読書『ジンタルス RED AMBER』(河出書房新社)皆川博子著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『ジンタルス RED AMBER』(河出書房新社)皆川博子著

いつものカメリアステージ図書館新刊棚より。分厚さ(480ページ)に少々ひるみましたが、装丁のシルバーのシャキッとした感じにつられて手に取りました。はじめましての皆川博子さん。読むのに時間がかかるかな、と思っていましたが、引き込まれて1週間で読みました。読後に河出書房新社公式サイトの紹介ページを見てびっくり、1930年生まれで、御年96歳でいらっしゃるのですね。すごいエネルギーでした。スティーヴン・キングがすごいと思っていましたが、わたしが知らなかっただけで、日本にもいらっしゃるということです。小説家ってすごいなぁ、すごい職業だなぁ、と、あらためて思いました。

さて『ジンタルス』、壮大なスケールの物語でした。実は、途中まで著者名をよく確認せずに読んでいたので、洋書の邦訳版なのかと思っていました。二つのストーリーが並行して描かれています。ひとつは19世紀の帝政下ロシア、いずれ画家・詩人となる農奴ミーシャの物語。そしてもうひとつは13世紀の十字軍遠征に、故郷と家族を奪われたジンタルスの物語。この二つが最後に一つになるくだりには、なるほどそうきたか!と思いました。

時代の不条理に翻弄される市民の物語は、古今東西なくならないものなのですね。少し前に読んだ、高殿円さんの『忘らるる物語』が頭に浮かびました。『忘らるる物語』にはファンタジー的要素があり、『ジンタルス』は史実的な物語であるという違いはありますが、それぞれの著者を執筆にかきたてた背景や思いには、近しいものがあったのではないかと想像しました。

『ジンタルス』読了後にまず行ったのは、図書館での蔵書検索。皆川博子さんの著作、たくさんありました^^ またまた読みたい作家さんが増えました。