化。

蕎麦猪口 藤吉憲典

それにしても、ご近所に凄腕のプロがいるというありがたさ。今回も心より感謝です。

フォトグラファーであり、3DCGアーティストであり、フィルムメーカーである日浦さんの作品は、写真はインスタグラム動画はYouTubeでサンプルを確認できます。気の向いた仕事しかしないアーティスト気質な方ですが、それだけに、受けた仕事をギリギリまで「よいもの」に仕上げることへのこだわりはすごいです。

Meet Me at Art「コラージュ講座」の位置づけは「心の健康」へのアプローチ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

Meet Me at Art「コラージュ講座」の位置づけは「心の健康」へのアプローチ。

2021年郷育カレッジ講座の特集テーマは「郷育で心も体も健康に!」。昨年度に続き、今年度もコラージュ講座を準備しています。郷育カレッジのなかに美術系の講座が少ないなか、昨年初めて開催したのでした。

美術の教育普及ワークショップメニューのひとつですが、「心の健康」へのアプローチを意図しています。コラージュ制作を通じて、自分の内側を可視化し、客観的に受け入れていくことで、心のリフレッシュを図ります。わたしはこのワークショップを「Meet Me at コラージュ(=コラージュ制作を通じて自分に出会う)」と名付けています。

そもそもわたしが「博物館学芸員技術研修」で学んだコラージュは、芸術表現としてのものではなく、アートセラピーのひとつとしてのコラージュ療法でした。指導してくださった、聖学院大学心理福祉学部教授の藤掛明先生によると、アートセラピーには、心理系アプローチと美術系アプローチ、二つの経路があります。わたしはセラピーの専門家ではありませんが、医療や福祉の現場でも、美術系アプローチ活用への注目は年々高まっているように感じます。

今年度のプログラム進行を検討するにあたり、昨年の講座に参加してくださった方々のご感想を振り返ってみました。

  • 集中して一人静かな時間が持てた。
  • コラージュ制作を通じて、自分の好きなことに改めて気づくことができた。
  • 自分で考えを創作していく過程に、希少価値を感じた。
  • 今自分が表現したいことが明確に出て、面白かった。
  • やりだしたら、ついついはまり込んだ。
  • 空間で何かを表現したいという思いが出てきた。

などなど。これらのご感想を拝見すると、コラージュの目的と効果を再確認することができます。「じっくり自分に向き合う」機会を持てていない方は、少なくありません。約1時間半の講座で、参加者の皆さんが楽しく集中力を高め、夢中になる時間を味わい、終わったらリフレッシュを実感できるよう、進行を考えていくところです。

ところで本日のアイキャッチ画像(一番上の写真)は、『美術館っておもしろい!』(河出書房新社/モラヴィア美術館)より拝借。美術・美術館の役割を絵本にしている本書のなかにも、美術の教育普及の仕事の果たす役割・大切さが、わかりやすく描かれています。

本と映像で時間と空間をバーチャル移動。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

本と映像で時間と空間をバーチャル移動。

このお盆は、2020年のお正月以来顔を出せていなかった実家詣でを計画していましたが、折からの「まん延防止等重点措置」「福岡コロナ特別警報」を受けて、延期。ほぼ外出無しの夏休みとなりそうです。

家(=兼仕事場)に居るとついつい仕事をしてしまうので、強制的に物理的に離れた場所に移動することは、わたしにとってはメリハリをつけるのに大切です。が、それがしにくいこの夏休みは、時間と空間をバーチャル移動することに。「バーチャル」なんて言葉を使うと、最新IT技術をイメージする方もあるかもしれませんが、単に仮想とか疑似という意味です。本と想像力さえあればOK!今回はさらにDVDもあるのでばっちりです。

この機会に、長すぎて観るのを躊躇していた「エリザベス1世」を一気に見ることに。前編109分、後編112分。長いなぁ、と思っていましたがさもありなん、映画ではなくイギリスで放映されたテレビドラマでした。ほぼ王宮内で完結するストーリーで、歴史ものというよりは愛憎もの?でも王宮内の人間関係や駆け引きがそのまま政治に反映され、国際的な立場にも影響すること考えると、やはり歴史もの。それを「独身を貫いたエリザベス1世」の人間的側面からクローズアップした物語でした。

エリザベス1世といえば、ミュージカル「レディ・ベス」を博多座で観たのは、ちょうど七年前のこの季節でした。「レディ・ベス」は、エリザベスが少女から女王になるまでの物語。今回見た「エリザベス1世」は、「女王になったあと(けっこう時間が経ってから)亡くなるまで」の物語でしたので、レディ・ベスのエピソードは、「その前」を知る補足となりました。

それでも前提となる知識が足りませんので、前半と後半の間に、中野京子さんの『名画で読み解く イギリス王家12の物語』(光文社新書)をパラパラと開き、該当する時代の絵画と解説と家系図を眺め、付焼刃的にイメージを補足。エリザベス1世は、ロンドン塔の「反逆者の門」をくぐりながらも、そこから出てきて、しかも治政者として長年貢献するというレアな偉業を成し遂げた人物であること、自らもその政敵をロンドン塔に放り込んでいたことを、絵画的にインプット。

トータル約4時間のバーチャル移動、十分に楽しみました。せっかくなので、次はケイト・ブランシェットの映画版によるエリザベス1世『エリザベス ザ・ゴールデンエイジ』も観たいな、と思います。