こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
読書『舟を編む』(光文社文庫)三浦しおん
「本屋大賞」を受賞した時に、読みたいなぁと思いながらそのままになり、松田龍平主演で映画化されたときに、これは観たいと思いながら見逃しておりました。忘れかけていたつい先日、偶然図書館で文庫版を発見。
最初から最後まで、なんともやさしい空気が流れていました。もちろん切迫したシーンがあったり、気持ちが昂るシーンもあったりするのですが、全体を安心感が貫いているとでも言いましょうか。結末に対する期待は裏切られないはず!と、著者に対する信頼をもって読むことができました。
それにしても、「辞書編纂の仕事を小説にする」ことを、思いつくのがすごいな、と思いました。そのために、膨大な取材をしたのだろうな、ということも。小説やテレビドラマや映画などで「仕事」をきちんと描くとヒットするという定石を聞いたことがありますが、それにしても辞書編纂とは。でも、かつて誰もが一度は手に取ったことはあるという点では、「辞書」を中心に置くのは、マニアックなようでありながら、実は普遍性の高さも担保しているのかもしれません。
ともあれ、読後がさわやかな一冊でした。見そびれた映画も、DVDで観なければ。三浦しおんさんの著作は、映像化されているものも多いですが、実は本を読んだのはこれが初めてでした。これをスタートに、読み広げていこうと思います。