読書『日経おとなのOFF 絶対見逃せない2020美術展』(日経TRENDY)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『日経おとなのOFF 絶対見逃せない2020美術展』(日経TRENDY)

読書と言って良いものか!?ではありますが、さておき。年末になると翌年の美術展の予定や見所を紹介する雑誌がいくつも発行されます。特別付録の「2020美術展100ハンドブック」が人気だと聞いて「日経おとなのOFF」版をゲットしました。上の写真は、そのハンドブックについているMAP。わたしは紙派なので、こういうのが嬉しいです。

今年はロンドンからナショナル・ギャラリー、ナショナル・ポートレート・ギャラリー、コートールド・ギャラリーの所蔵品が日本にやってくるということで、なんだかイギリス尽くし。中野京子さんによる「名画で読む英国王室」が載っていたのも嬉しい一冊です。

日経おとなのOFF編集部の推す美術展100ハンドブックのなかから、わたしが個人的に「観に行きたい!(足を運べるかどうかは別として)」と思っている美術展ベスト5を挙げてみることにしました。


1.「カラヴァッジョ展」 あべのハルカス美術館

既にスタートしている展覧会です。思えば大学1年生の時、一般教養で選択した美術の授業がカラヴァッジオとの出会いでした。一年間カラヴァッジオ尽くしでイメージを刷り込まれ。わたしにとっては「家に飾りたいとは思わないものの、目が離せない絵」を描く人です。あべのハルカス美術館にはまだ足を運んだことがありませんが、面白い展覧会が多く、気になっていました。今年あたりぜひ訪問したいところです。

2.「カラヴァッジョ展《キリストの埋葬》展」 国立新美術館

こちらもカラヴァッジオ(笑)。なぜ今日本でカラヴァッジオなのかわかりませんが、観ることができるなら、一枚でも多く見たいもの。バチカンの所蔵品が日本にやってくるという話題性もさることながら、個人的に彼の絵がなぜそんなに気になるのか、それを解明したいという思いです。

3.「ヨーロッパの宝石箱 リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展」大分県立美術館(巡回)

実はリヒテンシュタイン公国の存在を知りませんでした。が、侯爵家のコレクションと聞いては、見たい!の一言です。コレクション展の面白さは、集めた人(集めた家)の嗜好・偏向がはっきりと表れるところ。贅を尽くしたコレクションは面白いに違いありません。大分を含め全国5カ所の巡回が決まっているようなので、ぜひどこかで観に行きたいところです。

4.「MIHO MUSEUM コレクションの形成-日本絵画を中心に-」MIHO MUSEUM

こちらはそもそもミュージアム自体が創立者・小山美秀子さんの個人コレクション。日本から古代オリエントにわたる約3000件のコレクションを入れ替えながら展示なさっているのですね。美術展に行きたいというよりは、館自体に行きたいです。

5.「海幸山幸」九州国立博物館

こういうふうなテーマ展が、もっと増えたらいいな、と思っています。流派や時代やジャンルで区切るのではない展覧会。同じ作品も見せ方によって発見があり、前後にどんな文脈(作品)を並べるかによっても受け取り方が変わってくることがあります。観覧者にどんな発見をもたらすことができるのかは、学芸員さんの腕の見せ所だと思います。


このほか、昨年から今年にかけて新しくオープン(またはリニューアル)する美術館情報も興味深かったです。個人的に気になったのは、旧ブリジストン美術館であるアーティゾン美術館。わたしにとってはブリジストンすなわち石橋財団のコレクションといえば、福岡県久留米市にある石橋美術館(現・久留米市美術館)でした。文化芸術もまたやはり東京一極集中かと、少々複雑な気持ちもありながら。

この手のガイド本はあまり購入したことがなかったのですが、いろいろと考えるきっかけにもなりました。

2020南方流初釜。

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2020南方流初釜。

初釜に出かけると「今年も始まった」という気持ちになります。毎年初釜は、和尚さまが亭主として、入門者を迎えてくださいます。和尚様の美しいお点前を間近に観ることのできる貴重な機会です。

今年の初釜は六席。一日に六席の亭主を務めるというのは、並大抵のことではないと思います。それでも毎年続けてくださるありがたさ。せめてわたしたちにできることと言えば、前日準備のお掃除と、当日のお茶席の水屋やお食事の台所仕事を手伝うこと。

当日朝は小雨がぱらついていましたが、お茶席に入るころには上がり、露路からの席入りができました。お正月らしい軸やお花、華美でなく品のあるお道具。お茶をいただきながら拝聴する和尚様のお話。礼を守りながらも寛いだ席で、とても幸せな気持ちになる初釜でした。

毎年初釜でいただく色紙には、今年は「相逢相不識 共語不知名(相逢うて相識らず 共に語りて名を知らず)」とありました。出会った相手を大切にすることを説いた、一期一会に通じる教えです。

今年も一年、禅茶道に精進いたします。

映画『ダウントン・アビー』観てきました。

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映画『ダウントン・アビー』観てきました。

2020年の映画一発目。今年は何本観に行けるかな、楽しみです。写真はロンドンケンジントン宮殿。

人気テレビシリーズの映画化ということでしたが、まったく予備知識無しで観てまいりました。1920年代のイギリスヨークシャー地方伯爵家のカントリーハウスを舞台とした物語。おおよそ100年前のお話。

面白かったです。ロマンス、スキャンダル、陰謀、家族の確執、階級社会の裏表など、分かりやすいストーリーが喜劇的に味付けされていて、思わず何度もニヤリとしました。当時のイギリスが抱えていた社会問題や不安が背景にちりばめてあるものの、小難しいところはひとつもなく、すっきりと楽しめる映画でした。

あとからテレビドラマ版のおさらい動画を見たところ、テレビドラマ版のストーリーの方が、かなり波乱万丈だったようですね。

登場人物が皆とても魅力的でした。それぞれ欠落した部分を抱えていながら(あるいは、だからこそ)憎めない。キャラクター設定がしっかりしていて特長を覚えやすいというのは、物語を面白くする大きな要素なのですね。

それにしても、広々とした丘陵地に立つ邸宅を臨む景色の美しさ。これを見るためだけにでも、映画館に足を運んでよかったと思いました。

和英辞典がやってきた。

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和英辞典がやってきた。

自分用に和英辞典を購入。スマホがあれば辞書は要らないでしょ!と言われる昨今。実際のところ、英文をつくるときにはさんざん無料翻訳サイトにお世話になっております。が、そのうえで「やっぱり紙の辞書が欲しい!」となったのでした。

英会話教室仲間に、尊敬する友人がいます。わたしよりひとまわり以上年上で、定年退職してから海外旅行を楽しみたいと習い始め。教室に通っている期間は同じくらいなのですが、その間に彼女は英検1級を取得。彼女の語彙の豊富さに触れるたびに、わたしももっと単語を増やさなければと反省してばかりです。

その彼女が常にバッグに入れているのが、辞書。彼女の場合は電子辞書ですが、ことあるごとに「英語でなんて言うんだったかしら?」と辞書に手が伸び、その場で確認をする習慣がついているのです。日々のこのような習慣も、語彙を増やすことにつながっているのだろうと、彼女と話をしていると感じます。

紙の和英辞典はそれなりに重いので、常に持ち歩くというわけにはいきませんが、机の上にいつも置いておけば、気になった時にサッと開くことができます。そう、わたしにとってはスマホで調べるよりも辞書を開く方が簡単だと気づいたからこその、紙の辞書。少しでも語彙の強化につながるといいな、と思いつつ。

味噌、寒仕込み。

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味噌、寒仕込み。

なんてタイトルにすると、なんだか通っぽいですが、この季節にお味噌を仕込めるのは数年ぶりです。それも「あとは混ぜるだけ」の「味噌仕込みセット」 という強い味方が現れたからこそなせる技。

大豆を茹でるところから、というのは理想ではあるものの、ここ数年はそのための時間と労力を確保するのが、ついつい後回しになっています。麹屋さんが持ってきてくださる材料を、自分の手で樽に詰め替えるだけで「我が家の味」が出来上がるのですから、なんともありがたい限りです。

つい先日、将来の進路についておしゃべりをしていた息子が「一人暮らしを始めたら、味噌と梅干はうちから送ってくれる?」と言いました。梅干もまた、ほぼ毎年我が家で漬けているもの。こうなると、ますます仕込みのモチベーションが上がります。彼としては、自炊にかかる費用を少しでも抑えたいから、という理由でしたが(笑)。

1月から3月頃に仕込むお味噌を「寒仕込み」というそうです。季節が暖かくなるのと一緒に熟成が進み、夏を越したころ食べごろを迎えると。ということは、9月頃。我が家の味噌の減り具合を考えると、どうやらその前に樽の蓋を開けることになりそうです。

形あるものの強さ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

形あるものの強さ。

「強さ」という表現が合っているのかどうか、ちょっと言葉が見当たらないのですが。仕事はじめに「形あるものを作るからこその喜び」を垣間見る出来事がありました。

数年前、長い海外生活から日本に戻っていらしたばかりというお客さまとの出会いがありました。藤吉憲典のつくる造形作品を特に気に入ってくださり、お付き合いが続いています。つい先日のこと、そのお客さまから「これ、藤吉先生の作品ですよね?」と届いた写真。拝見したところ、窯を開いて初期のころよく作っていた片口でした。

聞けば、お姉さまからお引越しの際に「特に気に入っているもの」として、譲り受けたなかにあったということでした。片口に一目ぼれしたお客さまが、さっそくこれを使おうと洗っていた時に「憲」の銘が目に入り、びっくりして問い合わせてくださったのでした。

そのお客さまのなかでは、藤吉が食器作家でもあることはご存じであったものの、どちらかといえば芸術家のイメージ。一方、お姉さまは「ずいぶん前に器のギャラリーでとても気に入って買った」とおっしゃるだけで、その片口の作家名もご存じなかったのでした。

思いがけず大切なお姉さまから譲り受けた器に「憲」を見つけ、とても驚いたし感慨深かったと、縁の不思議を喜んでくださったお客さま。わたしたちもまた、ありがたい出来事のお知らせに嬉しい気持ちでいっぱいになりました。

藤吉憲典は、その作陶の志として「国宝より家宝」をずっと掲げています。その意図そのままに、「人から人に大切に受け継がれるもの」となっているワンシーンを見せていただいた出来事でした。

読書『30の都市から読む世界史』(日経ビジネス人文庫)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『30の都市から読む世界史』(日経ビジネス人文庫)

河合塾世界史講師の神野正史氏の監修。「世界史」の文字を含んだタイトルの本を、ここ数年で何冊も買い込んだので、もういいだろうと思いつつ、ついつい手にした一冊です。切り口が変わると見え方も変わってくるというのは、これまでの世界史本からも学んでおり、今回は「都市」のキーワードに釣られました。

「はじめに」にも書いてあるとおり、都市ごとに文章が独立しているので、どこから読みはじめても大丈夫です。興味のある都市を見つけたときや、訪問の予定ができたときなどに、この本を開く。地図の背景を知るための、ガイドブック的な使い方ができる本だと思いました。文庫でコンパクトなので、気になったら取り出せるように、もっぱらバッグに入れて持ち歩いています。

読めば、知らないことばかり(笑)。やはり世界史は広くて深いですね。いろいろな切り口の世界史本を読まなければ、まったく追いつきません。本書で描かれている30のいずれの都市にも魅力を感じました。なかでも特に「アテネとサンクトペテルブルクに行ってみたいな」と思い、「上海とドバイのこれからがどうなるか」に興味がそそられました。

読書:シャーロックホームズ シリーズ読み直し。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書:シャーロックホームズ シリーズ読み直し。

近所の図書館でお正月休みの間に大量に借りてきたのが、シャーロックホームズものの文庫版。昨年のシャーロックホームズミュージアム訪問『ヴィクトリア朝ロンドンとシャーロックホームズ』(原書房)の読書から、すっかり引っ張られています(笑)

読みたい!と思ったときに過去の名作を容易に手に取ることができるのは、ひとえに文庫と図書館のおかげです。かつてホームズを読んだのは、小学校高学年の頃だったと思いますので、数十年ぶりの読み直し。『緋色の研究』からスタートし、『四つの署名』『バスカヴィル家の犬』(いずれもコナン・ドイル著、新潮文庫)と進んでいます。

面白いです。ストーリー自体の面白さに、ささやかながら自分の経験や知識がプラスされて想像力が広がっていくのを、読書を通して感じています。なかでも特に 『ヴィクトリア朝ロンドンとシャーロックホームズ』(原書房)の読書 によって、ストーリーの世界がぐっと広がりました。本の力ってすごいですね。

『ヴィクトリア朝ロンドンとシャーロックホームズ』(原書房) を編んだのは、シャーロックホームズの展覧会をキュレーションした学芸員や研究者の方々で、熱烈なシャーロックホームズファン。このことがまた、わたしにとっては刺激的な事実であり、学芸員の仕事の面白さ、「好き」が生み出す力の素晴らしさを感じています。

こんなふうに、学芸員としての仕事を形にできたら、素敵ですね。ひとつまた、目標ができました。

仕事はじめ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

仕事はじめ。

写真は、あまりにも縦にまっすぐだったので、嬉しくなって1本活けてみた、松。

近所の小中学生の冬休みもお終い。二日の書き初めと新年会でお正月をすっかり満喫し、三日午後からぼちぼちと仕事を始めました。年末から3日間パソコンを開かないだけで、ずいぶんと休憩したような気がします。物理的に仕事から離れる時間も大切ですね。その間に考えたこともいろいろあり、頭の中を整理整頓しながら、ウォーミングアップ。

昨日は今年の納品第一号を発送完了しました。納品の時はいつでもホッとしますし、嬉しいです。楽しみに待っていてくださる方々の存在は、仕事をするうえで大きな力です。同時に、お客さまのところまで運んでくださる運送業の皆さまに感謝。こうして地方でスムーズに仕事ができるのは、運んでくださる方あってこそです。

花祭窯は個人事業主なので、1月は会計年度のスタート月でもあります。今年の経営指針書もおおよそ出来上がりました。短期・中期・長期の行動計画は、実際に動き出すと修正しながらの毎日になります。年末に「最初のイメージからどう変わったか」を見るのも、実は楽しみのひとつです。

そして新年度が始まるということは、前年度の決算をするということであり、そろそろ確定申告の準備です。

2020書き初め。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2020書き初め。

今年のわたしの書き初めは「行雲流水(こううんりゅうすい)」。禅の言葉のひとつです。執着をなくし、空を行く雲のように、川を流れる水のように、淡々と自然に任せること。カタチにとらわれず、自然に任せて柔軟に変化していくこと。

歳を重ねるごとに、自分でコントロールしようとしてもどうにもならないことも少なくないと、わかってきました。また、エネルギーを費やして取り組んだ結果と、自然の成り行きに任せて見守った結果が大差無い、なんてことも往々にあると、経験してきています。

自身を省みたとき、それでもなんとかしようとジタバタしてしまうのは、性格的に仕方の無いこと。でも、「行雲流水」の言葉を心のどこかに留めておいたら、同じ状況にあっても少しは肩の力を抜くことができたり、天命を待つ心境に至ることができるかもしれないな、と思います。

行雲流水のごときしなやかさとは程遠い生き方をしていますが、それもまた良しと認めつつ(笑)