地域の学校教育と社会教育の連携を考えるランチミーティング。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

地域の学校教育と社会教育の連携を考えるランチミーティング。

福津市民のための生涯学習システム「郷育カレッジ」。郷育カレッジの運営委員を拝命したのが2016年で、その前2014年~2015年の2年間は、社会教育推進を検討する郷育推進委員を務めましたので、福津市の社会教育に関わるようになってからこの4月で10年目に入ります。

この分野に足を突っ込んでから、ずっとわたしの前を走ってくださっている先輩がいます。文字通り先駆的存在。そもそも彼女に引っ張られて足を突っ込んだ、ともいえます。10年来のお付き合いになり、各種会議や講座で月数回は顔を合わせていますが、1対1で顔を突き合わせてのミーティングはたぶん初めて。いつも忙しく走り回っている彼女とは、個別に話し合うべき課題があればLINEで済ませることがほとんどなのですが、今回奇跡的に時間を合わせることが出来ました。

地域の社会教育と学校教育にまつわるいろいろな課題について、ざっくばらんに意見交換をすることが出来ました。つくづく感じたビジネスミーティングとの違いは、そこに自治体=public(公)の存在が切り離せないこと。自身の意思決定だけでは何ひとつ動かすことの出来ない現実が、ふだん自分がやっている事業を考えるときとはまったく異なります。

この分野で何かを大きく変えたいと思うのなら、市長や市議などの政治家を志す方が近道なのかもしれません。けれども先駆者である彼女は「現場で動いてできることから、少しづつでも良い方向に持っていくのが、自分の仕事」というスタンスを崩しません。20年以上この分野に関わっておられるご経験から、現場から離れた途端に当事者の想いを離れて机上の論理となっていく怖さを、身に染みてご存じなのかもしれません。

そんなわけで、今回のランチミーティングでの肝は、具体的な解決策を考えるというよりは、課題を解決しようとする際に根拠となる考え方に間違いや偏りがないか、の確認作業の意味合いが大きいものでした。また、その考え方に至ったもととなるエビデンスが有効か、客観性があるかをすり合わせる時間ともなりました。

わたしはボランティアの一市民スタッフですので、関われる範囲には限度があります。自分のできることを無理のない範囲で提供することで、少しでも地域の学びに貢献できるのであれば嬉しいな、と思います。

小学校で、キャリア教育のゲストティーチャー。

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小学校で、キャリア教育のゲストティーチャー。

ここ福津市は、地域と小中学校の連携が進んでいる方だと思います。「コミュニティスクール」と称し、さまざまなアプローチで、地域と学校が一緒に活動しています。そんな活動のひとつとして、卒業を間近に控えた小学6年生への「キャリア教育」で、ゲストティーチャーをしませんか?というお誘いを受けました。

具体的には、自分が今やっている仕事を20分ほどで説明し、子どもたちに伝えたいことを話す、というものです。二日間にわたり、総勢24名の様々な職業をもつゲストティーチャーが、小学校に集合。そのなかの一人として、「窯元おかみ」「アートエデュケーター」二つの仕事の紹介をしてまいりました。

まず準備で頭を抱えました。小学6年生にわかりやすく伝えるために、どんな言葉を使って、どのように説明したらよいのか。「窯元おかみ」も「アートエデュケーター」も、小学生にとっては耳馴染みの無い単語でしょうし、まったくイメージがわかないだろうな、と。「陶芸家」の説明の方が簡単そうだなぁ、と思いながら資料作り。アートエデュケーションの講座は子ども向けにできるのに、自分自身の仕事を伝えるとなると難しく。

当日は、できるだけ平易に話そうと思いながら、子どもたちの反応を見つつ進めました。実際に質問してみたところ「学芸員」という職業も、知らない子がほとんどでした。自分が小学生だったころを考えると、たしかにそうかも知れないな、と。そんなわけで、伝わったかなぁ…の不安はぬぐえませんが、それでも楽しい時間となりました。その一因は、「将来、美術を使った仕事をしたい」という子が、思ったよりも多くいたこと。そのなかの一人にでも、何か伝わるものがあったら嬉しいな、と思いつつ。

ところでこの試みは昨年度からスタートして2回目だということで、現時点で市内の小学校がすべて行っているわけでもありません。小学生の時からキャリア教育というのは、今の時代、時期尚早とはいえないでしょう。世の中にいろいろな職業があることが現実的に理解できるようになるというだけでも、素晴らしい機会です。これからもっと広がり、継続的に開催されるようになるといいですね。

ちなみにゲストティーチャーとして参加した方々の職業は、工学系研究者、ドローンオペレーター、助産師、看護師、障がい者就労支援、弁護士、グラフィックデザイナー、自衛官、歯科医師、プロバスケットボール選手、保育園園長、美容師、新幹線運転手、獣医師、大学教授、人事コンサルタント、バレリーナ、大学教授、フィナンシャルプランナー、フレンチシェフ、システムエンジニア、警察官、スポーツクラブ経営者…とほんとうにさまざま。わたしは新幹線運転手の方と一緒の教室で、子どもたちに混ざって話を聴くことが出来ました。ラッキーでした。

福岡市科学館で遊んできました!

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福岡市科学館で遊んできました!

関西方面から福岡に来る友人を「ミュージアム接待」。月曜日ということで、美術館博物館は閉館しているところも多く、「どこか/なにか、おススメある?」と尋ねられたのがきっかけでした。

福岡市内の美術館博物館は、福岡市美術館・福岡県立美術館・福岡市博物館のビッグ3が軒並み月曜定休ではありますが、福岡アジア美術館は水曜定休のため、月曜日に足を運ぶことが出来ます。けれども、せっかくわたしに相談してくれたのだから、というところで、少し別の視点からいくつかおススメを出してみました。

そのなかで、友人のアンテナに引っかかったのが福岡市科学館。ここの学芸員さんとは、先の学芸員研修でご一緒したこともあり、展示に力が入っていることはお墨付きです。子ども向けコンテンツが充実していることは大前提の科学館ですが、大人にももっと足を運んでほしいとの思いが詰まった館だというお話を常々聞いておりました。実のところ、わたしも足を運んだことがありませんでしたので、この機会に同行することに。

博多からバスで約30分、六本松という学究的な地域にあります。目の前にバス停も地下鉄の駅もありますので、交通至便。建物は3階以上が福岡市科学館で2階には蔦屋書店が入り、1階はスーパーマーケットが入っているという、商業ビルです。外から直接科学館の受付フロアに到着するエスカレーターに乗れば、異世界に続く雰囲気もあって気分が盛り上がります。

上の写真は、エントランス。まだ入場券を購入する前ですが、既に展示コンテンツがスタートしており、面白くて足が止まりました。体験型の展示も多いと聞いていたので、荷物と上着をロッカーに預け、いざ。名誉館長は宇宙飛行士の若田さんということで、等身大の若田さんパネルにご挨拶。常設の基本展示室は「1.宇宙ゾーン」「2.環境ゾーン」「3.生命ゾーン」「4.生活ゾーン」となっています。

いやぁ、面白かったです。夢中で遊びました。途中、展示解説プログラムもあり、着席してレクチャーを聴くこともできました。化学記号が出てくるお話で、学生時代を思い起こしながら。平日でもこのようなプログラムがきちんと入っている配慮がありがたいですね。周りを見れば、子ども連れの方もおられましたが、ほとんどは大人で、一人の方もあればグループの方もあり。素晴らしいな、と思いました。

近所の友人(大人)が「何回行っても飽きない!一日遊べる!」と言っていたのを思い出し、深く納得。半日では時間が足りませんでした。関西方面から来た友人も、十分楽しんでくれたようすで、次回は一日コースにしたいと。一日コースにすれば、プラネタリウムのプログラム鑑賞を取り入れたり、さらに満喫できそうです。

科学系の館としては、佐賀県武雄市にある佐賀県立宇宙科学館がわたしのイチオシでした。こちらは建物・敷地の規模もかなり大きく、それこそ丸一日居ても時間が足りません。大がかりな設備もあり、修学旅行先としても人気が高い施設です。子どもが小さい頃に何度も通いましたが、結局すべてのコンテンツを制覇することはできませんでした。福岡市科学館は、佐賀の宇宙科学館に比べたら規模こそ小さいものの、「一日遊ぶ」にぴったりのサイズで、程好く知的好奇心を刺激してくれる場所です。

「Meet Me at Art 美術館同行サービス」の概要。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「Meet Me at Art 美術館同行サービス」の概要。

「美術館同行サービス」スタート。と書いたのは、昨年末のことでした。

自分の背中を押すために書いたのでしたが、さっそく友人数人から好意的なリアクションをいただき、「よし!やるぞ!」と勇気100倍に。尊敬するお友だちからの声援は大きな力になりますね。ご希望の方にすぐにでもご案内できるよう、具体的に組み立てていくことにいたしました。

以下、概要をつらつらと。


「対話型美術鑑賞」の技法を盛り込んだ美術館同行サービスです。観察眼を磨き、視野を広げ、自分の内側を覗き込む。そんな深い美術鑑賞体験をナビゲートいたします。別のアプローチとしては、ご希望により「回想法」の技法を活用した鑑賞法も可能です。どのような美術館体験をしたいか、ご相談により最適と思われる方法をご提案して参ります。

と書くと、なんだか堅苦しい感じがしますが、単純に「一人ではなかなか美術館に足が向かないから」「鑑賞した感想を誰かと分かち合いたいから」という理由でオーダーいただくのもウェルカムです。通常は常設展示での同行を想定していますが、このような場合は「特別展」での同行も検討可能です。

どこの館で行うかは、これもご相談によりますが、通常対象館と出張対象館の二つのパターンを想定しています。出張対象館では、既定の美術館同行サービスの料金に講師の旅費交通費が加算されます。

  • 通常対象館:福岡市美術館/福岡アジア美術館/福岡県立美術館
  • 出張対象館:福岡市博物館/九州国立博物館/ご相談により日本各地のご希望の館

基本的には、各館の常設展示室を使っての開催となります。特別展は人が多いことが想定され、ゆっくり鑑賞に集中することが難しいので。同行サービスは基本的にはマンツーマン、または2名様までです。3名以上の人数になる場合は「講座」扱いとなり、別プログラムとなります。時間は1時間半程度を基本としますが、ご相談により調整可能です。また複数回を組み合わせたプログラムにすることも可能です。

(2023年1月24日掲載→最終更新日1月26日)


とまあ、こんな感じです。まだまだ情報が足りない部分もあるかもしれませんので、これを基本に、随時加筆して参ります。料金については、個別にお問い合せ下さいませ。その他ご質問等、お気軽にどうぞ。

お問い合わせ先やアートエデュケーターのキャリアについては、下記のページをご参照くださいませ。

「美術館同行サービス」スタート。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「美術館同行サービス」スタート。

本日はアートエデュケーターとしての仕事のお話。上の写真は、お気に入りの絵本『美術館って、おもしろい!』より。

先日、あるギャラリーオーナーさんとお話をしていて、気づいたことがありました。わたしはアートエデュケーションを仕事にするうえで、ありがたいことに学芸員研修などの機会を毎年享受しています。そこで学んだ最新の知見を、美術鑑賞講座のなかで形にしたりはしているのですが、インプットに対してアウトプットがまだまだ少い!と気づいたのでした。

ここ数年はコロナ禍で動きにくかった、ということもありますが、アウトプットの方法は、考えれば工夫次第です。せっかくの専門的な学びを、もう少し積極的に地域社会に還元して行きたいと思いました。今年10月に受講した宮本由紀先生の「アートの仕事」の講座で、アートエデュケーターとしてこれから進むべき方向性を整理整頓したところでしたので、より実践に落とし込んでいきたいところです。

というわけで、「美術館同行サービス」スタートします。美術館・博物館の常設展示を使った、対話型美術鑑賞の技法を盛り込んだ美術館同行サービスです。観察眼を磨き、視野を広げ、自分の内側を覗き込む。そんな深い美術鑑賞体験をナビゲートいたします。

博物館リンクワーカー人材養成講座、2022年度最終回は、脳外科医の先生の取り組み事例。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

博物館リンクワーカー人材養成講座、2022年度最終回は、脳外科医の先生の取り組み事例。

↓前回までの報告はこちらから↓

最終回の第6回は富山県氷見市にある老人保健施設アルカディア氷見の施設長であり脳外科医の長谷川健先生からの事例報告でした。

以下、備忘。


  • 認知症に対する非薬物療法の一つとしての回想法。
  • 五感を刺激するための材料としての民具。
  • 同時的刺激による効果。
  • 味覚、嗅覚、視覚、聴覚、触覚。
  • それぞれの感覚への刺激が脳のどの部分に届いているか。
  • 皮膚覚=温度の熱い冷たい、痛い、圧、振動、運動などなど。触覚と一言に言っても、それぞれの刺激により、脳のどの位置で受け取るかが異なる。
  • 認知覚としての皮膚感覚。例えば、耳かきやネイルケア。
  • 認知症ケア・予防・脳リハビリ。
  • 傾聴=耳も、体も、傾けて話を聴く。
  • 触る+その他の知覚。音、匂い、味の記憶…無意識に他の感覚を伴っていることがある。
  • 人はいくつになっても褒められると嬉しい。
  • まずは実践者が一番楽しんで(回想法)に取り組む。
  • 異なるもののコラボレーションからの発見。

脳医学の見地からこれまでの学びを見つめ直す時間となり、新鮮なインパクトのある最終回でした。なにより先生自ら心から楽しんでおられるご様子が伝わってきました。長谷川先生の実践と、その裏付けや根拠を示す見地の数々は、これから取り組みたいことに向けて、心強く背中を押してくださいました。

今年度も学びの大きかった「博物館リンクワーカー人材養成講座」。昨年度も、終了後にすぐに動いて翌年(2022年)のアートエデュケーターとしての活動に生かせることがありました。すぐに具体的な実践につながる学びもあるところが、この連続講座のすごい所でもあります。さっそく、新たなプログラムに生かすべく、頑張ります。

博物館リンクワーカー人材養成講座『第5回高齢者が美術館を楽しむために~シニアプログラムの実践を通して~』に参加いたしました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

博物館リンクワーカー人材養成講座『第5回高齢者が美術館を楽しむために~シニアプログラムの実践を通して~』に参加いたしました。

11月上旬からスタートした学芸員研修の連続講座「博物館リンクワーカー人材養成講座」。今年度は日程の合わない日もあり、飛び飛びで参加しています。

第5回目は、福岡市美術館の教育普及担当学芸員さんによる実践報告。今年度、福津市の「郷育カレッジ」では、わたしが担当する美術鑑賞講座で、福岡市美術館の「どこでも美術館」というアウトリーチ(出前)にご協力いただきましたので、特に思い入れを持って拝聴いたしました。

以下、備忘。


  • 制作物を1年度に届ける→未来への目線。
  • どこでも美術館(アウトリーチ)=地域公民館、学校との連携。美術館に行けない人のところへ、こちらから届ける。
  • シニアプログラム「回想法」:施設職員の方(専門家)のフォローが必要。
  • 「美術」という共通言語。
  • アフターコロナのGOODな傾向:「男性お一人様」の参加が増えている。
  • 実物・実物大の美術作品=「空間を支配するもの」の存在の大きさ。
  • 美術館に行きたいけれども行けない←YouTube、Facebook等でのライブ配信。
  • 何が見えますか、何が描いてありますか?からはじまる回想法。
  • 学問・専門は、専門家だけのものではない。

博物館リンクワーカー人材養成講座『第5回高齢者が美術館を楽しむために~シニアプログラムの実践を通して~』より


特に、実践報告のなかで演者の学芸員さんがおっしゃった「『空間を支配するもの』の存在の大きさ」というキーワードに、美術・美術館の役割をあらためて思いました。また、グループワークのなかで出てきた「学問・専門は、専門家のものだけではない」という言葉に、奢ることなく取り組む姿勢を貫く現場の方々の思いが見え、ハッとしました。

2022年度の博物館リンクワーカー人材養成講座も残すところあと1回となりました。肩の力を抜いて楽しみながら学べる貴重な機会、しっかり自分のものにしていきたいと思います。

博物館リンクワーカー人材養成講座『第3回「地域の生活」を美術館で展示する』に参加いたしました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

博物館リンクワーカー人材養成講座『第3回「地域の生活」を美術館で展示する』に参加いたしました。

11月上旬からスタートした学芸員研修の連続講座「博物館リンクワーカー人材養成講座」。

その第3回目は、熊本県は阿蘇小国町にある坂本善三美術館の取り組みを拝聴しました。町内の医療・福祉分野の皆さんとの連携による活動でしたが、その活動のベースにある確固たる信念に感嘆する発表内容でした。

以下、備忘。


  • コレクション・リーディング:収蔵品を再解釈する展覧会。異分野の方をゲストに招き再解釈するシリーズ。
  • 「もの」を取り巻く、人・エピソードの面白さ。展示するのはそのすべて。
  • その人らしい生き方=暮らすことは表現すること。
  • ではあるが、そのままではアート足り得ず、見るべき価値のあるモノとして価値づけされることを通してアートとなる。
  • 足元にあるモノを拾い集める。→再編集。
  • 地域の歴史・文化から、何を発信できるか?
  • ありものの展示を持ってきて展示会にするのは安易だが、それよりも自分たちで(そこに居る自分たちにしか作れない)展覧会を作り上げることの価値。
  • 異業種の連携。(新たに仕事を増やすのではなく)日々の仕事でいっぱいいっぱいの現場が、それぞれ(美術館・医療福祉)の現場でやっていることを持ち寄ることによって実現する。

取組自体の面白さを感じるとともに、それを支える館のスタンスに感嘆しました。あるいは学芸員さん個人のスタンスでもあるかもしれませんが、ベースに「坂本善三」という揺るがない価値があればこそ挑戦できるという自覚、自館のもつ価値への再評価・再解釈を恐れない信頼が、素晴らしいと思いました。

また、そこにあるものを「見るべき価値あるもの」として価値づけること自体がアートであるという視点は、まさに現代アート的な視点だと思いました。そこにあるモノをいかに編集して観る人の前に差し出すか、これぞキュレーターたる学芸員の存在意義・腕の見せ所ですね。

というわけで、展示・取り組み内容そのものはもちろん、その背景にある取組姿勢に大きく感動した第3回講座でした。次回も楽しみです♪

郷育カレッジ「コラージュ講座へようこそ」開催いたしました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

郷育カレッジ「コラージュ講座へようこそ」開催いたしました。

「コラージュ」はフランス語で「糊付け」の意味。ハサミで紙を切り、糊で台紙に張っていく作業を通して、自分の内側を覗き見てみましょう、という講座です。美術の表現技法のひとつでありながら、心の安らぎ・健康を目指す側面を伴うのは、わたしが最初にコラージュを学んだのが、心理療法として長年臨床で取り組んでこられている先生の講座であったからにほかなりません。

かといって、わたしは心理の専門家ではありませんので、アート・エデュケーターとしての範囲内でのナビゲーションになります。それでも、コラージュ制作を通して得られる心理的効果は、自分自身がとても感じています。まずは受講生の方々にいかに楽しんでいただけるかが一番!

例えば「今から絵を描きましょう」と言われたら、ちょっとしり込みしてしまいますが、コラージュなら気軽に手を動かすことが出来る。それが、わたしがコラージュが好きな理由のひとつです。とても優れた美術的表現方法だなぁ、と思います。

講座を開催するごとに、集まる方々は十人十色ですから、進め方も少しづつ変わります。今回、受講生の皆さんはほとんど迷うことなく、すぐに制作・思索に取り掛かられたので、ナビゲーションは必要最小限にして、見守りに徹するかたちで進みました。グループの規模もちょうど良かったのかもしれません。計画していた時間内で、皆さんほぼ完成させることが出来ました。

出来上がった作品には、それぞれの個性がとてもよく表れていて、拝見していて嬉しくなりました。一人一人違うと分かっていても、毎回実際にそれを目の当たりにすると、やっぱりすごいことだなぁと嬉しくなるのです。そして今回は、作品完成後に、グループでそれぞれの作品の「分かち合い」をすることが出来ました。「分かち合い」では、出来上がった作品に対して、自分の思いを説明するとともに、他の方の作品には一言コメントをプレゼントすることです。コロナ禍下で対話が憚られていた時期にはこれが出来なかったのでしたが、やっぱり、お互いに作品の感想を分かち合うと、作品の解釈がさらに広がって、とてもいいですね。

講座終了後に、皆さんが晴れやかなお顔になって会場を後にするのを見送り、ホッと致しました。講座後の受講生アンケートでも、皆さん嬉しい感想をたくさん寄せてくださいました。なかでも「日常思っていることを、コラージュ制作を通して整理することが出来ました」「『テーマ』を決めて創り出す、迷ったら『テーマ』に立ち返る。このポイントをこれからも生かしていきます」というご感想は、まさにわたしのコラージュ講座が一番伝えたいことであり、ほんとうに嬉しく思いました。

楽しく取り組んでいただくのがなによりのコラージュ講座。受講生、運営の方々のおかげで、無事に開催することが出来ました。ありがとうございました!

博物館リンクワーカー人材養成講座がはじまりました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

博物館リンクワーカー人材養成講座がはじまりました。

せっかくの機会なので、具体的な実践につなげていくための学びにしたいと、今年は自分なりに事前準備をいたしました。まずは、自分の取り組みスタンスを整理。

できる範囲での周辺知識の獲得。

連続講座第1日目は、九州産業大学の緒方泉先生による「博物館浴」研究の最前線の報告からスタートしました。そのなかでピンときたキーワードは次の通り。

  • 博物館に課せられる「ケアの義務」
  • 博物館法=社会教育法+文化芸術基本法
  • MUSEUM CHANGES LIVES
  • 博物館やギャラリーは、英国におけるウェルビーイング資源
  • 英国での取り組み Museum Health &Well-Being Summit
  • メンタルヘルスプログラム、MINDFUL MUSEUM
  • 感覚から科学へ
  • 博物館健康ステーション
  • 脳の仕組みの変化を追う
  • 回想法のキーワードは「共感」

これまで、社会教育法のうえに根拠を置いていた「博物館法」が、今年度から社会教育法にプラスして文化芸術基本法をも根拠とするように変わったという、日本の法令上の変化は、遅れ馳せ感はありながらも、きっと歓迎すべき変化なのだろうと思いました。

講座後半はグループに分かれて「語り場」タイム。久留米大学の学芸員課程を教えておられる先生、宮崎県総合博物館の解説員さん、下関市考古博物館の学芸員さんとご一緒させていただきました。宮崎県総合博物館では既に週3回、福祉施設と連携した回想法の開催をしているということで、実際の取り組みについてお話を伺うことが出来たのは、とても刺激になりました。