津屋崎浜

東野圭吾氏追悼読書:『天空の蜂』(講談社)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

東野圭吾氏追悼読書:『天空の蜂』(講談社)東野圭吾著

氏の訃報を新聞で読み、年齢を知ってまだお若かったことに驚き、写真の姿がなんとも素敵なことに驚きました。もちろん本は何冊も読んでいましたし、映画化されたものも何本か観ています。きっとメディアに登場なさる機会も多かっただろうと思うのですが、ご本人の姿はまったく見たことが無かったことに、今更気が付きました。息子が東野圭吾氏の本が大好きで、入り口は映画だったように思いますが、小中学生のころからずいぶんとたくさん読んでいました。今も彼の部屋の本棚には、氏の著書がずらりと並んでいます。

本をたくさん読んでいる友人が、訃報を受けてSNSで「東野圭吾といえば『天空の蜂』」と書いているのを見つけ、読んだことがありませんでしたので、図書館で借りてきました。蔵書検索しながらも、その著作の多さにあらためて感嘆。わたしが読んだことのある本といえば、映画化されたようなものが何冊か、というぐらいです。

さて『天空の蜂』。読み終わってまず確認したのは、本書が一体いつ書かれたのだろうか、ということでした。初出が1995年11月とあって、福島の原発事故が起こる2011年よりもずいぶん前だったのですね。そして2015年に「新装版」として刊行されていることに、出版社の矜持を感じました。わたしが読んだのはこの新装版の方でしたので、図書館が収蔵したのもそのタイミングであったことがわかります。

講談社のサイトでの本書解説に「国内すべての原発を使用不可にしなければ、エンジンは停止し落下する――日本国民全員を人質にしたテロが始まった」とあり、その通りの物語。ですが、東野作品では珍しくありませんが、本書でも犯人に感情移入してしまう読者が多いだろうな、と感じました。わたしもその一人で、小説の中の政府のやり方に対して、大きな憤りを感じながら読みました。社会問題を鋭く突きながら、エンターテインメント性の高いものを書く。小説家だからこそできる仕事というものを、感じました。

あまりにもたくさんの未読本があることを発見してしまいました。これからしばらくは「隙間が出来たら東野圭吾作」で読書を埋めていきたいと思います。

『天空の蜂』(講談社)東野圭吾著

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その独立準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々雑用)担当として作家活動をサポートしています。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)としても、並行して活動しています。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。