読書『アルケミスト 夢を旅した少年』(角川文庫)パウロ・コエーリョ

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『アルケミスト 夢を旅した少年』(角川文庫)パウロ・コエーリョ

気になっていながら読んでいなかった本の一冊です。あちらこちらの書評で目にして、てっきり哲学書の類かと思い込んだまま、時間が経っていました。日本語訳の初版は地湧社から1994年となっていますから、30年近くも前なのですね。今もずっと出ていますから、ベストセラーのロングセラー。

わたしはパウロ・コエーリョの著書を読むのは、これが初めてでした。書評で、サン・テグジュペリの『星の王子さま』と並べて語られるのを何度か目にしましたが、なるほど最初の方から、教訓めいたセリフや心の声がちりばめられているのが、その理由かもしれません。個人的には、主人公の少年の自問自答を含む、数々の問答が面白かったです。物語のなかに説教臭い文章が入り込むと、あざとさを感じてうんざりすることもありますが、物語のなかに溶け込んでいればさほど気になりません。

そもそもタイトルが「アルケミスト=錬金術師」。哲学的な受け取り方、自己啓発的な受け取り方、スピリチュアル的な受け取り方、読む人によりそれぞれですね。わたしは単純に「羊飼いだった少年の冒険のお話」と読んで面白かったです。そういう意味では、読む前に持っていた「哲学書かしら?」という思い込みは当たりませんでしたが、それもまた良し。本書に限らずどんな小説にも、教訓的なエピソードや名言(名セリフ)を読み取ることができるので、これだけが特別という感じはしませんでした。

『アルケミスト』英語版も出ているので、英語と日本語との表現の照らし合わせをしてみても面白いかも、と思いました。