あんずの里

読書『福音列車』(KADOKAWA)川越宗一著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『福音列車』(KADOKAWA)川越宗一著

いつものカメリアステージ図書館の蔵書検索から、川越宗一さんの著書追っかけで初の短編集でした。これまでに読んできたのが、いずれもずっしりとした長編でしたので、短編集だとは思わずに読み始め、いきなり物語が終わってしまったときには「え!もうおしまい!?」とびっくりしました(笑)。

『ゴスペル・トレイン』『虹の国の侍』『南洋の桜』『黒い旗のもとに』『進めデリーへ』の5つの短編で構成されています。舞台は順に、アメリカ、ハワイ、パラオ、シベリアとモンゴル、インドで、時代は明治維新の後から、第一次世界大戦、第二次世界大戦と流れます。近現代における、日本と外国とのかかわりを垣間見ることができる5編でした。

近現代史を小説で読むことの良いところは、歴史で学ぶ「史実」とされているそれぞれの場面には、その時代を生きた人がいるという当たり前のことが、きちんと伝わってくることにあると、わたしは感じています。登場人物たちが生きている空間はフィクションの中ではありますが、そのフィクション空間を、どれほど膨大な資料が支えているか。歴史小説を書く作家さんたちの凄さに頭が下がりつつ、の読書です。

川越宗一さんの短編集。氏の著書をこれから読んでみようかな、という方がいらっしゃいましたら、お試しで読んでみるのに本書はちょうど良いかもしれません。ここまでガッツリ長編を読んできたわたしとしては、本書の5編の物語がそれぞれ長編になったらどんなふうになるかしら、と思わずにいられませんでした。それぞれをテーマとした長編が出るといいな、と期待しています。

『福音列車』(KADOKAWA)川越宗一著

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その独立準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々雑用)担当として作家活動をサポートしています。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)としても、並行して活動しています。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。