読書『知覚力を磨く 絵画を観察するように世界を見る技法』(ダイヤモンド社)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『知覚力を磨く 絵画を観察するように世界を見る技法』(ダイヤモンド社)神田房枝 著

美術鑑賞の効用を説く本がまた一冊登場しました。上の写真は帯で紹介されているコンテンツ。『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(光文社新書)で対話型鑑賞法を説いた山口周さんはじめ、ここ数年美術鑑賞によるトレーニング・研修効果をうたう本が次々と出ていて、アートエデュケーターとしては嬉しい限りです。目についた都度、読むようにしています。

著者によれば、「その効果が科学的に検証されている、絵画観察を用いたトレーニング」について論じているのが、本書『知覚力を磨く』の強み。たしかに自らを省みても「効果があると確信を持ってはいても、それを証明しろと言われると、検証までは出来ていない」のが、鑑賞教育の担い手としての実態です。それだけに、裏付けが語られることに、とても心強さを感じました。

以下、備忘。


  • 思考の前提となる認知、すなわち「知覚(perception)」
  • 「知覚」の幅を広げるというアプローチ
  • 知覚→思考→実行
  • 純粋によく見る
  • 知覚は「コントロール」できない
  • 知覚から「知識」がはじまる
  • 「他者」の知覚を取り入れる(=読書)
  • マインドアイ(見えないものを観る力)
  • 知覚力を奪う「敵」は「認知バイアス」
  • 「具体性に満ちた全体」をとらえる
  • 点と点をつなぐ観察(=関連づけ)
  • 人文科学は、明確な答えが無い問いに対して、自分なりの答えを提案していく学問

『知覚力を磨く 絵画を観察するように世界を見る技法』神田房枝 著より


ところで著者の神田房枝さんの肩書きが「ダヴィンチ研究所ディレクター」。ダヴィンチ研究所なるものがあるのですね。ダヴィンチはアーティストであっただけでなく、他分野を横断した様々な創造・業績を残していますが、そのほとんどが独学であったということを、本書で知りました。

アーティスト以外のアート関係者、教育関係者、企業人にもおススメの一冊です。