花祭窯的、海のある日常。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ) ふじゆり です。

花祭窯から海岸までは徒歩1分・・・もかかりません。
ここ津屋崎に来てから

海のある日常の贅沢

を享受しているなぁ、とつくづく感じます。

環境の変化がつくり手・つくるものに与える影響の大きさは、
頭で考えていた以上のものがあると、つくづく思います。

つくり手であるダンナ・藤吉憲典の1日のはじまりは、海岸散歩。
すっかり日課になっています。

海岸散歩。
砂浜を結構な距離歩くので基礎体力づくりになり、
同様のご近所散歩人とのちょっとした社交タイムであり、
自分の今日の体調を見極めるバロメータとなり、
浜辺への漂着物を見つけるビーチコーミングタイムであり、
なによりも最大のリラックスタイム。

朝食のあとは、魚市場(おさかなセンターうみがめ)へ。
まずはここで魚をチェックして、その日の晩ご飯が決定。
もともと魚が食卓に乗ることの多い藤吉家でしたが、
ここにきて週の半分以上が魚になりました。

夏のあいだは、もちろん海水浴も。
透明度が高く、遠浅なので、比較的安心して海遊びできます。
足元を魚の群れが通ったりするのはなんとも贅沢。

我が家には残念ながら「釣り人」はいませんが、
冬になると、イカやらナマコやらが浜辺にうちあがり、
春先にかけては、ヒジキやワカメが収穫できます。

 

実は江戸時代の古伊万里にも、魚や貝殻はたくさん題材として使われてきました。
文様として描かれるだけでなく、貝型の香炉や皿などカタチにも反映されています。

つくり手・藤吉憲典もまた、こうした古典の写したくさんをつくってきていますが
古典のお手本イメージに、実際の海の体感が加わることで、
「写し」が「本歌取り」に高まることを感じます。

 

かくいうわたし自身の海との主な関わりは、
海の恩恵を感じればこそ、ときどき海岸のゴミ拾い、です(^^)

蕎麦猪口倶楽部のホームページアドレスが変わりました!

こんにちは。花祭窯 内儀(おかみ)ふじゆりです。

このところ二転三転するわたしの肩書(笑)
たかが肩書、されど肩書。「わかりやすい肩書」を探して右左。

尊敬する女性経営者の方々とのミーティングでご提案いただいたのが、
「内儀」と書いて「おかみ」。
意味的にも、音的にも、文字的にも「実際のわたしの役割」に似合いそうです。

というわけで、花祭窯の内儀(おかみ)ふじゆりです。
どうぞよろしくお願いします<(_ _)>

さて

蕎麦猪口倶楽部のアドレスが変わりました!

蕎麦猪口倶楽部 http://hanamatsurigama.com/

音にすると「花祭窯(はなまつりがま) ドットコム」です。
少しはシンプルになったかな、と(^^)

蕎麦猪口倶楽部は、花祭窯・藤吉憲典のつくる
「蕎麦猪口」「小皿・豆皿」の公式ネットショップ

独立から約20年、蕎麦猪口と小皿豆皿を得意分野として作り続けています。
このふたつはいわば藤吉憲典のつくる器へのエントリーモデル

作家もののうつわを購入する際に「何から揃えたら良いかわからない」と
おっしゃられるお客さまが少なからずいらっしゃいます。
そんなとき、藤吉憲典の場合は蕎麦猪口か小皿豆皿をお勧めしています。

理由は、
藤吉の蕎麦猪口はとても使い勝手がよいので、いくつあっても重宝するから。
我が家では、蕎麦やそうめんの漬け汁用の器としてはもちろん、
来客時にお出しするお茶にもコーヒーにも、茶托にのせて使っています。
晩酌時には焼酎のロックにもお湯割りにも最適。
ゼリーやプリンなどのデザートをつくるときの容器としてもGOODです。

藤吉の小皿豆皿はつくりが良くて楽しくて、ちょっとした来客時にも活躍するから。
お盆やトレーにいくつか豆皿を並べるだけで、おしゃれな膳が出来上がります。
コーヒータイムにはお茶菓子を愛らしい豆皿にのせて出せば、ありきたりなお菓子もグレードアップ。
収納時には小さくて場所をとらないのも魅力です。

一度ぜひお試しくださいませ(^^)

蕎麦猪口倶楽部 http://hanamatsurigama.com/

美術品は人の芸術作品であり・・・

こんにちは。花祭窯・ペーパー学芸員 ふじゆりです。

先日の「仙厓さんがやってきた!」で、出光美術館がオープンする際の出光佐三の言葉をご紹介しました。
本日は、その言葉に感じたことをつづります。
その言葉とは、

美術品は人の芸術作品であり、
そこには日本人として独創と美がなくてはならない」

(出光コレクションホームページ http://www.idemitsu.co.jp/museum/collection/index.htmlより)

一方、ダンナである磁器作家・藤吉憲典のホームページには、
アーティストステイトメントや作陶理念を書いています。

藤吉憲典Artist Statement http://fujiyoshikensuke.com/
藤吉憲典作陶理念 http://fujiyuri.com/aboutken.html

藤吉憲典のものづくりの根本にあるのは、
「美しいもの」「ほっとするもの」を生み出したいという気持ちです。
なぜなら、それらは文化の違いを超えて共感することのできる価値だと思うから。

美しいもの
それは風景であったり自然の造形物であったり
そして人の手が生み出した芸術(アート)であったり。』
(藤吉憲典公式サイト http://fujiyoshikensuke.com/より)

佐三さんのことばと、藤吉憲典のことば。
並列にするのはおこがましいとは思いつつ、
それぞれ下線で示した部分に、同じ思いの表現があるのを見つけて嬉しくなったのでした。

そして佐三さんの言葉のつづき
日本人として独創と美がなくてはならない」。

これは「コレクション(蒐集)にあたり、そういうもの(日本人としての独創と美があるもの)に価値を置く」
と、佐三さんがお考えだったのだろうと解釈しました。

これを「つくる側」に置き換えたとき、頭で考えてしまうと
「『日本人として独創性や美』を作品に反映させるにはどうしたらよいだろうか?」
ということになってしまうかもしれません。

その結果として、あざとい「日本風」「和風」テイストをちりばめたものが生み出されるとしたら、
それは、悲劇(あるいは喜劇)的な作品に仕上がるのではないかという憂いが頭をもたげます。

ロンドンのギャラリーとお付き合いをはじめてわかったことですが、
藤吉憲典の作品は、意図して和風なモチーフを採り入れずとも
「日本的」と評価されました。

その理由をたずねたところ
「形にしても絵付けにしても、このような繊細で丁寧な雰囲気は、まさに日本人にしか出せないから!」
というような返事が戻ってきました。
とても抽象的な評価です(笑)

つまり、特に日本を押し出そうとしなくても、自然と作品に「日本人」がにじみ出てきている。
少なくとも、ロンドンのギャラリーで作品を見てくださった方々は
そのように感じ、評価して、お買い上げくださったようでした。

それは結局、常々つくりながらなにを大切にしているかという
創作の根っこにあるもの、つくり手の価値観がそのまま作品に現れるということだと思います。
そして、実際に傍らで見てきている者としては、
確かに年齢を重ねるごとに、つくり手の「人となり」が何を作っても出てくるのを感じます。

藤吉憲典のつくるものには『日本人として独創性や美』があるか。
出光佐三さんなら、どんな評価・ダメ出しをしてくださるか。
大いに気になったところでした。

蕎麦猪口メルマガを書く。

こんにちは。花祭窯・ペーパー学芸員 ふじゆりです。

今月2通目のメールマガジンを執筆(というと大げさですが)中。
月に1~2回程度の配信で、メールマガジンを書いています。
思えば、わたしの蕎麦猪口好きは

メールマガジンでスタート

したようなもので、
2001年メールマガジン「ふじゆりの蕎麦猪口蒐集」創刊以来、
現在も話題の中心は蕎麦猪口です。

最初の頃は文様の由来など、蕎麦猪口が楽しくなる豆知識を中心に載せたりもしていました。
現在は、蕎麦猪口と小皿豆皿の新作の紹介や、藤吉憲典の個展の案内などが中心です。

そしてもうひとつ。ご要望の多い「蕎麦猪口の在庫状況」のお知らせもしています。

というのも、
ネットショップ蕎麦猪口倶楽部では、基本的に「ご注文を受けてからの制作開始」のため
「今すぐ、この蕎麦猪口が欲しい」というときに、ご用意できないことも多々あります。

出来上がりまでの「待つ時間」も楽しいとおっしゃってくださるお客さまが多く、
つくる側も「○○さまのご注文分」と意識してつくることができるのは、幸せなことです。

 

おかげさまで、蕎麦猪口は藤吉憲典のつくる肥前磁器への入り口として定着してきました。
そんなこともあって、花祭窯に在庫があるときにはできるだけご案内しています。
お客さまの「今欲しい」のタイミングに一つでも合えば嬉しいな、と思っています。

花祭窯・ふじゆりが店主を務める蕎麦猪口倶楽部のメールマガジン。
ご興味のある方は、こちらから無料登録ができます(^^)

花祭窯・蕎麦猪口倶楽部のメールマガジン登録ページ

 

やきもの周りのお仕事~桐箱やさん~

こんにちは、花祭窯のペーパー学芸員 ふじゆりです。

昨日は桐箱やさんに見積り依頼。

やきものの器(うつわの器)・桐箱

やきものを取り巻く仕事はいろいろありますが、
桐箱やさんもまた関わりの深い大切なパートナーです。

出来上がった器や作品を保護してくれる桐箱。
ただ、保護の役割だけではありません。
お茶の世界などでは、箱書きという、箱に書かれた中身の由来が大きな意味を持ったりもします。

花祭窯では、隣町の古賀市にある増田桐箱店さんにお世話になっています。

増田桐箱店 http://www.kiribako.jp/

実はこんなに近所に信頼できる桐箱屋さんがあるというのは奇跡的にありがたいことで、
現に、やきもの用の桐箱担当者さんは、いつも全国各地に飛び回っています。
「桐箱屋さん」は全国的にどんどん減少しているそうで、
それでもはやり「腕のいい桐箱屋さん」への需要は全国各地からあるのですね。

窯元・作家からの依頼だけでなく、ギャラリーからの注文も受けておられます。

さて、桐箱。
たとえば茶道具の器は木箱・桐箱に入っていることが多く、
伝統的な紐付きタイプの箱をご覧になったことのある方は多いと思います。

桐箱紐付き

そのほかにも花祭窯では、いろいろなタイプの箱にチャレンジしています。

サイの戦士(藤吉憲典)

たとえば、これ。

ロンドンのギャラリーに送る前に、桐箱屋さんに相談して
中に入るもののイメージにあった仕組みを考えてもらいました。
箱に、伝統的な日本の桐箱を使うことによって、海外の方からも喜ばれています。

箱を作るときは、桐箱屋さんに連絡をすると、専用の測りを持ってこられます。
サイズを測ったうえで、箱のタイプ・桐の材質・紐の有り無しなどを決定。
一つ一つに合わせて作っていただきます。

遠来のお客さま。

こんにちは。花祭窯・ふじゆりです。

夏らしいお天気の続く津屋崎千軒。

ここ花祭窯は海に近いことに加え、古い日本家屋で風通しがよく
外から玄関に入って来られると、一瞬涼しさを感じていただくことができます。
それでもこう暑い日が続くと、さすがにエアコンの必要性を感じる今日この頃。
建物に穴をあけなければならないのが、なんとも悩ましいところです。

さて

花祭窯には福津市外からお越しくださるお客さまも多くいらっしゃいます。
県外・九州外からと遠来のお客さまも多く、ありがたいなぁとつくづく感じています。

皆さん、ここでゆっくりと時間を過ごしてくださいます。
ここ津屋崎は、位置的に「ついでに」というよりは「目指して」来る場所なので、
できるだけ楽しんでいただけるといいな、と思っています。

昨日いらっしゃったお客さまは、京都からの若い料理人さん。
九州方面への用事に合わせて、花祭窯へもお立ち寄りくださいました。

直前にお電話をいただき、ちょうどつくり手も在宅していたのでお会いできました。
個展会場でお会いして以来の約1年ぶりで、話も弾みました。

次回お越しの際は、ぜひ1~2日前にご連絡くださいとお願いをしました。
というのも、せっかくお越しくださっても不在だったら、とても申し訳なくて残念だからです。
それから、お茶を点てて差し上げるのに、そのほうが準備ができるので。

皆さま、花祭窯へお越しの際は、ぜひあらかじめご連絡くださいませ<(_ _)>

個展が終わったら、お礼状。

こんにちは。花祭窯専属キュレーター・ふじゆりです。

本日より、「花祭窯の番頭役」から「花祭窯専属キュレーター」に肩書きを変えました(笑)
いつも、自分の肩書=何をする人なのかの説明に最適な言葉が見いだせず、
名刺をつくるたびにどうしようかと思案していたのですが・・・
とある本に書いてあった「キュレーター」の解釈がしっくりきたので、しばらくこれでいこうと思います。

さて

銀座黒田陶苑さんでの藤吉憲典個展が終了したので、お礼状。

毎回個展が終わってからの大切な仕事の一つに、お礼状書きがあります。

おおかたのギャラリーさんでは、個展終了後に会期中の芳名録をくださいます。
(芳名録を置かない、置いていてもつくり手には出さない方針のギャラリーさんもあります)
この芳名録のお名前と、つくり手やわたしが在廊中にお越しになったお客さまでお名前のわかる方には、
個展終了後にお礼状をお送りしています。

ときどき
「芳名録に、自分の名前を書いていいのかどうか迷う」
とご質問いただくことがあります。

芳名録に名前を書くか書かないかは、もちろんお客さまの自由です。
個展にお越しくださったすべてのお客さまが書いてくださっているわけではありません。
ただ、ここにお名前を残してくださると、ご来場に対する感謝の気持ちを伝えることができます。
なので、わたしたちは、お名前を書いてくださると嬉しいです、とお答えしています。

かくいう自分たちは、いろんな方の個展におじゃまして芳名録に名前を書くかどうか、ですが・・・
引き続き、その作家さんからの案内状などを送っていただきたいとき、
そのギャラリーさんでの催しのご案内をいただきたいときには、書くようにしています(^^)

肥前磁器について(まとめ)

こんにちは。花祭窯の番頭役・ふじゆりです。

ここ福岡・津屋崎は、連日夏らしいお天気です。
海には釣りのボートがぷかぷか。
砂浜には水遊びの親子連れ。

さて先日から書いてまいりました「肥前磁器について」全五話。
歴史・技法・工程などを書いてきて、あらためて
磁器制作をつくり手が一人で完結するには高い技術とセンスが必要であり、
熟練にはそれなりの時間がかかるのがあたりまえだなぁ、と思いました。

形をつくる人、絵付をする人。
絵付のなかでも染付をする人、赤絵をする人。

肥前磁器の技術流出を防ぐために細分化された分業体制は、各地に技術が広がった後も残り、
その結果として現代の陶芸作家と呼ばれる人たちも、
つくりから絵付けまで一貫してできる人は少なくなっています。

そんななかで、うちのダンナ、藤吉憲典が一人でつくり続ける理由は
「出来上がったものが美しいかどうかは、全体のバランスで決まる」ことを重視しているからです。

例えば、かの北大路魯山人は名プロデューサーであったといわれます。
プロデュース力があれば、それぞれの工程は職人さんにお願いして自分は最終チェックをする、
あるいは自分はその工程の一部(例えば絵付)だけを担当する、という作家スタイルも有りなのでしょう。

それでも自分の手でつくることをよしとするのは、自分で手を動かしてつくるからこそ
生み出せる価値があることを信じているからにほかなりません。

さて

「肥前磁器について」全五話。
下のそれぞれのタイトルリンクから、ご覧いただくことができます(^^)


↓肥前磁器についてこれまでに書いた記事はこちら↓

○肥前磁器(ひぜんじき)とは?

○染付(そめつけ)・赤絵(あかえ)・染錦(そめにしき)

○古伊万里(こいまり)のこと

○やきものができるまで(磁器の制作工程)・前半

○やきものができるまで(磁器の制作工程)・後半

 

銀座黒田陶苑さんに行って来ました。

こんにちは。花祭窯の番頭役・ふじゆりです。

銀座黒田陶苑さんでの藤吉憲典(ふじよしけんすけ)個展。無事、会期終了いたしました。

ご来場くださいました皆さま、誠にありがとうございました。

藤吉憲典個展@銀座黒田陶苑

藤吉憲典個展@銀座黒田陶苑

藤吉憲典個展@銀座黒田陶苑

藤吉憲典個展@銀座黒田陶苑

藤吉憲典個展@銀座黒田陶苑

原点回帰=肥前磁器の伝統文化を感じていただけましたでしょうか。

初日、二日目と在廊した藤吉。
たくさんのお客さまとお話しすることができ、とても嬉しく
たいへん勉強になった二日間だったと申しております。

わたしも最終日に向かっての二日間を在廊しました。
1階の常設、3階の特別展示と、時間を見つけて黒田陶苑さんの所蔵するやきものを拝見。
眼福のひとときでした(^^)

次回は再来年。
まだテーマは決定しておりませんが、藤吉憲典のあらたな側面をご覧いただければと思っております!

ありがとうございましたm(__)m

やきものができるまで(磁器の制作工程)・後半

こんにちは。花祭窯の番頭役・ふじゆりです。

7月21日(木)まで開催の銀座黒田陶苑さんでの藤吉憲典(ふじよしけんすけ)個展。
原点回帰=肥前磁器の伝統文化をしっかり感じていただくことがテーマになっています。

より深く楽しんでいただくための一助になれば・・・
ということで

↓肥前磁器についてこれまでに書いた記事はこちら↓

○肥前磁器(ひぜんじき)とは?

○染付(そめつけ)・赤絵(あかえ)・染錦(そめにしき)

○古伊万里(こいまり)のこと

○やきものができるまで(磁器の制作工程)・前半


本日は

磁器の制作工程について(後半)

上の写真は絵付に使う筆。
右手に見えている徳利などは、素焼きから上がった状態です。
この素焼きの状態の生地に、下絵付をします。

下絵付け(染付)

素焼きから上がった生地に、呉須(ごす)というコバルトを含む絵の具で絵付をします。
これが染付(そめつけ)の青色になります。

呉須は構成成分の割合によりさまざまな種類があります。
さらに自分好みの青色を出せるかどうかは、呉須の種類だけでなく、
陶土・釉薬・焼成方法などの条件の組み合せによっても変わってきます。

施釉

下絵をつけ終わった生地に釉薬(ゆうやく)をかけて、本窯焼成をします。

釉薬もまた、たくさんの種類があります。藤吉憲典は柞灰釉(いすばいゆう)を使っています。
柞灰釉は柞の木からつくった木灰を原料とした釉薬です。
性質が不安定で、呉須との相性や窯の焚き方に左右されやすい釉薬ですが、
独特のやわらかい肌合いを出すことができます。

藤吉憲典にとっては、理想とする古伊万里の雰囲気に最も近づけることの出来る釉薬です。

本窯焼成

藤吉憲典は電気窯を用いています。
現在、磁器制作において主に利用されている窯は、ガス窯や電気窯です。

火の色が景色となる土ものと異なり、
磁器では絵付の美しさを楽しんでいただくのも価値のひとつ。
そのためには薪で焚く窯は不安定すぎ、安定した焼成のできる窯が理想です。

おおよそ24~25時間かけて、最高温度1300度近くまで上げていきます。
途中ガスを入れながら還元焼成をかけます。

電気窯では、時間と温度を管理するプログラムが組み込まれていますが、
その日の気象などによる影響があるため、
温度の上がり具合や窯の内部の様子を確認しながらグラフをつけています。

染付の器は、この窯からあがったら、完成です。

赤絵付け

赤絵・染錦と呼ばれるものは、本窯焼成からあがった器に上絵付け(赤絵付)を施します。

色の種類が多く、赤ひとつとっても多様です。藤吉憲典は特に「赤」「緑」の色選びにこだわっています。
粉状の顔料をよく磨り潰し、水で溶いて絵の具にします。
絵を赤絵窯に入れるまでは、描いた部分に手が触れると消えてしまうため、
繊細な気配りが必要になります。

赤絵窯

赤絵窯では6時間から7時間かけて780度まで温度を上げていきます。
絵の具の種類により気化する温度が変わってくるため、温度を上げすぎないよう注意も必要です。

金やプラチナを使用する場合は、より低い温度での焼成となります。

赤絵窯からあがってきたら、底の仕上げをして、検品してできあがりです。

染錦花鳥文大鉢 藤吉憲典
染錦花鳥文大鉢。染付と赤絵を組み合せた染錦の器です。